真・恋姫無双呉ルート外伝「俺と愛紗の夏休み」最終章
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 「やれやれ、ようやく夏休みも終わりだな、愛紗」

 

 「はい、ご主人様。思えばこの夏休み、ご主人様の実家に来てから色々ありましたね」

 

 「ああ。もっとも大半は爺ちゃんとの地獄の修行なんだけどね」

 

 俺と愛紗は縁側で夏休みの思い出について語り合っていた。

 

 ついさっき、俺と愛紗は爺ちゃんとの最後の稽古を行っていた。

 俺と愛紗の二人がかりに対して、爺ちゃんは実力を0.002%に押さえた上で情け容赦なしに攻撃してきた。

 何度も何度も倒れるというか意識が飛びそうになりながらも、愛紗の助けもあって、爺ちゃんに一撃を食らわすことに成功、ようやく合格と認めてもらえた。

 その後俺と愛紗は二人揃って気絶してしまったらしい。まああんな稽古させられたらな・・・。

 愛紗はあの後10分ほどで目を覚ましたんだけど、俺はあれから1時間気絶していたらしい。前は丸一日気絶していたんだけど、これも成長って事かな・・・。

 

 それから愛紗と一緒に荷造りして、聖フランチェスカに戻る準備をし終わり、のんびり縁側で話をしているというわけだ。

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「確かに。しかし私もまだまだ世間知らずでした。まさかお爺様やお父様のような豪傑がこの世に存在したとは・・・。まだまだ世界は広いものですね」

 

 「ははは・・・」

 

 まあ爺ちゃんや父さんのようなのは世界に何人も居ないけど・・・。

 

 「でも、ここでの生活は、確かに苦しい修行もありましたけど、楽しいこともありましたね・・・」

 

 「・・・ああ、そうだね」

 

 愛紗の言葉に、俺はそう返答し、この夏の思い出を思い出す。

 

 初めて愛紗が作ってくれた味噌汁を食べたこと。

 

 家族と一緒に海水浴に行ったこと。

 

 愛紗と一緒にお祭りに行ったこと。

 

 どれもこれもが大切な思い出だ。

 

 前の世界での思い出と同じくらいに。

 

 「愛紗も最初は緊張しまくっていたよな〜。家に来たときは」

 

 「うっ・・・・そ、それは・・・不安だったんです・・・ご主人様のご家族に受け入れてもらえるかどうか・・・」

 

 なるほど、まじめな愛紗らしい考えだな。

 まあ結局俺の家族と仲良くしてたから良かったよ。

 

 「うっ・・・・ご、ご主人様!そんなに笑わないでください!恥ずかしいではありませんか!」

 

 と、愛紗が顔を赤くして文句を言ってくる。だってなあ、恥ずかしがっている愛紗もかわいいし、それに愛紗ってからかうと面白いし・・・。

 

 「ご、ご主人様〜!!」

 

 俺がなおも笑っていたため、愛紗は恥ずかしかったのか、絶叫を上げた。

 

 

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 「それじゃあ、爺ちゃん、父さん、母さん、また冬休みに来るから」

 

 「フォッフォッフォ、待っておるぞ一刀よ。夏よりさらに厳しい修行を用意してやるでの」

 

 まて!!爺ちゃん!!俺を殺す気か!!!夏より厳しいって、俺蒸発するわ!!

 

 「まあまあお父さん。とにかく一刀、体には気をつけて、そして毎日鍛錬を怠らないようにね」

 

 うう・・・・、父さん、あなたは爺ちゃんよりもまともでよかった・・・・。

 

 「冬にはさらに修行厳しくする予定だから♪」

 

 前言撤回!!やっぱり爺ちゃんと同じくらいろくでもねえ!!父さん、あんた自分の息子殺す気か!!!

 

 「大丈夫だよ♪きちんと鍛錬すれば♪」

 

 いや父さん、いくら鍛錬してもきついものはきついから・・・。

 

 「ふふ・・・愛紗ちゃん、また来て頂戴ね。次来るときは、一刀との子供が見たいわ♪」

 

 「お、お母様!!」

 

 母さん・・・いくらなんでも気が早すぎだって・・・。俺たちまだ学生なんだし・・・。

 ああ愛紗の顔が真っ赤になってるよ。

 

 「ぐぬぬぬぬ〜、おのれ〜愛紗〜」

 

 なんか隣から一菜の歯軋りが聞こえてくるんだけど・・・。

 いや、嫉妬しているのは分かるんだけどさ・・・。

 きっとあれだ、愛紗に兄貴を取られたことが悔しいんだろうな、多分・・・。

 なんか一菜って昔っから少々ブラコン気味だったから・・・。 

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「そうじゃそうじゃ一刀、愛紗ちゃんよ、お主らに渡すものがあったんじゃ」

 

 ?渡すもの?なんだそりゃ?

