わこうっ! キャラスケッチ C
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●カレン カレン呪われた戦列艦に乗り込み新しい乗務員を得るの巻

 

(背景:貴族の屋敷)

 

カレン「さあ、お父様、わたくしにっ、今すぐ新しい戦艦を、!」

お父様「カレンや、よくお聞きなさい、確かに私の大切な宝物のお前は、インド洋で大戦果をあげ、オランダの海賊姫と呼ばれるほどの船長となった」

カレン「マルダー家の者としては当然の戦果ですわっ」

お父様「だがね、だからと言って野蛮な日本人に、王から預かったフリゲート艦セレトリーヌ号を沈められた失点を埋め合わせる事はできない」

カレン「埋め合わせるが為に、失地を回復するために、新しい戦艦が要るのですわっ!」

お父様「遠い南シナ洋から良く帰ってきた。娘よ。しばらくはここでお休み。すこし足を止め、自分を見つめ直す事も必要だよ」

カレン「そんな暇はありませんのっ! 今にでも南シナ海に取って返し、あのにっくき倭寇に目に物を見せてあげませんと、私の気持ちがすみませんのよっ!」

お父様「報告書は読ませてもらった。恐ろしく優秀な敵のようだね」

カレン「そうですの、東方の野蛮人の癖に恐ろしく剽悍で、規律正しく、英雄的でさえありましたわ」

お父様「敵はフリゲート艦かね?」

カレン「フリゲート級ではありますわ、でも、西洋船、中華船、和船の良いところを混ぜ合わせたような、異常な船足にして、恐るべき旋回性能でしたわ」

お父様「最後は切り込み勝負だったようだね、ハーグ暗殺部隊上がりの水兵たちもかなわなかったのかい?}

カレン「メイドたちは良く戦ってくれました。それ以上に、倭人どもは凶暴でありましたの」

お父様「ふむ、舟で負けて、乗員で負けた、さて、私の大切な宝物が次に倭人と戦ったとして、勝てるのかね」

カレン「や、やってみないとわかりませんわっ!! お父様、わたくしは、あのキャプテン美鷹に勝ちたいのですっ!!」

お父様「私がいくら海軍大臣といえど、負けるかもしれない船長に、新たなフリゲートを与えるわけにはいかないな」

カレン「お、おとうさま……」

お父様「ロッテルダム港に、もう二年も使われていない戦列艦がある」

カレン「戦列艦!」

お父様「喜ぶには早いよ、わたしの最愛の宝石。かの船は呪われている」

カレン「呪われた船」

お父様「建造の時に船大工が五人死んだ。処女航海の時に船内に疫病が蔓延し、乗組員の半数が死亡し船長も死んだ。新しい船長は狂って、乗員をヤードに吊しまくり、反乱が起こった。また新たな船長を入れ、乗員を総取り替えしたところ、一年持った、が、火薬倉が爆発し、乗員の3/2が死んだ。舟は沈没を免れたが、修理しても、もう誰も船長になりたがらないため、ロッテルダム港で無人で揺れている」

カレン「……でも、戦列艦なのですわね」

お父様「そうだ、片舷三十六門の74門、海兵隊も積めるぞ。船の名前はエインドラクト号だ」

カレン「船の呪いなど、マルダー家の者が恐れるものではありませんわっ! 乗ります、その戦列艦を頂きます」

お父様「そうか、では、海軍司令部に話をつけておこう」

カレン「ありがとうございますっ! お父様っ!!」

お父様「気をつけてな、マルダー家の海賊姫が呪いになど負けるでないぞ」

カレン「はいっ!!」

 

(背景:ロッテルダム港、エインドラクト号)

 

キャンディ「黒い船ですね」

カレン「呪われている戦列艦にふさわしい色ね、いっそ帆も黒い物をつかおうかしら」

キャンディ「イエス マム。手配しておきます」

メイド1「なんか、こわーい」

メイド2「お化けでるんですって」

キャンディ「はいそこ、無駄口を叩くなっ! さっさと乗船し、出向準備を始めよっ!」

メイド1.2「イエス マム」

 

(背景:エインドラクト号、艦長室)

 

カレン「ふう、お化け付きの船とはいえ、やっと海に出られましたわね」

(SE:波の音)

カレン「やっぱり海の上が一番ですわ」

 寝台に転がるカレン。寝てしまう。

(イベント絵:カレンにのしかかるような黒い影)

黒い影(引き返せ……)

カレン「う、うーん」

黒い影(この船の先にあるのは破滅と地獄だ……)

カレン「……」

黒い影(この船は俺の物だ、出て行け……)

カレン「……あなたこそ……艦長室から出てお行きなさい」

(SE:ばっ!)

