真恋姫無双 おせっかいが行く 第十三話 |
「はぁ・・・今日も袁術ちゃんのお守りか〜」
「今は我慢だぞ。いずれ、時が来れば・・・」
「わかってるわよ」
執務室で、政務を行う二人の美女。断金とまで言われる程に強い絆で結ばれた二人の名は孫策、周喩と言う。本日も政務をこなすべく、二人は部屋で黙々と・・・孫策はぶつくさ文句を言いながら、こなしていたときである。一人の兵が慌てた様子で執務室に駆け込んできたのだった。
「孫策様!周喩様!一大事にございます!」
「どうした?何が起こった!?」
「はっ!さきほど、喬玄と名乗る男が尋ねてきまして。孫策様、周喩様に謁見したいとのことです。一大事故に速くあわせて欲しいと・・・かなり、切羽詰った様子でした」
「喬玄ですって!!すぐに玉座に通して」
「はっ!」
孫策は周喩に視線を向ける。周喩も無言で頷くと二人は足早に玉座の間へと向かうのだった。
「そ、孫策様」
「喬玄!!どうしたのよ。その傷は!?誰にやられたの?」
玉座の間にはすでに喬玄がおり、二人の姿を認めると挨拶をしてきたので、孫策も軽く返したのだが・・・喬玄の身体が怪我を負っていることを認識すると、真剣な顔になる。
「私のことはいいのです!今は、わが娘達をお助け下され」
本日、孫策と周喩に自分の双子の娘を紹介する予定だった喬玄は、馬車でここまで移動する最中に、どこかの勢力に襲われ、命からがら逃げ出すことが出来たが、娘と離れ離れになってしまったという。
「娘を・・・娘を助けて下さい・・・お願いします」
「わかったわ。周喩!」
「はっ!」
「兵を集めなさい。今回は速さを重視する為、少数精鋭で。それと彼の傷の手当も手配して」
「御衣!」
「喬玄。あなたの娘は絶対に助けてみせるから!あなたは自分の身体を大事になさい」
孫策の言葉に涙を流し、感謝の言葉を吐く喬玄。その姿にどれだけ娘のことを思っているかを強く感じ、絶対に助けてみせるとさらに意思を固める孫策であった。
「黄蓋、陸遜。留守を任せる」
「「はっ!」」
「よし!各自、出陣準備に取り掛かれ!!」
「「「はっ!!」」」
周喩は出陣で乗るばの準備、黄蓋は今回連れて行く精鋭を選びに、陸遜は兵糧の準備を。それぞれ、己の仕事をする為に玉座から退室していった。残った孫策は喬玄の不安を少しでも取り除く為、出陣の時間まで声をかけるのであった。
「孫策様!あれです!!」
喬玄の案内の元、襲撃された場所に到着した孫策一行。そこには横倒しになった馬車が放置されているのみ。人が斬られた跡も、武器も、何も残っていなかった。
「周喩様、こちらに複数の足跡を発見しました」
一人の兵士が複数の人の足跡を発見。これにより、周喩の脳裏に絶望的な結果が推測として上がった。
「ふむ・・・これは、この場から離れたと見ていいだろう。おそらく、捕まってしまったと考えられる」
そう、救出対象の二人がすでに敵によって捕らえられ、敵のアジトへと連れて行かれてしまったということである。その言葉に喬玄の顔は青を通り越して土気色までに変色し、その場に膝をついてしまう。だが、そんな喬玄に周喩は容赦なく言い放った。
「何を呆けている!まだ、絶望するには早いぞ!まだ、無事な可能性もある!」
そう、まだ連れ去られただけなら無事救出することができるのだ。絶望するのは実際にその光景を見た後でいい。今は、僅かな可能性にかけて全力を尽くすだけなのだ。まだ、追跡する手段も残っているのだから。
「よし、この跡を追跡するぞ!」
周喩の号令の元、孫策達は足跡の追跡を始める。その道すがら、厳しい表情の周喩に孫策は話しかける。
「大丈夫よ、そんな心配しなくても。彼女らはちゃんと無事でいるはずよ」
「・・・何故、そう言いきれる?」
「勘よ。なぜか、そんな気がするの・・・そして、いい予感がするのよね」
「勘などという曖昧で根拠もないもので安心できるか!と怒鳴るとこなのだが、あなたの勘は良くあたるからね。不思議と緊張がいくらか解れる」
「あら?緊張してたのかしら?」
「当然よ。私だって心配してるんだから。ただ、顔に出さなかっただけ。私は軍師なのだから」
