わこうっ!! キャラスケッチA |
●ヨヨミ ヨヨミ美鷹と出会い大筒を撃つの巻
(背景:荒れ果てた村。向こうには海。小さく風雲丸が見える)
美鷹「重い……」
(イベント絵、重そうに抱え大筒を引きずる美鷹)
ちひろ「やっぱり、大きすぎましたか……」
美鷹「わしは普通の女よりは力が強いが、こんな物はもちあげられん」
ちひろ「発射できれば、大きな力になりますが……」
美鷹「こんなでかい種子島を開発するやつがあるかーっ」
ちひろ「大口径の銃は、乙女のあこがれなのです……」
美鷹「乙女は銃を撃たん」
(SE:子供の泣き声)
美鷹「……」
ちひろ「子供の泣き声ですわね……」
美鷹「ここらはな……」
ちひろ「美鷹さまの旦那様が蹂躙していった所ですね」
美鷹「あれは、まだ旦那ではない、いいなずけでもない、ただの他人だ」
ちひろ「見事に皆殺しにしていかれましたね、しかし、なぜこんな?」
美鷹「住民を皆殺しにして、龍造寺領におる貧農を入植させるそうだ」
ちひろ「それはまた……」
美鷹「元の住民を残しておくと一揆の恐れもあるし、旧領主の残党をかくまったりする。貧農を入植させれば、貧農は喜び龍造寺に忠誠を誓おう。理にかなった事だ」
ちひろ「汚いやりかたです……」
美鷹「まったく馬鹿だからな、龍造寺の連中は」
(背景:村、子供が泣いている)
美鷹「まったく重い」
ちひろ「なんとか射撃実験をしてください……」
とことこと子供が歩いてくる。
子供「……」
美鷹「……」
ちひろ「……」
美鷹「(小声)なんとかしろ、ちひろ」
ちひろ「(小声)美鷹さまの領民でありましょう、美鷹さまがなんとかしてください……」
美鷹「(小声)わ、わしは母性など、持ち合わせておらん」
ちひろ「(小声)わ、わたしも科学者でありますから、母性ないのですよ」
美鷹「(小声)娘失格者だな、わしらは」
ちひろ「(小声)いいから何とかしてください……」
美鷹「……おい、子供、お主には大志があるか?」
子供「……」
ちひろ「(小声)ふつう、子供に大志はございません……」
美鷹「あー、うー、えー、こたびは気の毒だったな、ご愁傷さまだ」
子供「う、うぇっく、うううう、うわあああああああああんっ!!」
美鷹「な、泣いたーっ!!」
ちひろ「ちょっ、子供が苦手にもほどがありますっ!!」
美鷹「あ、うー、その、泣きやめっ! これは命令だっ!」
子供「うわあああああんっ!! ひぎゃあああああんっ!!」
美鷹「その、あの、あ、そうだ、飯を食うがよい」
子供「食べるっ!」
(背景:荒れ果てた農家の軒先)
美鷹「わしの昼飯が」
子供「がつがつがつがつがつ」
ちひろ「よく食べますね、わたしのも無くなりました」
子供「じっ」
美鷹「もう、むすびは無い、なんという食い意地が張った子供か」
子供「ヨヨミ」
美鷹「ん?」
子供「子供じゃないの、ヨヨミ」
美鷹「そうか、ヨヨミか、わしは美鷹だ」
ちひろ「わたしはちひろです」
ヨヨミ「ごちそうさま」ぺこり
美鷹「さて、ちひろ、手早く発射実験をして、舟に戻ろう」
ちひろ「おや……」
美鷹「うるさい、黙れ、わしの舟は狭い、この国の難儀している子供を全て救う事はできぬ」
ちひろ「目の前の子供だけでも救うという考え方もあるそうですね」
美鷹「わしはなあ、隆信のような世に害をなす馬鹿が嫌いなのだ、そして、何も出来ず、誰かに頼らねば生きては行けぬ子供も嫌いなのだ」
ちひろ「美鷹さまとて子供であった時代はありましょうに」
