真・恋姫無双 幻の浴衣美人
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 「また?」

 

 「はい。昨晩も目撃されたそうです」

 

 一刀に報告をする一人の兵士。

 

 「で、やっぱり顔はわからないんだ?」

 

 「はい。ただ、北郷様のおっしゃったとおりの服装には、違いないそうです」

 

 「そっか。わかった。報告ご苦労様。下がっていいよ」

 

 「は!」

 

 敬礼して部屋を出る兵士。

 

 「ふう・・・」

 

 椅子にもたれかかり、大きく息を吐く一刀。

 

 

 じつはここ最近、一刀の都にひとつの噂が流れていた。

 

 夕方から夜半にかけ、町の中心を走る大通りのあちこちで、目も眩むような美人が目撃されているらしい、と噂されていた。。しかも、その人物はこの国にはない、不思議な衣装を身に纏っているとの事だった。

 

 その衣装の特徴を聞いたとき、一刀は椅子から転げ落ちるほど驚いた。

 

 「・・・この世界で、俺以外にあれを知ってるとなると、どっかの筋肉だるまぐらいのはずだけど、その人物は間違いなく女性だって事だし・・・。いやまあ、美人だから気になるとか、そういうことでは決してないんだけど」

 

 誰もいないのに一人いいわけめいたことを言いながら、いろいろな可能性を一刀は考えてみた。だが、あの衣装のことを話した人物となると、たった一人しか思い浮かばなかった。

 

 「・・・よし!」

 

 おもむろに椅子から立ち上がり、部屋を出る一刀。

 

 

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 「あの衣装?あれなら確かに作ったのー。でも、出来たその日に買い取られたのー」

 

 「誰が?」

 

 沙和の部屋兼、デザインルームを一刀は訪れていた。

 

 「それは言わない約束で売ったのー。だから、隊長でも教えるわけにはいかないのー」

 

 そういってそっぽを向く沙和。

 

 「・・・そう。じゃあ、しょうがないか。・・・うん、しょうがないな。新しいデザイン画はまた今度って事で」

 

 ぴくっ!!

 

 一刀の台詞に反応する沙和。

 

 「結構渾身の一作なんだけど、仕方ない、あー残念」

 

 わざとらしく言う一刀。

 

 「うー、隊長の意地悪!!・・・沙和がばらしたこと、黙ってて欲しいのー」

 

 「わかってるって。・・・で?」

 

 「・・・(ぼそ)さんなの」

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・うそ」

 

 沙和の口から出た名前に、あっけにとられる一刀であった。

 

 

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 その日の夜。

 

 大通りを歩く人々の間を、一刀は周囲に目を配りながら歩いていた。

 

 「噂じゃ、このあたりでよく見かけるらしいけど、・・・どこにいるのかわかんないな」

 

 見渡す限りの人、人、人。

 

 ちょうど今は、夏祭りの真っ最中。他の将たちはあちこちの警備で忙しく、手が離せない。その為、一刀は一人で件の人物を探しに出ていた。

 

 「・・・けど、どー考えても、イメージと合わないんだよなあ・・・」

 

 おそらく噂の人物は、一刀が今探している人物のことだろう。しかし、普段の姿や言動からはまったく想像がつかなかった。

 

 そこまで思考したとき、一刀は一人の女性とすれ違った。

 

 その服装は、件の”それ”だった。

 

 「・・・ちょっ!まっ、待って!!君!!」

 

 一刀がその女性に声をかけると、女性は一瞬振り向き、二人の目が合う。

 

 「!!!!!!」

 

 その瞬間、女性は突然走り出す。

 

 「くそ!何も逃げなくていいだろ!!」

 

 後を追い、駆け出す一刀。

 

 

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 城壁の上、楼閣の近くに彼女はいた。

 

 「・・・・・・・・・」

 

 肩で息をしながらも、一刀はようやく女性に追いついた。

 

 「・・・・なんで逃げるんだよ。てか、その格好で良くそれだけ走れるもんだ。さすがってとこかろな?」

 

 さらに近寄ろうとする一刀。だが、

 

 「こ、来ないでくれ!!」

 

 「え?」

 

 一刀を制止する女性。一刀も思わず足を止める。

 

 「頼む、お願いだから見ないでくれ!こんな、こんならしくない姿の私を!!」

 

 そう、なみだ目になって懇願する女性。

 

 「き、気の迷いだったんだ!!こ、この姿になれば、私なんかでも、お前の気を引けるんじゃないかとか!!お前を独り占めしてみたいとか思うなど!!私は、私は・・・!!」

 

 早口で、女性がそこまで言った瞬間、

 

 ひゅるるるるるる・・・・・どおーーーーん!!

