遅い出会い 〜華雄と北郷一刀〜
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 華雄は三国時代の人である。

 

 漢朝末期、暴君董卓に仕えて実力を発揮し、多くの いくさで獅子奮迅の働きを見せた。

 もっともゲーム恋姫†無双の中では、ストーリー進行における盛り上げ役の地位に甘んじ、無印以来 五回に渡って繰り返された水関の戦いに全敗。

 オール ルーズ。

 以後は、いくつかのパターンに分かれながらも、概ねは君主なしの浪人武将として「るろうにでござるよ」と放浪する人生にブレがなかった。

 しかし決して「働きたくないでござる」というわけではない。

 その持ち前の武力によって傭兵として身を立て、あるときは山賊退治の主将として、またあるときは要人のボディガードなりして、その都度 路銀を稼いでいた。

 そのために家なき放浪生活も、案外楽しく過ごせていたのだが、その生活が ある日 急転した。

 

 世の中から いくさ がなくなった。

 ある日急になくなった。

 

 所々で起こる小戦闘こそがローニン華雄のメシの種だというのに、それが絶えては彼女に死ねと言っているようなものである。

 別に働いたら負けとか そんなことは思ってない。

 むしろ働きたいでござる。

 しかし戦闘以外に何のとりえもない華雄に、平和な世の中で身を活かす場があるわけもなく、時が流れるとともに彼女の財布はドンドン軽くなり、体重も軽くなっていった。

 

華雄「むきゅう」

 

 そんなガラにもない唸り声を上げて、華雄は行き倒れた。

 

華雄「腹が減った……。三日前のトノサマバッタ以来何も食べてない……」

 

 ほんの数年前までは、董卓配下で呂布、張遼と並んで三将軍と称された華雄の、目を背けたくなる末路である。

 世の中が平和になってからというもの、ここまで自分が役立たずだとは思いもよらない華雄であった。

 いくさを求めた。

 いくさを求めて東西南北を歩き回った。

 しかし彼女の求める いくさは、もはや過去以外にはなく、現在や未来では いかに探そうと見つかりようがなかった。

 たまに偶発する山賊なども、中央にできた政府からの派遣軍が迅速に取り締まり、華雄ごとき浪人の付け入る隙がない。

 ヘタすれば所属不明の自分が取り締まられるレベルだった。

 となれば あと いくさで生計を立てるすべといったら自分自身が山賊になって犯罪行為に手を染めることだったが、それは華雄の最後のプライドが許さなかった。

 渇しても盗泉の水は飲まないのである。

 しかしそれも、無事命を永らえたら、の話。

 

華雄「死ぬ、そろそろ死ぬな……」

 

 まさか この華雄、敵の刃でなく空腹に殺されることになろうとは。

 こんなことなら水関の戦いで討ち死にしてた方がよかったかなー。そんな悲壮な考えまで浮かんでいた その時だった。

 

 

 

 ひょい、と拾われた。

 

 

 

 空腹で行き倒れていた華雄の体を、まるで捨て猫でも抱え上げるかのようにお姫様抱っこされた。二本の逞しい腕が、華雄の足と背中を支える。

 意識も朦朧としていた華雄は、自分を拾った相手の顔すら よく見えず、ただ されるがままに任されていた。

 

 

    *    *    *

 

 

華雄「ガツガツガツガツッ! アバアバアバアバアバッ! おかわり、おかわり! あと水!」

 

 あまりにも見事な食いっぷりに、周囲の注目が集まるほどだった。

 ここはとある田舎街の片隅にある飯店。

 どうやら華雄が行き倒れていたのは、あと数間もすれば たどり着けるような街の近くであり、華雄は そこまで運んでもらえたようであった。

 もっとも、仮に自力で街まで たどり着けたとしても、かように鯨飲暴食するほどの持ち合わせはない。

 彼女が注文する傍から胃の中に消し去ってしまう料理の代金は、すべて華雄の対面に座っている彼の懐から出てきたものだった。

 

一刀「ハハハ、別に そんなに慌てて食べなくたっていいよ」

 

 北郷一刀は微笑した。

 彼自身も、自分用に注文した水餃子を控えめに摘んでいる。

 

華雄「ぶばぶ! ぼのぼぶば ヴぉうだび ばずれぼうぶヴぁふぁび!」

 

