TWICE 39TIMES プロローグ
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第00話 ”ノイズ”

 

 

ビデオテープを巻き戻してみる。

はじめはあった本来の映像は途切れ途切れになり、音にはノイズが入る。

それを何度も繰り返すうちにビデオテープは劣化していく。

そう、彼は劣化したビデオテープのように脆く消え去っていった……。

 

 

2015年 某日

 

とある昼下がり二人の男が建物の屋上にいた。

一人は名前を明川 真という高校2年生である。

真は屋上の扉から近いところでもう一人の男と対峙している。

もう一人の男は屋上の柵近くにいて今にでも乗り越えそうである。

「どうして…だよ。」

真は震えた声で男に聞いた。

「どうしてもないよ……ただ俺は生きてはいけないんだ。」

男は真を見つめる。ただ見つめる。その瞳には何の光も映っていない。

「なんで…友人だろ?」

また、震えた声で音を紡ぐ。

「……友人だから…さ。」

男は仰ぐように空を見上げる。

「馬鹿かっ!!友人だから?じゃあ、なんで僕に一言も相談しなかったんだよっ!!」

いきなり、真は怒った。そして、それを男にぶつけた。

しかし、男はすました顔で空から顔を落とし言う。

「真……覚えておいた方が良いよ。信じられるのは結局自分自身だ。誰も信じちゃいけない。」

その言葉に真はますます怒った。

「はぁ?じゃあ、僕は信じられないの?昔からいつも一緒だったのにっ!!」

「……俺は真を裏切った…だから、真を信じてあげる資格がないんだ。」

わけがわからない。真はそういう顔をする。

すると、男は紡ぐようにまた口を開いた。

「だから、俺はここに居てはいけない。」

男はスッと軽業師のように柵を乗り越え向こう側にある足場に着地した。

「あ……。」

それをみていた真は呆気にとられる。

真の友人である彼には運動能力はまったくなかったはずだ。

なのに彼は軽々と柵を超え更に向こう側の小さな足場に着地した。

運動能力が比較的高い真でも不可能に近い芸当だ。

「真、最後に言う。人は信じるな。そして、俺は逝く。」

彼は笑顔を浮かべた。

「え……まってよ。」

真は彼に言葉を投げかけるが彼は笑顔のままだ。

「まってよ、僕を置いていかないでよ、正樹っ!!」

真は叫べる限り大きな声で叫んだ。

しかし、その声は彼…正樹には届かない。

正樹はゆっくりと二つの瞳を閉じると文字通りそこから跳んだ。

 

説明
TWICE 39TIMESという作品のプロローグです。
まだ本編は完成していないので雰囲気だけでも味わってください。
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タグ
中二 能力 バトル シリアス 

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