真・恋姫†無双〜真・漢ルート〜 第13.5話:漢達の休息X
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むねむね団解散から数週間、一刀も正義の味方をやめて華佗の診療所で働いている。

鍛錬で生傷の耐えない武官の女の子達の治療をしたり、華雄の様子を見に城に出向くこともあるが基本的に街で過ごすようにしている。

 

件の『華蝶仮面』も貂蝉たちの説得によって周囲を気にして戦うようになり、武官達との無駄な争いは避けるようになってくれたらしい。

麗羽たちもどういうわけかほぼ毎日のように一刀のところを訪れている。

 

周りからは一緒に居て疲れないかと言われるが、テンションの高さならば華佗も負けてはいないし、貂蝉たちと一緒にいるよりも精神的に楽なので

 

一刀はそんな事は無いと返している。

 

 

一刀「麗羽、悪いけど奥から包帯の換えを持ってきてくれないか?」

 

麗羽「分かりましたわ」

 

猪々子「うわぁ、麗羽様が素直……アニキってやっぱすげぇ…」

 

斗詩「な、何で一刀様はもっと早くに現れてくれなかったんですか……」

 

一刀「いや、俺だって分かんないよ……」

 

 

一刀の言葉に素直に従う麗羽を見て大半の人間は驚愕する。

特に御付の二人は天変地異の前触れではないかと毎日びくびくしている。

斗詩に置いてはさん付けから様付けに逆シフトするほど一刀を尊敬している。

 

 

今回はそんな尊敬と畏怖の視線を独り占めする一刀の日常を綴ったお話である。

 

 

第13.5話:漢達の休日X

 

 

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拠点イベント:華佗

 

 

本日、診療所は休業。

華佗と一刀は二人で本屋に向かう。

華佗が新しい医学書を買うのを忘れていたという事で買いに来たのだ。

一刀も長らく本を読んでいないので何か本を買って読もうかとついて行く。

 

 

華佗「おっ、呉には無かった本もあるな」

 

一刀「良かったじゃん、……ってこの本呉の書庫にあったぜ」

 

華佗「おいおい、そういうことは教えてくれてもいいだろ?」

 

一刀「穏に医学に精通するなら読んだらどうかって渡されてんだ

   勝手に持ち出すわけにも行かないだろ」

 

華佗「それもそうだな」

 

 

二人は今までに読んだ本があるかも知れないと思い本を見ていく。

その時華佗は一冊の本に目が行く。

 

 

華佗「む、おい一刀」

 

一刀「なんだ?」

 

華佗「この本、お前の事が書いてあるんじゃないか?」

 

一刀「え?」

 

 

そう言って華佗は1冊の本を手に取る。

表紙には『天の御遣いと医者』と書かれている。

本の題材にされているのかと思い華佗と同じ本を手に取る。

本を開き目を通してみる。

 

 

しかし、数項見て、そっと閉じた。

互いに死んだ魚のような目で互いを見る二人。

本の内容は天の御遣いとその仲間の医者が織り成すラブストーリー。

一刀はそっと表紙に書かれた著者の名を見る。

 

『臥龍&鳳雛』

 

この時代に&があるとかそんなことはどうでも良かった。

 

 

一刀「……いい子達だと思ってたのに」

 

 

時折城内で茶会を開き色々と聞いてくる知的好奇心の旺盛な子達だと思っていた一刀。

今にして思えば華佗や左慈、干吉のことを特に聞いてきていた。

 

沈痛な表情でその本を購入し城に向かう事にする華佗と一刀。

この本について本人達に聞かざるを得ない。

 

 

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ついに彼らは彼女達の部屋の前に着く、運が良いのか悪いのか彼女達には珍しい休日であった。

扉を叩くと内側から声がする。

 

 

一刀「一刀だけど、いいかい?」

 

朱里「はわわ、ちょ、ちょっと待っててくだしゃい」

 

 

中から『はわわ』『あわわ』、『へぅ〜』などと言いながらどたどたと何かを机の中に入れる音が聞こえる。

音が止むと同時に「入ってきてください」という声が聞こえる。

 

 

一刀「……月ちゃんも居たんだ?」

 

月「こ、こんにちは、一刀さんに華佗さん」

 

華佗「すまないが単刀直入に聞こう

   これはどういうことだ?」

 

 

そう言って華佗は例の本を朱里たちの前に出す。

 

 

朱里「はわわ!な、何故その本を!!?」

 