カレン「……、夢?」

 

(背景:エインドラクト号、洋上、中甲板)

 

キャンディ「体調をくずしている者が15名、かなり重病な者が五名でています」

カレン「普段よりも、少々多い、ぐらいの推移ね」

キャンディ「はい、ですが、悪霊の噂がそれに拍車を掛けて、呪いではないかと水兵たちが動揺しています」

カレン「悪霊を見た者は?」

キャンディ「若干名おります。私も昨晩、メインデッキにて目撃しました」

カレン「どんな格好でしたか?」

キャンデイ「黒い影のようなやせた男でした。男性はこの船にのって居ないので、たしかに亡霊かと」

カレン「密航者の可能性は?」

キャンディ「ありません、追いかけると消えうせました」

カレン「何者かしら、元乗務員の亡霊?」

キャンデイ「水夫の格好ではないようです」

カレン「では、船大工かしら」

キャンデイ「みすぼらしい外套から、下働きの者と思われます」

カレン「そう、死亡者のリストを当たってみます。具合の悪い者には果物を配給、船医に掛かるよう命じなさい」

キャンディ「船医は、その……、エロ馬鹿の変態なので……」

(医務室から声だけ聞こえてくる)

船医(注:女性)「おらー、ぬげー、素っ裸になるだ、へっへっへ」

シルビア「い、いやでふー」

船医「やかましい、船医の命令は絶対だー。そら、胸を突き出せ〜。へっへっへ」

(立ち絵:カレン苦い顔)

カレン「あれは変態ですが、まあ、腕は立つので、具合が悪くなったら掛かるように厳命しなさい」

キャンディ「イエス、マム」

船医「ほらー、腰を突き出せ、嫌らしいところが丸見えだぞ、へっへっへっ」

シルビア「しょ、しょんな〜、やめてくらはい〜」

カレン「副艦長、船医に鉄拳制裁!!」

キャンデイ「イエスッ、マムッ!!」

(SE:ごーん)

 

(背景:エインドラクト号、艦長室)

 

 カレン寝ている。

黒い影(この船の人間は全て死ぬぞ……。幽霊船になって洋上を漂う事になるぞ……。引き返せ。この船から出て行け……)

カレン(なぜ、この船から人を追い出したいのです?)

黒い影(ここは俺の居場所だ……。生者は出て行け……。この船は建造したときから俺の物だ……)

カレン(建造時から……? あなたはいったい?)

黒い影(呪われた船だ、こんな船には栄光も勝利もおぼつかないぞ……。お前には挫折と敗北が待っているのだ……)

カレン(おあいにくさま、我々は南シナ海で挫折も敗北も、嫌と言うほど味わいましたわ。何度敗北しても、何度挫折しても、オランダの誇りと、マルダー家の意地をもって、立ち上がるのが我々ですのよ)

黒い影(考え直せ……。失敗は心を折り、挫折は魂を腐らせる……。負けるぞ、悲しいぞ……)

(SE:がばっ!)

カレン「おだまりなさいっ!! わたくしは、何度倒れても立ち上がりますっ!! それがオランダ軍人の誇りというものですっ!!」

 黒い影は居ない。

 艦長室に一人、カレンがむっとして立っている。

 

(背景:エインドラクト号 中甲板)

 

(SE:とことこ)

シルビア「……あ、こんばんわー」

 船舷に黒い影が立っている。

黒い影(……)

シルビア「良い月夜でしゅねー、それではー」

黒い影(怖く、ないのか?)