彼女も緊張していたらしい。喬玄からの話を聞き、彼女もなんとか助けたいと思っていたが、救出できる可能性が低い為、焦りを感じていた。だが、軍師の彼女が焦っていれば彼女の指揮する部隊のみならず、味方全員に動揺が走ってしまう為、彼女は顔には出さず常に冷静でいることを心がけていたのである。
「あなたって本当、損な性分してるわね」
「その役割をさせられたのは誰のせいだったかしら?」
「あっ、あんなとこに村が見えるわ」
「強引に話を変えたわね・・・それにしても、あんなとこに村があったかしら?あそこは何年か前に廃村になったのだけど・・・」
孫策が示した村こそ、一刀が長を務める村であった。そうとは知らない周喩は疑問に感じていた。そこは廃村になった村であったはずであったからだ。この辺りには近くに大きな街があったはずだが、その街が見えないことにも疑問に思う。
「どういうこと?報告が間違っていたとでもいうの?」
彼女の疑問は尽きないのである。そんな周喩の様子にお構いなしなのは彼女の親友である孫策だ。
「私の勘があそこに行けばいいって言ってるわ」
彼女は目を輝かせて言う。彼女の勘はあそこに大喬、小喬がいるとも伝えているのだ。安堵と共に好奇心が出てくる。
一行は孫策の言葉の元、前方に見える村へと向かうのであった。
「むっ!」
「喬玄、下がってなさい」
孫策達は村が目前に見えるくらいに近づいたときである。前方の上空に羽音を響かせてこちらを伺うスズメバチの群れの姿が見えた。その蜂達は孫策達が村へと近づくに連れて距離を詰めてきているように感じる。孫策達は念のためにと武器を構え、スズメバチに対処できるようにしたのだが。これがいけなかった。スズメバチは敵意ありと判断して孫策達を威嚇するように羽音を大きく響かせて毒針を出してみせる。
「何?こいつら・・・やる気?」
その蜂達の気配に気付いた孫策も戦闘意欲をむき出しに剣を取り出し、構えて見える。それに習い部下達も剣を構えた。周喩もこれはもうどうしようもないと喬玄を後ろに庇い、自分の得物を取り出す。
ブブブブブブブブ・・・・
「・・・・」
両者しばらくのにらみ合いが続いたが、その均衡が破られ両者が激突しそうな気配が立ち込めたとき。一刀が現れ、両者が激突するという事態が避けられたのであった。
これは、そんな自由奔放な王と会合するおせっかいの物語である。
「そこまで!さあ、剣を収めてください」
「あなた誰?あいにく、この状況で下げられるわけないでしょ?お断りよ」
いきなり現れて、武器を収めろといってきた少年に気を害した孫策はそっけなく言い放った。その少年、一刀は孫策の様子に怒るわけでもなく、淡々と言葉を放つ。
「武器を下げろと言っているんです」
「だから、それが出来ないって言ってんの!わからないの?」
「あなた達が攻撃の意思を持っているから彼らも威嚇するんだ。あなた達が武器を納めれば丸く収まる。さあ、武器を下げろ!」
一刀の言葉に完全に熱くなった孫策は怒りを抱く。売り言葉に買い言葉、一刀に対して噛み付いた。一刀も一刀で、頑なに自分の言葉を聞こうとしない孫策にだんだんと怒りがこみ上げてきていた。
「断る!たかが、虫如きに不覚を取る我らではない!」
その言葉は一刀の怒りに完全に火をつけてしまう。
「たかが虫?彼らを舐めるな!!」
その大きな怒りに孫策と周喩を含めた人間達は気圧された。
「お前らがどんなに強いか、達人か知ったこっちゃないがな。お前らが彼らに勝てるわけがねぇ!」
「はぁ!?やってみなくちゃわからないじゃない!」
「お前らがどんなに優れていようが人間である限り、彼らには勝てないってのがまだわからないのか!?」
一刀の絶対勝てないからやめとけ宣言に納得がいかない孫策。だが、一刀はそんな意見を一蹴する。
「お前らは四方八方360度全てから襲いかかる蜂に対処できるのか?一匹、二匹だったら、お前らでも勝てるだろうけどな。何十、何百、何千、何万と数えられないくらいの数の蜂相手にどうやって勝つっていうんだ?」