 俺達が不思議そうにしていると、爺ちゃんがどこから取り出したのか一振りの日本刀と一本の薙刀を俺達に差し出してきた。

 

 「何だ?この刀と薙刀?」

 

 「フォッフォッフォ、この刀と薙刀はの、わしの知り合いの刀工に作ってもらったものでの、まあお主らがこの夏の修行を乗り切ったご褒美とでも言っておこうかのう」

 

 爺ちゃんの笑い声を聞きながら俺は刀を抜いて刀身を眺める。

 

 刀身はまるで鏡のように磨かれており、日光を反射して白く輝いている。

 愛紗の持つ薙刀は、刀身には金色の龍の頭の装飾がされており、長大な刀身は、俺の

刀と同様、美しく光り輝いている。

 

 「ははっ、どうやら二人とも気に入ってくれたようだね。まあ本当はもっと別のがいいんじゃないかって思ったんだけどね。お父さんがこれがいいってしつこくて・・・」

 

 「なんじゃ雷刀よ!お主も昔は刀を貰って喜んでおったではないか!!」

 

 「はあ、ま、そうなんですけどね・・・」

 

 爺ちゃんの言葉に父さんは苦笑していた。

 まあ確かに刀はね・・・。でも俺自身はこの刀気に入ってるんだけど・・・。

 隣の愛紗を見ていると、愛紗も薙刀を気に入っているみたいだった。

 まあ元々武将だしね、優れた武器とかを見る目があるんだろうな。

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 「爺ちゃん、これ気に入ったよ、ありがとう」

 

 「私も、このような業物を頂けたことを、感謝いたします、お爺様」

 

 「フォッフォッフォ、そう言ってくれると嬉しいのう」

 

 俺と愛紗の礼を聞いた爺ちゃんは嬉しそうに笑っていた。が・・・。

 

 「・・・あの、お爺様」

 

 「ん?なんじゃ一菜よ」

 

 突然一菜が爺ちゃんに話しかける。

 

 「私には、無いのですか?」

 

 「お主は修行しなかったではないか、だから、無しじゃ」

 

 爺ちゃんの言葉を聞いた一菜は悔しそうに地団太を踏んでいた。

 爺ちゃん達はわらいながらそれを見ていた。

 

 「おお!そろそろ行かんと電車に間に合わなくなってしまうぞ!早く行くといい!」

 

 あ!もうそんな時間か!それなら早く行かないと!

 

 「分かったよ爺ちゃん!!それじゃあね、爺ちゃん、母さん、父さん!」

 

 「皆さん、お世話になりました!」

 

 「つ、次来るときは私も修行を付けさせていただきます!!」

 

 俺達は爺ちゃん達にそう言ってバス停に走っていった。

 

 「フォッフォッフォ、一刀よ、また会おうのう。また、の・・・」

 

 そのときまた爺ちゃんの目が怪しく光ったのを、俺は気にも留めなかった。

 

 

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で、今俺達は駅に向かうバスに乗ってるんだけど・・・。

 

 「なんで一菜は俺の膝に乗るのかな?」

 

 何故か一菜が俺の膝に乗ってきたんだ。

 

 「私が兄さんの膝に乗ってみたいと思ったから乗っているのですが・・・、ご迷惑でしたでしょうか?」

 

 そういって一菜は潤んだ目でこっちを見てくる。

 くっ、そんな目をされたら断れないじゃないか!でも周りの目もあるし・・・。

 愛紗なんかあきれてため息ついてるよ・・・。

 ってあれ?てっきり嫉妬で怒るのかと思ったけど・・・。

 

 「別に兄妹同士なのですから私もとやかく言う気はありません。

 それ以外の女性とだったら話は別ですが・・・」

 

 愛紗はそう言って俺を睨んでくる。あれか?俺が前の外史で何人も女の子と関係持ったことをまだ根に持っているのか!?

 まあ確かにあれは拙かったけどさあ・・・。一応無理矢理はやってないぞ!?両者の了解の内にやってるんだし・・・。

 

 「へえ、兄妹同士ならとやかく言わないのですね?なら・・・」

 

 と、突然一菜が怪しい笑みを浮かべると俺にいきなり抱きついた。

 

 「こんなことをしても別にとやかくいいませんよね♪」

 

 「なっ!?か、一菜!?」

 

 「な、なああああ!?!?」

 

 行き成りの事に俺は混乱してしまい、愛紗は顔を真っ赤にして目を白黒させていた。

 それを横目に一菜は俺に顔を段々と近づけてくる。

 

 「か、一菜!?」

 

 「兄さん・・・・」

 

 どこか恍惚とした表情の一菜の顔が段々とアップになってくる。

 そして・・・・

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 「あああああああ〜〜〜!!!許しません!!許しませんよ〜〜!!!ご主人様!!!」

 

 ・・・途中で中断された。

 愛紗が無理矢理俺から一菜を引き剥がしたのだ。

 邪魔された一菜は愛紗をキッと睨み付ける。

 

 「なにをするんですか!愛紗さん!兄妹が何をしようととやかく言わないのではなかったのですか!?」

 

 「それとこれとは話が別です!!抱きつくだけならまだしも、き、ききき、キスなど・・・。

 ゆ、許しません!!」

 

