鬼ヶ島の鬼〜血染めの刃〜 第四話
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徐晃は身につけている得物を双戟以外を取り外した。その両手に握られた双戟は太陽の光を受けて爛々と輝いている。

 

 

 

「こいつだけでも行かせるな!」

 

 

 

「少しでもお三方の生き残る可能性を上げろ!」

 

 

 

『うおおおおおおおおお!』

 

 

 

死兵と化した五百の兵たちは各々の武器を振りかざして徐晃めがけて突貫する。

 

 

 

「その覚悟、見事」

 

 

 

体の正面で戟を交差させ、彼らを待ち構える徐晃。その眼には一切の油断は見当たらない。

 

 

 

「せいやあああああああああああ!」

 

 

 

先頭の男の繰り出す全身全霊を込めた刺突。それを

 

 

 

「……」

 

 

 

左の戟、その枝刃で巻き込んでそらし、すぐさま右の袈裟を打ち込む。

その勢いを殺さずに一歩踏み込み、左の戟で首をはねた

 

 

 

「くらえ!」

 

 

兵士十人が左右からの薙ぎ払いを、唐竹を、袈裟切りを仕掛けるも、体を開くように双戟を左右に振り払って一掃する。

圧倒的な実力差。しかし彼らは攻撃を止めることはない。そうしなければ守れないものがあるからだ。

 

 

 

「ぜえええええええい!」

「うらあああああああ!」

「でやあああああああ!」

 

 

 

絶え間なく襲いかかる黄巾兵。それを徐晃は突いて、薙いで、振り下ろして、己が技巧すべてをつぎ込んで相手取る。

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その時、恋が走り去った方向から一頭の馬が駆けてくる。

 

 

 

「徐晃!!」

 

 

 

「……桂花?」

 

 

 

その声を聞いた徐晃は戟を大きく振りまわして牽制、後方に跳んで桂花に近づいた。

 

 

 

「張角、張宝、張梁の三人は国境をこえてしまったわ。もう追えないわよ」

 

 

 

それを聞いた黄巾兵たちはゆっくりと膝をつき、安堵のため息をつく。

 

 

 

「って、雑兵相手に本気だしてたの!?らしくないじゃない」

 

 

 

「あの三人を逃がすために死兵になるその覚悟を認めた」

 

 

 

双戟を二度ふるって血を吹き飛ばすとそれを再び腰に挿す。そして取り外した得物を布でひとまとまりにして背負う。

 

 

 

「お前たちは行け。任務を果たせなかった以上、私たちは攻撃しない」

 

 

 

「命をかけてまで守りたかったんでしょう?だったらこれからも守っていきなさい!こいつ相手に生き残る強運を持っているんだから!!」

 

 

 

そういいながら自らの愛馬、松風に素早くまたがる。松風の背丈は約九尺。それに苦もなくまたがる以上、馬術も壮等だろう。

 

 

 

「三姉妹は袁術の国境にいったわ。早く追えば?」

 

 

 

それを見ていた彼らは得物を納め、振り返ることなく走り去って行った。

 

 

 

「さて桂花。これからどうするか」

 

 

 

「そろそろどこかに志願するのがいいんじゃない?」

 

 

 

「ふむ、しかしなぁ」

 

 

 

曹操は排他的、劉備は王として未熟、孫策は現在袁術の配下。

彼はそう考えたのち、結論を出す。

 

 

 

「董卓のところかねぇ」

 

 

 

「一度訪れて見定めてみたら?」

 

 

 

「私たちを預けるに足る器かをな」

 

 

 

「ちょうどよくコネもできたしね」

 

 

 

「桂花ーーーーーー!」

 

 

 

「……徐晃」

 

 

 

「ねね」

 

 

 

「恋、約束は守ったぞ?」

 

 

 

「……ん。お疲れ」

 

 

 

「そっちもお疲れ」

 

 

 

「馬にまたがっているということは、また旅にでるのですか?」

 

 

 

「仕えるべき主を探しにな。その前に一度拠点に戻る」

 

 

 

「もしかしたら董卓様のところにもいくかもしれないわね。その時はよろしく」

 

 

 

「……ん。待ってる」

 

 

 

「はいですぞ!」

 

 

 

「また会おう。二人とも」

 

 

 

そう言って馬腹を蹴る徐晃。松風は一啼きして駆けだした。あっという間に小さくなった。

 

 

 

「恋殿」

 

 

 

「ん。帰ろ、ねね」

 

 

 

「はいです!」

 

 

 

こうして洛陽前での戦いは幕を閉じた。

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「……とまあ、だいたいこんな感じなのです」

 

 

 

長い回想を終え、ねねがその一言で締めくくる。

 

 

 

「死兵と化した五百の兵を少しの間とはいえ止めたんか!その前には三万の敵を蹴散らして?」

 

 

 

「……そう」

 

 

 

「世界は広いんやなぁ。恋以外にそないなことができるやつがおるんか」

 

 

 

「しかも仕官してくるかもしれないんでしょ?もし仕えてくれるなら百人力じゃない!」

 

 

 

「でも詠ちゃん、無理矢理は駄目だよ?」

 

 

 

「わかってるわよ、月」

 

 

 

「賈駆様、董卓様。城門の兵より伝令です」

 

 

 

「どうしたのよ?」

 

 

 

「なにかありましたか?」

 

 

 

「鬼ヶ島の鬼を名乗る男が仕官したいと言っております。そばにはもう一人女が。いかがいたしましょう?」

 

 

 

それを聞いた瞬間詠は恋に目を向けていた。それを見た恋はこくりとうなずく。

 

 

 

「会うわ。玉座の間に案内して」

 

 

 

 

 

 

 

 

           鬼ヶ島の鬼による試練が幕を開けた。

説明
第四話になります。恋とねねの回想はこれでおしまいです。



徐晃の前にずらりと並ぶ黄巾の死兵およそ五百。
彼らを前に徐晃はいかなる戦いを見せるのか!?
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コメント
なんという、普通?の桂花 てか松風て・・・w(よーぜふ)
桂花が華琳のとこに行かないのは新鮮だなぁ。(poyy)
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真・恋姫†無双 恋姫†無双 fate/staynight(武器、技のみ)  

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