雛里「あわわ、わ、わたしたちとは関係ないでしゅ!!」

 

一刀「臥龍と鳳雛って呼び名は有名すぎるんですけど……」

 

 

何とか取り繕おうとする二人をジト目で見ながら口を開く一刀。

二人は涙目になって慌てる。

 

 

月「ま、待ってください!」

 

華佗「月ちゃん、流石にこればかりは見過ごすわけには行かない!」

 

月「へぅ〜、で、でもこれは国の為なんです」

 

一刀「国の為?」

 

 

おどおどとしながらもしっかりと頷く3人。

どうやらこの本の売り上げは国庫に補充されているらしい。

その道の愛好家によって国内国外問わず売れているらしい。

無論国外には一般販売されておらず、注文を受けての出荷という事になっているらしい。

 

 

一刀「冗談ですよね?こんな誰得な本が……」

 

詠「朱里、今回の本の注文表届いt……なんであんたがここにいんのよ」

 

 

まさに今話していた国外からの発注があったという。

出荷先は魏の城らしい。

 

蜀の財政は他の国に比べてそれほど良い訳ではない。

たとえ僅か、しかもこの様な手段であったとしても国の為の金策であると言われてはあまり強くいえない一刀たち。

悩みに悩み、葛藤を重ねた結果ひとつの結論を出す。

 

 

一刀「……良いよ、そこまでの理由があるのなら俺達も何も言わない」

 

華佗「ただし!……『実在の人物とは一切関係ない』と明記してもらおう!」

 

朱里「ひゃ、ひゃい!分かりましゅた!」

 

雛里「お、お約しょくいたしましゅ!」

 

 

足取りは重く、よろよろと部屋を出て行く一刀たち。

残された朱里たちはほっと息を吐く。

 

 

朱里「あ、危なかったね〜」

 

雛里「そうだね、年齢指定のある方が見つからなくて良かったね」

 

月「はい、でも一刀さんに言われたとおり実在の人物と関係ないって書いておけば、国外にも普通に出版しても良いんじゃないかな?」

 

詠「ゆ、月!?」

 

朱里「はわわ、一刀様たちだけじゃなくて干吉さんと左慈さんのお話も良いかな?」

 

月「良いと思います」

 

 

月の笑顔がやや黒く見えた詠であった。

 

 

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拠点イベント:左慈&干吉

 

 

例の本を見てから数日が経過したある日。

新刊として左慈と干吉の本を見て、そっと元の位置に戻した一刀。

やっぱり止めて置けばよかったかもしれないと自分の選択を悔やみながらも街を歩く。

 

 

美以「あ!兄にゃ!」

 

璃々「本当だ!一刀お兄ちゃ〜ん!!」

 

美羽「一刀〜!!」

 

 

その時、一刀の後ろから明るい子供達の声が響く。

暗い顔は見せられないと気を引き締めて後ろを振り向く一刀。

振り向いた先には獣の如く飛び掛ってくる美以とその部下の3匹がいた。

 

 

一刀「ぐおぉぉ!!」

 

 

完全に気を抜いていた一刀のボディに美以の頭部が直撃する。

その後ろから遅れるように璃々と美羽の二人がやや早足で追って来る。

 

 

璃々「大丈夫?」

 

一刀「ちょっと驚いたけど大丈夫だよ」

 

 

心配そうに一刀を見る璃々に強がりを言う一刀。

一緒いる美羽たちも心配そうにしているので安心させる為に笑顔を作る。

 

 

一刀「そういえば皆で遊んでるの?」

 

美羽「うむ、妾たちは仲良しじゃからな」

 

一刀「そうなんだ、でも変な人について言っちゃダメだぞ?

   特に美羽はむねむね団について行っちゃってたんだから」

 

璃々「だいじょーぶだよ、璃々たちもがくしゅうしてるもん」

 

一刀「そう…ってそういえば美羽、七乃はいないの?」

 

 

何時も一緒にいるイメージが強い二人、辺りを見回してもいないようだ。

むねむね団の人質だった時ですら影から見守っていたのに今はいないようだ。

 

 

美羽「七乃か?七乃なら紫苑たちと一緒におるはずじゃ」

 

一刀「紫苑たちと?意外な組み合わせなんだけど……」

 

璃々「お酒飲んでたお母さんたちが無理やり誘ったの〜」

 

美以「兄のにゃかまも一緒だったじょ」

 

美羽「確か、干吉と左慈じゃったか?」

 