一刀「いいから ちゃんと食い終わってから喋れ」

 

華雄「ぶむ!」

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 華雄は一心不乱に食べ続けた。

 チャーハンのご飯粒は飛び、角煮ソバのスープは跳ね、春巻きは噛み千切られ、北京ダックは引き裂かれ、海は荒れ、大気は渦巻き、地は裂け、雷鳴がとどろき渡った。後半いくつかは誇張だった。

 ともかく それクラスの食事が終わり、華雄は満足げにゲップを漏らした。マナー違反。

 

華雄「食った食った……。これなら向こう一週間絶食しても耐え切れそうだな」

 

一刀「いや、ちゃんと一日三食 食べようよ」

 

 一刀が苦笑する。

 

華雄「御仁よ、誰だか知らぬが助かった。貴殿が発見してくれなければ、私は路上で行き倒れたまま、カラスの餌になっていたことだろう。貴殿は命の恩人だ」

 

一刀「いいよ、そういうの。オレは困っている人を放っておけなかっただけ。これからの時代、そういう助け合いが大切だからね」

 

華雄「高き志だな。……気に入った、私は華雄という、貴殿の名は?」

 

一刀「北郷一刀」

 

華雄「なにッ?」

 

 その名を聞いて、華雄の表情が変わった。

 

華雄「なんと…………」

 

一刀「…………」

 

華雄「なんと、珍しい名前だなッ!」

 

一刀「よく言われます」

 

 突進武将の脳内こんなものだった。

 

華雄「とにかく、一飯を施してくれた貴殿には大きな恩ができた。この華雄 一介の武将として是非とも報いたい、私にできることなら何でも言ってくれ!」

 

 華雄は誇らしげに言うものの、一刀は ちょっと困ったような表情を見せた。

 

一刀「じゃあ、お言葉に甘えようと思うんだけど、華雄さんは どんなことができるの?」

 

華雄「いくさだな! 我が手にかかれば八千の軍団も、袋の中から玉を出すがごとく簡単に斬り伏せてくれよう!」

 

一刀「でも、いまどき いくさなんて起こらないよ?」

 

華雄「うっ?」

 

 ありのままの事実を伝えられて、言葉を詰まらせる華雄。

 

華雄「……なあ、一刀殿。何故、最近は こうサッパリいくさが起こらなくなったのだろうか?」

 

一刀「そりゃあ、魏・呉・蜀が三国同盟を結んだからだよ」

 

 他人事のように一刀は言う。

 

一刀「乱世も もう終盤に差し掛かってて、残った大国は三つだけ、その三国が仲良くなったんなら戦争なんて起こりようがないさ」

 

華雄「なんと! 私の あずかり知らないところで そんなことが起こっていたのかッ?」

 

 情報弱者・華雄。

 

華雄「だが、反董卓連合なんちゃらで詠が調べたところでは、魏の曹操や、呉の孫策などは、他人と並び立つようなことを よしとする人物ではなかったはずだ。それが何故……」

 

一刀「いくさばっかするより、施政で人々を幸せにする方が面白いって気づいたんじゃないの?」

 

 一刀は気のない相槌を打った。

 

料理人「いやいや、お客さん、それよりも天の御遣い様ですよ!」

 

 料理屋の店主が、注文された料理をテーブルに運びつつ、話に割り込む。

 

料理人「天下で もっぱらの評判ですぜ。劉備、曹操、孫権の お三方をまとめられたのは、何でも天から降りてきた御遣い様が八方手を尽くしたからだそうでさ。天の御遣い様がいなけりゃ、三国は今でも喧嘩三昧、平和な世の中なんて まだまだ先の話だったろうなって」

 

華雄「天の御遣い……?」

 

料理人「そうでさ、ワシらが のんびりした心地で毎日お天道様が拝めるのも、みぃんな天の御遣い様のおかげでさ。ありがたや ありがたや、でホイコーローお待ち!」

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華雄「うむ」

 

 華雄は熱々のホイコーローをタイムラグなしで白御飯にブッカケ、そのままガツガツと喉に流し込む。

 しばらくすると、ピタリ、と動きが止まり。

 

華雄「……そうか、すべては、その天の御遣いとやらのせいなのだな」

 

