戦華 龍に出会う |
戦華「ええい!うっとうしぃぃぃぃぃ!」
目の前に居る烏合の衆を切り倒しながら彼女は嘆いていた
戦華「くそっ、数ばかりのザコ共が!」
自らの怒りと気合を込め、力強くなぎ払っていく
戦華「一体どれほど居るのだ!?」
倒しても倒しても沸いてくる敵に苛立ちを覚え
答えが返ってくるなど無いとわかっていても
彼女は目の前の敵に投げかける
戦華「くっ!やはり答えは無しか・・・」
予想通りの反応に多少うなだれる
『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ』
そしてマタ一人・・・この世から去っていった
既に日常と成っている人をあやめること
そしてその数が多いほど・・・自分の武勇が優れていると思っている自分が居る
戦華「あいつはまた・・・泣くだろうな・・・」
『ぎゃぁぁぁぁぁ』
『いてぇぇぇぇ!』
次々と斬られ、倒れていく者達
一刀「くそっ!斬りたくない・・・・退いてくれ!」
彼の呼び声は賊たちの声によってかき消されていく
一刀「何でだ!?なんで・・・・向かってくる!?」
つい先ほど腕を切られた男が自分に向かってくる
一刀「これ以上無駄なことはするな!退け!」
答えなど返ってこない・・・・
彼が切りつけるものは決して致命傷ではなく
むしろすぐに手当てをすれば助かる命ばかりだった
一刀「なぜだ・・・・なぜ・・・無駄に命を・・・」
両手を朱に染め、彼は嘆く
『しねやぁぁぁぁ!』
不意をつき、背後から襲いかかる男が!
一刀「まずっ!『ぎゃぁぁ』え?」
その男の一撃は見たこともない武器により・・・・遮られた
??「戦場で惚けてるなど・・・おぬし死ぬ気か!?」
すぐ後ろから声をかけられ・・・振り向くと・・・
黒髪を束ねた、少女が居た
??「死ぬ気かと聞いている!」
一刀「い・・・いや・・・」
??「ならば獲物を取れ、振るえ!自分が生き残るために全力になれ」
一刀「・・・・」
??「なんだ?その目は」
一刀「・・・・あなたは?」
??「名を聞く前にまず自分から名乗らぬか」
一刀「俺は・・・・北郷一刀」
??「おぬしが華雄殿の従者か・・・なるほどな」
一刀「名は?」
??「ん?私か・・・私は「愛紗ちゃ〜ん!」桃香様!?」
黒髪の少女の名を聞く前に・・・・桃色の髪の子に妨害された
??「もう愛紗ちゃん!先に行くなんて。ブーブー」
??「すみませぬ・・・桃香様」
??「ところで・・・愛紗ちゃん?」
??「はい・・・なんでございましょう?」
??「この人は・・・・誰?」
??「その・・・賊に囲まれていたので・・・」
??「そっか!ソコを愛紗ちゃんが助けたってことか・・・良かったですね」
一刀「・・・」
??「?」
『わが名は華雄!わが武を超えて見せるというものは・・・・掛かって来い!』
突然の名乗りに二人の少女はびっくりしているが・・・・俺は行動を開始した
??「あ、待たれよ!」
一刀「あいにく付き合ってる暇はない!」
静止を呼びかけた黒髪に拒否のひと言を言い・・・名乗りの挙がった場所へひた走る
一刀「華雄!」
華雄「一刀!」
互いに名を呼び合い・・・・俺は華雄におにぎりを渡す
華雄「すまぬ・・・しばしの間・・・頼む」
一刀「ああ・・・モチロンだ!」
華雄はその場に座り込み、ゆっくり飯を取り始めた
??「戦場で飯を食うなど・・・・」
先ほどの黒髪が追いついてきたのか・・・・桃色髪と一緒に近づいてくる
その間にも華雄は飯を食べ、水を飲みと繰り返している
一刀「・・・・」
一見無防備だが・・・賊は攻めてこない・・・・いや、攻めてこれない
生きてる者には無意識の防衛本能がある・・・そしてその本能が警告しているのだ
『近づいたら・・・・消えるだけと』
??「北郷殿!」
華雄「おい、そこのお前」
??「何だ?」
華雄「なぜ一刀のことを知っている・・・・?」
??「噂になっておる・・・それに先ほど自己紹介されたしな」
一刀「・・・・」
華雄「そうか・・・・では、なぜお前は自ら名乗らない。一刀の名を気安く呼んで置いて!」
一刀「華雄・・・いい」
華雄「よくない!」
一刀「戦華・・・・いいんだ」
華雄「ぐぅ」
??「・・・・すまない、私の名は関雲長、こちらは」
??「劉備元徳です・・・始めまして」
華雄「華雄だ」
一刀「北郷一刀です」
緊張の中、互いに名乗りあっていると・・・
??「愛紗〜おねえちゃ〜ん」
赤髪のちびっこがこちらに駆けてきた
ページ変え
関羽「鈴々!?おぬし今までどこに!」
??「にゃ?賊をやっつけていたのだ!」
仲がいいのか愉しそう?に話をしていると
??「「桃香様〜」」
ちびっこがさらに二人増えた
劉備「朱里ちゃん!雛里ちゃん!」
ベレー帽と魔女帽の真名だろう・・・様付けをしてるってことは・・・・二人の主か?
