真・恋姫†無双異聞 |
真・恋姫†無双異聞
第零話 One more time,One more chance
第二章
熱いシャワーが、一刀の意識を覚醒に導いていく。
こちらの世界に戻ってきて唯一の喜ぶべき点は、熱いシャワーと風呂を好きな時に好きなだけ使えると言う一時に尽きた。
最も、愛する人々と共にある幸せを天秤にかける程ではある筈も無いが。
今現在、自分が置かれている状況にささやかな幸福を見出す位は、罪にはなるまい。
『あなたが、この外史を救うにたる力を得る事が出来たなら、その時は・・・・・・』
必ず連れ戻す、と、あの筋肉ダルマは確かに言った。
時の最果てと呼ばれる、あの場所で。
『前に進むが良い』
不思議な老人は言った。
『クロノトリガー(時の引き金)となりうる資格があったればこそ、お主は外史に引き寄せられたのだから。天より与えられたその器を磨かくのじゃ。おぬしの宿星、黄龍とは、その宿命を持って因果を断つ星ぞ』と。
とは言え、“前に進む”為のけじめをつけるのはそう生半な事ではなかった。
寮の自室で目覚めてから暫らくの間の生活は、自分を取り巻く全てのものに彼女達の面影を見出そうとする自分との闘いだった。
ブティックのショーウインドウを見ては、あれを贈ったら桃香は喜んでくれるだろうかとか、[世界の絶景]などと言う旅行番組を見ては、愛紗をあそこに連れて行ったらどんな顔をするだろうなどと考え、コンビニエンスストアに並ぶ色とりどりの中華まんを見ては、鈴々や恋がそれを口いっぱいに頬張る様を思い描いた。
その他にも、例を挙げれば暇が無い。
目に見えるあらゆる場所に、朱里が、雛里が、星が、翠が、蒲公英が、紫苑が、璃々が、桔梗が、焔耶が、月が、詠が、音々音が、白蓮が、袁家の連中が、魏や呉の少女たちが居た。
それでも、一刀の心が壊れずにすんだのは、“進まねばならない”と言う強迫観念じみた思いがあったからだ。
前に進んでさえいれば、いつか必ず彼女達の手を、白昼夢や幻ではない、あの暖かい手を握れる時がくるのだと信じたのだ。
そう、願うのでも、望むのでもなく、ただひたすらに、信じたのだ。
説明 | ||
投稿二作目になります。まだ見習いの為、小出しになる事をご容赦下さい。尚、ダグの魔人学園に関しては、主人公の設定の一部を参考にしているのみであり、キャラクター等は登場しませんので、あしからず。クロノトリガーからは、クロノトリガーと言うワードと時の最果ての設定、及び、時の賢者ハッシュ(謎の老人)のみ登場します。 | ||
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真・恋姫†無双 愛紗 詠 月 貂蝉 東京魔人学園 クロノトリガー 時の賢者 | ||
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