デペイズマン・シード 3rd season;@
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緑の匂いが濃い中、 彼らは仕事をしていた。

なんだか傍目にはまるっこいぬいぐるみを詰めようとしているようにも見えるが、それらは彼らの手から逃れようと必死になってうろちょろしている。

くそっ、とかあっちいったぞーとかさながら幼稚園か保育園の大騒ぎだ。

もっとも内容はそんな微笑ましいものではない。

 

実際、怒りの目線が彼らには投げつけられていた。

だが彼らは気付かない。

自分の仕事に必死になっている。

彼らは普段、こんなに鈍感ではない。

ただ、注意するものが、彼らにとっては感じられなかった。

単純に、それだけのことだ。

 

だから自分たちの目的たるそれらが「彼」に駆け寄っていくまで、本当に気づかなかったのだ。

そこにいたのは「この世界にはいないはず」の姿をした存在。

 

「好奇心や探究心は否定しません。

それでも。ソレを満たすために"命を弄ぼうとする"・・・

少々、天辺来ているんです、いくら僕でも」

 

にっこり。

穏やかに人のよさそうな笑顔が彼らを観る。

大人相手というのに一歩も引かないのは、その背にいる謎の…彼らがまさに集めていた「この世界の命」たちと同質と思われる、だが全く姿の違う存在ゆえか。

 

「・・・・・」

 

誰だ、とか。

邪魔をするなとか。

いえることばはいくらでもあったはずだ。

だがたかだか少年一人に彼らは気圧されていた。

「この世界の生物」ではなく、それを従えた、魔法力など一切感じられない、一介の少年に・・・・・・・・

 

管理局の職員たる魔導師たちは、怯えた。

そのサマを理解しているのかいないのか。

少年はにっこりと自分につき従う「それ」に微笑みかける。

 

「テントモン。手を借りてよろしいですか?」

 

そして。

彼らは想像だにしていなかった「声」を聞いた。

 

「もちろんやで。光子郎はん」

 

 

 

 

 

3−1

 

 

 

 

 

 

「・・・・・大、恐竜時代やぁ・・・」

 

 

八神はやては、自分の言葉を否定してくれる誰かへのむなしい願いをこめて、呆然と呟いた。

 

 

文字通り眼下に広がるのは、無限ともいえるほどに続く森、いやジャングルだった。

だがところどころには開けた場所があり、ひどく現実味を欠いたポップな建物の群集があったり、湖畔に立てば海かと錯覚するほどだろう大きい湖があったり、いきなりレストランらしき建物がぽつんとあったりと非常に不可解である。

だってその周辺には大小さまざまな「恐竜」としかいえないものが普通に、かつ驚くほど平和に闊歩しているのだから。

 

・・・・・・・・・・・・平和?

 

こんな物騒な印象しかない世界に、なぜそんな言葉を思ったか。

自分で浮かんだ違和感に首をかしげるが、そういう意味ではそれの調査に来たといってもいいのだろう。

それにしても。

 

「無人世界、っていうとったやんなぁ?」

 

だが「誰かが住んでいる」気配は間違いなくあるのだ。

確かに普通に生活するには少々物騒なようであるが。

自分が得た情報との矛盾に、不快がこみ上げる。

今に始まったことではないが、信用できる人間ばかりしかいない組織なんて存在しないのだろう。

 

「とにかく、調査やったな」

 

自分がここに在る理由を口にすることで確認し短く息を整える。

 

特例民間協力者。

今のはやての立場を表現するなら、多分これが一番見合う。

もっとも協力者であるにも関わらず「拒否権」がないのが皮肉であるが。

 

甚大な被害を出した「やさしい罪」の積み重なり。

彼女の始まり(ビギンズ・ナイト)である闇の書事件について、ある艦(ふね)の艦長はそんなことを口にしたことがある。

そしてそのやさしさを一手に向けられた故に彼女は知らないという罪を犯してしまった。

それ故にはやては報いる手段として、いやそんなのは建前だ。

自分と、自分の家族を助けてくれたやさしい少女たちと同じ、それ以上のいろんなものがほしくてはやては戦う翼たる道を選んだ。

 