 「あ〜ら何も知らないんですね?兄妹がキスをするなんて欧米では珍しくないんですよ?」

 

 「ここは日本です!!それに、たとえ日本がそうであっても、こ、この私は絶対に許しません!!」

 

 「ふん!いつもいつも兄さんにべったりしているあなたに言われたくありません!!」

 

 「私とご主人様は恋人同士です!!誰にも文句は言わせません!!」

 

 「な、なんですって〜〜!!!」

 

 「やりますか!?」

 

 ・・・こうしてあっという間にバスの中は修羅場になった。

 それに対して、俺はただただ、早く駅に着くのを祈るしかなかった。

 

 

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「ふい〜、やっと駅に着いた・・・」

 

 散々修羅場を味わったせいか、駅に着くまでの時間が恐ろしく長く感じた。

 

 「フォッフォッフォ、どうやらまた修羅場を味わっていたみたいじゃのう一刀よ」

 

 「ああ、マジで死ぬかと思ったよ爺ちゃん・・・・って、ん!?」

 

 なんか違和感がしたため後ろを振り向くと、そこには家でわかれたはずの爺ちゃんが立っていた。

 

 「な、なああああああ!?じ、爺ちゃん!?何でこんなところに!?」

 

 「ふむ、家に居ても暇での、せっかくじゃからお主らに付いていこうと思っての。安心せい。切符代は持っておる」

 

 いや、そういうことじゃなくて・・・。

 

 「ど、どうやって私達に追いついたんですか!?」

 

 いきなりの爺ちゃんの登場で度肝を抜かしている愛紗がびくびくしながら聞いた。

 

 そう、俺が聞きたいのはそこだ。

 

 俺達はバスに乗って駅に着いたんだ。それに一体どうやって追いついたんだよ・・・。

 いや、追いついたというかこれは俺たちより先に来ていたっぽいぞ!?どうやって俺達より先に・・・。

 

 「む?走って来たに決まっておろう?」

 

 と、爺ちゃんは事も無げに言った。

 その言葉に対して、俺達は開いた口が塞がらなかった。

 

 走って、だと!?確かに途中で渋滞に合ったりしたけど、走ってるバスより先に着くなんてどんだけの脚力してんだよ!!!

 本当に人間かよ爺ちゃん!!てか超人だわ爺ちゃんは!!!

 

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「おお!そろそろ電車が来るぞい!!お主らも早く行くぞい!!」

 

 唖然としている俺達を尻目に爺ちゃんはさっさと先に行ってしまう。

 

 「あ、そうじゃ一刀よ」

 

 と、爺ちゃんはピタッと止まって俺のほうを振り向いた。

 

 「向こうに着いたらお主の稽古をつけてやるでの。とりあえず・・・」

 

 言葉を切った爺ちゃんの目が怪しく輝いた。

 

 

 

 

 

 「覚悟だけしといてちょ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・ああ、まだ俺の地獄は終わってないようだな。

 

  蝉の鳴き声が響く中、俺は呆然とそう思った。

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 あとがき

 

 みなさん、ようやく外伝最終話です!

 

 我ながら本当によくここまで書けたものです!

 

 この作品は、もともと一、二作程度で終わる予定だったんですけど、

 

 萌将伝で愛紗が出ないことが分かって、愛紗が好きな私は満足できずに

 

 自分で外史(二次創作)作って満足するしかねえ!と思い、連載をしたしだいです。

 

 愛紗ファンの皆さんが満足していただける作品になったかどうか、私にも分かりません

 

 が、満足していただけたのなら幸いです。

 

 次回からは本編の再開に成りますので、どうかお楽しみに。

 

 最後に一言、

 

 

 

 俺達の満足は、これからだ!!!

 

説明
どうも皆さん、恋姫外伝完結編投稿しました。
これをご覧になられる愛紗ファンの皆様が満足していただける内容であることを願っております。
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コメント
爺ちゃんのはっちゃけは止まりませんな〜一刀と愛紗はこの先も胃色々な意味で大変だ^^;(深緑)
次回から本編ですかな。何にせよ色々どうなることやら(BLACK)
じいさんが怖すぎるわ。一刀よ、生き残れよ。(ZERO&ファルサ)
紫電様、確かに誤字でした ので修正します。報告ありがとうございます。(海皇)
膝からくず折れる一刀。一刀の受難はまだまだこれからだ!!みたいな煽り文句がついていそうw(FALANDIA)
愛紗編楽しみで仕方ありませんでした。救済ありがとうございました(小鳥丸)
ひ暮らしのなく頃に:化け物編(意:おじいちゃん戦闘力がとてつもなく計り知れないから)・・・・・・・なんつって(黄昏☆ハリマエ)
そして、一刀は天に召されるのであった・・・w(よーぜふ)
一刀死ぬなよ!!(poyy)
ちょー ありがとうございました!1愛紗ファンとして嬉しかったっす!(フラン)
一刀と愛紗の成長は終わらない(キリッ (ロンギヌス)
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