真・恋姫†無双〜真・漢ルート〜 第10.5話:漢達の休息W
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一刀たちが呉に来て大分月日がたった。

 

呉の重役達とも親しくなり、仕事の手伝いも順調に進んでいる一刀。

怪我も大分良くなり日々を楽しく過ごしている。

 

華佗の診療所も再開し、貂蝉と卑弥呼も服屋の仕事を手伝いに行っている。

左慈は時々飲食店で仕事をしているようだが、干吉は暑さで常にばてている。

華雄はいつも通り鍛錬に励んでいる。

 

今回はそんな一刀の日常を綴った話である。

 

 

第10.5話:漢達の休日W

 

 

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拠点イベント:華佗

 

 

診療所は今日も多くの患者が訪れ、大忙しである。

しかし、華佗の気持ちは晴れない。

 

一刀は華佗が今まで鍼や薬で治してきた病を鍼も薬も使わずに治して見せたからだ。

薬を使えば病気は治るが、反面副作用が出る可能性もある。

今回の秘薬で言えば元気になるが、逆に目が冴え数日は軽い興奮状態が続くような症状が出る。

 

華佗の欠点は身体的な病気を治す事はできるが他人の機微に疎く、内面の異常を判断する事ができない事だ。

特にそれは女性に対して顕著に現れ、顔は良いし性格も暑苦しいが誰に対しても優しい……にも拘らず浮いた話がないのだ。

 

 

華佗「はぁ〜」

 

一刀「どうしたんだよ、ため息なんてついて」

 

華佗「ああ、一刀か……」

 

 

一息ついて休憩中の華佗に一刀が声をかける。

城での仕事は休みのため華佗の元に包帯でも換え様かと思って来たのだ。

 

 

一刀「最近働き詰めで休んでないんだろ?

   偶には生き抜きでもしたらどうだ?」

 

華佗「息抜き……か」

 

 

そう呟いて考える華佗。

思えば一刀たちと旅をするまで一人で旅をし、毎日のように走り回っていた。

あの頃はただ我武者羅に患者を診ることに全力を注いでいたはずだ。

 

しかし、今の方が患者の顔は生き生きとし、笑顔にあふれている。

一人だった時は患者は感謝はするが、診た直後は驚いたような顔をして何が起こったのか驚くばかりだった。

 

そのことを思えば自分も一刀の影響を受けているのだと笑いがこみ上げる。

 

 

華佗「そうだな、丁度飯時だ

   ついでだ、今日はもう休診としよう」

 

一刀「美味い店を教えてもらったから行こうぜ」

 

華佗「ああ」

 

 

笑顔の一刀を見て最初からそのつもりで来たのだと判断する華佗。

久しぶりの男二人だけの食事、偶には二人で馬鹿な話をするのも良いだろう。

そう思って華佗は笑った。

 

 

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孫策「あ、一刀!」」

 

祭「むっ!北郷に華佗か……丁度言いお前達もこっちに来い」

 

 

一刀も歩けばフラグに当たる。

男二人で適当に駄弁るつもりが店には孫策と祭が酒盛りをしていた。

元々祭の紹介で知った店であるため彼女が知っているのは理解できる。

しかし、彼女達は本日仕事が入っていたはずである。

傍らに置いてある容器の数を見れば昼食の為に来たようには見えない。

 

 

一刀「また、仕事サボってるの?周瑜に怒られても知らないよ」

 

孫策「サボってるんじゃないわ、自主休暇よ!」」

 

華佗「……あー、仕事はちゃんとした方が良いと思うが?」

 

祭「硬い事を言うな、お主達も一杯どうだ?」

 

周瑜「一杯で済む様には見えませんが?」

 

 

孫策と祭が凍りつく。

ギシギシと軋むような音を立てて二人が振り向くと良い笑顔の周瑜が立っていた。

一刀と華佗からは店の奥から出てくる周瑜が見えていたから二人に仕事をするように促していたのだ。

 

 

孫策「……一刀、貴方謀ったわね!?」

 

一刀「孫策、君とは良い友人だったけど、仕事をしない君が悪いのだよ」

 

周瑜「雪蓮、祭殿、お二方には仕事が大量に残っておりますので……さっさと戻りなさい!!」

 

 