美鷹「わしは寛容さが足りぬのだ、役に立たぬ者に、ついいらいらしてしまう。冷たくあしらってしまう、そうなればお互い不幸だとは思わぬか?」
ヨヨミ「ヨ、ヨヨミの事、嫌いなの? おねえちゃんっ」
美鷹「い、いや、これは一般論というか、その、別にヨヨミが嫌いと言うわけではなく、その……。すまぬ」
ヨヨミ「ん?」
美鷹「国を守れんで、すまぬ。不幸をまき散らした癖に、真っ先に舟で逃げて、すまぬ」
ヨヨミ「おねえちゃんが悪いの?」
美鷹「そうではないが、うーん、悪いのかもしれぬし、悪くないのかもしれぬ。よくわからぬ」
ヨヨミ「おねえちゃんは、あのお船でどこに行くの?」
美鷹「海の向こうに、幸せの国を作りにいくところじゃ」
ヨヨミ「……役に立たない人は、幸せの国にはいらないの?」
(SE:ずーーーん)
美鷹「……」
ちひろ「……」
ヨヨミ「……」
美鷹「さてと、実験をしよう」
ちひろ「そうですね」
ヨヨミ「ヨヨミ見ていてもいい?」
美鷹「かまわぬよ、ちょっと離れてな、大きな音がする」
ちひろ「さあ、構えて、そうです銃底を頬に付けるように。よろけないでください」
ナレーション「ちなみに、火縄銃と西洋のライフル銃とは構え方が違うのである。西洋のライフルが銃底を肩に当て衝撃をそこで吸収させるのに対し、火縄銃は銃底を頬にあてるようにして射撃する」
美鷹「重い〜」
(SE:どかーーん。ごろごろごろ)
ヨヨミ「おねえちゃん転がっていった」
美鷹「こんな馬鹿げた反動の代物が船上でつかえるかっ!!!」
ちひろ「さりとて火薬を減らすと射程距離と貫通力が……」
ヨヨミ「これなーに?」
ちひろ「抱え大筒といって、種子島を大口径にし、大型の弾丸を詰められるようにしたものです……」
ヨヨミ「雷様みたいな音がするねえ」
(SE:ひょいっ)
ちひろ「あ、弾つめたからあぶな……」
美鷹「……」
ヨヨミ「こう?」
(立ち絵:ヨヨミ、大筒を構える)
美鷹「じ、実は軽い? わしらが非力過ぎ?」
ちひろ「そ、そんなはずは、貸しっ……」
(SE:どすんっ!)
美鷹「ヨヨミは村一番の力士だった?」
ヨヨミ「えー、ちがうよう」
ちひろ「あ、ここの地方に、怪力な一族が住むと聞いた事があります」
美鷹「ああ、山丈の血を引くとかいうあれか?」
ヨヨミ「やまじょうでもないよう」
(SE:馬の足音)
隆信「はあっ!! こんな所に居たのか、私の甘い心臓っ!!」
美鷹「なんだ、その変な呼び方はっ!」
隆信「南蛮人は愛する者をこう呼ぶと聞いたっ!! 愛してる、愛してるぞっ!! 美鷹っ!! 俺のこの愛の心がお前の居場所に引き寄せられたのだっ!!」
美鷹「きもちわるいやつめーっ!! ちひろっ!! 俸禄玉をなげろっ!!」
(SE:シャキーン)剣を抜く音。
ちひろ「もってきてません」
隆信「ははははははっ!! ここで会ったが百年目だっ!! 受けて貰う、受けて貰うぞ、俺のこの気持ちっ!! この愛っ!! さあ、兵士諸君、私の甘い心臓を取り押さえろっ!!」
兵「へいっ!!」
(SE:ざざざ)
美鷹「……」
ちひろ「……」
隆信「……」
兵「……」
ヨヨミ「……」
(SE:火縄、じじじ)
(立ち絵:ヨヨミ、大筒を構える)
隆信「……あれは、その……、なんだ?」
ちひろ「抱え大筒といって、我が軍の新兵器です……」
隆信「こ、子供が撃てる物なのか?」
ちひろ「さあ?」
隆信「さあ、子供よ、良く聞きなさい、そんな物を人に向けてはいけない、人を撃って良い者は、人に撃たれる覚悟がある者だけだ。だから、君は、その物騒な物を下ろし、どこなりと遊びにいくと良い」
