真・恋姫?無双 魏国獣耳騒動顛末記 一刀編 中 |
子犬になってしまった一刀。
真桜と沙和に凪と遊んでいるところを邪魔されたため、城からの逃亡を図ってしまう。
そして華琳の一言で一刀を一日自由にできる権利を得るために、一対多数の鬼ごっこが始まった。
先手を切っていたのは春蘭と季衣だった。
春蘭がちび一刀の最後の一言(?)を挑発と取ったために、一番に広間を出てちび一刀を追いかけている。
そのため、春蘭と季衣はその視界にしっかりとちび一刀の姿を捕らえていた。
「待て〜い!!北郷〜!!」
「兄ちゃん待って〜!って今、兄ちゃんじゃ無いや…」
春蘭は憤怒の顔でちび一刀を追いかけ、季衣は若干どうでもいいことを考えている。
逃げるちび一刀はあの体でなかなかすばしっこい。
それもそのはず、今ちび一刀は“犬”なのだ。
その足の速さは犬そのものだった。
だが、追いかけるは魏武の大剣。徐々にその差を縮まっていた。
その距離は手を伸ばせば届くほどに。
「よぉし!!捕まえたぞ!!」
春蘭は距離を一気に縮めた瞬間、ちび一刀に飛びかかる。
だが、
その瞬間、ちび一刀は急に向きを変えた。
飛ぶ春蘭の体の下を通って反対側に回り込む。
「何!?…ってぶぎゃ!!」
「春蘭様!?」
春蘭は突然方向を変えた一刀に釣られ、受け身を取れずに顔面からつっこんでしまった。
「春蘭様、大丈夫ですか!?唇、切れちゃってますよ…」
「つうぅ…北郷の奴〜「ワン!」って北郷!キサマぁ…」
春蘭は顔を赤くして痛そうにしていると目の前にちび一刀が現れた。
ちび一刀は心配そうな表情で春蘭を見つめる。
「(じー…)」
「あう…///」
「春蘭様?」
春蘭は下から心配そうに見つめる表情のちび一刀を見ているとだんだんさっきまでの怒りが収まってしまう。
目の前のちび一刀に怒りをぶつける気が失せてしまったようだ。
(かっ可愛い…///。くっ、北郷め…!///)
元々春蘭は動物を好きな性格。
だが普段、動物が春蘭を怖がってしまいなつかず近寄っても来ない。
今の一刀の姿はまさに動物そのもの。
春蘭には効果抜群だろう。
春蘭は恐る恐るちび一刀の頭に手を乗せ撫でる。
ナデナデ…
「くぅ〜ん♪」
「はぁ〜…可愛い…///」
「ああ〜春蘭様いいなぁ〜、ボクも〜!」
春蘭は一刀ではあるが、動物(?)の頭をなでられたことに顔を破顔させる。
ちび一刀は撫でられ、嬉しそうに尻尾を振って耳をせわしなく動かす。
そんな仕草に春蘭はますます心を躍らせていく。
すると、頭を撫でられているちび一刀が春蘭を見つめだした。
「(じー…)」
「…北郷?ど、どうしたのだ///?」
春蘭は自分を見つめるちび一刀に問いかける。
するとちび一刀は何も答えず、そのまま顔を春蘭に近付けだした。
「北郷ッ?ちッ近い…///」
春蘭は次第に近づくちび一刀に顔を真っ赤にする。
ちび一刀はそのまま顔を近づけ…
「(ぺろ!)」
春蘭の唇を舐めた。
そこは先ほど顔を床にぶつけたため、血がついて赤くなっていた。
その距離はほとんどゼロ。
春蘭達にはキスと大して変わらない。
「ッッッッツ!!!///」
「ああ〜!!」
ちび一刀からしたら怪我をしたら舐める、という感覚だっただろう。
「わう♪!!」
ちび一刀はそう一言鳴くと走り去っていった。
「…///」
「…春蘭様?」
「きゅう…」
「ああ!春蘭様〜!?」
春蘭は不意打ちだったせいか顔を真っ赤にし、頭から煙を出しながら気絶してしまった。
そんな中。
気絶した春蘭と季衣を物陰から見ている姿があった。
「むぅ、姉者がやられたか…」
「春蘭様、いいなぁ…」
秋蘭と流琉の二人だ。