周瑜の怒声にしぶしぶと言った態度で立ち上がる二人。

周瑜はため息を吐きながら頭を抑える。

 

頭を抱える周瑜を診て一刀はあることを思い出す。

周瑜と言えば病気で亡くなる人物のはず、早期に発見出来れば華佗が治せるかもしれない。

思い立った一刀は周瑜を呼び止める。

 

 

一刀「周瑜、ちょっと良いかな?」

 

周瑜「北郷殿?この二人を城まで監視しないといけないから手短に頼む」

 

 

そう言って周瑜は一刀のほうに向きなおす。

振り向いた先にいる一刀の目つきは鋭く、真剣な顔つきをしている。

思わず身構えるが、一刀の顔が一層険しくなる。

 

 

一刀「……華佗、周瑜を診てくれ」

 

華佗「???……ハアァァァ」

 

周瑜「お前達は何をしているんだ?」

 

孫策「冥琳、華佗たちは診察しているのよ

   蓮華の時もこんな感じだったもの」

 

 

一刀に言われて周瑜の診察をする華佗。

そして、何故一刀の顔が険しくなったのかを察する。

 

 

一刀「華琳の時とは違うけど……やばそうだな」

 

華佗「ああ、言うなればこれは卵の状態と言っても良い

   早期に発見できなければ助からなかっただろう」

 

周瑜「私は病気なのか?」

 

一刀「正確には潜伏期間って奴だよ

   明確な症状が出る前の状態なんだ」

 

華佗「しかし、良く気付いたな」

 

 

またも一刀に先を行かれたような気がして気が滅入る華佗。

一刀は困ったように頬を掻きながら苦笑し、華佗にそっと耳打ちをする。

 

 

一刀「気付いたんじゃなくて知ってたんだ

   周瑜は病気が原因で亡くなるんだよ」

 

華佗「なるほど……」

 

孫策「それで冥琳は治るの?」

 

華佗「普段なら厳しいが運よく薬の材料がある」

 

祭「それは良かったな」

 

 

周瑜の事を心配してか若干青かった二人は安堵の表情に変わる。

しかし、一方で周瑜の顔が険しくなる。

 

 

周瑜「その材料は蓮華様の為に獲って来たモノか?」

 

華佗「ああ、孫権の病が薬を使わずに治ったのが功を奏したな」

 

周瑜「その……薬を飲まなくて治らないのか?」

 

華佗「ああ、その病は周瑜自身の氣を高めた状態でなければ倒しきれないんだ」

 

 

周瑜の顔が青くなる。

甘寧が薬の材料を集める際、彼女に相談して彼女が集めた物もある。

一部のゲテモノな材料に関しても聞かされていた為想像して頭が痛くなる。

 

しかし、華佗たちの表情からよほどの病なのだろう。

 

 

周瑜「……糖衣で頼む」

 

孫策「冥琳たら薬も飲めないの」

 

 

意を決して華佗に飲む宣言をする周瑜。

糖衣でなければ飲めないと思い孫策は笑う。

 

 

周瑜「雪蓮……貴方は薬の材料を知らないから言えるのよ」

 

祭「なんじゃ、それほどの物なのか?」

 

華佗「人食い虎の睾丸と陰茎、龍の生き胆、龍の陰茎あたりが問題かもな」

 

孫策「…………」

 

 

華佗の口から出た単語に何とも言えない顔になる一同。

周囲の客も食事時にそんな事を言われて顔が青くなる。

 

 

華佗「だが、それだけの病魔だ

   大丈夫、治してみせるさ」

 

孫策「冥琳……私仕事ちゃんとするね」

 

祭「儂も悪かった……」

 

周瑜「…………」

 

 

その後やる気になった華佗はすぐに診療所で薬を作り、周瑜の治療は無事に終わった。

 

ただ、元気になって数日間は部屋から出てこなかったらしい。

 

 

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拠点イベント:左慈&干吉

 

 

一刀「川に涼みに行こう」

 

左慈「……突然どうした?」

 

一刀「シャオたちと川に行く事になったから二人を誘いに来たんだ」

 

 

行くのは小蓮、明命、亞莎と一刀の計4名だったが、呉に来てから暑さにまいっている干吉を連れて行こうと思い誘いに来たのだ。

当の干吉は暑そうに扇子で顔を仰いでいる。

 