一刀「?」

 

華雄「いくさがなくなって、私の活躍の場がなくなり、収入が断たれて行き倒れたのも、全部ソイツのせいというわけだ! 許さんぞ天の御遣いめ! もし私の前に現れたら一刀両断にしてやる!」

 

一刀「アハハハハハハハ……」

 

 一刀は静かに笑った。

 

華雄「だが、さしあたっては恨みを雪ぐよりも、恩に報いることだ」

 

一刀「うん?」

 

華雄「一刀殿、私は なんとしても貴殿に礼がしたい。貴殿は命の恩人だからな。だが私にある能は いくさだけ。私に何か、貴殿のためにできることはないだろうか?」

 

 それを本人に聞きますか?

 一刀は、顎に手を当てて考えてみるものの、なかなか答えが出てこない。

 

一刀「………………」

 

華雄「………………」

 

一刀「…………………………」

 

華雄「………………」

 

一刀「………………………………………………」

 

華雄「そんなに考えても出てこないのかッ!?」

 

 ちょっと涙目になる華雄だった。

 

一刀「う〜ん」

 

 一刀は悩んだ。

 戦闘以外で、華雄のよいところを見つけ出してみるというと、たとえば。

 以外に露出度の高い上半身? ほとんどブラ一丁なコスチュームで、ヘソも胸元も丸出しだし。特にあのヘソが良い、きっと戦闘で腹筋も引き締まってることだし、あのヘソのふちを指でクルクルなぞってみたいものだった。

 あと胸元の露出も高い、ボリュームは残念なバストであるが、アスリート系と思えばむしろ高ポイント。胸のわずかな ふくらみを直に触って確かめつつ、引き締まった腹筋の微妙な盛り上がりまで触診できたら もう……、

 

華雄「どこを見ておるかッ?」

 

 殴られた。

 

華雄「まさか貴様、そういう下心があって私を助けたのか? いくら無一文の行き倒れとはいえ、武将たる私が そんな身を売るような行為など……」

 

一刀「いやいやいやいやッ!」

 

 一刀は自分の不埒な視線を必死に弁解する必要があった。

 

一刀「じゃあ、こういうのはどうかなッ? 華雄さんの、オレへの恩返しの方法!」

 

華雄「一晩だけなら……」

 

一刀「何前向きに検討してるの、そうじゃなくて! オレのボディーガードをしてほしい!」

 

華雄「ぼで…?」

 

 聞きなれない言葉であった。

 

一刀「オレ、今ちょっとした旅行の途中なんだけど、その間の旅路って多少不安でしょう? 華雄さんは強いから、一緒に来てくれると安心だ」

 

華雄「う……」

 

一刀「旅の途中の宿泊費や食費は、オレから出させてもらう。それでどうかな?」

 

華雄「バカなッ! それでは私が貴殿と行動を共にする間、ますます貴殿への恩が重なることになるではないか! それでは……!」

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一刀「よし決定! オヤジさん、出るから お勘定ーーッ!」

 

 押し切ることには定評のある北郷一刀だった。

 

 

    *    *    *

 

 

 こうして しばらくの間 一緒に旅をすることになった北郷一刀と華雄であったが、その道行きの間、華雄は多少ながらも相手の男のことがわかってきた。

 まずは、やはり どこかの名士であるということ。行き倒れた浪人にポンと飯を奢ってやれる経済力があることから想像はついていたが、行く先々ので歓迎されるので華雄は驚いた。

 新しく着いた街で一刀を迎えるのは大地主や豪商といった大物ばかり。彼らの家に泊まるため、一刀や華雄は一々宿を探す必要もなかった。

 それらの大人物と、一刀は常に難しい話をして、華雄の頭をクラクラさせた。

 たぶん政治とか、商業の話に違いないが、そういう話ができるほどに、一刀は何らかの権力を持った人物ということだった。

 それだけVIPな人間であるというのに、護衛が華雄一人であるのはどういうことだろう?

