西園さんの甘いワナ(withはるちん)
[全4ページ]
-1ページ-

 なんだか静かな休み時間だと思ったら、いつも騒

ぎを起こしている三枝さんが、西園さんと机を囲ん

で話し込んでいた。

「ふんふん。いやあ、こんな面白い世界があるなん

て、はるちん全然知らなかったっすよ」

「最近はいろんなメディアに露出が増えましたが、

もともと日陰もののジャンルですから」

「でで、この場合ってどっちがどっちなんです?」

「やはり好みにもよりますが……直枝さんかと」

 ルーズリーフを指さして西園さん。なにを話して

るんだろう。あ、三枝さんがこっち見た。僕?

「難しくないですかネ」

「あまり考えにくいからこそ需要があるものです」

「ナルホド。それでは理樹くんと宮沢くんをくっつ

けるために、不肖はるちん、お手伝いいたしますで

すヨ! センセ!」

「ちょっと待ったぁ!」

-2ページ-

 きき捨てならない言葉が出たぞ!

 僕はガタガタと椅子を揺らしながら、西園さんの席まで急いだ。

「な、なんの話をしてるのさ、二人とも」

「ありゃりゃ、バレちった」

「あれだけ大きな声を出せば当然です」

「なんか不穏なセリフがきこえたんだけどっ!」

 悪びれずに笑う三枝さん。

「やはは、なんでもないですヨ?」

「思いっきりバレたって言ったよねっ」

「うう、ごまかすにはどうすればいいですかセンセっ!」

「ごまかす、と言ってしまった時点でなにを弁解しても無力だと思います。正直に話し

てはいかがでしょうか」

 ……これは。

 三枝さんから受け取ったルーズリーフには、大きく「BL」という二文字が書かれて

いて、その下に「宮沢謙吾→受け」「直枝理樹→攻め」という不吉な単語が並んで……

「なに、これ」

「いわゆる青春ってヤツですなぁ」

-3ページ-

「創作の一形態です。通常恋愛といえば男女のものとされていますが、中には男性と男

性の恋愛を描いたものがあります。三枝さんが興味を持たれたそうなので、直枝さんと

宮沢さんを例に説明しました」

 そ、そっか。じゃなくて!

「三枝さん、さっきくっつけるって言ってたけど」

「いやネ、理樹くんたちいっつも一緒にいるでしょ? これはもしかしてもしかしたら

もしかすると――ああ! いけない男子寮でのロマンが!」

「ちなみに井ノ原さんではあまり美しくないので」

 ちなみにでフォローできてるのかすらもわかりません。

「そういうこと、起こってないからね?」

「いやいやいやわかんないですヨ? 理樹くん女の子顔してるから、けっこう同室を狙

ってる男子は多いんじゃないかなあ」

「直枝さんもどちらかというとその気がありそうですし」

「ないからね!?」

 三枝さんの顔がニンマリと変わった。そのおかげで、やっと僕ははめられたことに気

づいたんだ。

「……直枝さんは女子が好きなんですか?」

-4ページ-

 あまりにストレートな疑問が僕の胸に突き刺さった。

「え、いや、その……それはそうだけど」

「ふうん。ではでは、誰が好きなのかラブリポーターはるちんに話してみるのがいいと

思うわけですよ」

「べ、別に特定の誰かってわけじゃ」

「おお!? センセ、ちょっと思いがけない発言が出てしまいました!」

「……直枝さん、予想よりも幅広いみたいですね。まさか誰でもいいとは」

「ちょちょちょちょ! なんか別の方に危険だからやめてそういうの!」

「後五秒以内に答えないなら宮沢くんか女子全員か、から決めちゃうよ」

「え!? な、なんでそういう話に!?」

「……もしかして、棗さんでしょうか」

 西園さんが呟いた。

「いや恭介も違うから!」

 西園さんがはたと動きを止め、急におどおどし出す。

「……鈴さんのことだったんですが、まさか恭介さんが出てくるなんて……」

 それが少し恥ずかしがってるように見えて、隣で三枝さんが机をばしばし叩いて笑っ

ていて……僕は教室から逃げ出した。

  

説明
この二人に声をかけるべきでは……理樹イジメは書いてて楽しいものです。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
3652 3589 0
タグ
ct017ngm リトルバスターズ! 三枝葉留佳 西園美魚 直枝理樹 

星野ボウフラさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com