 

干吉「それは涼しそうですね……」

 

左慈「俺はかまわんが……孫尚香たちは良いのか?」

 

一刀「ああ、先に確認とってるよ」

 

 

そう言って出口を指差すとひょこりと顔をのぞかせる3人。

手には一刀発案の水着が入っている。

 

 

左慈「随分と手回しが良くなったな」

 

一刀「干吉の教育の賜物さ」

 

干吉「ああ、そういえば……そんな事も言ってましたね」

 

 

ダル気に立ち上がり着替え用の服を準備しながら左慈と干吉もついて行く気概を見せる。

 

 

 

いつもの川原に到着した一同。

女性陣が着替えている間に男達も着替える。

 

干吉の視線が左慈に釘付けであるが突っ込むのも面倒なので気付かない事にする一刀。

久しぶりに干吉が元気な姿を見た気がする。

 

 

干吉「あ〜、生き返りますね〜」

 

左慈「お前は待つ気はないのか……」

 

 

着替えが終わって即行で川に入る干吉。

一刀と左慈は女性陣が戻ってくるのを待つ。

 

一人川で涼む干吉を冷めた目で見ながら待っていると草を掻き分ける音がする。

 

 

小蓮「あー、干吉もう入ってる」

 

干吉「ははは、兵は迅速を尊ぶものですよ」

 

一刀「準備運動はちゃんとするんだぞ」

 

明命「準備運動ですか?」

 

一刀「ああ、いきなり水に入ると足を攣ったりするからね」

 

亞莎「一刀様は物知りですね」

 

 

そう言いながら一刀を明命と亞莎がはさむ形になる。

それを見て頬を膨らませる小蓮。

左慈はやれやれと言った感じで苦笑する。

 

準備運動が終わり各自で川に入る。

先に入っていた干吉は川に頭だけ浮かせて全身を川に沈める。

流されないように足は下につけてはいるようだ。

 

そんなボーっとしている干吉にそっと近づく小蓮。

 

小蓮「それー」

 

干吉「おぶっ、いきなり何を!?」

 

 

そして、掛け声と共に干吉の顔目掛けて水をかける。

完全に気を抜いていた為、直撃を受ける干吉は何事かと体勢を崩す。

 

 

小蓮「あはは、スキだらけなんだもん」

 

干吉「ははは、ならばやり返すまでです」

 

小蓮「きゃっ、あははは」

 

 

普段見れないような笑顔の干吉。

暑さでねじが飛んでいるようだ。

 

 

左慈「丁度良い、水を使った鍛錬といくか……北郷、お前も来い」

 

一刀「やれやれ、スパルタな師匠だな」

 

明命「すぱるた?」

 

亞莎「語感から天の言葉でしょうか?」

 

一刀「厳しく指導するって感じの意味さ

   そう言う訳だからちょっと深いところ行って来るね」

 

 

そう言いながら左慈の後を追う一刀。

怪我も傷が完全にふさがり、今までサボっていた鍛錬の分を取り返さないといけない為気合を入れる。

 

 

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深い所まで来た一刀と左慈。

一刀たちの胸元までありそうな深さの所で立ち止まって一刀のほうを向く左慈。

 

 

左慈「やる事は単純、流れに逆らう形で歩け

   ある程度言ったら流れに乗りながらもゆっくり戻って来い」

 

一刀「脚力強化って所かな……意外と辛いかも」

 

干吉「水中では思うように体が動きませんからね」

 

左慈「お前らは何でついてきてるんだ?」

 

 

干吉の後ろには明命と亞莎、小蓮がいる。

一刀たちの胸元位の水深であるため彼女たちはほぼ水の中に浸かっている形になる。

 

 

小蓮「一刀がいないんじゃ面白くないもん」

 

明命「私もご一緒に鍛錬をしようかと思いまして……」

 

亞莎「私も最近鍛錬を怠っておりましたので……」

 

 

諜報がメインとはいえ武官である明命と元は武官である亞莎は一刀たちの鍛錬に参加しようと思って来たのだ。

無論鍛錬は3割ほどで残りは一刀と居たいだけである。

 

そんな事に気づかない一刀と左慈は別にかまわないと答える。

 

 

 