 考えてみれば不思議な話だ。

 それだけの重要人物であれば、出発する時点で「なのだー」とか「なのー」とか言う護衛をつけてしかるべきはず、それなのに旅先で拾った無頼人を気まぐれのように連れ歩いて、それ以前は まったくの一人旅だったというのだ。

 そのことを思い切って一刀に問いただしてみると、

「たまには一人旅とか気楽じゃない?」

 という答えが返ってきた。

 そこで華雄は気づいたのだ。既に この天下は、街や村を行き来するのに護衛も必要ないほど平和であるのだと。

 だったら今の自分に、一刀の護衛役である意味などなく、ただ一緒についていってタダ飯タダ宿にありついてるだけではないか。

 それに気づくと慄然とした。

 

 

    *    *    *

 

 

一刀「華雄、そろそろ明かり消すぞ?」

 

華雄「ああ」

 

 フッと燭台の火を吹き消して、部屋は宵闇に包まれた。

 一刀と一緒に旅をして、何回目かの宿である。寝台が一つだけしかない部屋の中、一刀と華雄は二人きり。

 

一刀「……あの、華雄?」

 

華雄「問題ない、私はいつものとおり ここで眠る」

 

 と、華雄は寝台に一刀一人を残し、冷たい床に座り込んだ。

 護衛役である以上、主の寝込みの守る必要も今の華雄にはある。なので別室で就寝するのも頑なにこばみ、だからといって同室になるとこのザマなのだ。

 一刀は大変心苦しかった。

 

一刀「……イヤ、女の子を床に寝かせるなんて、逆にオレの方が眠れなくなるんだけど」

 

華雄「では、どうすると?」

 

一刀「そうだなー、ベッドは一つしかないし、オレと一緒の布団で寝る?」

 

華雄「では、そうしよう」

 

一刀「!!!!?」

 

 冗談半分で言ったのに、華雄は まさかの快諾をした。

 しかも それだけではない。

 シュルシュルと、闇の中から衣擦れの音が聞こえてくる。

 

一刀「なに? なになになにッ?」

 

華雄「失礼する」

 

 と言ってベッドにもぐりこんできた華雄は全裸だった。衣服のすべてを床に置き去りにして、生まれたままの姿だけを寝台に乗せる。

 

一刀「どどど、どいうことッ? ……そうか、華雄は全裸で寝る派の人……ッ!」

 

華雄「そうではない、一刀殿が、同じ寝台にいるからだ」

 

 決定的なことを言われた。

 

華雄「一刀殿への恩は、やはり私の女で お返しするべきだと判断した」

 

一刀「……なんで?」

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華雄「もはや、今の世に武力など何の意味もないと わかったからだ。一刀殿との旅で つくづく わかった。乱世は終わり、いくさは もう どこにもない。いくさの腕一つだけで世を渡ってきた私にも、生きる場所などないのだ」

 

 寂しげに華雄は言った。

 その震える肩、潤んだ瞳には猛将・華雄の豪気など少しもなく、あるのは まるで少女の弱々しさのみだった。

 強く、逞しく、戦場に出れば恐怖と尊敬を一身に集めた華雄。しかし その力を、時代によって無意味にさせられた彼女は、体同様 心まで丸裸になってしまっていた。

 

華雄「私に残っているものは、どうやら男を喜ばせる この体だけのようだ。私を思うままに弄んで、貴殿の恩に報いたい」

 

一刀「…………」

 

 一刀は無言でいたが、おもむろに華雄の体を抱き寄せる。

 

華雄「あっ」

 

 これから始まることを想像して、華雄は恐怖の声を発した。

 何も知らぬ処女のような声だった。

 一刀はベッドの中で、華雄の裸体を抱きしめる。両の腕で ただ抱きしめる。ただそれだけで、何も動きがない。

 

華雄「……あの」

 

 さすがに華雄も怪しんで、彼女から問いかけた。

 

華雄「先には進まないのか? もっと、その、やることが……」

 

一刀「落ち着いたか、華雄?」

 

華雄「え?」

 

一刀「オレに抱きしめられると、心が落ち着くんだそうだ」

 

 そう言われると、心臓がバクバクいっているが、心情そのものは床に座り込んでいたときより落ち着いた気のする華雄だった。

 一刀の体温が直に伝わってきて、心が温かい。

 

一刀「たしかに今、人は時代に選択を迫られている」

 

華雄「え?」

 

一刀「平和から乱世でも、乱世から平和でも、変わるということは そういうことなんだ。自分を変えて新しい時代に順応するか、変わらないまま古い時代と死んでいくか。人は時代から選択を突きつけられる」

