馬超√ 第2章 〜日輪を支える少女〜
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「つまり、あなたの言う事を纏めると・・・」

 

そう言って髪をかき上げる妙齢の女性。

 

わざとなのか、自然にやっているのか、

 

男心を擽るその仕草に年頃の男子が見とれないはずも無く・・・。

 

当然一刀も見とれていた。

 

「北郷さん聞いていらっしゃいますか?」

 

不意に名前を呼ばれて我に返る。

 

「あ、はい聞いてますよ?馬騰さん」

 

危ない危ない、あんまり見入らない様にしよう。

 

取りあえず気分を落ち着けるためにこれまでの状況整理をするか。

 

あの後馬超に連れられて玉座の間まで連れてかれたんだよな、

 

どんな強面のバb・・・いや、おば様が出てくるのかと思ったらこれだもんな

 

それで馬騰さんからこの大陸の情勢について馬騰さんから色々と教わった。

 

その後俺の身の上を説明して今に至ると。

 

しかし、この世界なんか美人多いなぁ。

 

「つまり、あなたの出身は日本という国の東京でフランチェスカ学園と言ういわば私塾に通う学徒であると・・・?」

 

「ええ、概ねはそれでいいかと」

 

「そして、天の御使いという言葉も知らない、あくまで一介の学徒であると?」

 

「ええ、その通りです」

 

本当に色々なことを教わった。

 

中央の腐敗、それに苦しめられる民衆、増え続ける野盗

 

どれもこれも現世で自分が学んできた事柄よりもずっと生々しく感じられた。

 

そして管輅の予言のことも教わった・・・。

 

「ええと、俺が流星と一緒に現れたって話?それが今大陸で話題になってる管輅って言う人の予言と酷似してるんでしたっけ?」

 

「そうですわ、ですからわたくしは貴方様を天の御遣と考えているのですが・・・」

 

「いや、だから何度も言ってるように俺はそんな大それたもんじゃないって、見ての通り筋力も人並みだし、

 頭も普通・・・、当然世界を救う特殊能力なんて持ってないしね」

 

「・・・そうですか、ならば北郷さん、貴方どこかに行くあてがお有りですの?」

 

「い、いやないけど・・・」

 

「ならばこう言うのはどうでしょう、わたくしは貴方様を保護いたします、代わりに貴方様は名を・・・、

 天の御遣という名を私共に貸し、民を助ける、如何でしょうか?」

 

馬騰さんの中では既に一刀が天の御使いと言うのは決定事項らしい、ため息交じりに言う。

 

「俺は本当に何の力もない人間です、あなたの話、大陸の情勢を聞くに、俺一人旅に出たところでこの世界で

 生き抜くことなんか不可能だ、だから俺を保護してください、その代わり俺は『天の御遣』として出来る限りこの世界の力に成ります」

 

馬騰さんが微笑む、天使の微笑み、そんな言葉が頭をよぎる。

 

「ええ、それでは宜しくお願いいたしますわ」

 

綺麗だ、素直にそう思った。

 

「ああ、こちらこそよろしく」

 

話が纏まったところで馬騰さんが声を上げる。

 

「だれかある!!」

 

そういった瞬間何処からか鎧姿の兵士が現れる。

 

「翠と蒲公英をここへ」

 

「ハッ!」

 

命令された兵士はよほど訓練されているのか、非常にきびきびとした動きで退室して行った。

 

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程なくして外から扉が開かれる。

 

「北郷!母様!どうなった!?」 「おば様!どうなったの!?」

 

まるで示し合わせたかのように同時に口を開く二人。

 

仲いいなぁ。

 

「ああ、俺は天の御使いとしてやっていく事に成ったよ」

 

そう言いながら自然に頬が緩んでいた。

 

「そーかぁ、これで西涼、いや大陸は安泰だな」

 

「よかったぁ♪」

 

「改めて、これからよろしくな2人とも!」

 

「ああ、もちろんだ!」

 

「よろしくねお兄様♪」

 

聴きなれない言葉に耳を疑う。

 

「お兄様!?」

 

「そう、お兄様♪今日からたんぽぽはお兄様のことお兄様っていうから、お兄様もたんぽぽのこと蒲公英ってよんでいいよ♪」

 

「蒲公英って、真名だよな?いいのか?」

 