劉備「あ・・・朱里ちゃん、雛里ちゃん・・・こちら、華雄さんと北郷一刀さん」
一刀「どうも」
華雄「・・・・」
華雄がチビッコ二人を睨んでいる・・・いや、ただ単に拗ねていた
一刀「ところで・・・・劉備はなぜここに?」
劉備「はい・・・私たち義勇軍を率いて・・・賊討伐を・・・」
一刀「ふーん」
劉備「あ、あの・・・」
一刀「何?」
劉備「よろしかったら・・・・私たちと一緒に・・・来ませんか?」
一刀「どうしよっか?」
華雄「私は一刀の行くところについていくだけだ」
一刀「・・・わかった、いいですよ・・・しばらくの間お世話になります」
劉備「わぁ〜い、これからよろしくお願いしますね!華雄さん、北郷さん・・・私の真名を預けます・・・コレからは桃香(とうか)って呼んでくださいね」
一刀「俺のことは好きに呼んでください」
華雄「あいにく私には真名が無いのでな・・・華雄と「さっき言っていた名は違うのか?」それは・・・」
関羽「真名を預けられたのに・・・無いなどと嘘をいうのか!?」
華雄「・・・一刀」
一刀「・・・わかったよ・・・許可するね」
華雄「ありがとう・・・改めて・・・私は華雄、真名は・・・・戦華(せんか)だ。よろしく頼む」
関羽「わが名は関羽、真名は愛紗(あいしゃ)だ・・・以後よろしく頼む」
??「鈴々は張飛、真名は鈴々(りんりん)なのだ!よろしくなのだ!」
??「はわわ、あ・・あの・・・諸葛孔明でしゅ・・・」
??「あわわ、朱里ちゃん・・・真名」
諸葛「はわわ、真名は朱里でしゅ」
??「あわわ、ほ・・・ほうと・・・うです」
華雄「ほうちょう?」
??「ホウトウです!あ、真名は雛里でしゅ」
桃香「それじゃぁ・・・・どこにいこっか」
愛紗「そうですね・・・」
朱里「あ・・・あのぉ〜」
愛紗「何だ?」
朱里「すこし前に放っておいた斥候の情報ですと・・・近くに賊のとりでがあると・・・」
愛紗「砦か・・・・数はわかるか?」
一刀「およそ5千くらいだね・・・あと、歩兵がほとんどで半数が最近賊になったばかり・・・砦は後方が崖、左右が森、大部隊を置けるのは正面のみだよ」
愛紗「いつの間に・・・その情報・・・信用できるのであろうな?」
華雄「ふん!信じなければそれもいい・・・・一刀」
一刀「ん?・・・・あー」
桃香「あー?」
一刀「いや・・・なんでもない」
愛紗「隠し事か?」
一刀「そうゆうわけじゃないんだけど・・・・」
愛紗「ならば言ってみろ」
華雄「こちらに大軍が迫ってきている・・・・数はおよそ2千」
愛紗「なんだと!?桃香様いかがいたしましょう?」
桃香「それって・・・・味方?」
一刀「不明だね・・・俺たちは身を隠すけど・・・・どうするの?」
華雄「早く決めろ!旗は・・・くっ!一刀!見えるか!?」
一刀「・・・・旗は曹!やっかいなやつが来たぞ!」
桃香「曹ってことは・・・味方だよね?」
一刀「華雄!あそこに隠れるぞ!」
華雄「わかった!」
雛里「あわわ・・・まってくださ」
??「貴方たち・・・ソコで何をしているのかしら?」
愛紗「私たちはこの近くの砦に居る賊討伐に来ていまして・・・」
??「あら?貴方たちもなの・・・?ならばちょうどいいわ・・・・私に手を貸しなさい」