 

華雄「……私は、古い時代と死んでいく人間なのだな」

 

一刀「変わることはできないか?」

 

華雄「え?」

 

一刀「自分を変えて、新しい時代と生きていくことはできないか? 華雄の、真っ直ぐで、妥協しない心は変えなくていい。平和な時代を生きてける、新しい華雄になることはできないか?」

 

 もし変わる気持ちがあるのなら。

 

一刀「オレは その手伝いをするために、華雄と一緒に生きてもいい」

 

 夜の静寂が、二人の体に降り積もった。

 明り取りの窓から月光が差し込む。激しい乱世とは程遠い、静かな夜だった。

 

華雄「私は、変われるだろうか?」

 

 戸惑いがちに言った。

 

華雄「私は いくさバカだ。私から いくさを取ったら正直何も残らない。そんな私が……」

 

一刀「なら、これから作ればいい」

 

 抱きしめる腕の力を強める。

 

一刀「時間なら たっぷりあるさ。平和ってのは そういう時代なんだ。ゆっくりと時間が流れる。そのたくさんの時間を使って、自分を見つめなおすといい」

 

華雄「……一刀殿、ちょっといいか?」

 

一刀「なに?」

 

華雄「そんなに真面目なことを口から話しているのに、何故貴殿の手は、私の尻を撫でまくっているのだ?」

 

 布団の中でモゾモゾと二つの手が這い回っている。

 そのふしだらな手は、華雄の水密桃のようなお尻を、思うさまに貪り倒していた。

 一刀は言い訳するように あはは、と笑い、

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一刀「だってまあ、華雄みたいな魅力的な女の子が、全裸で同じ布団の中にいたら自制心もつかなくなるわけで……」

 

華雄「……魅力的? 私がか?」

 

一刀「もちろん」

 

 そう言われると、華雄は むず痒そうな、気難しそうな渋面を作る。

 

華雄「そんなことを言われたのは初めてだ」

 

一刀「マジ? じゃあオレが華雄の初めてを いただきだね」

 

華雄「かも知れん。……そんなに魅力的であるのなら、いっそ平穏の世は、妓楼の傾城として生きてみるかな?」

 

一刀「それはイカン、他の男に見られるとオレが気が気ではなくなります」

 

華雄「では、貴殿が私を囲いものにするというのは どうだ?」

 

 華雄が、戦場で鍛えられた膂力で一刀に覆いかぶさり、互いの体を重ね合わせた。

 二人の体から距離がなくなり、心も混じり合い、やがて獣のような鳴き声が上がり、そして果てた。

 

 

    *    *    *

 

 

 太陽が中天に登り詰めた正午、一組の男女が互いの唇を貪りあっていた。

 

華雄「……んちゅ、ん、ああふッ、んッ、じゅるじゅる、っつ、……んぶッ」

 

一刀「れろれろれろれろ……、華雄、唾出して」

 

華雄「じゅる、んふううううう……」

 

 休憩時間は大体そんなものだった。

 初めて結ばれた あの夜から、一刀は一夜と置かず華雄を求め、彼女も それに答えている。

 プハッと唇を離す。

 

一刀「……いかんな、華雄の体に溺れまくっとる」

 

華雄「いいではないか、この旅の間は、とりあえず私の体は貴殿の自由だ」

 

一刀「でも、その旅も もう終わりなんだよなー」

 

 北の方を見ると、巨大な街の景観を眺めることができた。

 一刀が、諸国遊説の旅を終えて、帰るべき新都だった。

 

華雄「アレが、一刀殿の住む街か」

 

一刀「そ、そして同盟を結んだ魏・呉・蜀の三国が集う、中央都市だ」

 

華雄「そんなものが築かれていたとは全然知らなかった」

 

 マジ情報弱者・華雄。

 

華雄「では、いつか話題に上った天の御遣いとやらも、あの都にいるのか?」

 

一刀「……まあ、そうなるかな?」

 

 実際のところ、今は留守にしている、けどな。

 

一刀「ねえ華雄、もし あの都で、天の御遣いに会ったらどうする?」

 

華雄「どうもしない、もう私は、一刀殿と新しい道を探すと決めたのだ。今更そいつが何をしたとしても、私には関係ない」

 