一刀「つ、疲れたー」

 

左慈「休憩にするか」

 

干吉「あ、終わりました?」

 

小蓮「むー、鍛錬はやめてもう遊ぼうよ」

 

左慈「……はぁ、北郷今日はもう良いぞ」

 

 

ため息を吐いて一刀に告げる左慈。

一刀も苦笑して答える。

明命と亞莎も鍛錬をやめて引き上げる。

それを見て小蓮の顔が笑顔になる。

 

 

一刀「まあ、ちょっと休憩させてくれよ」

 

亞莎「あ、あの今日はお弁当と準備してきました」

 

左慈「そう言えば飯時か……俺達の分はあるのか?」

 

亞莎「はい、本当は数日前からお二人を誘うと一刀様に聞かされておりましたので」

 

干吉「突発的に考えていたわけではなかったのですね……」

 

一刀「二人には世話になってるし、最近左慈も干吉も暑いてだれてたからさ」

 

 

そう言って頬を掻きながら笑う一刀。

左慈も干吉も顔を見合わせて笑う。

 

 

干吉「いやいや、ありがたい事です

   助かりますよ、『一刀殿』」

 

左慈「感謝くらいはしてやるよ、『一刀』」

 

 

いつも通りの干吉とややテレ気味の左慈。

二人が一刀のことを名前で呼んだことに皆気付いているがあえて何も言わない。

 

亞莎が料理長達に頼んで作ってもらっていた弁当を囲んで食事をする一同。

一刀は左慈たちに薬の材料集めについて聞いてみる事にしたのだが……

 

 

左慈「…それで最後の龍だが……」

 

小蓮「ちょ、ちょっとまって、それお姉ちゃん飲んだの?」

 

干吉「いえ、何でも帰ってきた頃には治りかけていたとのことで別の人の薬の材料に使ったそうです」

 

明命「確か……冥琳様ですよね…」

 

 

そう明命が呟く、亞莎が目頭を押さえる。

尊敬する冥琳の心境を察して目頭が熱くなったらしい。

左慈は特に気にした風もなく竜退治について話を始める。

 

 

左慈「まず、龍を見つけるのに苦労したわけだが……まあ、それは良い

   倒した後で分かったがその龍は『木、石、鉄、乾いたもの、湿ったもののいずれによっても傷つかない』らしい」

 

一刀「すげえな」

 

干吉「後昼も夜も傷つかないらしいですよ」

 

一刀「どうやって倒したんだよ!!?」

 

左慈「黄昏時(夕方)になってから卑弥呼達の拳が効く様になったんだ

   後は華佗の金の鍼によって生命力を強制的に上げる事で倒した」

 

干吉「一応我々も火の札を使って牽制はしていましたが、大体はあの3人で倒したようなものですからね」

 

 

やれやれと手を上げる干吉。

皆深く考えないように弁当に手を伸ばす、男3人も居る為、減りが早くすぐに空になってしまった。

 

 

一刀「あ、もう無いや」

 

亞莎「食後のおやつを用意してますので、どうぞ」

 

 

そう言って別に箱をだす亞莎。

箱の中身はゴマ団子、彼女の好物だ。

 

 

干吉「おや、ゴマ団子ですか」

 

明命「亞莎の大好物ですね」

 

左慈「俺も一つ貰おう」

 

小蓮「シャオも!」

 

 

そう言って皆でとって食べる。

和やかな時間が過ぎていく。

 

その後日が暮れるまで全員で遊び呆けて孫権に大目玉を食らう事になるのは別の話である。

 

 

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拠点イベント:貂蝉&卑弥呼

 

 

穏「一刀さんのご友人が勤めてるお店ですか?」

 

一刀「ええ、あんなナリですけど客商売してるんです」

 

穏「そうですか、では一緒に行きませんか?」

 

 

そういって微笑む穏。

何の話をしているかというと、穏が最近胸が苦しくなって来たと一刀に言って来たのだ。

何かと病気が蔓延している呉なので各自健康管理に注意しているらしい。

 

その穏を検査しようと思ったのだが、一刀の局所的に卓越した目が彼女の胸部の成長に気付いたのだ。

胸を締め付けられる様な感じはまさに服のサイズが合っていないだけだった。

服と言えば貂蝉たちの出番、一刀は貂蝉たちの店を紹介する事にしたのだ。

 