二人とも春蘭がちび一刀にキスをされたことを(キスではないが)羨ましそうに見ている。
「それにしても…」
「秋蘭様?」
「顔を赤くしてうろたえる姉者…可愛かったなぁ///」
「あはは…って秋蘭様!兄様が!!」
二人の前をちび一刀が駆け抜ける。
ちび一刀は二人に気付くことなく走り去ってしまった。
「よし…追うぞ、流琉!」
「はい!」
すぐさま、二人は走るちび一刀の後を追いかけた。
二人は先ほどの春蘭のように全力で追いかけようとはせず、じっくり攻める方法に出た。
相手はすばしっこい、ならば油断を待って捕獲しようという腹だ。
「流琉!一刀を見失うなよ!」
「大丈夫です!」
目の前を走るちび一刀は角を曲がる。
すると秋蘭がハッと気づいたようにつぶやく。
「こっちは、厨房の方か…」
「秋蘭様?」
「そうだ!流琉、餌を使って釣るぞ」
「厨房…餌…」
流琉は秋蘭の言葉に首をかしげる。そして気付いた。
「成程…わかりました!先回りします!」
「頼んだぞ」
流琉はそう答えると秋蘭と二手に分かれた。
「すいません!火、借ります!!」
流琉は近道をして厨房にたどりつく。
そこでは朝餉の準備をしていた侍女たちがいた。
流琉はカマドの前に立つと準備に取り掛かる。
そして、流琉はあっという間に炒飯を作ってしまう。
その時、
「わん!」
「流琉!行ったぞ!!」
その声に振り向くと、ちょうどちび一刀と秋蘭の姿が見えた。
ちび一刀は厨房から見える中庭を走り回っていた。
侍女たちもその姿を確認すると黄色い声をあげだす。
「あの子何?北郷様にそっくり〜!」
「きゃー♪可愛い〜!」
(しまった…今の兄様は危険です…!)
いろんな意味で。
「皆さん!申し訳ありませんが下がってください!」
「ええ〜なんでですかぁ!」
「いいから!お願いします!」
侍女たちは不満げな顔するも、黙って部屋を出ていった。
このままでは侍女たちが障害になると判断したようだ。
単純に言えば、敵を増やしたくないだけだが。
そして、準備が整った流琉は秋蘭を呼ぶ。
「秋蘭様〜!!準備完了です!」
「よし…!」
そして厨房から出た流琉は作った炒飯を持って出る。
「兄様!ご飯ですよー!」
「わう?クンクン…」
ちび一刀はその匂いをかぎ取ると一目散に流琉の元へ駆けつける。
「わう!」
「はい、ご飯ですよ」
「がうがう…!」
ちび一刀は流琉の前に置かれた炒飯を勢いよく食べ始めた。
その後ろから肩で息をする秋蘭が来る。
「よし…。良くやったぞ、流琉」
「えへへへ…。それにしても…可愛いですねえ///」
「うむ…///」
二人の視線の先にはおいしそうに炒飯を食べる一刀がいる。
そんな姿を二人は眺めていると、
「あー!?一刀、おったぁ!」
「…はっ!?」
「この声は…霞か!」
顔をあげると城の塀の上に霞が立っていた。
「なんや、一刀飯食べとるんかい…ちょろちょろ走り回らんなら好都合や!」
「ちッ…そうはさせんぞ!」
霞は塀の上から飛び上がり、一気に距離を詰めてくる。
対して、秋蘭は向かってくる霞に愛用の弓で矢を放つ。
ヒュン、ヒュヒュン!!
「そんなんあたらんわ!!」
キン!
霞は手にした飛龍偃月刀を振るい、矢をはじく。
どうも、この距離では秋蘭の弓は不利のようだ。
「クッ…!」
迫る霞。その距離はさらに近くなる。
すると秋蘭は近くにあった棒を手にした。
「秋蘭様!?」
「あまり慣れてはおらんが…!」
「へぇ…秋蘭が長物かぁ…おもしろいやん!!」
秋蘭はこの場で弓を不利と判断したのか、棒を手にして霞に立ち向かった。
霞は遠慮なく手にした飛龍偃月刀を振るう。
秋蘭は手に持った棒でそれを払った。
その腕前は普段、弓を使っている者とは思えないほどだ。
ガキン!!
