真・恋姫無双 〜古の存在〜 第十三話「過去の存在」
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・・・誰も知らないある湖の近くの平原で・・・

 

「なぁ、お前の後ろの奴等何なんだよ?」

 

大きな石に座りながら一人の女の子が乱暴な口調で言った。

 

その先には何千人と兵士を連れてこちらに歩いてくる一人の女がいた。

 

「いやなに、『体』を見つけたところで少しいろいろあってな。そこの住人が着いて来たんだ。そういうお前も何人かいるみたいだが?」

 

「ああ、あいつ等は俺の力を見て弟子にしてくれとか言いながら付いて来たんだ。ったく邪魔で仕方ないぜ・・・」

 

後ろを指差しながら溜息を付く少女。だがその先には先ほどと同程度の兵士がいた。

 

「フフッ、ここでも相変わらずなようね。」

 

二人が話していると話を聞いていたのか、背が高い女性が近寄ってきた。

 

「笑い事じゃないぜ?こっちはいい迷惑なんだ。」

 

少女はぶすっとしながら女性の方を見た。

 

・・・どうやら少女はこの女性が苦手らしい。

 

「でも何だかんだ言って突き放したりはしないじゃない。そういうところは劉邦に似ているわね?」

 

「う・・・うっせぇ!!アイツは関係ないだろ!?」

 

顔を赤らめながら反論する少女を見て女性と女はクスクス笑った。

 

その空気に堪えられなくなったのか、少女は声を荒げながら聞いた。

 

「それより他の連中はどうしたんだよ?あいつ等もそろそろ来るって話だが・・・」

 

「彼女達は劉邦達と合流してから此方にくるみたいよ?まぁもうじき来ると思うのだけれど。」

 

そう話していると、女がおおっと声を出した。

 

「噂をすれば何とやら・・・。二人とも、我らが君主がやってきたぞ?」

 

その声で二人は後ろを振り返った。

 

・・・そこには何万という軍勢を引き連れながら此方にやって来る女性や少女達がいた。

 

その中に一人だけ背が高い青年がいた。

 

三人は顔を見合わせると、散らばっていた兵士達を素早く纏め、主が此方にやってくるのをジッと待った。

 

「やぁ、三人共元気だったかい?」

 

のんびりした口調で青年が話しかけた。

 

「元気だった?じゃねぇよ全く・・・本当ならもっと早くここに着いただろうが。」

 

その口調にイラッとしたのか、少女が青年をにらめつけながら言った。

 

「仕方ないじゃないか、皆の事を待ってたんだし。予定より少し遅れたって仕方ないんじゃ・・・」

 

「そんなこと言ってっからオメェはダメなんだよッ!!このバカたれ!!」

 

君主があまりにポワポワしているのを見かねて、遂に少女がブチ切れてしまった。

 

・・・見かけによらずこの少女はキレやすいのかもしれない。

 

「まぁまぁ、お前もそう怒るな。貴方も無事で何よりです。」

 

キレる少女を宥めながら女も青年に頭を下げた。

 

「まぁね。・・・さて、これで全員いるかな?」

 

青年は周りを見渡し、そして満足出来たのか笑いながら頷いた。

 

「よし、いるみたいだね。それじゃあ今から改めて自己紹介していこうじゃないか。・・・今のこの大陸の情勢とこれからの事に関しても・・・ね?」

 

最後の方は雰囲気を変えながら青年は言った。

 

・・・彼らの上には満天の星空と光り輝く満月が周りを包むかのように照らしていた・・・

 

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霊帝が没した後、宮内は慌しくなった。

 

なぜならば世継ぎがまだ決まらずして病死してしまったからだ。

 

もともと霊帝には一人息子がいたが、歳を若くしてこの世を去った為に次の世継ぎが空いてしまったのだ。

 

それが原因で老人となった今でも霊帝が皇帝の座にいたのだ。

 

だがその息子には二人の子供がいた。

 

この時まだ二人は幼く、次の世継ぎとして正式に決められてはいなかった。

 