自分で進めておいて丸投げするのも何なので彼女を連れて一刀も服を見に行く事にする。

先の大怪我の際に服が駄目になったので新しい物を買っておいた方が今後の旅のためにもいいだろう。

 

 

一刀「分かりました、俺も服が少ないので買うつもりでしたから」

 

穏「それは丁度良かったです

  それでは行きましょうか」

 

一刀「はい」

 

 

のほほんとした穏と共に歩き始める一刀。

本の事さえなければ彼女と一緒に居るのは気が楽である。

逆に本が絡んでくると一刀も内なる獣を抑えるのに必死で心が休まらないのだ。

 

 

 

貂蝉「あら、ご主人様、それに陸遜ちゃんも一緒ね」

 

穏「こんにちは、少々服が合わなくなって来たようなので新調しようかと思いまして……」

 

卑弥呼「ぬぅ、さらに戦闘能力が上がっておるか……ご主人様を誘惑するつもりではあるまいな」

 

一刀「あのな……まあ、いいや

   俺も服を見ようと思うんだけどさ」

 

貂蝉「ご主人様も?」

 

一刀「ああ、お前らに選んでもらった服はこの間破れちゃっただろ?」

 

 

そう言って自分の服を指差す。

あの時買った服を除けばこの学生服だけである。

寝る時は寝巻きがあるが、日中は大体制服である。

 

 

卑弥呼「我ら任せるが良い、ご主人様の魅力を引き立てるよい服を選ぼう」

 

貂蝉「卑弥呼、それではご主人様を狙うライバルが増えてしまうんじゃない?」

 

卑弥呼「むむむ、そうであった……しかし、魅力的なご主人様というのも捨てがたい!」

 

穏「この方達に選ばせて大丈夫なんですか?

  こういっては何ですが、あまりよい趣味とは思えませんが……」

 

貂蝉「あらあら、失礼ね

   私の今日のファッションポイント、淡いピンクのビキニが目に入らないのかしら」

 

一刀「それしか履いてないだろ!

   ……こんな奴だけど他人の服はちゃんと選ぶんだよ」

 

穏「ふぁっしょん?……一刀さんがそう仰るのであれば……」

 

 

やや怪しむような目で一刀を見ながらも貂蝉たちに服を選んででもらう事にする。

しかし、思いの外普通の服を選ぶ貂蝉たちに考えを改める。

 

 

一刀「あれ?この服……」

 

卑弥呼「む?その服が気に入ったのか?

    しかし、ご主人様よそれは女物だぞ」

 

一刀「巫女服だろ?そんなの分かってるよ」

 

卑弥呼「ご主人様は巫女萌えなのか?ならば私で存分に萌えるが良い」

 

 

そう言ってサイドチェストをする卑弥呼。

 

 

一刀「いや、蓮華に渡した方がいい気がしてきて……」

 

穏「あら、蓮華様にですか?確かに似合うかもしれませんね」

 

一刀「……うん、じゃあこれと奥の奴も貰うよ」

 

 

そう言って巫女服ともう一着服を選ぶ一刀。

 

 

穏「もう一着はどうするんですか?」

 

一刀「思春にあげようかなと思ってね」

 

穏「思春ちゃんにですか?」

 

一刀「まあ、着てくれないかも知れないけどね」

 

 

そう言って服の代金を出す一刀。

穏も自分の服の代金を出そうとするが一刀はそれを止める。

 

 

一刀「俺が出すよ」

 

穏「でも……」

 

一刀「口止め料ってことでどうかな?

   蓮華たちに服を買ったって知れたらシャオたちも集って来そうだからね」

 

 

一刀の言葉にきょとんとする穏。

しかし、すぐに微笑んで頷く。

 

 

貂蝉「あら、ご主人様

   わたしたちにはないの?」

 

一刀「お前らが服を着るって言うんなら買ってやるさ」

 

 

そう言って店を出る一刀。

漢女として常に肌を露出さえ鍛えなければならない為、葛藤する貂蝉たちであった。

 

 

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拠点イベント:華雄

 

 

 

穏と一緒に買った服を片手に蓮華の元に向かう一刀。

蓮華の部屋に着き、ノックをする。

 

 