愛紗「なぜ?と聞いてもよろしいか?」
??「愚問ね、烏合の衆とはいえ砦を持ってるとなればそれなりの数はいるはず・・・だから、両軍で駆逐すれば被害も少なく済むわ」
愛紗「もっともですが・・・見も知らずの人を信用するほどお人よしではありませんので・・・」
??「そう・・・なら、しかたがないわね・・・・春蘭、秋蘭行くわよ」
「「御意」」
??「せいぜい邪魔だけは・・・しないでよね・・・」
桃香「いっちゃったね」
愛紗「そう・・・ですね」
鈴々「えらそうなやつなのだ」
朱里「そうですねぇ・・・ところで・・・華雄さんたちは?」
雛里「んー!」
朱里「雛里ちゃん!?」
茂みから突然口をふさがれた雛里が飛び出し
一刀「行ったか?」
華雄「そう・・・みたいだな」
愛紗「・・・華雄殿、北郷殿」
一刀「ん?」
愛紗「雛里に一体何を・・」
華雄「ああ・・・騒がれそうだったのでな・・・すこし黙っていてもらった」
愛紗「ほぉ・・・悪びれも無く」
一刀「大体キス一つで騒がれるのもな」
朱里「きす?」
一刀「接吻ってことだよ」
朱里「えー!?」
華雄「うるさい!」
朱里「すびません」
一刀「最近忙しかったからね」
愛紗「せっせっぷんなど・・・」
華雄「何も驚くことではあるまい?」
愛紗「そっそもそも・・・そのような行為は・・・好き通しでやるものであって・・・」
華雄「?」
一刀「えっと・・・戦華と俺は・・・恋仲だけど・・・・」
一同『えー!!』
華雄「うるさい!なんだその声は!?」
桃香「ほっ本当に恋仲なんですか?」
華雄「モチロンだ」
愛紗「何かの冗談ではないのか?」
華雄「なぜそうなる」
朱里「あの・・・どこまで・・・?」
華雄「秘密だ」
雛里「あわわ・・・」
鈴々「恋仲ってなんなのだ?」
一刀「こうゆうことだよ(華雄にキス)」
朱里・雛里「「はわわ・あわわ」」
一刀「・・・・そろそろいいかな?」
桃香「はい」
一刀「さっき来たのが曹操と夏侯惇、夏侯淵で話を聞いてわかったのは彼女たちも同じ賊を狙ってるってこと」
愛紗「たしかに・・・」
一刀「愛紗が断ったから一緒には戦わないけど・・・もし一緒に戦っていたらどうなる?」
桃香「はいはーい「言ってみて」うんとね・・・被害少なく殲滅できたかも「不正解」えー、なんでー?」
一刀「朱里、雛里はわかるよね?」
朱里「憶測ですが・・・おそらく、曹操さんは私たちを盾にすると思います」
雛里「そして・・・敵の頭が出たらすばやく討ち取る」
一刀「そうだね・・・さっきの話で二軍でやれば被害なくって言っていたけど・・・実際被害が少ないのは曹操軍でこちらは通常以上に削られるだろうね」
愛紗「我らが奮起すればその問題もなくなるのではないか?」
一刀「確かに愛紗、鈴々、華雄が奮起すれば兵の消耗もすこしは減ると思う・・・けど」
愛紗「けど?」
一刀「油断、慢心で命を落とす人がいるってことを・・・覚えておいて」
愛紗「慢心など「かつての私のようになるなよ」戦華殿」
華雄「私もかつて自分の武を誇っていた時期があった・・・だが、慢心は油断を生む・・・あの時一刀に助けてもらわなければ・・・私は今この時にはいなかっただろう」
愛紗「・・・・わかりました。」