一刀は現実を突きつける。そう、孫策は両手足を合わせても4本だけ、それに連れてきた兵士の数をかけても100本にも満たない。それに対し、スズメバチは数えるのも嫌になるほどの大群なのだ。これらが一斉にかかってこられたら、防ぎきることは不可能だ。
「・・・あなたの負けよ」
「みたいね」
数分の睨み合いの末、周喩の言葉をきっかけに孫策は武器を収める。そして、部下にも命じてそれぞれ武器を収めさせた。それを見届けた一刀も一回、指笛を吹くとスズメバチは自分の巣へと戻っていくのであった。一刀本人は大きく深呼吸をして、熱くなった頭を冷やす。
「さて、わが村へ何の用です?」
「それは、此の者が話そう」
先ほどの雰囲気を一変させて一刀は笑顔で孫策達に問いかけた。それに対して周喩と孫策は一歩下がり、後ろにいた男性を前に押し出し話はこの者が話すと言う。その男性、前へと出されるのは意外だったみたいで、最初は戸惑っていたがすぐに用件を切り出した。
「此度の訪問は、わが娘を探す為でございます」
「ああ、俺は地位を持っているわけじゃないから、かしこまらないでいいですよ。ここの村の代表ってだけなんで。それで、その娘の名はなんと?」
「はい。大喬、小喬と言います」
「!なるほど・・・少しお時間を貰ってもよろしいですか?」
「はぁ、構いませんが・・・」
「ありがとうございます。少しの間失礼しますね」
一刀は踵を返し、自分の家へと向かう。そこにいる二人を連れてくる為に。そして、連れてきた結果、感動の親子の再会が実現するのである。
「「お父さん!!」」
「大喬、小喬!」
最初は親子の再会を微笑ましく眺めていた孫策だが、再会したことを確認すると一刀のほうへと向き直り、謝罪の言葉を口にした。
「ごめんなさい。最初に楯突いてしまって」
先ほどの入り口でのやりとりを謝罪した。一刀達からすれば、いきなり武装した連中がいれば村に侵略してきた賊だと勘違いしても仕方ないことなのだと、さきほどの一件から冷静に考えて導き出したのである。だが、一刀も一刀で蜂の群れから敵意をむき出しにされれば防衛の為に武器を収めにくいことは十分にわかるので、無茶を言ってしまったという負い目もあるのだ。なので、必然的に一刀も孫策達に謝罪するのであった。
「申し訳ない。こちらもあなた達の立場を考えれば無茶な要求を言ったと理解できます」
「でも、私達が最初に・・・」
「ですが、状況を完全に理解してなかった俺が・・・」
「これじゃ、平行線よ。お互い悪いってことにしてこのことは決着をつけたってことにしない?」
「それはこちらとしてもありがたいです」
というわけで、お互いに納得するのであった。
「白士殿・・・なんとお礼を申したらよいか」
「いえ、こちらとしても不愉快に思ってましたので。同じ男として情けないです」
娘達に事情を聞いたのであろう。再会を果たした喬玄は娘達の恩人に感謝の言葉を示したのである。しかし、今は手持ちがないので後日改めてお礼をするということになった。当初は拒否の姿勢をとっていた一刀も受け取らなければ逆に失礼になると言われ、了承したという背景もあるが、割愛する。
話が終わったところで喬玄は、今度は娘達に向かって話しを切り出した。
「さて、大喬、小喬。こちらがお前達に紹介しようとしていた人。孫策様に周喩様だ」
「は、初めまして。喬玄の娘で大喬と申します」
「同じく、喬玄の娘で大喬の妹、小喬と申します」
喬玄は賊の襲撃で途中になっていた目的、孫策達に娘を紹介することを果たすのである。将軍である二人を前に聊か緊張した面持ちで二人は自己紹介をする。その二人の様子に孫策達は少し笑みを浮かべて返答した。
「私は今は袁術の客将になってる孫策よ」
「孫策の軍師をしている周喩だ」
「本日から呉に引っ越すからそのつもりでいなさい」
「「えっ!?」
紹介も終わったところで、喬玄はこれから呉に居を構え孫策の加護下に入ると説明すると姉妹の表情が変わった。
「あ、あの・・・呉に引っ越すんですか?」
「そうだ。でないと、護衛も出来ないだろう?」