一刀「え?左慈たちなの?」

 

 

紫苑たちと仲が良いと言えば貂蝉たちだろうと判断する一刀。

しかし、美羽から出た名前は左慈と干吉。

 

干吉はともかく、左慈は人付き合いはあまり良い方ではない。

今まででも一刀が誘わない限り他人と酒の席を一緒にする事はない。

 

 

一刀「ちょっと見てくる」

 

美羽「そうか……妾たちはもうちょっと遊んでくるのじゃ

   皆の者、行くのじゃ!」

 

美以「競争にゃー!」

 

璃々「あっ、ずるい!」

 

 

元気よく走っていく子供達を見送って一刀は紫苑たちが良く行く酒場に向かうことにする。

 

 

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着いた酒場には璃々たちが言っていた通り左慈たちがいる。

さらに桃香に愛紗、さらに数名の男女が一緒にいた。

 

 

干吉「貴方は本当に良い時に現れる方ですね」

 

左慈「お前出てくる時機を見計らっていたんじゃないのか?」

 

一刀「そんなわけ無いだろ……人付き合いの悪い左慈が紫苑たちと酒飲んでるって言うから見に来たんだよ」

 

男性「もしかしてこの方が……?」

 

 

左慈たちと共に集まっていた男性の一人が一刀を見た後に桃香に問いかける。

桃香は笑いながら頷く。

その桃香の反応に周りの人々がざわざわと反応する。

 

 

一刀「どういう事態なの?」

 

左慈「ああ、『天の御遣い』に頼みがあるんだとよ」

 

紫苑「はい、実は……」

 

 

紫苑から語られたのは子供達に関することだった。

前回のむねむね団以降一刀たちは特に行動をしておらず、問題が起きても警備隊や華蝶仮面が解消している。

璃々を含む子供達は天の御遣いの活躍を楽しみにしており、今の状況を残念に思っているらしい。

 

 

一刀「つまり俺達もいざこざがあった時に出て来いって事?」

 

干吉「ついでに子供達に対して何か一言あれば、なお良しといった所でしょうか」

 

桔梗「子の為にこうして直談判と言う訳だ

   子を思う親の気概、汲んではくれぬか?」

 

 

桔梗の言葉にやや否定的な表情をする一刀。

最近は華佗の診療所で働いている為、あまり時間をとることはできないのだ。

 

 

七乃「つべこべ言わずやって下さいよ

   お嬢様も鈴々ちゃんも楽しみにしてるんですから」

 

一刀「え?美羽も鈴々も俺の事知ってるよね?」

 

愛紗「鈴々も美羽も子供ですから……一刀様と御遣い様が同一人物である事を忘れつつあるようで……」

 

七乃「ノリノリでやってたくせに今更渋らないでくださいよ〜」

 

 

七乃に言われて左慈たちを見る一刀。

それなりに長い期間共に旅をしたもの同士、アイコンタクトで互いの意見を交換する。

 

 

一刀「分かった、引き受けるよ」

 

七乃「よっ!さっすが天の御遣い様!!」

 

一刀「調子のいいことで……まあ、華佗なら一人でも十分やってけるからね」

 

男性「無茶言ってすみません

   俺達も応援いたしますので……」

 

 

申し訳なさげに言う代表の男性、一刀の方が逆に恐縮してしまう。

 

 

一刀「それより俺の事は黙っててあげてくださいね

   夢が壊れそうなんで……」

 

桔梗「何を言っておる、元々大陸中に名を馳せると言っておったではないか

   いっその事仮面をはずしてやればよかろう」

 

左慈「こんな事で名を上げてどうするんだ……」

 

桃香「そうですか?面白そうですけど?」

 

干吉「そうですよ!いっそ芸人として3人で…!!」

 

一刀&左慈「「やらねぇよッ!!」」

 

 

つれませんね、と呟きながら両手を上げる干吉。

その顔が本当に残念そうであったが、一刀も左慈も真剣に否定する。

 

そんな3人を見て笑う人々。

こうして3人はまた仮面を被る事となる。

 

 

 

のけ者にされた華雄がいじけて仮面を砕くのはそれから数時間後のことであった。

 

 

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拠点イベント:貂蝉&卑弥呼

 

 

星「おや?一刀殿ではないですか?