蓮華「…開いているわ」

 

一刀「お邪魔します……あれ?華雄?」

 

 

返事が返ってきたため中に入る一刀。

中には休憩中の蓮華と華雄が座っていた。

 

 

華雄「なんだ、私が居ては悪いのか?」

 

一刀「いや、二人が仲が良いなんて思わなくてさ

   あまり接点がなさそうじゃないか」

 

華雄「私は昔孫権…仲謀の母親文台殿に破れた事があるのだ

   文台殿の娘がどのような人物かと思い……な」

 

一刀「それなら孫策の方がよかったんじゃない?」

 

華雄「孫策とは馬が合わん、何かと私を小馬鹿にする

   末女の孫尚香はまだ子供だ」

 

 

そう言ってやや怒ったような顔をする華雄。

 

 

蓮華「そういえば何か用だったの?

   手に何か持っているようだけど……」

 

一刀「そうだった、蓮華にプレゼント」

 

蓮華「ぷれぜんと?」

 

一刀「贈り物さ、何かと世話になっているからね」

 

 

一刀に渡された包みを解く蓮華。

中からは巫女服が入っていた。

 

 

蓮華「服ね……ありがとう」

 

一刀「どういたしまして」

 

華雄「…………」

 

 

一刀からの贈り物に頬を赤らめながら喜ぶ蓮華。

喜んでもらえたようで一刀は安心するが、華雄は何か面白くない。

 

 

蓮華「試しに着てみようかしら?」

 

一刀「良いの?」

 

蓮華「ええ、……えっと」

 

一刀「?」

 

 

何か言いずらそうにもじもじする蓮華に頭をかしげる一刀。

 

 

思春「蓮華様が着替えるのだ、さっさと出て行け」

 

一刀「丁度良かった、思春の分もあるんだ」

 

思春「何…だと……!?」

 

 

察しの悪い一刀に業を煮やして出てくる思春。

思春の分も用意していた一刀は丁度良いと思春に手渡す。

 

手渡された思春は狼狽するがつい受け取ってしまう。

渡されて物が服であることに気付いた蓮華が思春にも着替えるように言い、一刀に視線を送る。

今度こそ出るように言っているのだと察した一刀は部屋を出る。

 

扉の前で待つことにする一刀。

しかし、すぐに扉が開く。

 

 

一刀「華雄……見張り?俺ってそこまで信用無いの?」

 

華雄「安心しろ、そんなことしなくても甘寧ならばお前が不穏な動きをすれば察する事はできる

   所用を思い出した、待っていろ」

 

 

出て来た華雄はそれだけ言って全力で走っていく。

一人置いていかれた一刀は仕方がないと廊下で待つことにした。

華雄が言うとおり思春であれば除こうとしたらその隙間から一刀に向けてクナイでも投げてきそうだ。

 

 

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蓮華「入っていいわよ」

 

 

蓮華の声に扉に手をかける一刀。

華雄はまだ戻ってきていないが仕方ないだろう。

 

 

一刀「おぉ!」

 

蓮華「ははは」

 

思春「ふんっ!」

 

 

中に入ると巫女服姿の蓮華と『メイド服』を着た思春が立っていた。

一刀の反応にやや恥ずかしそうに頬を赤らめる蓮華。

一方の思春は相当機嫌が悪い。

 

 

思春「貴様、この服はどういうことだ?」

 

一刀「知ってるの?」

 

思春「知らん!だが、この様なひらひらとした服など……」

 

蓮華「あら、可愛いと思うけど?」

 

思春「お戯れを」

 

 

くすくすと笑う蓮華、居心地が悪そうな顔をする思春。

そこで何かが走ってくる音がしたかと思うと勢い良く扉が開く。

 

扉の方を向くと息を切らした華雄が立っている。

 

 

一刀「華雄……それ」

 

 

一刀が指差す先、華雄は一刀が送った学生服を着て立っていた。

 

 

華雄「いい機会だからな、私も着てやったぞ」

 

蓮華「その服は?」

 

華雄「一刀から貰ったものだ、なんでも一刀の服の女用のものらしい」

 

蓮華「…そう」

 

 

何故か部屋の温度が下がった気がする一刀。

二人とも不適に笑ったいる。

 

 

思春「おい、何とかしろ」

 