正論である。正論であるが、感情は別だ。姉妹はこの村の生活が気に入っていた。それが無くなるのは嫌だったのだ。村の雰囲気、活気、人の優しさ、楽しさ、居心地の良さ。あげればキリがないほどに、この村を好きになっていた。
「この村に住むってことは・・・」
「それも出来ない。今まで襲撃がなかったのはこの村は廃村だと思っていたからだ」
「「廃村!?この村が(ですか)!?」」
「ああ、知らなかったのか?」
「「今のここを見たら誰だって信じられないわよ(信じられませんよ)」」
喬玄の言葉に娘二人は驚愕した。この村が廃村だったことを初めて知ったのだ。が、今の村を見てみれば廃村と言われても信じられない程発達している為、二人はなかなか信じられなかったのだが。一刀に肯定されては信じるしかなくなるのである。
「よくご存知で」
「軍師には情報は不可欠でな。領地での情勢や周囲の状況など、様々な情報を集めていたときに、ここのことも見た覚えがあったのさ」
「そうですか。仰るとおり、ここは廃村だったので、誰もいないし好きにさせてもらいました。これがその結果です」
「すごいわね・・・廃村からここまで持ち直すなんて」
「一人でひっそりと畑を耕してもよかったんですけどね。気付いたら一人二人と人が増えまして」
孫策、周喩は一刀と村について話始める。ここで、話を親子に戻すとまだ考えている娘の答えを喬玄がじっと待っているという状況だった。二人は答えを出せず、ずっと黙ったままであったが、孫策達との会話を終えた一刀が二人に話しかける。
「二人とも、行っておいで」
「「白士(さん)」」
「喬玄さんの言うとおり、今はまだここは廃村という認識だから襲われることはないけど、これから村を発展させてしまったらそうはいかない。たぶん、今までと同じく襲撃を受けると思う。多少の数ならまだなんとかなるけど、有力な諸侯が本気できたらこの村じゃ太刀打ちできない。そうなった場合に太刀打ちできるのはその諸侯と同等な者か圧倒的な武力を誇る強国なんだ」
「「・・・」」
「二人とも、この村を好きになってくれたのは嬉しい。でも、二人の安全を考えるとこのままいると危険になる。それじゃ、今までの生活と変わらないだろう?孫策さん達のところなら完全に危険がないってわけじゃないけど、ここよりは断然安全と言えるからね」
一刀は二人をなんとか説得しようと試みていた。喬玄の娘に対しての想いを理解したからだ。祖父のことを思い出してしまい、喬玄に協力するということしか選択肢が浮かばなかった。
「それに孫策さん達は喬玄さんの恩人になるのだから、その恩を返さないとここには住めないだろ?しかも、命の恩だからそう簡単には返せないしね」
「それだったら、私達もあなたに命を・・・」
「俺はもう返してもらったよ」
「え?そんなことした覚えは・・・」
「だって、二喬と呼ばれる二人の美少女と一緒に過ごしたんだよ?男の俺にとってご褒美だろ?」
おどけた調子で言う一刀につい笑みを浮かべてしまう姉妹。それを聞いていた孫策と周喩も笑わずにはいられなかった。
「あははは。確かにご褒美よね〜。他の諸侯が聞いたら嫉妬するわ」
「ふっ、確かにそなたの言うとおりだ」
その雰囲気に姉妹もついつい折れてしまう。
「わかりました。お父さんの言うとおりにします」
「そうね」
「すまんな。大喬、小喬」
「うん。それがいい。さて、今日は皆さんこの村に泊まっていかれてはどうです?今から戻るにしても今日中には戻れないでしょう?」
大喬、小喬の二人は呉の孫策の加護に入ることに決まった。呉への出発は翌日になり、連れてきた兵は村の宿屋に宿泊し、喬玄、孫策、周喩は一刀の家に宿泊することに決まる。一行は一刀の案内の元、一刀の家に向かった。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「「ただいま〜」」
「「「世話になる(わ、ります)」」」
「あら・・・お客さんですね。ちょうどよかった。今日はたくさん作ってましたから」
突然現れた客人達に動じもせず、笑顔を浮かべながら言う管輅。その管輅の言葉を証明するように中から美味しそうな香りが漂ってくる。恐らく、占いで彼女らが来ることを見越して多く作っていたに違いない。
