るーこの夕食会
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 るーこが俺のために夕食を作ってくれる……この言葉をるーこから聞いたとき、俺は何かの冗談か、はたまたタマ姉の悪戯か何かと思った。

 だってそうだろう?このみやタマ姉ならいざ知らず、るーこが俺の家に来てご馳走を振舞うなんて(ご馳走とは言ってないけど)、夢にも思わないからな。

 しかしるーこの奴は本気だったらしく、俺の家に押しかけてくるや、キッチンを占拠してしまった。

 しかも「るーが呼ぶまでうーは部屋から絶対出てくるな」と念の入れようで、おかげで俺はトイレに行くことすらままならない。

 なにが悲しくて自分の家で監禁状態にならなきゃいけないんだ?

 まったく、料理を作ってる姿見るななんて…………これじゃあまるで、鶴の恩返しだな。

 るーこが鶴で、俺がおじいさん。

 るーこは今までの恩返しに、俺に手料理を振舞ってくれましたとさ。

 ……ってことはもし今、俺がキッチンを覗いたとしたら、るーこは空の向こうのるーの星に帰ってしまうのか?

 ……やめとこっと。別に、るーこがいなくなると寂しくなるとかじゃないけど、なんとなくしちゃいけないような気がするからな。いや、ホントに。

 しっかしるーこの奴、一体いつまで待たせる気だろう?もうかれこれ1時間も待たされているんだが……

「るー」

 まるで俺の心を盗み見ていたかのごとく、タイミングよくドアが開かれ、るーこが現れた。

「待たせたな、うー。部屋から出るがいい」

「出るがいい……って、ここ俺の家なんだけど」

「細かいことは気にするな」

 全然細かいことじゃないんだが……まぁこの際、気にしないでおくことにしよう。

 ここでるーこの機嫌を損ねることはないもんな。

 というわけで、俺はるーこの作った手料理に期待を胸に膨らませつつ、部屋を出た。

 

 るーこの作った料理は、一体なんだろう?

 何しろるーこはグルメだ。初めて作ってもらったアレは参考外として、簡単なものでも結構おいしかった。

 ここの生活にも慣れてきた今度なら、もっと手の込んだものを作ってくれたに違いない。

 さてさて、一体どんなおいしいものが運ばれてくるのやら……

 そして俺は、実際に運ばれてきたものを目の当たりにし、思わず言葉を失った。

「…………」

 俺はてっきり、フランス料理のフルコースとか、懐石料理とか、るーこの故郷の郷土料理とかが出てくるもんだと思っていた。

 しかし目の前にあるお皿には、エビフライ、ハンバーグ、それからアスパラ?後はチャーハンがのっている。しかもチャーハンの上には旗が立っているし。

 俗に言う、お子様ランチってやつじゃないかこれ?

「うーのために作った。さぁ、喰らうがいい」

 るーこは大真面目な表情でるーのポーズをとっている。

 ああ、はいはいわかりましたよ。どーせ俺はお子様ですよ。

 こんなことなら「るーこを食べたい」って冷やかしでも入れときゃよかった。

「そんじゃあ、いただきます」

 俺は複雑な気分でるーこの手料理を味わうことにした。

説明
ToHerat2のるーこの物語。るーこが家に遊びに着て、恩返しするとしたらどんな感じになるのか想像して書いてみました。
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