真・恋姫無双 蜀エンド後 T
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 死体

 

 死骸、遺骸、亡骸、屍、骸

 

 いくつもの「それ」がこの地にころがって、重なって、覆って

 

 

 もういやだ もう見たくない

 もうたくさんだ

 

 だからさ

 おれはやめようと思うんだ

 

 考えることを、

 理想を、

 

 

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 「ご主人様!いいかげん起きてください!」

 「・・・・・・・・・」

 「・・ッ! ええい!」

 「のわっぁ〜〜」

 

 ・・・・ちゃぶ台返しならぬ寝台返しされた。

 っていうかどんだけ力あるんだよっ!

 

 そういえば恋も起こしにきたとき机もちあげてたなぁ。

 あいかわらずこの世界の人たちにはおどろかされる。

 

 しかし愛紗の怒りはこんなところでは収まらない

 

 「もうとっくに日は上がってるんですよ!それなのに・・・・・」

 

 窓からみてみると、たしかに太陽はすでにだいぶ昇っていた。

 現代の時間にして11時〜12時あたりかな?

 

 「きいてるんですかっ!」

 「は、はわわ〜 愛紗さん、おちついてくださ〜い。」

 「ご主人様!」

 

 くそっ 朱里のマネしてみてもだめか。

 まあ効果があるとは思ってなかったけど。

 

 「愛紗、もうその辺でいいだろう。皆待ちくたびれてるぞ。」

 

 部屋の入り口に半ば笑顔で、半ばあきれ顔で星がまっていた

 

 「しかしだな、」

 「愛紗」

 「むうう、 ご主人様はやく支度してくださいね。」

 

 (星、ナイス!)

 おれはグッと親指をつきあげた。

 

 (主、メンマ10壺でいいですよ。)

 (なっ!)

 

 そして星はさっそうと、愛紗は多少不満げに、その場から出ていった。

 

 

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 「おそいよ〜 ご主人様。」

 「まったくだ!いつまで桃香さまを待たせるつまりだ!。」

 「いや、わしらもまったんじゃが・・」

 

 桃香、焔耶、桔梗といきなり愚痴3連発をくらう。まあしょうがないんだけど。

 

 「これで全員そろいましたね。」

 

 と、朱里。

 

 今、この場にいる蜀勢はおれ、桃香、愛紗、星、朱里、桔梗、焔耶、恋、ねね、月、詠のみであ る。

 残りの他のみんなはそれぞれ各所に散らばっている。

 魏、呉、そして国境沿い。

 半数は諸国と情報を伝達しあうため

 半数は五胡からの侵略にそなえるために

 

 

 

 

 およそ2年前おれたちは天下三分の計を成した。はじめのうちはまさしく平和そのものだった。

 各国との貿易を充実させ、貨幣も統一、商人の行き来も自由にし、三国とも国力を安定させていった。

 一時期は疫病が発生するという事態におちいったが、華佗さんの医術また、それを広めた甲斐あって大惨事にはいたらなかった。

 三国で周期的に祭りをひらき、人々には笑顔があふれた。ついこの前まで戦争があったことなど

 わすれてしまいそうになるほど。

 

 事態が変わるのはあっという間だった。

 

 五胡の侵略

 前回とほぼ変わらぬ軍勢で突如として現れ、伝令がとどいたときにはすでに蜀・魏の国境にある邑は壊滅状態だった。

 おれたちはすぐに行動にでた。

 蜀・魏のほぼ全戦力をあつめ防衛し、呉軍が合流したところで反撃、なんとか撃退した。

 

 すべてが終わったと思い安堵の空気がながれる中、1人の兵士が進言してきた。

 

 「このまま五胡に攻め入りましょう。」

 

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 「殺された民のなかには、兵の家族もいたんです。このままじゃおれたちは収まらない。どうか!」

 

 

 その兵の一言をきっかけに急ぎその場で、会議が開かれた。

 

 「華琳様!わたしも先の兵の意見に賛成です。すぐに軍を編成し直し進軍しましょう!」

 「そう簡単にいくわけないでしょ!華琳様まずはいったん軍を下げるべきかと。」

 「なにぃ!なぜだ!」

 「あんたほんっとにバカね!今回の防衛戦でも大きな被害を受けたのよ。その上さらに侵攻するなんて愚の骨頂よ!」

 「ふっ、意気地なしめ だからいつまでたっても胸が成長しないのだ!」

 「なっ、胸は関係ないでしょ!それにあんたみたいに脳みそ筋肉になるくらいならよっぽどマシだわ。」

 「なんだとっ!」

 

 

 と、さっそく春蘭と桂花が口論をはじめた。だんだん関係ないほうにいってるけど。

 

 「ふう、しかし桂花の言っていることは正しい。雪蓮、蓮華様やはり一度さがったほうがよろしいかと。」

 「まて冥琳、敵も消耗しておる。今がたたいておく好機じゃろう?」

 「祭様の言うこともわかります。ですが敵がどれだけ戦力をのこしいるのかまったく分かりません。危険な賭けになります。

 「う〜む、しかしのう。」

 

 呉では祭さんと冥琳さんが話あっている。

 

 「どうすればいいと思う?朱里、雛里。」

 「そうですね、敵は前回とほぼ変わらない戦力で攻めてきました。ということは前もそして今回も敵は全力ではなかったんだと思います。やはり攻めるのはまずいかと。」

 「あわわ、でももし次に全力で攻められたときのことを考えると・・・あのとき攻めておけばよかったと後悔するかと。どうしよう朱里ちゃん。」

 「はわわ、お、おちついて雛里ちゃん。」

 

 この2人がとまどっている。ほかのみんなも侵攻するか下がるかでもめている。

 どっちの言い分もわかる。

 どうする?行くか?退くか?