  我が魂の故郷で食事ですか?」

 

一刀「魂の故郷って……星は良くここに来るの?」

 

星「無論、最低でも一日一食はここで取っております

  それが何か?」

 

 

なんでもない、と言って一刀は星から一席ほど離れて座る。

星はそれを見てしばし考えた後に一刀の方に一席ずれる。

 

 

星「しかし、流石は一刀殿

  この店に目をつけるとはこの趙子竜感服いたしました」

 

一刀「いや、特に意味は無いよ?単純に近くを通ったから入っただけだよ」

 

 

一刀たちが居る店『メンマ園』はその名の如く料理の大半にメンマが使用されているので有名である。

唯一メンマが使われていないのが水と酒と言う脅威の店である。

 

 

星「まあ、そう言われるな

  どのような形であれこの店に来られたのは運命、一刀殿であれば天命とも言えますな」

 

一刀「そこまで言う?」

 

星「ははは、まあそれだけの価値がこの店にはあると言うことですよ

  私のお勧めの一品があるがどうですかな?」

 

一刀「お勧め?おいしいの?」

 

星「この店のものはすべておいしくはありますが……この一品は特に群を抜いておりますよ

  店主!例のものを!!」

 

 

星の声に店主が静かに頷き、厨房に入っていく。

 

 

星「ふふふ、一刀殿の驚く顔が楽しみですな」

 

一刀「俺としてはこの世界に来て驚きっぱなしだよ」

 

 

特に貂蝉たちのことでな、と一刀が口にしよう押した時背後に嫌な気配を感じる。

首が恐ろしい速度で旋回する。

 

 

星「どうかなされたか?」

 

一刀「嫌な気配が……って、うわッ!?」

 

貂蝉「あらん?どうかしたのん?」

 

卑弥呼「何を驚いておる?」

 

 

背後に視線をやっても何も居なかった為安心して正面を向き直した一刀。

しかし気付くと一刀の隣には貂蝉が座っており、その向うには卑弥呼が座っていた。

 

 

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一刀「長旅で慣れたって言ってもいきなりどアップだと心の準備が間に合わないんだよ」

 

貂蝉「あらあら、私たちのぷりてぃふぇいすにドキドキなのかしらん?」

 

卑弥呼「一目見るだけで胸の鼓動が高まるとは我らも漢女を磨いた甲斐があったと言うものだ」

 

 

嫌な動悸だ止まらない一刀。

そんな一刀を気にした風も無く貂蝉たちは照れたように体をくねらせる。

星もそんな3人を見て愉快そうに笑う。

 

そんな感じで騒いでいると店主が料理を持ってきた。

一刀の目の前に置かれてる丼。

 

 

店主「どうぞ」

 

星「どうですかな?私が思うにメンマを使った至高の一品ですぞ?」

 

一刀「どうって……」

 

 

メンマ丼。

一刀の数少ない料理のレパートリーの一つであり、旅の合間に時々作った事もある品だ。

貂蝉と卑弥呼もそのことを知っており、特に驚いた様子は見せない。

 

 

貂蝉「星ちゃん、残念だけどこの料理はご主人様の得意料理なのよ」

 

星「馬鹿な!?この料理は店主と店主の弟しか知らぬはず!!?」

 

店主「星様、それは違いやす

   弟にこの料理を教えた方がおられます」

 

星「ま、まさか!!?」

 

 

店の視線が一刀に集中する。

 

 

卑弥呼「店主よ、お主の弟は平原のあたりで店を構えてはおらんか?」

 

店主「へい、間違いありません」

 

星「なんと!?一刀どn…いや一刀様が……くっ、この趙子龍、もし桃香様よりも先に一刀様に逢っていれば

  ……いや、今からでも遅くはありません!一刀様、是非私を家臣に加えては下さらないか!!?」

 

一刀「マジで勘弁してくださいorz」

 

 

土下座をして断る一刀。

 

後日、天の御遣いに従う華蝶仮面が居たとか居ないとか……

 

  

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拠点イベント:華雄

 

 

華雄「うおぉぉぉ!!!」

 

恋「……しっ!」

 

 

飛将軍・呂布こと恋と華雄が対峙している。

恋の武勇を知る者であればこの事態に驚く事であろう。

 

 

華雄「どうした!呂布よ、この程度ではあるまい!!」

 

恋「……ッ!?」

 

鈴々「恋が押されてるのだ……」

 

 

一度華雄と対峙した鈴々は他の者よりも驚いていた。

確かにあの時は鈴々の方が強かった、そして鈴々も反董卓連合の時よりも強くなったと自負しているが華雄はその上を行く。

 