「チッ…!」
「やるやんか…!秋蘭も弓ばっか使わんでこんなんも使えばええのに…!」
「私が前に出ると、姉者の出番が減るだろう…!」
「成程…!うらあぁぁあ!!」
ガキイィィィン!!
この場に互いの武器がぶつかる音のみが響く。
霞は秋蘭の棒を破壊しようと力技で向かう。
対して、秋蘭は棒を破壊されないよう注意しながら流れるように振るう。
二人の動きはまるで舞のように、とても美しいものだった。
「ほへ〜…」
流琉は秋蘭と霞の戦いをただただ、見つめるだけだった。
とその時、流琉は自分に向けられる視線に気付いた。
「ん?…兄様」
ちび一刀が流琉をじっと眺めていた。
「兄様?どうしたんです…ってきゃああ!?」
「…流琉!?」
「なんや!?」
流琉の悲鳴に秋蘭と霞が流琉の方を向く。
なんと、流琉はちび一刀に押し倒されていた。
「兄様…?ってむう!!?///」
「北郷!?」
「あああ!!?」
二人の視線の先で行われた行為。
ちび一刀が流琉にキスをしていた。
ちび一刀はそのまま流琉の口元を舐めまわす。
「ぺろぺろ…」
「ちょっ…兄、さま…ダメ…!///」
流琉は顔を真っ赤にし、されるがままになっていた。
秋蘭と霞はそれを見ると同時に流琉の元へと走る。
だが、ちび一刀はそれに気付くと、
「何!ってきゃあああ!?」
「秋蘭!?」
今度は秋蘭に飛びかかった。
突然のことにめったに悲鳴をあげない秋蘭が悲鳴をあげた。
ちび一刀は秋蘭を押し倒すと尻尾を激しく振る。
まるで「遊んで〜!」と言わんばかりに。
ちび一刀はしばらく秋蘭を眺めると、顔を近づけ…
「クッ…北郷、やめむぅうぅ!?///」
「あああー!?」
今度は秋蘭にキスを始めた。
流琉と同様、キスから舐めまわしへのコンボだ。
「ああぁもう!一刀やめんかい!って今度はウチ!?///」
止めに入った霞を押し倒しそのままちび一刀は流琉、秋蘭と以下同文。
それから…
「秋蘭様、兄様が逃げちゃいました…///」
「そうか…///」
「一刀、激しすぎや…。腰、抜かしてもうた…///」
結局、三人はちび一刀の激しい攻撃に屈してしまいちび一刀もその場から居なくなってしまった。
秋蘭達がちび一刀のキス(?)よって動けなくなっている頃、ちび一刀は街へと出る門のほうに来ていた。
今の彼は何も知らない無垢な子供の様なもの。
彼の目に映るものは物珍しく、ただ好奇心の赴くままに走り回っていた。
そして門の先には彼の興味を引く物が広がっていた。
そんなちび一刀を遠目から見つめる姿があった。
「ふむ〜…風達じゃお兄さんと追いかけっこしても追い付けませんし…どうしましょうか?稟ちゃん」
「そうですね、ここは策を用いたいとこですが…」
風と稟だ。
二人はちび一刀に見つからないように物陰に隠れて動いている。
「むしろ正攻法はどうでしょう?」
「正攻法?」
「はい、今のお兄さんは子犬も同然。遊んであげればいいのですよ〜」
「なるほど…確かにそれが良いでしょう」
「では呼びますよ〜…お兄さ〜ん」
「わう?」
呼びかけられたちび一刀は首をかしげながら声の方を向いた。
彼の目に二人の姿が映る。
二人に向けられる目は「遊んでくれるの?」と語っている。
「うう…///」
「おや〜稟ちゃん顔赤いですよ〜?」
「そっそんなわけは…///風だって赤いですよ!」
「まあ、あんな顔されちゃいますとね〜///」
風は稟の顔の赤さを指摘するが自身も顔が赤くなってしまっている。
ちび一刀は少し辺りを警戒すると二人の方に向かう。
「わん!」
「おぉ〜よしよし」
「本当に子犬ですね…」
風は自身の前に座ったちび一刀の頭を撫で出した。
その手際は慣れたもので、ちび一刀は気持ちよさそうにに目をつむる。
「…」
「稟ちゃんもどうですか〜?可愛いですよ〜」
