こまりこまりまくる
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「なあ理樹、あれ」

 恭介が指さした先に、小毬さんがいた。

「神北がこんな所にいるなんて珍しいじゃないか」

 僕は言葉に詰まる。

 小毬さんが昼休みに最上階にいることはそんなに

珍しくない。いつも屋上でご飯を食べてるからだ。

 今日たまたま、僕が三年の教室まで恭介を迎えに

来たのが、普段と違うところだった。

「あ、あー、そうだね、ドーシテダロネ」

「どうしてそんなに棒読みなんだ……お、階段昇っ

ていくぞ」

 小毬さんを追いかける気マンマンの恭介を、僕は

慌てて追いかける。

 小毬さんは屋上への踊り場で鞄を漁っていた。

「あれ? あ、あぁ〜っ」

 しばらくもぞもぞした後に泣きそうな顔でうなだ

れる小毬さん。こんな時になんだけど、あんまり動

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くと、その、下からだから……って今はそんなことはどうでもいいよ!

「なにしてんだ? おおい、神北」

 小毬さんはびくりとすくみ上がると、おそるおそる僕たちに顔を向ける。

「きょ、恭介さん。理樹くん」

「どうしたお前。屋上に上がりたいのか?」

「え、えーと、そ、ソンナコトナイデスヨ?」

「どうして神北まで棒読みなんだ」

「ね、ねえ、小毬さん! お昼まだだよね!? 今日は一緒に食堂で食べようよ!」

「え? うん、いいよー」

 あ、小毬さん、僕が必至に話題をそらそうとしてるのに気づいてない。素だ。

 

「というわけで、今日は神北を含めて親睦会みたいなものを開催する。いつもと席が違

うが気にするな」

 小毬さんが僕の隣に座ったので、鈴が反対側に隠れた。なので席順は、左から順に小

鞠さん、僕、鈴。むかって左から謙吾、恭介、真人となっている。

「いまさら親睦会っても、放課後いっつも練習してるじゃねーか」

「もっともだ。だが、一緒に昼食を食べてはいけないこともないだろう」

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「その通りだ謙吾。それに俺たちはまだ神北がメシを食うところを見たことがない!」

「はっ!?」

 なぜかそこに反応する小毬さん。

「今日は思う存分見ることができるぞ、目を離すなよ」

「おお、なるほど」

「なんかいいことあるのか、それ」

「う、うわあんっ! ご飯食べるだけなのにすっごい嫌だぁ」

「あんまり小毬さんをいじめちゃダメだよ……」

 僕の隣で、鈴の耳が反応した。

「いじめてるのか」

 ずかずかと真人に近寄り、蹴る。

「いでぇっ! 俺はなにもしてねぇだろうがよっ!」

「ごめんね、小毬さん。みんないつもこんな調子で」

「ええ!? いつも蹴られてるんだ。痛そう……」

 ううん、なにかおかしい。反応するところがおかしい気がするけど、小毬さんの本気

で心配そうな顔を見てると、どうでもよくなってくる。

「大丈夫だよ。真人はあれで喜んでるんだから」

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「喜んでねぇよっ!」

「確かに真人は、自分で蹴られるようにしむけてる傾向があるな」

 お、謙吾がノってきたぞ。

「お前、痛いのが嬉しいのか」

「なんでだよ!」

「特に女子に蹴られるのが好きらしい」恭介もノってきた。

「そうらしいな。じゃあ、ちょっと神北に蹴ってもらったらどうだ」

「え、ええ!? ……ええと……」

 な、なんか展開が怪しくなってきたな。

「……蹴るときはかかとを張って、まっすぐにねじ込むんだ」

 鈴が僕の後ろでアドバイスを出しはじめた。鈴ばっかりは素で本気だ。

「や、やだなぁ棗さん。蹴ったりなんかしないよぉ」

「蹴らないのか?」

「うん。棗さんも、あんまり蹴っちゃダメだよ」

「どうしてだ?」

 恭介のヤツ、きっと場を和ませるためにあんなこと言ったんだろうけど。僕はしどろ

もどろに説明しようとする小毬さんに同情するしかなかった。

  

説明
屋上が恭介にばれないように、機転を利かせて小毬を昼食に誘った理樹。だがリトルバスターズの濃いメンツにあてられて彼女は……
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ct017ngm リトルバスターズ! 神北小毬 直枝理樹 その他 

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