 

翠「すごいな……蒲公英、私たちもこのくらい強く……」

 

蒲公英「(ヾノ・∀・`)ムリムリ」

 

    

人外とすら言える貂蝉・卑弥呼を相手にほぼ毎日のように戦い続けた華雄はもはや別次元の存在になっていた。

翠もその強さに関心し、蒲公英は端から別次元の存在として見ている。

 

そしてついに呂布の手から方天画戟が離れる。

 

 

華雄「……私の勝ちの様だな」

 

恋「…………負けた」

 

 

宣言と共に恋の首に突きつけていた武器を収める華雄。

普段表情をあまり変えない恋であるがやはり悔しいのだろう少し悔しそうな表情をする。

華雄は勝利したにも関わらずそれほど嬉しそうではない。

 

 

一刀「二人ともお疲れ様」

 

華雄「ああ、……私も強くなったものだな」

 

鈴々「すごいのだ、次は鈴々とも戦って欲しいのだ!」

 

華雄「後でな……ふぅ」

 

 

やはりあまりうれしそうではない華雄。

恋に勝っておいて不満げな態度に音々音が声を張り上げる。

 

 

音々音「むぅ!恋殿に勝っておきながら何が不満だと言うのですか!!」

 

華雄「……お前には関係あるまい」

 

一刀「そんなこと言わずにさ、何か悩みがあるんなら聞くよ

   何時も俺の相談ばっかりで華雄から相談事って無いじゃないか」

 

華雄「私が強くなろうとする理由を覚えているか?」

 

 

華雄に言われて一刀は思い出す。

彼女が強くなるのは月を外敵から守り通せる力を欲しているからだ。

そして、彼女は強くなる為に一刀たちの旅に同行し、鍛錬を続けて来たのだ。

 

 

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一刀「月ちゃんのためだよな?」

 

華雄「そうだ、だが私が思おうに……」

 

翠「思うに?」

 

華雄「別にそれほど強くなくても良かったのではないか?

   ばれても大丈夫なようにと力をつけて来たがばれない様に努力をすればよかったのではないか?

   むしろ、私が董卓軍の将であったことを覚えている人間の方が……」

 

翠「え!?お前董卓軍の人間だったのか!!?」

 

 

恋がこくりと縦に首を振る。

しかし、音々音は首を傾げて思い出せないと言うように頭を掻く。

 

 

一刀「……いや、鈴々は覚えてるだろ?」

 

鈴々「覚えてるのだ!でも、この間会うまで忘れてたのだ」

 

華雄「…………」

 

 

純粋さは時として残酷である。

華雄の心ががりがりと削られる中、今まで黙っていた焔耶が口を開く。

 

 

焔耶「だが、お前の武勇は無駄ではないだろ?

   月を守りたいと言うのなら軍に志願して私たちと共に戦えば良いじゃないか」

 

華雄「何を言っているんだ

   それでは一刀たちと旅が出来んだろ」

 

音々音「お前は何を言ってるのですか!?

    月殿の為に力をつけてこの国に来たのではないのですか!!?」

 

華雄「??一刀たちの旅の途中で立ち寄っただけだ

   旅が終わっていないのに抜けるは私の気がすまん!」

 

鈴々「お兄ちゃんの旅の目的ってなんなのだ?」

 

 

一刀の旅の目的と言えば見聞を広め、己を高める為であるが、そもそも一刀が鍛えているのは天の御遣いとして大陸を太平に導く為である。

しかし、すでに三国志としては物語はかなり架橋と言っても良い状況、今更新しい勢力を作ったとしても余計に大陸を混乱させるだけだろう。

 

 

一刀「ん〜、大陸を太平に導く事かな?」

 

焔耶「具体的に何をしてるんだ?」

 

一刀「旅の途中で盗賊を倒したり、ついた国で内政を手伝ったり?」

 

華雄「女の尻を追ったり、口説いたりもしてただろ」

 

一刀「誤解だ!……って、何故皆して白い目で俺を見る!?」

 

 

周りの女性陣から白い目で見られる一刀。

だが、そんな一刀の肩を叩く人物が一人いた。

 

 

一刀「れ、恋…君は俺を信じてくれるのか……?」

 

恋「……ちがう」

 

一刀「え!?」

 

恋「……女の子の気を引こうとするのはオスの性(さが)」

 

 