だがそこに目をつけた者達がいた。

 

皇帝の外戚である宦官派の董重と士人派の何進の二人だ。

 

二人はこの息子の子供である二人を巡り対立した。

 

だが度が過ぎた欲は災いを呼ぶ。

 

まずは士人派である何進が宦官派の董重を自殺へと追い込んだ。

 

だが今度は逆に宦官派の一派が何進を謀殺、これに激怒した士人派が宮中へと押しかけ宦官派を片っ端から切り捨ててしまった。

 

この騒動で子供は行方知らずとなり、更に事態が重くなった。

 

これに対して朝廷は皇帝の代理としてある人物を立てることにより、事態の収集をつけた。

 

その人物こそが董卓である・・・

 

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霊帝が病死して何日か経った後、俺達は幽州へと帰還した。

 

あの後宮内は慌しくなり、霊帝の側近だった人達の勧めで此方に戻ってきたのだ。

 

何でも世継ぎがどうたらこうたらとかで慌ててたけど・・・

 

俺が政務室で必死に桃香と仕事をしていると、侍女の人が愛紗が入ってきた。

 

「ん?どうしたの愛紗?」

 

「もしかして追加のお仕事か何か〜?」

 

桃香が机に突っ伏しながら呻き声を上げた。

 

「いえ、実は先程袁紹の所から書簡が届きまして・・・」

 

「袁紹から?なんだろう・・・」

 

俺は訝しげながら書簡を受け取った。

 

気付けばすぐ近くに桃香が寄ってきていて、俺の持つ書簡に興味があるようだ。

 

「ご主人様、早く見ようよ♪」

 

「分かった分かった。今開けるから・・・」

 

スルスルと紐を解いて中を広げてみた。

 

そこに書かれていたのは・・・

 

「これってもしかして・・・」

 

「連合のお誘い・・・なのかなぁ?」

 

連合軍への参加を求める内容が書かれており、集まる日時なども記載されていた。

 

俺の隣で政務をしていた朱里にも手渡し、反応を待った。

 

しばらくすると溜息を付きながら書簡を再びしまい、俺の方へと向き直った。

 

「これは何となくですが、恐らく帝都で権力を振るう董卓さんを引きずり下ろそうと考えたのではないでしょうか?噂によると袁紹さんは自分より上の者がいると自分が取って代わろうとするみたいですし。」

 

そ、そんなヤツなのか?袁紹って・・・

 

「ご主人様、ここは参加したほうが後々いいかも知れません。幸いにも私達にはそれなりの兵士と備蓄がありますし、なんとかなるかもしれません。今の袁紹さんは国力、軍事力どちらを取っても私達より上です。今は大人しく従った方がいいかもしれません。」

 

今俺達の軍は約五千程度。今までの活躍を見て、他の所からも兵士として集まってくれる人が増えたお陰で結構充実はしている。

 

だけど他から見ればまだ弱小勢力であろうことは確かだ。

 

(あまり気乗りはしないけど・・・そんなことも言ってられないか。)

 

評判を高めていかなければいつまで経っても俺達の目的は達成されないだろう。

 

その為にも参加するしかないか・・・

 

「・・・分かった。俺達も参加しよう。袁紹の所に使いを送っておいてくれ。」

 

「御意です♪」

 

「・・・宜しいのですか?」

 

愛紗は不安げに俺に尋ねてきた。

 

「あぁ・・・。俺達の目標を達成させるには名声が必要だ。今は無理をしてでもやらなくちゃな。」

 

俺は脇に立てかけてある紅蓮と蒼天を見た。

 

俺達の目標・・・。兄妹の契りを交わしたときに掲げたもの・・・。

 

それは『世の中全ての人が平和に暮らせるように』

 

それは桃香が心から願うものだった。

 

「ご主人様・・・」

 

(所詮俺もただの一剣士。いざとなれば命に代えてもここにいる彼女達を守らなくちゃ・・・)

 

天の御使いが現れるその日まで。俺はその役を演じ続けよう・・・

 

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「詠ちゃん・・・これで本当に良かったの?」

 

玉座に座っているのはか弱い印象の少女だった。

 

彼女の前には眼鏡をかけた少女がいた。

 

「これも全部月の為なの・・・ガマンしてくれる?月?」

 

「・・・うん。」

 

少女は俯きながら頷くと、心の中で呟いた。

 

(本当に・・・これで良かったのだろうか・・・?)