ヨヨミ「……あんたは、いた」
隆信「な、なにっ! お、おまえ、この村の子供かっ……」
ヨヨミ「お父さんや、お母さん、おばあちゃん、おじさん、沢山の人を斬ったあんたは、うたれるかくごがあるのだと、ヨヨミは、そうおもう」
隆信「あ、あるけどっ! そのっ! あのねっ!! あああああっ!! そうだなあっ!! そうだっ!! そうなんだなあっ!! 俺は斬ったんだっ!! この村の衆を斬ったんだっ!! だから、お前の砲撃もっ!! 甘んじて受けなければならないなっ!! それは俺が男として生きていく為にぃっ!! 大事な事なんだなあっ!! だから。 だからっ!! ばっちこいっ!!! こどもぉぉぉっ!!」
ヨヨミ「子供じゃない、ヨヨミ」
隆信「ばっちこいいいいっ!! ヨヨミッ!!!!」
(SE:ドカーン)
(イベント絵:馬の首が破裂して消える。隆信びっくり)
ちひろ「は、はずしたっ!!」
美鷹「ヨヨミ下がれっ! ここから先は私がっ!」
隆信「良く撃った、ヨヨミよっ!! だが、火縄は一発しか撃てぬっ!! 全軍っ!! この者たちをっ……。 え?」
ヨヨミ「うわああああああああっ!!!!!」
(SE:ごいいいん)
(イベント絵:抱え大筒で隆信を殴り飛ばすヨヨミ)
ヨヨミ「わああああああああんっ!! うわああああああっ!!」
(SE:どて、ぼき、ぐしゃっ!)
(イベント絵:兵隊たちをばったばったと殴り飛ばすヨヨミ)
美鷹「え?」
ちひろ「は?」
隆信「まてまていっ! 大砲は殴る為の武器ではっ! うがっ!!」
(SE:ごいーーん)
ヨヨミ「きいいいいいいいいいいいいいぃいぃぃぃっ!!」
(SE:ごいんごいんごいん!)
兵「こ、ここは一昨日酷い目にあった、山丈の村ですよっ!」
隆信「なにいっ!!! くっ!! 全軍撤退だっ!! くそうっ!! おぼえておけよっ!! 必ず美鷹は俺の嫁にしてやるからなあっ!!」
(SE:ぱらかんぱらかんぱからん)
(イベント絵:大筒を放り出して泣いているヨヨミ)
美鷹「良くやった」
ヨヨミ「ぐしゅん……」
美鷹「ヨヨミ、一緒に来るか?」
ヨヨミ「ん、どこへ」
美鷹「一緒に海の上の幸せの国を作りにだ」
ヨヨミ「そこに行けば絶対に幸せになれるの?」
美鷹「そ、それはだな……」
ちひろ「断言をお願いします、美鷹さま」
美鷹「うん……」
ちひろ「これまでの美鷹さまは御姫さまでした。ですから赤星の国が滅んだ事も、龍造寺が国を荒らした事にも、責任はありません」
美鷹「そうだな……」
ちひろ「今の美鷹さまは武将です。あなたがやることで不幸になったり、悲しい目にあったりする人への責任は全てあなたが負います」
美鷹「うむ……」
ちひろ「だから、断言してください、幸せにすると、美鷹水軍の者たち、全員を幸せにすると、嘘を、大嘘をついてください」
美鷹「うん」
ヨヨミ「嘘なの?」
美鷹「ああ、嘘で本当のことだ」
ヨヨミ「ん?」
美鷹「大丈夫だ、絶対に幸せになる、幸せで幸せで弾け飛ぶぐらい幸せにしてやる。約束するっ、ヨヨミ。だから一緒に海へ行こうっ!」
ヨヨミ「うんっ! わかった! いくよ!」
(背景:風雲丸上)
ちひろ「ヨヨミが役に立つ、と解ったから舟に誘ったのですか」
美鷹「それはちょっとちがうな」
ちひろ「そうなのですか?」
美鷹「ヨヨミは、隆信を、馬鹿を殴ってくれて、私はとても爽快だったのだ。馬鹿を殴ってくれた報酬だ」
ちひろ「まあ、そういう事にしておきましょうか」
(立ち絵:ちひろ微笑む)
――ヨヨミ美鷹と出会い大筒を撃つの巻 終わり――