 

 「みんな、帰りましょ。」

 

 その声の主は蜀王 劉玄徳

 桃香だった。

 

 

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 「このまま戦いを続けたらみんな退けなくなっちゃう。だからもうやめよ。」

 「しかしのう、桃香様、」

 「それに」

 

 桃香は続ける。

 

 

 「それにね、もしこのまま攻め入ったら今度は五胡の民・・・関係ない人をまきこんじゃうよ。それじゃああの人たちとかわらないよ。あのときとかわらないよ!」

 

 桃香が言うあのとき、それはおれたち三国が戦っていたときのことだと思う。

 あのときの理想を彼女はまだ持っているんだ。

 

 「けど、もしまた攻め込まれたらどうするの?」

 

 魏王曹操の声が響く。あのとき最後まで桃香と舌戦をくりひろげた彼女の声が。

 

 「そのときは、またこうして力を合わせればいいじゃないですか。」

 

 いつもとは違う、力のこもった声で桃香は答える。

 

 「わたしたちが協力すればこんなにもおおきな力になる。わたしたちはきっとだれにも負けない。どんなことがあっても乗り越えられるよ!」

 

 「あなたのとこの王様は相変わらずきれいごとをいうわね。」

 「そこが桃香のいいところだよ、雪蓮さん。」

 

 「ふ、ふふふ、あははははは、」

 「か、華琳さんどうしたんですか?」

 「ふふ、ごめんない桃香。確認したかったのよ。あなたがあのときと変わっていないかどうか。」

 「え、ええ?」

 

 笑いっぱなしの華琳に、おどおどしている桃香、おもしろい構図だ。

 

 「ふう〜。であなたたちはどう雪蓮、一刀?」

 「もちろん。おれは桃香に賛成だよ。」

 「わたしもまぁいまのところは賛成かな。」

 「わかったわ。」

 

 そして華琳は立ち、その場にいるすべての将にむけ、

 

 「では皆!これをもってわれらはわれらの地に戻る!そしてまた強大な敵があらわれたとき再び今日のように結束し共に戦おうぞ!」

 

 「 おおう! 」

 

 

 

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 「待ちなさい、一刀」

 

 解散の準備がすすむ中、突然華琳に呼びとめられた。

 

 「あなた実際のところどう思っているの?」

 「・・・なんのはなし?」

 「決まっているわ。さっきの桃香がいったことよ。」

 

 華琳はまるですべて見透かしているかのようにおれに問いただす。

 

 「どうって、いいに決まってるじゃないか。華琳だってそうだろ。さっきだって・・」

 「あのときはああでも言わなきゃ収拾がつかなかったからよ。あなた分かってると思ったわ。」

 

 わかってたさ、おれにだって

 あの場で華琳が一芝居うってくれたこと、雪蓮がそれにあわせてくれたこと。

 それでも

 

 「・・・言っておくわ。もし次こうした事態になったら私はためらわない。」

 「ためらわないって・・」

 「雪蓮も言ってたでしょう。 『いまのところは』は賛成だ  とあの娘も多分おなじ気持よ。」

 「そんな・・・攻めるっていうのか。本当に信じられないのか!?桃香の理想を!叶うのを!」

 

 そして去り際に彼女は言った

 

 

 「なら、あなたは本当に・・・・信じているの?」」

 

 

 

 

 

 

 

 「こほんっ!」

 

 いかにもわざとらしい咳でおれは回想をやめた。 

 

 「ちゃんと聞いてましたか?ご主人様。」

 

 ふくれっ面の朱里がこちらを見ていた。

 

 「キイテタヨ。」

 「カタコトになってるじゃないですか!」

 「お館さま、どこか具合が悪いのですか?」

  

 本気で心配されてしまった。

 

 「だいじょうぶ、ごめん、ちょっとボーっとしてた。」

 「伝令さんの報告によれば、また出たとのことです。」

 

 月がすこし心配そうに伝えてくれた。

 

 「また、か。」

 

 ここ最近、頻繁に五胡の軍が国境沿いに出没している。攻め込んでくる様子はないもののいつ来るか分からないので緊張状態は続いている。

 これが蜀だけでなく魏も同様の被害にあっている。

 

 

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 偵察なのか、それともほかに目的があるのか。

 どちらにせよ、このまま緊張した状態がつづけば兵が消耗してしまう。

 

 『私はためらわない』

 

 いやな言葉を思い出す。華琳のことだ、そう簡単に攻めないとはおもうけど・・

 

 「しかしそろそろ鈴々たちをもどすべきではないか?」

 「そうだな、もうだいぶ向こうにいる。翠たちもだいぶ疲れているだろう。」

 「はい、敵も侵攻の影はみせないので今のうちに鈴々ちゃんたちにはもどってきてもらおうと思います。」

 「そうなると今度はわしらの出番か。遠征は久しいのう。焔耶支度しておけよ。」

 「わたしは桃香さまのおそっ」

 「いいから支度せいっ」

 

 ふと、となりを見ると桃香がうかない顔をしていた。

 

 「どうかした?桃香?」

 「ううん、ただどうしてかなって」

 「?」

 「どうして五胡の人たちはわたしたちと戦うんだろう?」

 「それは・・・・」

 

 そのとき勢いよく扉がひらかれた。扉をあけた彼の目を見ておれは瞬時に悪いニュースだなとおもった。

 

 「魏と五胡が交戦を開始しました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
蜀ルート本編後の話です。
・一刀視点
・シリアス系
お目汚し失礼いたします。
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コメント
4p:戦力をのこしいるのか→戦力を残しているのか(libra)
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真・恋姫†無双 恋姫?無双 シリアス 

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