シルビア「はい? しゃべれるんでしゅか?」

黒い影(……君とは血が近いようだ、そういう相手とは時に会話できる)

シルビア「あははー、シルビアは魔女の血を少し引いていますので〜、しょうかも〜」

黒い影(……君たちは不思議な集団だな)

シルビア「お名前は?」

黒い影(ジェラルドだ……)

シルビア「よろしくね、ジェラルドさん」

(SE:とことこ)

 

(背景:エインドラクト号、艦長室)

 

カレン「見つけました、ジェラルド・カイパー。人足、行方不明とありますわ」

キャンディ「人足ですか」

シルビア「まだ、お船のどこかにいるような気がしゅるんでしゅ」

キャンディ「船内は出航前に徹底的に清掃させました。それ以外だと……」

カレン「船倉かしら。バラスト石まではひっくり返してないのではなくて?」

キャンデイ「船員全員で船倉を探索します」

カレン「承認します」

キャンデイ「イエス、マムッ!」

 

(背景:エインドラクト号 船倉)

 

メイド1「とりあえず、樽とか物資を全部甲板にあげないと」

メイド2「大掃除ですわね」

シルビア「水樽が重いでしゅ〜」

キャンディ「きびきび働けっ!」

ジェラルド(なぜ、そんなに熱心に働くんだね? 君たちは女性じゃないか……)

キャンディ「馬鹿な事を、良く聞け亡霊、元々我らは、先のオランダ独立戦争の時代に、暴れ回ったハーグ暗殺部隊だ。貴様よりも、ずっと地獄を見て来たかもしれんぞっ」

メイド1「いるんすか、そこにいるんすか、お化け?」

メイド2「ひいいいっ」

キャンディ「カレン船長が我々を悪夢のような毎日から救ってくれたのだ。貴様のようなへたれ人足の亡霊ふぜいが、カレン船長を、我らを呪ったとて、びくともせんっ!」

シルビア「もう、ジェラルドさん、どっかいっちゃったでしゅよ〜」

キャンディ「ええい、くそっ!」

 

(背景:エインドラクト号 船倉)

 

メイド2「見つけました! 白骨がありますっ!」

キャンデイ「やはりバラスト石に埋まっていたか!」

ナレーション「バラスト石というのは、船の重心を下げるために、重りとして積む砂利石の事である」

カレン「みつけましたか」

キャンディ「はっ! どうやら殺されて、バラスト石に埋められたようです」

カレン「そうでしたか」

キャンディ「どういたします、こいつはバラバラに砕いて海に放り投げますか?」

カレン「シルビア、帆布を持ってらっしゃい。ジェラルドの遺体は正式に水葬します」

シルビア「はーい」

 

(背景:甲板、白い布に包まれた遺体の前で尼さんがお祈りを唱えている。

(SE:バーン、バーン。礼砲)

カレン「オランダ軍船の建造に尽くし、不幸にも事故にみまわれ、命を失った、ジェラルド・カイパーよ。汝の献身を我は称えん。いざ眠れ、天国の地で安らかなる眠りを得ることを我は望む。アーメン」

メイド全員「アーメン」

(イベント絵:波間に投下される遺体袋)

 

(背景:エインドラクト号 中甲板 夜)

 

(SE:とことこ)

シルビア「にこっ」

黒い影、微笑んでいるように見える。

(SE:とことこ)

 

(背景:エインドラクト号 艦長室 昼)

 

キャンディ「三時の方向に船影、ポルトガル船と思われますっ!」

カレン「さて、初陣ね、全艦戦闘配置っ! 砲撃戦用意っ!」

キャンディ「イエス、マムッ! 砲撃戦用意っ!」

 

(イベント絵:艦内を走り回るメイドたち)

 

メイド1「砲室に砂をまけっ!」

メイド2「キッチンのストーブの火をおとせっ!」

シルビア「シルビア班きてくだしゃいっ! 大砲に充填用意でしゅっ!」

 

(背景:エインドラクト号 後甲板)

 

カレン「副艦長、信号旗用意『トウホウニ コウゲキノヨウイアリ コウフクセヨ』」

キャンディ「候補生っ! 信号旗準備っ!!」

 

(背景:洋上二隻の軍艦がにらみ合うかんじ)

 