「そっそうですか?ならば…」
風に促され稟はちび一刀の前に座る。
そして、恐る恐るちび一刀の頭に手を乗せる。
その手に感じるのは子供特有の柔らかい髪の感触。
稟はその感触を楽しむかのように撫でまわす。
(ちょっと…気持ち良いですね)
ナデナデ…
「わう〜」
「…一刀殿は子供の頃もこんな感じだったのでしょうか」
「どうでしょう…まあ今は子犬ですからね〜」
風はちび一刀の頭に生えた犬耳を見てそう答える。
頭に生えている犬耳は頭を撫でられるたびにくすぐったそうに動いている。
「可愛いですね〜…」
「ええ…ホントに」
しばしの間、三人は木陰で平和な時間を過ごした。
ちび一刀はさっき炒飯を食べたせいか、今は稟の膝に頭をのせて眠っている。
この間、邪魔のなく凛と風は一刀を堪能することができた。
「くぅ…」
「お兄さん、稟ちゃんの膝の上でぐっすりですね〜」
「一刀殿が私の膝に頭を乗せてきたから動けなくなっただけですよ…///」
「そんなこと言って〜嬉しいくせに〜」
「…///」
稟は風に本心をつかれたのか、顔を赤くする。
動揺はするも、その手はちび一刀の頭を撫で続ける。
ちび一刀はくすぐったそうにするも気持ちよさそうな表情を浮かべた。
「ふふふッ…気持ちよさそうですね〜///」
「はい…///」
二人は笑顔でちび一刀を眺める。
「おお!そう言えばお兄さんを確保したら華琳様に報告しなければいけないのでは?」
「しまった…!私としたことが…」
「まあまあ。お兄さんにメロメロにされちゃって忘れてたんですよね〜。風もですよ〜」
「そっそんなことは!…って一刀殿」
二人が華琳からの捕獲命令のことを思い出した時、ちび一刀が突然起き上がった。
ちび一刀は鼻と耳をせわしなく動かす。何かを調べているような仕草だ。
すると、建物の陰から現れた人物がいた。
「おったぁ!秋蘭、流琉!一刀見つけたで!!」
「おや?霞ちゃんですか〜」
「霞殿!?」
霞だった。
ちび一刀にやられ何とか復帰した後、追い掛けてきたようだ。
「へっへっへ…二人とも、おとなしく一刀を渡しいや…」
霞は二人にじわじわと近寄る。
その顔に浮かぶ笑みは悪い人全開だ。
「おやおや〜どうしましょう〜」
「私たちでは霞殿には腕力では…って一刀殿?」
稟はちび一刀の方を見るとちび一刀がこちらをじっと見ていることに気づく。
「一刀殿…?ってうむぅ!!?」
稟の目にちび一刀が自分に飛びかかってくるのが見えた。
その距離がゼロになる瞬間、彼の唇は稟の唇に重なる。
「おお〜」
「ああぁ〜!!?」
ちび一刀は顔を離すと稟の頬を一舐めし、
「わん!」
と言って街へと出る門を通って行った。
「こぉるぁ、待てぇー!一刀!!」
霞は門を通って行った一刀を追いかける。
「…///」
「稟ちゃん〜大丈夫ですか〜?」
「…ブハッ!?///」
「あ〜やっぱり…。お兄さんも悪い人ですね〜…よいしょっと。行きますよ、稟ちゃん〜」
「ふがふが…ガクッ」
風はそのまま倒れた稟を引っ張って、その場を去っていった。
ちび一刀は門を通ると、まだ早朝で人の少ない街を駆け抜けていった。
後ろでは霞がちび一刀を追いかけているがなかなか追いつくことができない。
「ちぃ…!まだ街に人が少ないのは幸いやけど…何であんな足早いねん!って見失ったぁ!?」
結局、霞は街中で一刀を見失うこととなった。
(隊長…どうしたんでしょうか、凪様達も来ないし…)
北郷隊の孫礼こと、虎琥は警備隊の詰所に向かっていた。
今日は北郷隊の面々で近くの村に視察の予定だったが突然中止になってしまったのだ。
結局、虎琥はそのまま警邏に向かうことになっていた。
「はぁ…。今日は誰も来ないのかなぁ…。隊長…」
虎琥はつまらなそうにため息をつく。
すると、
ドンッ!