一刀「しんみりしちゃったね・・・提案なんだけど・・・」
桃香「はい?」
一刀「曹操の戦を見に行こうと思うんだ」
桃香「戦をですか?」
朱里「いいですね」
雛里「賛成でしゅ」
愛紗「そんな物を見て・・・何をするというのだ?」
一刀「人の戦を見るのも勉強・・・いくよ」
曹操「銅鑼を鳴らせ!」
『ガァァァン!ガァァァン!』
一刀「ほぉ・・・銅鑼で自分たちの存在をわからせるか」
華雄「確かに判りやすいが・・・・賊どもが出てきたぞ」
愛紗「人の戦を見ても・・・」
朱里「凄いです」
雛里「あわわ」
一刀「ほぉ・・・そう切り返すか」
華雄「ふむ・・・夏侯惇の武も侮れぬな」
愛紗「え?え!?」
一刀「げっ!なんだあの鉄球は」
愛紗「地面が陥没している」
華雄「まともに受けたら身が持たぬぞ」
一刀「直線的だから避けるのは容易か・・・・終わったみたいだね」
曹操「勝どきを上げろ!われらの勝利だ!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおお』
曹操「・・・・いつまで隠れてるつもりかしら?」
一刀「おや?いつからばれていたのかな?」
曹操「とぼけないで!・・・そうね銅鑼を鳴らしたあたりからかしら」
一刀「ふーん・・・なるほどね」
曹操「なによ」
一刀「別に・・・ひとまず見事って言っておこうか」
曹操「トゲがあるわね」
一刀「そうか?まぁあんたに言ったわけじゃないけどね」
曹操「・・・・華雄はどうしたのかしら?」
一刀「気になるのか?」
曹操「ええ・・・とても」
一刀「だってさ・・・どうする?」
華雄「興味ない」
一刀「だってさ」
曹操「華雄・・・そんな男ほって置いて私に力を貸しなさい」
華雄「・・・」
曹操「なんとか言ったらどうなの?」
華雄「興味ない」
曹操「なんですって!?「きさま!」春蘭」
夏侯惇「華琳様の申し出を・・・斬る!」
華雄「受けて断とう」
夏侯惇「はぁぁぁぁぁぁ!」
華雄「せぇぇぇぇいぃぃぃぃ!」
突然始まった試合
一刀「止めなくていいのか?」
曹操「なぜ?」
一刀「言ってみただけだ」
曹操「そう・・・春蘭が負けるはず・・・・ないわ」
一刀「だといいけどな」
華雄「もらったぁぁ!」
夏侯惇「くっ!」
『ガキィィィン!』
一刀「二人とも・・・そこまでだよ」
華雄「一刀」
夏侯惇「きさま!」
華雄の戦斧を刀で受け止め
夏侯惇の武器を戟で受け止める
一刀「勝負は華雄の勝ちだ・・・これ以上やるのなら・・・俺が相手になる」
華雄「なっ!だめだ!私はこれで納得する!おまえもいいな!?」
夏侯惇「ふざけるな!まだ勝負はついておらん!」
華雄「なっ!?」
夏侯惇「華琳様!見ててください!こんな男すぐに片付けて見せます!」
曹操「ええ・・・期待してるわよ」
夏侯惇「はっはっは!残念だったな・・・キサマの人生はここで終わるのだ!」
一刀「・・・」
夏侯惇「ふん!この程度で声が出なくなるとはな」
一刀「・・・」
夏侯惇「降参するなら今の内だぞ・・・無論、聞くだけだがな」
一刀「・・・」
夏侯惇「しねぇぇぇ!」
華雄「(あ〜ぁ・・・やってしまったか)」
一刀「・・・・」
夏侯惇「ばかな・・・この私が・・・・」
曹操「春蘭!」
夏侯淵「姉者!」