キャンディ「敵信号旗返信っ! 『ワラワセルナ ダッチメ』」

カレン「全砲門っ! 押し出っ! おごり高ぶったポルトガル人の尻に海賊姫の焼き印を押してやりなさいっ!!」

キャンディ「全砲門っ! 押し出せっ!」

カレン「上手回しっ! やつらの横腹に食いつきなさいっ!!」

キャンディ「上手回し! 取り舵一杯っ!」

 

ナレーション「この時代の海戦はいわば度胸試しのようなものだ。ままならない風相手に操船し、相手の船にギリギリまで近づいて大砲を撃ち込む。その繰り返しで勝敗が決まる。船の大きさ、大砲の数、船員の訓練度合い、士気、風、波、全ての条件が絡み合って戦闘の結果が決まる」

 

((背景:エインドラクト号 中甲板)

 

シルビア「いきましゅよ、でも、まだでしゅよー」

キャンディ「右舷、一斉発射っ!!」

シルビア「発射でしゅっ!!」

(SE:ドカーン)

 

ナレーション「大砲の一斉発射の反動で、船が傾く。こちらの大砲が当たるという事は、相手の大砲もまた当たるという事である」

 

(SE:ドカーン)

シルビア「ぎゃああ、直撃ーっ!! し、死にゅっ!! あれ?」

(イベント絵:黒い影が木の破片を止めている)

シルビア「あ、ジェラルド君、えへへ、ありがとー。砲孔を洗浄後、弾ごめーっ!!」

(立ち絵、黒い影、微笑む)

 

ナレーション「帆船同士の戦いは、海上でくるりくるりと円を描きながら、どちらかが戦えなくなるまで大砲を撃ち続ける」

 

キャンディ「ポルトガル船エトワール号に白旗! 敵船の抵抗が止みました」

カレン「全艦戦闘停止! 被害状況の報告をまとめよっ! 敵船は鹵獲する」

キャンディ「イエス、マムッ! 海兵部隊一番は私に続けっ! 敵船に乗り込むっ!」

 

(背景:エインドラクト号 艦長室 夕方)

 

キャンディ「ポルトガル人は捕虜としました、適当な士官を選び、オランダの基地へ送ります」

カレン「ご苦労さま。砲の直撃を食らったにしては被害がすくないわね。シルビアの砲の近くに着弾したのに」

シルビア「ジェラルド君が助けてくれたんでしゅよ〜」

キャンデイ「亡霊が? 弔いをしたので、船の守護天使にでもなったのかしら」

カレン「それはちがうわ」

シルビア「どういう事でしゅかー?」

カレン「彼は仲間になったのですわ。このエインドラクト号の523番目の乗り組み員に」

 シルビア、嬉しそうに笑う。キャンデイ、ちょっと迷って微笑する。

カレン「さあ、総員、気を引き締めなさいっ! 我が艦は喜望峰廻りで、南シナ海へ向かいますっ!」

みんな「「イエスッ マムッ!!」」

 

――カレン呪われた戦列艦に乗り込み新しい乗務員を得るの巻 終わり――

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●スケッチ雑感

 

・副艦長のキャンデイ、あほのメイド下士官シルビア、変態船医とキャラが増える増える。

・キャンディはきっと、外見がキャンディス・ホワイトできびきびしているのだろうなあ。

・海戦の醍醐味は命令が飛び交う物なのだが。オランダ語での命令語が解らん。なるべく和訳命令ですましたいが、できないところは英語だ。(英語での砲戦用語は海戦小説があるので引っ張ってこれるのであった。早川のホーンブロアーシリーズ、ボライソーシリーズ)

・オランダと言ってるのは日本だけで、あそこの国は国際的にはネーデルランドらしい。

・戦列艦の乗務員は五百人ぐらいいるらしい、ハーグの暗殺メイド部隊はどんだけ居たのか。

説明
わこうっ!! キャラスケッチ四回目はオランダ海軍のカレン船長のお話。
いやあ、海軍のコンテンツなんかやると、キャラ増えるですよ。キャンディ、シルビア、船医はキャラスケッチから出てきたキャラ。
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タグ
企画書 歴史 海洋冒険 帆船 時代劇 

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