一刀「ああそう」

 

 なんだかホッと一息。

 

華雄「だが、私が一時期いくさに食いっぱぐれて路頭に迷った恨みはある。その恨みを、一発殴って晴らすのもいいかもな。あっはっはっは!」

 

一刀「アハハハハハハハ……」

 

 やがて休憩を終えて、一刀と華雄は残りわずかな旅路を進んでいった。

 後に、新都の軍部に、新たなる英雄の名が加わることになった。

 

                         終劇

説明
 一部で人気の華雄話です。
 とりあえず、この話の製作過程について述べます。

 とにかく起こったことを ありのままに話すぜ。
『俺は華雄の股間でワカメかき氷を作る話を書こうとしたら、いつの間にか華雄純愛話になっていた』
 何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何を書いてるのかわからなかった。
 ブルマ華雄とか、ナース華雄とか、そんなチャチなもんじゃ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。


 始まります。
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コメント
ドッペルゲンガー様>ありがとうございます(泣)!!(のぼり銚子)
良い話だった(泣)!!(ドッペルゲンガー)
再度コメント失礼!おおう!これはとんだ失礼を!そういえば普通にありましたね、そういう単位^^;(深緑)
深緑さま>いえ、「間(けん)」は昔の距離の単位なんです(汗 華雄さんは素敵すぎです、ありがとうございました(のぼり銚子)
誤字報告p1あと数間→あと数時間 ですか? 慰めてるんだか口説き落としてるんだか・・・その手の早さといい一刀が種馬なのが良く分かったw 己の矜持を曲げず決断したらこうも可愛くなった(元々そうだけど)華雄姐さんは素敵すぎる!ナイスなお話でした^^b(深緑)
ue様>華雄は可愛いんですよ、でふぉですよ!(のぼり銚子)
華雄かわいいな、おいwww(ue)
F458様>どんな扱いでもいいから出てきてもらいたかったものです(のぼり銚子)
華雄もこれだったら作品に出ても良かったんでわ??(F458)
jackry様>揺らいで最後に横倒しになりましょう。(のぼり銚子)
いじり様>前向きに検討して前のめりになりましょう(のぼり銚子)
華雄に前向きに検討されたい(いじり)
poyy様>きっと天がお決めになったことなのです。たぶん。(のぼり銚子)
スターダスト様>ボコられたのかもしれませんw(のぼり銚子)
320i 様>気の済む限りにニヤニヤするといいと思うのです!(のぼり銚子)
future様>実際に一刀の被害にあった女性たちからの定評ですw(のぼり銚子)
21世紀様>BaseSonさんオーダー入りました。(のぼり銚子)
アンプレゼント様>ヒィィィハァァァァァァ!(のぼり銚子)
ロンギヌス様>他ヒロインから一刀が袋叩きにされる図が!(のぼり銚子)
よしお。様>ニヤリストwww!(のぼり銚子)
よーぜふ様>華雄姉さんから本気で殴られたら、一刀くんは多分死にます。……いや一刀だから死なないか。(のぼり銚子)
libra様>上級クラスに挑戦したいお年頃なのです。(のぼり銚子)
クロスEX様>興奮していただいて嬉しいですw(のぼり銚子)
何故こんな話がなかった萌将伝。(poyy)
で・・・・ボコったのか?(スターダスト)
『押し切ることには定評のある北郷一刀』 うん!何だろうな、この定評はwww(future)
そうだよ!こんなのがほしかったんだよ、萌将伝!!(21世紀)
ヒィエッフゥゥゥゥ!(アンプレゼント)
よし、一刀。華雄に一発ぶん殴られて、そのあと華雄本人に手当てされて来い。 その後で三国の恋姫たちから詰問されるが良い。(ロンギヌス)
ニヤニヤw(よしお)
あははw よし、一刀殴られろ、思う存分殴られろ! なところまでみてみたかったですw 華雄姐さん最高です・・・(よーぜふ)
>華雄の股間でワカメかき氷を作る話を書こうとしたら  上級者すぎるだろ…(libra)
華雄!華雄!華雄! 姐さんサイコオオオオオオオオオオオオウ フォオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・サーセンちょっと落ち着きますw(クロスEX)
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