「うん♪だって今日から仲間なんでしょ?それにお兄様結構たんぽぽの好みだし」

 

からかわれているのか、それとも本気なのか解らない表情でそんなことを言うたんぽぽ。

 

小悪魔ってこういう子の事を言うんだなぁ。

 

「ははは、じゃあよろしく、蒲公英!」

 

「あ、あたしも翠って呼んでくれ北郷!」

 

「馬超も、いいのか?」

 

「当然だ、もうあたしたちは仲間だろ?」

 

照れくさそうに言う翠の頬は心なしか赤く染まっている。

 

「そっか、よろしくな翠、じゃあ俺の事も一刀って呼んでくれ。」

 

「ああ、解ったよろしくな一刀!」

 

そういって翠と握手を交わしたところで部屋に兵士が入ってきた。

 

「失礼します!程立、戯志才と名乗る者が仕官を申し込んで来ております!」

 

「お通しなさい」

 

「ハッ!!」

 

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馬超が流星に遭遇したのと同時刻

 

「むふぅ」

 

「どうしましたか風?」

 

連れが突然立ち止まったのを見て声をかける。

 

それに答える様に空を見上げた少女が言う。

 

「稟ちゃん、風は仕えるべきお方を見つけたようなのですよ」

 

あまりに唐突な言に若干面食らう。

 

「どういうこと?先日会った劉焉殿は大した器で無いように見えましたが・・・」

 

「稟ちゃんは管輅の予言、しってますか?」

 

「ああ、流星と共に天の御遣が──とか言う?」

 

「そうですー、風は今、その流星をみました、夕方だと言うのにそれはもうクッキリとー」

 

「まさか予言が本当だとでも!?」

 

「風は昨夜夢をみたのですよー」

 

「夢?」

 

また夢か・・・。

 

でも風の夢はよく当たる。

 

「ええ、風が泰山の頂にて日輪を支える夢を〜」

 

「その日輪が例の天の御遣だと?」

 

「その通りですー」

 

「はぁ、風の言うことは何時も突然だけれど今回は輪をかけて唐突ね」

 

「ふふふ、所で稟ちゃんはどうしますかー?ここでお別れしますか?」

 

顎に手を当て少し考える。

 

あの予言、あるいは本当なのかもしれない、会ってみて損は無いか・・・。

 

「いえ、風の王佐の才が告げる仕えるべき主がどの様な方か見てみたくなりました」

 

「それでは、稟ちゃんも一緒にいくのでー?」

 

「ええ」

 

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「それで、俺に仕えたいって?程立さん」

 

「ええ、そうなのですよ、日輪とは此れ即ち天、そして天とはつまり貴方様のことなのですよ、お兄さん」

 

「う〜ん、まぁ俺はいいんだけど、馬騰さん、いいかな?」

 

「勿論ですわ、優秀なお方が幾らいらっしゃっても困りませんもの、西涼は人材に乏しいもので・・・、願ったり叶ったりですわ」

 

「そっか、じゃあよろしくな、程立さん、しがない俺だけど支えてくれると本当に助かる」

 

程立に向き直って言う。

 

「この程立、命に代えましてもー。それと、風のことは風とお呼びください、本日より風は程cと名を改めますのでそこの所もよろしくですー」

 

「うん、よろしくね風」

 

なんだか、マイペースな子だな、上手くやれるといいけど・・・。

 

「北郷殿、少し宜しいか!!一つお聞きしたい事が・・・」

 

今まで黙っていた、たしか・・・戯志才さんが声を上げる。

 

しかし、今は戯志才と名乗っておりますって・・・。

 

明かな偽名だよな?これ。

 

「もちろん、ええと、戯志才さんだっけ?何かな?俺に答えられる事ならなんでも・・・」

 

「貴方は、この退廃した天下をどう見られる!腐敗しきった漢朝を助け、漢の天下で再び世に泰平をもたらすか?