だが彼女の立場は現状、偶然その実力を魅入られた白い少女のような「小娘」より、「利用されていた」"作られた人"である金と黒の少女よりもそのずっと扱いは悪い。

単にその力の大きさに対するやっかみも含まれていたとしても、彼女自身の覚悟など、情報でしらない人々にはわからないし、基本的にわかろうともしない。

自然と生まれる陰口は他者の犠牲を持って力を得た「魔女」へ向けられるものであり、本来公平で見るべき上層部すら彼女に対しての風当たりが強く、「いくつかの部隊が任務を失敗した」新らしく発見された次元への調査を一人でいかせるというとんでもないものすら彼女に平気で命ずるのだ。

 

任務を失敗した魔術師たちも決してレベルの低い者ではない。しかもチームとなればレベル以上の行動ができるはずだった。

内容は世界における生物のサンプリングと環境調査。本来ならばそう難しいものでもない。

 

だが当時の調査員たち(けが人はともかく死者は出ていないらしい)ではなくあくまでも上層部いわく、現地の生物は原始的である故に「危険」らしい。

もしかしたら広域攻撃を持つ彼女を選んだのは「危険ならばいっそ」という思想でもあったのか。

明らかに向こうにはちょっかいをだしてこなさそうな、「原始的」な世界に対して何が危険なのかはやてにはさっぱり理解できない。

それともすでに復讐されそうな立ち回りを演じているのだろうか。

はやては調査員たちの面会及び聞き取りを望んだが無碍なく拒否された 辺り、「それとも」以下が真実味を帯びている辺りが非常に皮肉であるが。

 

 

街ならば人、少なくとも知的生命が存在するだろうとポップでカラフルなパステルカラーの区域へ向かう。

いきなり飛んでいくよりはいいかと周囲に物騒な気配がないのを確認してから近い森の中に一度降りると、息苦しいほどの「土」と「緑」のにおいが満ちていた。

自然を守ろうなんていう標語が馬鹿馬鹿しほどの、圧倒的な存在感と生命力。

思わずした深呼吸が半端でとまった。

それはその視線の先にあるものが反応の答え。

 

「・・・・・・・・・・・・れーぞーこ?」

 

紛れもなく。

口にしたものがそれの証明だった。

だって冷蔵庫だった。

ジャングル特有の巨大なシダ系(多分)植物の隙間に、古めかしいデザインではあるが、確かにかつての日本の三種の神器のひとつがどでん、ではなくちょこん、といった印象で、ひとつ。

 

「ふ、ふほーとうきやろか」

 

自分で口にしてあまりのばかばかしさに頭を抱えそうになる。

誰が、何のためにこんなところに不法投棄を。

この世界に着たばかりの彼女には説明が一切できない。

しかも稼働中となれば混乱はきわみになる。

木々のざわめきに負けない、電子音。

常時起動電化製品特有の低い音。

 

好奇心とある意味現実逃避から彼女の手がそっと冷蔵庫の取っ手に伸びた。

一瞬年齢不相応な「れいぞうこのなかみ」なんて某ゲーム画像なんかの電波を受信しないでもなかったいやいやそれはない。それはないって、と否定しながら 扉を開き。

 

「わー、なつかしー。ホ○ソーセージやー」

 

自分でも泣きたくなるほどの棒読みで、なんだか馬鹿みたいな大声を上げたのはとりあえずこの現実をどうにか受け入れるためだ。

目の前にあるものは確かに触れることができて、独特の感触をはやての指先に伝えている。

生でよし焼いてよし、煮るとおそろしく膨張するがあのぶよぶよもまた一興。魚肉故におでんとかの出汁に意外と合ったりするマルチプレイヤー。

 

「ってなんでやねん!」

 

食べ物だから投げつけられないのが残念だ。

主婦根性で賞味期限を見てしまう。

十分猶予があった。

っていうか、明らかに昨日今日用意されたような……

 