「キャァ!?」
突然背中を何かに押されてしまい道に倒れてしまった。
「痛〜…何〜、もう…」
虎琥は体を起こし背中の方を見る。
そこには…
「…ヘッ?」
「…わう?」
霞から逃げてきたちび一刀がいた。
しかし、虎琥は彼が子犬になったのは知らずいる。
(えッ…?何だろう、この子は…でも隊長に似ているような…それに、耳?)
「わん!」
「…一刀様?」
「わん!!」
虎琥は隊長と言わずに彼の名を告げた。
すると一刀は一声元気よく声をあげる。
「やっぱり隊長なんですね!しかし何でまたそんな格好に…?」
その答えにちび一刀は首をかしげた。
そんな仕草に虎琥は思わず微笑んでしまう。
「可愛い…。///あっ、そうだ!こんな所もなんですから詰所に行きましょう!」
「わう!!」
「ふふふ、よいしょっと…。可愛い〜…♪」
虎琥はちび一刀を抱き抱えると、詰所に向かった。
「隊長どこいったんやろな〜…こっちは手ぇかまれとんや、見つけへんと気が済まん!」
「…(そわそわ)」
「凪ちゃんも真桜ちゃんも落ちついて〜なの」
北郷隊の三羽烏、凪、真桜、沙和の三人は城の中にちび一刀が居ないということを知ると街に出て探していた。
真桜は手を噛まれたことを根に持っているのか不機嫌気味。
凪は早く見つけたいのか落ち着きがない。
沙和はそんな二人を面白そうに眺めている。
「しかし沙和。もし隊長が私達や華琳様達以外の人の所にいたらどうするんだ!」
「んん〜もしかしたらあり得るかも〜…。だってあの可愛さだし…」
「それは…ダメだ!!」
「せや!噛まれた恨みもあるんや、ぜったい見つけたる!」
「だから二人とも落ち着いて〜なの。もう詰所に着くから朝勤してる人に隊長見なかったか聞いてみるの!」
そう言うと三人は足早に詰所に向かったが…
「隊長…ダメですってば…!くすぐったいですよ〜♪」
「わう!」
そこには虎琥がちび一刀と戯れていた。
「「ああー!!?」」
「って何で虎琥が隊長とおるん!?」
「あッ凪様、沙和様、真桜様。おはようございます」
「そんなのどうでもいいの〜!どうして虎琥ちゃんと隊長が一緒にいるの!?」
「えーっと、それが…」
虎琥は事の顛末を話した。
「ここにむかっていたら隊長がぶつかって来たと…」
「はい。今日の視察が中止になったので警邏に行こうかとしていたら…ってやっぱりこの子って隊長なんですね。…可愛いですね〜///」
「だよね〜///」
「ウチは手ぇ噛まれたんや!可愛くなんか…」
沙和は虎琥に抱きかかえられたちび一刀の頭を撫でる。
ちび一刀は沙和になでられ、くすぐったそうに目をつむっている。
「ああぁん!もうやっぱ可愛いねん!!この隊長めぇ!!///」
結局、真桜はちび一刀に屈する事となった。
「あはは…。しかし何で隊長はこんな可愛い姿になっちゃったんですか?」
「ああ、それはな…」
凪は一刀が小さくなってしまった理由を虎琥に話した。
「やっぱりそうなんですね。私も凪様がワンコになっちゃった時、あの場にいたから何となくそう思ってましたけど…」
「ワンコって…虎琥、その呼び方はやめてくれないか?…恥ずかしい///」
あの時のことを思い出したのか、凪は顔を赤らめてしまう。
「大丈夫ですよ!あの時の凪様はとってもかわいかったです!!」
「そうなのそうなの〜!」
「って沙和まで!!…もうやめてくれッ!///」
ドガン!