 

その心の呟きは誰にも聞こえずに、ただ虚無へと消えていくだけだった・・・

 

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あとがき

 

お盆も終わり、夏コミも終わりましたね。

 

友人から買ってきてもらったグッズを受け取り、今絶賛鑑賞中ですよ♪

 

まぁ、その分出費も大きかったんですけどね・・・

 

さて今回から連合編が始まりました。

 

冒頭から出てきた集団も今回から本格的に関わってくるようになります。

 

お気付きの方もいるかも知れませんが、彼らは一体何者なのか?

 

この編が終わる頃には分かるでしょうね。

 

あぁ、それとこの作品の一刀のプロフィールを書いておきます。

 

そろそろここらで大体の設定を定着させておきたいので・・・

 

ではどうぞ♪

 

 

氏名・・・北郷一刀

 

年齢・・・20歳

 

流派・・・北郷流

 

性格・・・基本的に真面目。だがたまにボーッとしていたりで抜けていることがある。朴念仁。

 

趣味・・・読書、料理(祖母が死んでしまってから自分で作るようになった為)、修行

 

好きな物・・・甘い物全般、動物全般

 

苦手な物・・・酒(ちょっと飲んだだけでベロンベロンになってしまう為)

 

大切な物・・・祖父の教え、紅蓮と蒼天、仲間

 

幼い頃に両親が死に、祖父母の元にやって来た。

 

一刀は幼い頃の記憶が無い為、父と母の顔すら覚えてはいない。

 

物心付いたときから祖父母に勉学、武道を叩き込まれており、なおかつ趣味で読んだ本の中に戦術

 

論などがあったため、そこら辺の軍師より頭が切れる。

 

一人っ子で周りには友達などいなかったが、山の動物達が一刀の遊び相手だったので寂しい思いは

 

あまりしていない。

 

十五歳のときに祖母が死に、その時に紅蓮を祖父から譲り受けた。

 

『武器』

 

紅蓮・・・一刀が持つ二振りの剣の内の一つ。刀身は真紅に染まっており、軽く、絶対に刃こぼれ

 

しない。その切れ味は圧巻の一言に尽きる。柄の部分には結合部分があり、蒼天と繋ぐことができ

 

る。柄には紅い宝石が一つ填められており、一刀の暴走の原因の一つとなっている。

 

蒼天・・・一刀が持つ二振りの剣の内の一つ。刀身は深青に染まっており、軽く、絶対に刃こぼれ

 

しない。その堅さは圧巻の一言に尽きる。基本的には紅蓮とほぼ同等の性能を持つと言っていいだ

 

ろう。柄には蒼い宝石が一つ填められており、一刀の暴走の原因の一つとなっている。

 

※この二つの剣は組み合わせることによって様々な武器へと変わる。本編で出てくる予定なので今

 

はここに書けないがご了承願いたい。

 

 

以上が現在のプロフィールですかね。

 

それではお疲れ様でしたノシ

説明
第十三話です。
しばらくは拠点の話が書けないので、コメディ系はもう少しお待ちください・・・
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コメント
宮廷内はやはりこうなりましたか・・・連合も早々に立ち上がりそうですし各群雄達との出会いや今後の動向に期待です!(深緑)
zendoukouさんへ、あ〜・・・これからの話の展開で決まるかもしれませんね・・・(東方武神)
十二話でも書き込んだが、劉升と劉協を美少女に!(zendoukou)
砂のお城さんへ、大切に思う気持ちばかりが専行しても、相手にとって果たしてそれがいいものとは限らない・・・(東方武神)
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真・恋姫 一刀 劉邦 古の存在 董卓軍 

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