ふさわしい材料は決まったぁ! |
「ねぇ、真人……」
「なんだよ理樹。そんなに見つめられたら照れるじゃ
ねえか」
僕の部屋で横たわっているものが二つあった。
「いや、どうして恭介と謙吾がここで倒れているの?」
「あぁ、それはだな…………」
「恭介! マッスルエクササイザーエボリューション
を作ろうと思う」
「なにぃ! ついに封印が解かれたのか!」
いつものように恭介はノリノリだった。
「俺も参加したいぃ!」
謙吾もノリに乗っていた。二リットルの空のペット
ボトルにベースとなる青汁が投入された。そしてプロ
テインもブレンドする。ここまでは許容範囲だ。
「次に入れるのはこいつだ!」
冷蔵庫からにんにくを取り出す真人。
「おぉ……スタミナ抜群になりそうだな!」
「次は謙吾……任せる!」
ガタリと立ち上がり、包丁を持ってリンゴを切り刻んでいた。
「カレーの隠し味にも使うだろう?」
誇らしげに胸を張る謙吾。青汁との相性もそれなりのはずだろう。少しだけ中和された
気がする。
「……………………」
恭介の目がギラリと光る。この時ばかりは二人とも威圧されたらしい。
「俺のいれる物は一味違うぜ」
すっ、とポケットの中から栄養剤を取りだした。
「あれは……!」
恭介がとりだした物は、ファイトワンチャンスという栄養剤である。どことなく模造品
のような気もするけど。レア物が投入されて俄然テンションが上がってきた三人。
「筋肉と言えば、これだろう!」
「そうだな……真人」
「わかってるじゃないか真人」
そう言って肉をミキサーにいれ、ペットボトルに入るようにする。鶏肉・豚肉・牛肉と
三種類の肉を合わせることによって、たんぱく質や脂質などは完璧である。……多分。そ
れらを青汁ベースのマッスルエクササイザーエボリューションにつぎ込んでいく。
「そう言えば、調味料を入れてないな」
真剣な顔つきになる恭介。ごくりと二人は息をのんだ。
「じゃあ部屋にあるものを適当に入れよう」
適当な調味料をみつくろい、真人が叫ぶ。
「お前にふさわしい材料は決まったぁ!」
「脂質の塊! マヨネーーーーズ!」
とぽとぽと、ひねりだすようにマヨネーズが投下されていく。
「トンカツのお供! ソーーーース!」
押し出される液体により、色が徐々に黒に近づいていく。
「そして、全ての栄養源! 醤油!」
「出でよ……筋肉液体! マッスルエクササイザーエボリューション!」
完全に黒い液体になってしまった。全てをミックスさせた悪魔の飲み物を真人は一心不
乱に振り続ける。
「ここで、重大なことに気づいた」
真人は手を止める。謙吾は恭介に向き直る。
「誰が味見するんだ?」
衝撃が二人を襲った。誰が飲むのか。うまければ問題はないが、不味かった時はどうし
ようもなく倒れるだろう。その様子を見てとって、恭介が一歩前に出た。
「任せろ……後は頼んだぞ…………」
ペットボトルに手を伸ばし、対面する。ふーと一息ついて、それを飲みにかかった!
「俺は……俺は死なない!」
その一秒後にぐほぁ! と叫んで倒れた恭介。それを見て、謙吾は砂糖と塩を入れ少し
でも味を中和させようとしていた。
「そして、トライして倒れたってことね……」
「二人とも、筋肉王国に逝っちまったんだな」
「それ、真人も飲むの?」
二人が犠牲になっているのにまさか飲むわけがない。そう思っていたのは甘かった。
「飲むぜ」
言うやいなや、いきなり口に悪夢の味がするであろうモノを飲みほした。
「ほっぺたが崩れるううううううう!」
それ、痛いよね……理樹の部屋には三つの物体が横たわった。
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ct017ngm リトルバスターズ 理樹 真人 恭介 謙吾 | ||
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