と詰所に轟音が響いた。凪が照れ隠しで思い切り詰所の床を殴った音だ。
きれいに凪の拳は床の土に突き刺さっていた。
「…凪、照れ隠しでここ壊さんでな…」
「ハッ!?…すまない///」
(やっぱり可愛いですねぇ)
(ホントなの〜)
凪が真桜に注意される裏で虎琥と沙和はいつまでも凪の可愛さについて語っていた。
「しかし、どうする?」
「何がだ?」
「この後や…」
「この後、か…」
詰所で虎琥と沙和がちび一刀と遊んでいる時、その後ろでは真桜と凪が今後のことを話し合っていた。
「ああ、間違いなく今霞姐さんや秋蘭様あたりが探しまわっとるはずや…見つかるのも時間の問題やで」
「隊長の一日自由権…これは華琳様の所まで行かなければダメだからな…」
「何やったら見つかりませんでした〜ってことでどっかに匿うか?」
「いや、それはダメだろう…。華琳様のことだ、もし匿ってたことがばれでもしたら…」
間違いなくお仕置きが来るだろう。
一部の人間はそれでもいいかもしれないが…。正直、真桜と凪はそれを想像はしたくは無い。出来れば遠慮したい。
「だが…。今、隊長を連れ出して外に出れば…」
「ああ、間違いなく街中でドンパチやで…」
「どうしたものか…」
とそんな風に二人が思案していると。
「あわわ…隊長どうしちゃったの〜?」
「隊長、もう落ち着いてくださいってば」
後ろにいたちび一刀が暴れていた。
何か落ち着かないような仕草をしている。
「なんや?沙和どないし…」
と真桜が沙和に聞こうとしたその時。
「ッツ!!伏せろ!!」
凪が叫んだ。
と同時に。
ドガァン!!!
いきなり詰所の扉が吹き飛んだ。
「何や!いきなり何が…!ってまさか!?」
「そのまさかのようだ…!」
土煙の中、長い黒髪の女性が現れる。
その手には鋭い刃が鈍くきらめき、虎もおびえるだろう気を発していた。
「見つけたぞ…北郷!」
ということで獣耳一刀編中でした。
ちょっと先の方を考えてたらえらい話が長くなりそうなので分割しました。
一応後編も後ちょっとです。
ということでちび一刀を追う魏の面々です。
まだ出てきてない方がいらっしゃいますがそこ辺りは後編で…
前編は小さくなって犬耳付きの一刀のがなぜこうなったのか?でしたが今回は一刀君は遊びに出かけております。
まずは今回のことを知らずに(一刀一日自由権)飛び出した春蘭・季衣ペア。
そしてそれを見つめる秋蘭・流琉ペア+霞。
のんびり過ごした稟・風ペア。
虎琥を含めた凪、沙和、真桜の三羽烏。
となっております。
それぞれでハプニングになっていますが、全体的に言うと
キス率が高いです。しかも犬なんで…
後編の方は完成次第更新します。では誤字脱字等ありましたらどうぞ!
それでは失礼します。
説明 | ||
ちょっと時間かかりました。後編もすぐにアップします! 今回はちっちゃくなった犬一刀の鬼ごっこ?です。 |
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深緑さん>それは、だって秋蘭ですから!どんなときどんな場合でもやめないでしょう!(同人円文) 子犬になっても根本的にやってる事は変わらないような?wしかし秋蘭は何処まで逝っても愛でるのを止めれませんね^^;(深緑) うたまるさん>そう思いまして…子犬にさせていただきました(笑)後編はうまくこの事態がおさるようにします!(同人円文) リョウ流さん>落ち着いてください!ティッシュ置いときますよ?(同人円文) jackryさん>バトルロワイヤル度はさらに進行していくかも…。後預かっていくならちゃんと証明書を。しないとほら馬の蹄の音が…(同人円文) はりまえさん>さてどうなるでしょうか!?返○にはご注意を!(同人円文) よーぜふさん>今回はオオカミですよ。霞や秋蘭はフリーダム全開になりつつあります。(同人円文) 子供に戻ってなければ、この外史の一刀・・・・・・閲覧禁止になるような行為で終わってしまいそうですね(汗 後編楽しみにしています(うたまる) みんな抑えきかなさすぎw でもって一刀・・・いまだに種馬・・・いや、狼かw(よーぜふ) |
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