一刀「俺にも良く分からないんだって」

 

 

二人が火花を散らしながら微笑みあっているのから逃げるように部屋の隅で思春が一刀に耳打ちする。

一刀も何故二人の機嫌が悪くなったのか良く分からないでいる。

 

 

蓮華&華雄「「一刀!」」

 

一刀「はいっ!!」

 

蓮華&華雄「「どっちの方が似合ってる?」」

 

一刀「え?あ、その、どちらも似合っているかと……」

 

蓮華&華雄「「どっち?」」

 

 

一刀としてはどちらも似合っているのでどちらの方が良いとは言えない。

しかし、二人から送られてくる威圧に腰が抜けそうになる。

 

助けを求めるように視線を動かすと思春と目が合った。

 

 

一刀「(助けて!)」

 

思春「(自分でなんとかしろ)」

 

 

アイコンタクトで送った救難信号はいとも容易く拒否される。

 

 

蓮華&華雄「「一刀!」」

 

 

一刀「ごめんなさい!!」

 

 

そう言って逃げ出す一刀。

 

華雄が開けたままにしていた扉から全力で逃げ出す。

頭に血が上って判断が遅れた二人はワンテンポ遅れて部屋から出て一刀を追いかける。

 

 

その後、一刀がどのようになったかは誰も知らない。

ただ、その日城内から一刀の悲鳴が聞こえたことだけは確かである。

 

 

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あとがき

 

皆様、こんばんは。

 

枕を洗濯したら乾かなくて枕無しだった大鷲です。

 

拠点イベントですが、貂蝉と卑弥呼のネタが浮かばない……

他のに比べると少なくなってしまいました。

次の蜀ではあるんですけどね……

 

今回で漸く左慈&干吉も名前呼びに、呉の方々も種馬と大分仲良くなりました。

龍や人食い虎などは原作とほぼ変わりなく倒したという事で省略しました。

冥琳の死亡フラグも解消して、意気揚々と蜀へ行きましょう。

 

 

次回予告

 

怪我も治り旅を再開する一刀たち

        仲良くなった女の子達に別れを告げて次なる国へ

                      行き先は平定したばかりの蜀

 

次回、『漢達、再会する』にご期待ください

説明
名前がややこしいですが、隠しルートである『漢(かん)ルート』の再構成した『漢(おとこ)ルート』です。

ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。
ただし、漢女成分が多分に含まれるかもしれませんので心臓が弱い方はご注意ください。
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コメント
冥琳が治って良かったです!・・・犠牲というかなんというか冥琳自体にキツイ試練になりましたが^^;干吉が暑さにだれてるってなんか新鮮だな。 ああ、三人の着替えた姿が見れたコンチュクショウが羨ましいw(深緑)
ZERO様>誰かを犠牲にしないと生きられない生き物なんですよ、人間は…・・・(大鷲)
冥琳が蓮華の身代わりになってしまった。 苦労性は変わらないな。(ZERO&ファルサ)
moki68k様>シャオと干吉にフラグが立ったようです(大鷲)
ヒトヤ様>この時を待っていたと言っても過言ではないのですよ(大鷲)
hokuhin様>蓮華「私の姉、諸君らが愛してくれた孫伯符は死んだ、何故だ!」(大鷲)
よーぜふ様>妬m…嫉まs……いや、なんでもないです(大鷲)
はりまえ様>華雄が抜けてますぜ、旦那(漢女2、道士2、華雄の計5名)(大鷲)
冥琳の死亡フラグが消えたのはいいけど…なんというか…南無。 なんだろう干吉とシャオがキャッキャウフフしてるように見えたw(moki68k)
そういや巫女服の人気投票一位でしたね、しっかりそのとうりにしてるW(ヒトヤ)
三男坊と赤い彗星・・・ やばい呉ルートの名シーンの蓮華がギレンのセルフになっても違和感なくなったw(hokuhin)
しゃぁあないさ一刀君、自分の女難差を呪うがいいさ!ふはははは! ・・・くそぅ、なんてうらやましい・・・ (よーぜふ)
何だろうフラグ王一刀デインでない?そしてカダは熱血医者王(衆道になるかもよ)で、まあ後の4人は・・・・・・・・・・・(黄昏☆ハリマエ)
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