●キャラスケッチ雑感
・リアルな話をいれると、苦めになりそう。時代萌え話は難しい。
・美鷹が成長しとる。
・ちひろがなんか立派だ。ネタキャラだったのに。イナメとキャラかぶりしそう。
・怪力ロリはキャラ立ちするなあ。
・隆信は馬鹿で残忍でしょうもないのだが、覚悟を書いたので意外と深くなった気がする。
●キャラかぶりが良くない訳
昨今のコンテンツを見渡すと、妹キャラが二人とか、ロリキャラばっかとか、親友男子二人かぶっとるとか、色々難のある作品があります。
キャラかぶりが何故良くないかというと、妹キャラなら妹キャラで使えるエピソードの数は決まっているのですな。一人であれば、妹キャラ立てエピソードを全て使って、キャラを印象づける事が出来るのですが、複数人になってしまうと、それぞれに使えるエピソードが半分に成ってしまいます。
よほど面白いエピソードならば一発でのキャラ立ても可能ですが、そこそこのエピソードならば複数、量をもって立てなければならないわけです。
キャラ立てを失敗すると、なんだか薄ぼんやりしたキャラになり、読者からの人気も得難くなってしまいます。
だから、同型のキャラはまとめて一本にするのが定石なんですね。
●おおっと陳元贇が使える時代だ
日本柔術の開祖といわれる、陳元贇先生がこの時代いるではないですかっ!
ヨヨミの師匠にするかなあ。女子化してもいいけど。
●インターネット凄いね
倭寇の歴史研究ページ発見したよ。http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/REKISI/kaizoku.html
・わこうっ!の舞台の16世紀初頭の倭寇は中国人中心らしい。
というか、明が海洋貿易を禁じたので、こまった貿易の人が倭寇として、密貿易をしていただけらしい。
日本人も居るのだが、それほど存在は重くない模様。
・海賊としての倭寇は、これよりも前の13世紀ごろの方が海賊っぽかったらしい、こちらの倭寇は日本人中心で、朝鮮半島や済州島、中国福建省を大暴れしたらしい。何故この時代にしなかったかというと、西洋がまだ来てないので、帆船砲戦のエピソードが使えないからだな。
・16世紀初頭の時代の商船はみんな武装化していて、隙をみせると襲ってくるらしい、舟、みな海賊状態だったらしい。
・わこうっ! 内では、倭寇(日本海賊)、オランダ海軍、の二局に、悪中国秘密結社、梁山十二女傑を中国側に当てるつもりだったが、中国倭寇も入れたほうがそれっぽいようだ。十二女傑を解体して、中国倭寇にするかな。
・この時代(16世紀初頭)西洋勢はオランダよりもポルトガルの方が勢力が大きい模様だが、チューリップバブルをエピソードに入れたいので、オランダ優遇で。
・少林寺拳法対倭寇という心躍る史実があった模様だ。(戦って両方全滅だそうな)
・朝鮮半島のキャラも出したい気もあるのだが、あの民族はほとほとめんどくさいので、無視した方が無難か。
説明 | ||
わこうっ!! キャラスケッチの二回目。 ロリ担当ヨヨミのスケッチ。 |
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コメント | ||
ばっちこいっ!! 次回は島津なので出てこないのがさびしい。(うーたん) 隆信、かなり好きです。 ばっちこい!!(まめご) |
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