だから気にしないと一刀の肩を叩く恋。

一刀の足元に居るセキトも同意するように吠える。

 

皆の一刀を見る目は温かいものに変わったが、一刀はその日枕を濡らしたのであった……

 

 

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おまけ:白蓮の日記

 

○月○日 曇り

今日、一刀殿が朱里の部屋から出て来たのが見えたので声をかけようと思った。

でも、華佗と一緒に落ち込んでいるようだったのでそっとしておいた。

 

 

○月×日 晴れ

久しぶりに一刀殿が仮面を被って悪漢を退治した。

いつでも助けに入れるように待機してたらいつの間にか終わってた。

 

 

○月□日 晴れ

街で一刀殿を見かけたので声をかけようとしたが、星の奴が入り浸ってる店に入っていったので諦めた。

夕方に会った星がやたらと上機嫌だった、その上一刀殿を様付けで呼ぶようになっていた。

何があったんだろう……

 

 

○月▽日 雨

昨日、華雄が恋に勝ったらしい。

反董卓連合の時は鈴々にやられた筈だけど強くなったらしい。

私も努力すれば報われるのだろうか……

 

今日は一刀殿に会えなかった。

なんでか少し寂しかった。

 

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あとがき

 

皆様、おはこんばにちは。

肉じゃがのジャガイモなしを食べている大鷲です。

 

萌将伝クリアしました。

焔耶株が急上昇中です。

一般兵には劣りますが……

 

まあ、大鷲の感想とかどうでも良いと思うのでもう書きません。

 

 

ついにこの話も最終段階に入りました。

あと数話で終わるはずです。

読んでくださっている方、応援してくださっている方に報いる為にも最後まで書きたいと思いますのであと少し付き合ってくださいませ。

 

 

次回予告

 

三国すべてを回った一刀たち

        肥大化する魏に対抗する為蜀と呉は手を結ぶ

                         その時一刀たちは……

 

次回、『一刀、共有財産になる』にご期待ください。

説明
名前がややこしいですが、隠しルートである『漢(かん)ルート』の再構成した『漢(おとこ)ルート』です。

ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。
ただし、漢女成分が多分に含まれるかもしれませんので心臓が弱い方はご注意ください。
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コメント
臥龍と鳳雛さん・・・そんなに好きなんだね?^^; 恋にこういう慰めを受けるのは何か凄くきますねToT 某白い方はまだオチ要員として活躍の場が!w(深緑)
neko様>最近は動物達にも大人気な一刀君です(大鷲)
オス・・オスって 恋さんせめて人としてみてあげて(neko)
hokuhin様>数冊送られている……とだけ言っておきましょう(゚∀゚)(大鷲)
魏の城からの注文・・・華琳さん達、あなた方も朱里と同類ですかw(hokuhin)
ZERO様>忘れられてたんじゃなくて出番が無かったんです(`・ω・´)キリッ(大鷲)
よーぜふ様>( ´∀`)人(´∀` )ナカーマ(大鷲)
おやっと?様>本編よりも親しい仕様に……字の方は子龍の方がかっこいいから訂正します(゚∀゚)(大鷲)
りょんりょん様>遠まわしに一刀が動物的であr(ry(大鷲)
たっちゃん様>クロクナイデスヨ (ヾノ・∀・`)(大鷲)
砂のお城様>あの時一刀を馬鹿にしていた馬も今では頭が上がらなくなっているはず……(大鷲)
はりまえ様&FALANDIA様>流石の臥龍先生、鳳雛先生も守備範囲外のようです(大鷲)
白蓮・・・いつも忘れられるとはかわいそうだ。誰か救いの手を!(ZERO&ファルサ)
焔耶かわいいよ焔耶、恋かっこよすぎ!という本編と関係ない感想は置いといて・・・ 一刀も白蓮もドンマイw(よーぜふ)
7P 子竜じゃなくて子龍かと どっちでもいいのかな?(おやっと?)
店主が星に真名を許されていることがびっくりwww(おやっと?)
むしろ化け物二人との艶本が売り出されたら内乱が起こるんじゃないだろうか…。(FALANDIA)
恋なんちゅうことを言うんだ(りょんりょん)
月が黒い…(たっちゃん)
艶本で化け物二人+1の辛みはださなかったんだ、(出したら2話参照の状態に陥ること間違いなし)にしても締めはやっぱりこの人か・・・・・・・いつ会話の輪の中に入るんだろう・・・・(黄昏☆ハリマエ)
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