 

 ぱあっと、花火が上がり、その輝きが女性を照らし出す。

 

 「・・・・・・・・・・」

 

 「・・・・な、なんだ?そんな、大口を開けて」

 

 花火の光で照らし出されたその女性を見た瞬間、一刀は思わず見惚れてしまった。そう、淡い紫の”浴衣”を身に纏った、その姿に。

 

 「綺麗、だ・・・・」

 

 一刀の口から、思わず漏れる一言。

 

 それを聴いた瞬間、女性はボッ!と、顔を真っ赤にする。

 

 「ば、ばかな事を言うな!!私なんかのどこが・・・!!!」

 

 顔を背ける女性。その彼女に、一刀が近づき、そして、

 

 「!?」

 

 ぎゅっ、と抱きしめた。

 

 「ほ、北郷・・・・?」

 

 「とっても綺麗だ・・・この世のものとは思えないくらいだよ・・・華雄」

 

 どどおーーーーん。

 

 二発目の花火が上がり、二人を照らし出す。

 

 「北、郷・・・」

 

 「俺のために、これを着てくれたんだ。とってもうれしいよ。・・・よく、似合ってる」

 

 「北郷・・・・」

 

 「一刀、って呼んでくれないの?」

 

 「!!・・・・・かず、と」

 

 「華雄・・・・・・」

 

 三発目の花火が上がる。その光が映し出すのは、一つに重なる二人の影。

 

 

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 その日、一刀は華雄と夜遅くまで、ともに祭りを楽しんだ。

 

 

 

 

 次の日、それを聞きつけた面々に毎日交代制で付き合うことになったのは、また別の話である。

 

 

 

 もちろん、全員が浴衣装備だったのは、言うまでもないことであろう。

 

 

 

 〜完〜

 

説明
夏祭り参加用SS、第二弾。

都で夜な夜な目撃される、なぞの美女。

果たしてその正体は?
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コメント
また かゆうま さんとは。。(qisheng)
こういう事に積極的に動く華雄も可愛いですね^^b(深緑)
おやっとさま、ぬお?!ここにも人攫いが!!逮捕じゃー!!(狭乃 狼)
kureiさま、私も待ったく同意見・・・?ちょ、華雄待て!!話せばわか・・・!!(狭乃 狼)
とんぷーさま、なんてすばらしいことを・・・!!いい!!いいねー。(狭乃 狼)
天覧の傍観者さま、関平さま、描けるものなら描きたい!!でも私にはできない・・・−−;誰か代わりに描いてください!!(狭乃 狼)
東方武神さま、よし、奪い返す!!待ってろ華雄!!(狭乃 狼)
kashinさま、永遠のヒロイン、それが華雄!!(狭乃 狼)
sink6さま、水上桜花さま。どっちにあげません!!人攫いは逮捕じゃー!!(狭乃 狼)
おまいらおちつけってw華雄さんはもうおれがもらってったぜwww(おやっと?)
実際の話、長身・細身・胸がちry(ごめんなさいorz)華雄は浴衣姿は相当絵になる体系のはず!w華(kurei)
よーぜふさんが膝枕なら、俺は耳かき追加で。(とんぷー)
いいっすね〜、私の頭の中では『絶世の美女像』が完成しております!!それに花火に彩られる華雄。say様!どうか作画を!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(天覧の傍観者)
フフフ・・・。華雄は誰にも渡さんぞ!!(東方武神)
やっぱり華雄さんは我らのヒロインでっせぇ(kashin)
sink6さん。持ち帰りなどさせません!ここは私が美味しく頂いて、うわ、なにをするy(水上桜花)
ほうほう、浴衣を着た華雄さんか・・・わたしがお持ちかりしますね。ではっ!(sink6)
よーぜふさま、華雄の膝は僕のです!あげません!!あ、よせ、やめr・・・!!(狭乃 狼)
320iさま、そんなにはしゃいで^^。・・・うれしい?(狭乃 狼)
なんだ、華雄姐さんか・・なんだと!? すばらしいじゃないか・・・ ちなみに個人的には、縁側で浴衣華雄姐さんに膝枕してもらって昼寝したいです(ぇ(よーぜふ)
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