「ありがとね。管輅さん」
「いえ・・・」
小さく管輅にお礼を言う一刀にちょっと照れたように返す管輅であった。
〜孫策サイド〜
「ふぁ〜・・・ここどこ?」
ん〜、太陽の光を感じて目が覚めたはいいんだけど。目を開けるとそこには見慣れない光景が。どこだったかしら?あっ・・・思い出した。昨日、白士とかいう村の代表をやってる男の子の家に泊まったんだっけ。私の隣には周喩こと、冥琳がまだ眠ってる。
「おはよ〜」
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「ええ。ぐっすりとね」
「それは良かったです」
私は起き上がって部屋から出ると、そこには美味しそうな香りが漂っていた。囲炉裏っていう料理を作るところにはもう湯気を出して、ぐつぐつと音を立てている料理があった。それをかき混ぜているのは管輅という白士と一緒に住んでいる少女だ。私は白士の恋人と思っているが、本人達が否定している。信じてないけど。
「白士はまだ寝てるの?」
「いえ、もう畑にいってますよ」
なんと。もう、外に出てるってのは驚きだわ。いつもの私じゃ、まだ夢の中ってくらいだし。なんとなく手持ち無沙汰の私は管輅と会話を楽しむのであった。しばらくすると次々と起きてきて、会話に混ざってく。女三人揃えば姦しいというが、私達も例に漏れずそうなった。
「ねぇねぇ。管輅。あなたは白士のことをどう思ってるのかしら?」
「え?」
「あっ、それは私も聞きた〜い」
「私も気になります」
「確かに異性との同居だ。何か思うところもあるだろうな」
自然と人の恋愛話になっていく。もちろん、狙われるのは現在、異性と同居中の管輅だ。やっぱ気になるじゃない。管輅は私達の言葉に顔を赤く染めていく。ふふ〜ん、これは脈ありね!
「彼は、私の恩人です。あることで絶望していた私を支えてくれた、いえ、今でも支えてくれています」
「恋人のことを支えてくれる優しい彼ってわけね」
「こ、恋人というわけでは・・・」
「照れることないじゃないのよ〜」
「照れてなど!!」
管輅の反応が楽しくてついついからかってしまう私。そんな私の言葉に一々、わたわあと焦ってくれる管輅の反応が可愛いこと可愛いこと。そんなことをしていると白士が帰ってきたらしい。
「ただいま〜」
「お帰りなさい。ご飯はもう出来てますよ」
「おっ、ありがとうね。孫策さん達は?」
「起きてこられました」
「あ〜、完全に夫婦の会話じゃない?これ・・・」
「私もそうとしか聞こえんな」
私の言葉に隣にいた冥琳も頷く。さっきまであんなに必死に否定していてこの光景、説得力なさ過ぎじゃないかしら?私達の呆れた視線に気付かないまま、朝食を食べることになるのだった。
「あっ、おかわりいりますか?」
「お願いできる?」
「はい。・・・どうぞ」
「ありがと」
目の前に広がる光景は何?私には甲斐甲斐しく夫の世話をする妻にしか見えないのだけれど。疲れてるのかしら?隣を見ると、そちらを見ないようにして食べ続ける冥琳と、羨ましげに見つける大喬、小喬の姿と昔を思い出してる喬玄がいた。錯覚じゃなかったみたいね。そんな光景を食事が終わるまで終始見せ付けられた。べ、別に羨ましいとか思ってないわよ?
「あなたの村の生活を見せてもらえるかしら?」
朝食の後、気を釣りなおした私はなんの脈絡もなくそうのたまった。廃村から立ち直ったという村はどういう生活をしているのか。復活した村の政策を自分の領地に活かすことが出来ないかという思惑があったからだ。私の突然の申し出に白士は笑顔さえ浮かべて承諾してくれた。
「あれ?畑に行くんじゃないの?」
「うん、でもその前に・・・出ておいで」
白士の案内の元、街の視察に向かう為外に出た私達だったが、外に出た途端に別の小屋に向かってしまう。私はそんなことはいいから、早く視察にいきたかったのに。と不満に思ったんだけど・・・すぐに気持ちが変わったわ。だって、あんなに可愛い子達がいたんですもの。
「何やって・・・可愛い!」
その可愛いものの正体はね・・・カモよ!