 最早漢朝に命運尽きたと、己が力を持って新たな天下をお建てになられるか?貴方はどの様な天下を望む!!」

 

「どんな天下・・・か、そうだな・・・」

 

彼女の真剣な眼差しを見て、

 

これは誤魔化しや上辺だけの答えじゃなく、きちんと本当の言葉を捜さないとだめだ。

 

そう思った。

 

少しの沈黙のあと言葉を紡ぐ。

 

「そうだな・・・、正直俺はこの世界に来るまで、飢餓だとか、貧困だとかそういったものと無縁な世界で生きてきた。それこそ何不自由ない生活だったよ。だけど、この世界に来て翠や蒲公英、馬騰さんに出会って、この世界について色々な事を知った。腐りきった政治、飢えに疫病、どれも衝撃的だった。それで、なんか俺にもできる事無いかなって考えたんだ。聞けば、俺には天の御遣って言う名前があるらしい、それを使えないかなって思った、例えそれが虚名だとしてもね・・・。もちろん、打算的な意味もあったよ?俺はこの世界じゃ一人で生きていけないしね。それが無かったらさっさと逃げていたかもしれない、でもね、もう他人事じゃ居られないないんだ。聞いてしまったから、知ってしまったから、だから俺はどんな形であれ大陸を平和にしてみせる。その中に、俺が新しい天下を建てるって言う選択肢もあるかもしれない。」

 

ひとしきり喋った所で戯志才の様子を伺う。

 

「左様ですか・・・、貴方様のお気持ち、承りました・・・。わたくし、姓は郭、名を嘉。字は奉孝、真名は稟と申します。今まで偽名を名乗っていたご無礼、平にご容赦下さい。今より、私のことも稟とお呼び下さい」

 

「うん、解ったよ稟、所で稟も俺に仕えてくれるのかな?」

 

「ハッ!本日よりこの郭奉孝一命をとして北郷様に仕えさせていただきたく」

 

稟がそう言って俺の前に跪こうとするのを手で制して。

 

「あぁ、さっきの風もだけど、そういうの無しにしよう?正直作法とか何にも知らないし俺、だから俺に対しては、そうだな・・・仲間、として接してくれないか?名前も一刀って呼んでくれて構わない」

 

一瞬間が会って何か不味い事でも言ったのかと不安になる。

 

「あ、あのなんか変な事言ったかな・・・俺?」

 

とたん二人の顔が綻ぶ。

 

「ふふ、おかしなお方だ一刀殿は、なあ風?」

 

「まったくですね稟ちゃん」

 

こうして、風と稟が仕えてくれることに成ったんだけれど

 

扱いとしては、馬騰さんの部下ではなく俺の直属に配置されるらしい。

 

客将扱いの俺が勝手に部下を持っていいのか?とも思ったけど

 

馬騰さんがそう手配したからそれでいいのか?

 

まあ何にしてもこの世界での目標が決まったしな・・・。

 

「天下泰平」

 

口に出して再確認。

 

重いな・・・、この言葉・・・。

 

俺れ如きで何処まで出来るか解らないけど、

 

まぁやれるとこまでやってみるか!

 

<馬超√ 第2章 〜日輪を支える少女〜 終>

 

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如何だったでしょうか。

調子に乗って2日連続投下してしまったΣ(゚Д゚;

 

しかし、風はキャラが掴み難いですね(汗)

気付くとキャラ崩壊してて何度書き直した事か・・・。

 

話は変わりますが、

西涼勢のオリキャラ希望を多数頂いています。

悩むところであります。

原作を陵辱しない範囲でオリキャラを動かすのは中々、大変で・・・。

 

まぁ、そんな感じで悩んでおりますnakでございます。

ご指摘、ご助言、誹謗中傷、いただけたら嬉しいです。

今回予告無しですが、これからも予告の方は不定期で付けさせていただきます。

べ、別にサブタイ決まらなかったからじゃないんだからね!

あ、反董卓連合の予定です、黄巾?なにそれ美味しいの?

・・・だって恋姫でも演義でも史実でも西涼まで黄巾あんまり来てないんだもん!

きっと華琳さんがヤッツケテクレルヨ!うん!