「なんでやねん……」

 

呆然とつぶやく彼女に答えをあたえるものはそこにはいない。

だからはやては考える。

考えて、考えて。

この世界の違和感に気づくのだ。

所詮この世は焼肉定、ちがう。弱肉定食と言ったどっかの剣客のせりふが、根本的に「ここ」にはなかったということに。

 

「一体」

 

どうしてという思考が、近づいてくる気配に囚われた。

咄嗟に冷蔵庫の後ろに隠れる。

どういうわけでもないが、相手が殺気立っているのははっきりわかったからだ。

 

気配は直に止まった。明らかに自分を目指してきたとわかるのは、手元のモバイルで改めて確認しているからだ。

ただし、それをしているのが知っている人物だとわかって、はやての混乱は最高潮に達した。

 

少年、といっても自分よりも随分年上だ。

金の髪はクォーターゆえの地毛なのだという。

元々きつめの目は、今はすっかり感情に流されて釣りあがってしまっている。

そして、その脇に伴っている、のは。

 

  「あいつの、相棒」。

 

随分前に聞いたいとこの言葉がリフレインする。

 

 

「ゲンナイさんの話だと、この辺だって話だけど」

「ヤマト、ここ」

「足跡・・・・・続いてないってことは、やっぱり例の連中か。

早めにお帰り願わないとな」

 

舌打ちが苛立ちを示す。

お帰り、などとは行っているが、明らかな敵意だ。

そこにあるものを悟れないはやてではない。

 

彼女にも護るべきものがあるからこそ理解できた。

だがそれよりも。

 

「・・・・・なんでヤマト兄ちゃんが・・・」

「誰だっ!」

 

呟きは明確な意味を彼に届けなかったらしい。

激情そのままにはやての方に向けられる、明らかな拒絶。

 

「あ、いやその」

「例の時空なんとかって連中の仲間か。ガルルモン!」

「うん!」

「いや、ちょいまって!まちぃいいっ」

「単独か。抵抗するなら」

 

「いやいやいやいやいやいやっ!!待ったって!ヤマト兄ちゃん!!

確かに時空管理局のモンやけど、それは認めるけどっ!!」

 

はやては、自分でもなにを言っているのかわからない勢いでその場に立ち上がった。

目の前の少年はあっけに取られた顔をしていた。

それはそうだろう。

 

「いるはずのない」邂逅がそこにあったのだから。

もっとも、それはお互い様なのだろうが……

 

「て。はや・・・てちゃん?」

「はい、八神はやてちゃんや。ホンモノやからなー?」

 

片手に杖(デバイス)、片手に○モソーセージを握り締めた些か家族にはみせられないこっけいな様子で、彼女は肯定した。

その横で「ガルルモン」と呼ばれた存在がどこか幼さを感じさせる仕草で首を傾げた。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

光子郎のおどろく黒さ。

 

 

説明
リリカルなのはA's後×デジモンアドベンチャー(ただし時間軸は02後:ED展開無視)八神つながり 真面目に連載第3話その@
とりあえず注意としては光子郎が黒いです。
あと八神つながりなのに太一さんもヒカリさんも出てきません。
ザ・看板に偽りありな連載展開。いや、続くにつれて出番ありますよ?
とりあえずざっくり管理局嫌ってます。
http://www.tinami.com/view/152521加筆・修正再編集版
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コメント
黒子郎は譲れません。まぁそれぞれの作品なりの楽しみもあったかと。とはいえ自分も02ED一つ前までで(しつこい XWは進化がないのが物悲しいっす。見てますけど。鯨油すげーですけど。(ほうとう。)
光子郎はんの知的な黒さは折り紙つきですねんw 個人的には面白かったのは02までですねぇ・・・基本原理主義しそうなせいだとはおもいますが。 まぁクロスウォーズも見てたりしますがw(よーぜふ)
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デジモン なのは クロスオーバー 八神つながり 連載 

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