「全員いる?点呼!」
「クワ!」
「クワワ!」
「クワワワ!」
「クワン!」
「グワ!」
白士の後ろをちょこまかとついていく5羽のアイガモが出てきたのよ。その愛くるしい姿に私は一瞬で虜になっちゃったわ。くれないかしら?
「長〜!」
「あ〜!おさだ〜!」
「カモちゃんたちもいる〜」
アイガモを引き連れた白士に村人が集まってくる。へぇ、村人に人気ね〜。片方ずつにそれぞれ一人の子供をぶら下げて歩く白士を見て、私はふと思った。それだけで、彼がどれだけいい人で村人に慕われているかがわかってしまう。大喬、小喬はいい人に助けてもらったんだなぁと。
「よし。アイガモ隊!出撃!!」
「「「「「クワワ!!」」」」」
一斉に田んぼの中に入るカモちゃん達。や〜ん、やっぱり可愛いわ。この子達。冥琳に頼んで飼わせてもらえないかな?
「んじゃ、帰ってくるまでしばらく時間あるし。村を案内するよ」
「お願いするわ」
それから白士に案内してもらって、今我が軍師に報告をしている。我が軍師殿は目を閉じて少しの間考えるそぶりを見せると一言。
「ふむ・・・」
と呟いた。どうやら、私と同じ結論に達したらしい。この村は小さいながらも活気があっていい。何より、村人同士が協力し合って良くしようとしている。そうすることで何倍もの力になって、村を活性化させているのだと。見てよかった。私はつくづく思った。でも、そう簡単に真似できることではなかったんだけど。まぁ、これからの私達の頑張り次第よね。
「まぁ、詳しいことは戻ってからね」
「そうだな。穏や亞莎も交えて話し合いをもったほうがいいだろう」
それから私達は喬玄とその娘である大喬、小喬を連れて呉へと戻ることにした。
「「お世話になりました」」
「楽しかったよ。向こうでも元気でね」
「いつでも遊びにいらしてください。歓迎しますよ」
「「はい!白士(さん)、管輅さん。ありがとう(ございました)」」
二人は笑顔で白士達に別れを告げた。でも・・・。
「うっ・・・ぐす」
「お姉ちゃん。また会えるから泣かないで・・・ぐす」
「でも、寂しいよ・・・小喬ちゃんもそうでしょ?」
「うん。短い間だったけど、本当に良くしてもらったもんね」
二人は白士達の姿が見えなくなると涙を流したのよ。笑顔で別れを言おうって決めてたのね。でも、姿が見えなくなって我慢できなくなったみたい。本当、いい人達だったみたいね。
「なんだか、私達って悪者みたいね」
「仕方ないさ。後からしゃしゃり出てきたモノだしな」
苦笑して隣の冥琳に言うと、冥琳も肩を竦めながら苦笑していた。これは相当頑張らないと彼らに勝てそうにないわね。これからのことを思い、乾いた笑いを浮かべる私でした。
〜孫策達が帰った後〜
「いい人達だったね」
「白士はあのような人が好きなのですか?」
「ん?何か言った?」
「・・・なんでもないです」
管輅は自分の胸に手を当てて、ため息をつくのであった。
お久しぶりです。
連日の猛暑いかがお過ごしでしたでしょうか?
暑さで熱中症になってませんか?
夏ばては?
そうですか。
さて、今回の更新なのですが・・・
やっぱり二人は呉へと引越してもらいました。
このまま残って一刀の侍女にするって案もあったんですけどね。
理由は作中にある一介の村でしかない為、防衛能力に問題があるからってことに。
お父さんの気持ちの現れです。
最後の管輅さん。
決してツルペタではありません。
ちゃんとふくらみはあります。
でも、普通です。
ハムさん並です。
誰かに書いてもらいたいと期待するネタ
可憐な乙女〜♪
ちょうせんちゃ〜〜〜〜〜〜〜ん!
「どぅふふ。みんなの視線を釘付けにしちゃうなんて。私ってなんて罪なお・ん・なん♪」
健気な淑女♪
ひみこちゃ〜〜〜〜〜〜〜ん!