そんなわけで次回でお会いしましょう(逃)

説明
おおうっ!?
昨日だけでお気に入り登録めっさ増えてんやん!?
コメントもあんなにたくさん(泣)
ありがたい限りでございます。
本当にテンションだだあがりです。
それでは説明を

見ての通り西涼、翠メインの外史です。
今のところオリキャラの予定はないです。
一刀の能力は原作よりも若干上方修正(本当に若干)されております。
チート能力とかはないです。
オリ真名は2つほど出す予定?まだ決定ではないです。
一刀への呼称、キャラの一人称など若干のずれが生じていますがご容赦下さい(汗)

以上です。
何か質問あれば、コメ欄かショトメでお願いします。

それではあとがきで。
ゆっくりしていってね!
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コメント
言い方は変になりますが、頭よりも体が先に動きそうな西涼勢に風や稟が加わるのは凄く助かるでしょうね。稟に規律や予算とかの事で説教されたり、風に弄られたり悪戯されたりしそうだけどw(深緑)
PON様 ご指摘ありがとうございます。ご都合主義……ですか正にその通りかもしれません。(nak)
うーん、1章と2章の間が全然空いてないように感じるのですが…そうならばそんな人聞きでついこの間知った現状を元にどういう天下にするという答えもまともに返せてないのに一体何を認めて稟は一刀に仕えようと思ったのでしょうか?こんな程度の志を持ってる人間なら掃いて捨てるほどいるでしょうに。正直、ご都合主義といわざるを得ないかなぁ。(PON)
ジョン五郎様 ああ、そいつを緩ませればいいわけですね、わかりますww(nak)
馬騰さんええわぁ〜 もちろん翠の括約筋にも期待してます!                   ……違ったw 翠の活躍に期待してます!(ジョン五郎)
[豆知識][括約筋:内尿道口などの部位に存在する輪状の筋肉。                 弁もしくはバルブの役割をする筋肉のこと] (ジョン五郎)
よしお。様 ありがとうございます!(nak)
うたまる様 いささか急ぎ過ぎたでしょうか(汗)(nak)
jackry様 修羅場上等ですww(nak)
いいですねー!(よしお)
急展開ですねぇ しかし、風が西涼陣に加わる……蒲公英と悪戯が可愛く思えるくらい、翠と一刀の受難の日々が待ち受けていそうですね(w(うたまる)
yosi様 肯定的なご意見をありがとうございます。(nak)
大概の作者は黄巾の乱あたりでフェードアウトするので、サクッと董卓連合編に行くのは良いと思う(yosi)
紫電様 ええ、あの二人が離れるのをどうしても想像できなくて、一緒に仲間にしてしまいました(汗)魏のことを考えると別けた方がよかったんですが・・・。(nak)
瓜月様 ありがとうございます^^(nak)
ふみちょん様 そこは、ほら、種馬パワーで何とかww(nak)
やはり風は一刀の元が似合いますね♪なにげ嫉妬ぶかい風と翠が一緒だと一刀くんもここでも大変ですね(笑(ももいろ)
Nyao様 ご報告ありがとうございます。修正させていただきました。今後も何かあればお伝え下さい。(nak)
kurei様 そうですね、少々魏の頭脳が足りないかもしれません、でも大丈夫、魏には華琳さまがいらっしゃるではないですか!(nak)
mokiti1976-2010様 ふふふ、それはひとえに翠の気持ちの趣くままに・・・です。(nak)
4p:知たしまったから → 知ってしまったから でしょうか・・・。自作も楽しみにしています♪(Nyao)
男勝りな翠に小悪魔な蒲公英、そして上品な馬騰さんとは馬一族だけでなんとも華やかですw早々に軍師2人をゲットということは曹操軍の苦労が・・・w 董卓勢との絡みに期待です!(kurei)
月側につくのか連合に与するのか、今後に期待します!(mokiti1976-2010)
ルガー様 ルガー様はたんぽぽ嫁ですか、了解しましたw(nak)
stmoai様 そうですね〜月ちゃんのところは良い人材が揃ってますからね〜(nak)
砂のお城様 五胡ですか、いいですね。五胡ならば動かし易いし・・・。(nak)
poyy様 星まで抜くと蜀が弱体化してしまいますからねえ五虎将二人も欠けさせるのは不味いかと思いまして(nak)
更新お疲れ様です。私はたんぽぽのファンなので、たんぽぽ成分増量してくだされば、とても有難いのですが。執筆頑張ってくださいね。(ルガー)
星ちゃんは無理でしたか〜 董卓軍から何人か引き抜きたいところですねぇ(stmoai)
早くも軍師が二人仲間になりましたなぁ。星さんは一緒にいないんですねぇ。(poyy)
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