学食の裏メニュー
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「おはよう!理樹くん!」

 朝から元気な声が教室に響き渡る。

「ん?おはよう、葉留佳さん。何か用?」

「ふっふっふっ、理樹くん、君は知っているかい?」

 何やら怪しい笑みを浮かべている。嫌な予感しかし

ない。

「何を?」

「あの伝説の学食の裏メニューについてだよ!!」

 伝説のって……今初めて聞いたんだけど。

「何それ?」

「もー、乗りが悪いなー。そこは『ななな、なんじゃ

そりゃー!?』ぐらいのリアクションがほしいところだ

よ!」

「……で、何なの?」

 かまわず尋ねる。

「うちの学食にはですねー、裏メニューっていう秘密

のメニューが隠されているらしいのです。おわり。」

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「それだけ!?それに『らしい』って葉留佳さんは食べたことないの!?」

「モチロンワタシハタベタコトアルヨ?」

 絶対嘘だな……。

「じゃあ、食べたらはるちんまで感想などよろしく!またね!」

 つまり、僕に実験台になれってことか……。

 

「――っていうことがあってさー。」

 昼休み、僕は今朝のやり取りを真人たちに話した。

「裏メニューねぇ……、おい謙吾、鈴、おまえらは聞いたことあるか?」

「いや、俺も初耳だ」

「あたしも知らない」

 みんな知らないらしい。まあ、裏メニューっていうぐらいだからみんな知らないぐらい

が普通なのかも。するとそこに、

「おい、おまえら何の話だ?」

 遅れてきた恭介が尋ねてきた。

「学食に裏メニューがあるかって話なんだけど……さすがに恭介も知らないよね?」

 だめもとで聞いてみた。

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「あるぞ」

「ええっ!?」

 予想以上にあっさりと答えられた。本当に恭介には知らないことがないんじゃないだろ

うか。

「が、俺も食べたことはない。」

「じゃあ、何であるってわかるんだよ!」

 みんな抱くであろう当然の疑問を真人がぶつけた。しかし恭介はそれをスルー。

「試しに頼んでみるか」

 しばらくして恭介は料理といえるのかよくわからないものを持って戻ってきた。

「おい、なんだよそれ!」

「カレー、か?」

 謙吾がいうように見た目的には現存するメニューの中ではカレーが一番近いかもしれな

い。あくまで見た目的にはだが。

「なんか変なにおいがする。おい!こっちへ近づけるな!馬鹿兄貴!」

「おいおい、せっかく作ってもらったのにそんな反応失礼だろ?おいしそうじゃないか、

このそこはかとなく幸せな気分になれるかもしれないペラルズィーア」

「……なんだって?」

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 みんな声をそろえて尋ねる。

「だから、そこはかとなく幸せな気分になれるかもしれないペラルズィーアだよ」

 それがこれの名前なのか?なんだよペラルズィーアって!?

「……で誰がこれを食べるんだ?あたしは絶対いやだからな!」

 鈴が恭介に食ってかかる。そりゃあ、誰だってこれを進んで食べたがる人はいないだろ

う。僕だっていやだ。しかし、

「おい、鈴。一人だけ逃げようとするな。全員で食べるんだ」

 恭介がこういうのだから食べるしかないのだろう。

「ちっ!仕方ねぇな!まあ五人で食べるならすぐ片付くだろ!」

 そういって真人はペラルズィーアにスプーンを伸ばす。四人は黙ってそれを見守る。

「…………」

 長い沈黙の後、真人はすがすがしい笑顔で、

「みんなも食べてみろよ?最高だぜ?」

 と言いながら崩れ落ちた。ペラルズィーア恐るべし。やはりこれは伝説として封印され

てしかるべきものだったのだ。そう自身の胸に深く刻み込んだ。

 ※残りのペラルズィーアは責任を持ってみんなで食べきりました。

説明
リトルバスターズ!短編小説コンテストの二作目です。
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