「ガッハッハッハ。そんな本当のこと言われたら照れるわ!」
みんなの勇者!
かださ〜〜〜〜〜〜〜ん!
「うおおおおおおおおお!どんな病気も俺が治してやる!!げん・・・きに!!名ああああああああああああれええええええええええええええ!!」
「うほっ!うほっ!うほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
調子にのったかもしれない・・・
でも、反省も後悔もしてないんだ。
説明 | ||
お久しぶりです。ようやく完成しました。 スランプというわけではなく、ちょっと私生活が大変で。後、連日の猛暑で集中力低下、長時間PCの前に座っていられないことがあり、執筆速度が低下してしまいました。 でも、作品は書き続けているのでご安心下さい。 |
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やっぱり雪蓮良いなぁ。(readman ) ちんまいアイガモ達がチョコチョコと・・・ほわ〜癒される^^せっせと飛び回る蜂達といい、動物(虫?)王国の誕生も近いか?w(深緑) アイガモ1匹増えてませんか(gge4256) 「御衣」じゃなく「御意」です。(龍々) SERAPH様 アイガモ短編ですか・・・難しいですけど。やってみますか。いつになるやらわかりませんが。(びっくり) アイガモめちゃかわいいwwアイガモの短編あったらみてみたいw(SERAPH) だめぱんだ♪様 なるほど。発展ですか・・・ 妻っぽいですねw(びっくり) 5P村の「発達」は「発展」の方がいいように感じます。いやはや管輅が妻になってるとは想像もできなかったw(だめぱんだ♪) シクルレイ様 最後のアイドル化したちょうせん達にトキメいてしまったのですか?(びっくり) 最後の自分の胸を見てため息を吐く管輅・・・不覚にも想像してトキめいてしまった(シクルレイ) boss様 エエ?ヒドイデスカ?トッテモステキデショウ?アイガモ隊は可愛く仕上がったかと我ながらに思いますw(びっくり) 9Pがひどいwww そしてアイガモ隊かわいいww(boss) 2828様 アイガモの卵は複数ありましたので。村は人材不足なのです(びっくり) jackry様 妥当な判断かと。アイガモ・・・おいしゲフンゲフン。可愛いですねw(びっくり) みっちー様 そうですね。寂しいですね(びっくり) おやっと?様 え?熱くなりませんでした?それか胸がキュンとか?(びっくり) future様 この時代にファスナーはないのでボタンを一つずつ外して・・・(びっくり) ZERO様 でも、一刀みたいに懐かれなくて癇癪起こすんですねw(びっくり) 1p御衣→御意 かな? アイガモ出てきたらすでに部隊ww大工は出番なかったなw(2828) 合鴨の親子って可愛いっすよね〜。このご時世なかなか見れませんが^^;(みっちー) 8Pまではいい話だったのに9P見てなえたwww次回も期待してますよw(おやっと?) やべえ、最後のネタで阿●さん思い出したwwww(future) 呉でアイガモがブームになるかも。(ZERO&ファルサ) hall様 確かに不自然だったので前話を若干修正しました。(びっくり) ほわちゃーなマリア様 この作品の菅輅は微笑ましい感じがあってると思います。うほっに反応するとは・・・書いてくれるってことですか?(びっくり) 出雲猫様 まさかの二喬越えwwwいえ、それよりも冥琳のほうに心惹かれてますw(びっくり) 闇羽様 もってっちゃいましたか!?予想外ですw(びっくり) 長い猫様 それっぽく書いてみました(びっくり) とんぷー様 蜂のことも忘れないでくださいw(びっくり) 前回の最後は村人が一刀を「客が来た」と言って呼んだはずなのに、この始まりは不自然では?(hall) ここの癒しキャラはアイガモ隊ですねwそして、菅輅の胸を触るなんて・・・可愛い嫉妬ですねwそして、最後のネタ・・・うほっ!に吹いてしまいました。(ほわちゃーなマリア) 傾国のアイガモ隊。 二喬より孫策を魅了してる気がする(出雲猫) アイガモ隊が全部もって行きましたねw(闇羽) 管輅と一刀が新婚っぽいですね^^(長い猫) 真のヒロインはアイガモ隊だ・・・。(とんぷー) |
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