真・恋姫†無双  江東戦記 第7記・中原乱舞-3
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雪蓮が離れて暫く無音の時が去った。

そして何かしらの合図があったわけでもないのに戦局は動いた。

 

シュシュン!!

 

先制を取ったのは秋蘭だ。

彼女は2本の矢を一度に放ってきた。

 

「危ね!!」

 

俺は咄嗟に民家の影に逃げ込んだ。

刀対弓である以上接近しなくてはこちらが不利。

それが分かってるからこその先制を取られた事に焦りが生じた。

 

「それで隠れたつもりか?」

 

「!!」

 

シュシュン!!

 

距離を取っての様子見など考えていないような攻めの体勢をとる秋蘭。

それがまるで接近して来いと言っているかの様な戦い方だ。

 

雪蓮と同じ訳ではないが俺もある程度は自分の勘を信じている。

だからこちらも少し遠距離攻撃で様子を見ることにした。

 

 

「どこに隠れた?」

 

ドガ!

 

「!? ちぃ!!」

 

民家の中に入り、外で俺を探している秋蘭との間にある壁を蹴り込み、壁の破片を散弾銃の様にして狙った。

驚いて体勢を崩す秋蘭だったがすぐに立て直し再び弓を向けてきた。

 

「まだだ!」

 

そうはさせじと先ほど壊した民家の壁の破片の中でも大きめの破片を蹴り上げ、虎月で打ち出した。

 

 

しかし相手も然る者、回転で避けながらもこちらに一矢を射込んで来た。

しばらくこんな感じで一進一退の攻防を繰り広げていく。

 

そうしているうちに戦況が一気に変わる事が伝達されたのだった。

 

 

城の城壁が燃えているという。

 

 

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「どういう事だ?」

 

俺は目の前に対峙する秋蘭に問いかけた。

 

「…なあに、稟…郭嘉の火計の策が始まっただけの事だ」

 

「??」

 

「少し話しをしようか」

 

と言っているが相変わらず弓は構えたままだ、むろんこっちも構えも意識も張ったままだ。

 

「北郷、お前は我等が何故徐州に攻めたと思う?」

 

「………」

 

「まさか袁紹と組んだとは思うまい」

 

それは思っていなかった、確信があるわけじゃなかったが反董卓連合での袁紹と曹操のやり取りを見れば分かる事だ。

 

曹操は性格はアレだが袁紹を利用するぐらいの考えではその可能性も無しにあらずだ。

しかし袁紹は無い、理と利より己の我侭でものを進めようとする人間だからだ。

そんな奴があれほど険悪な仲の人間に相手が頭でも下げない限り共闘する事は無い。

そしてあの曹操がいくら利のためとはいえあの馬鹿に頭を下げるのは(俺でも)嫌だ。

 

そこまで考えて俺は可能性の一つに考えついた。

 

「おい、今ここに居る魏軍の将軍はお前達夏候姉妹だけか?」

 

「どうやら気付いたようだな。

 質問に答えよう、今この戦場付近にいるのは我等姉妹と先ほど言った郭嘉だけだ」

 

その言葉で俺は確証を得た。

 

 

曹操が狙っていたのは劉備の治める徐州ではなく袁紹の治める河北四州だったのだと。

 

 

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「つまりは俺達をここで釘付けにするためか」

 

「そうだ、今頃楽進隊他二隊が?(袁紹の本拠地)の制圧に向かっている」

 

「そして曹操率いる本隊が袁紹率いる敵本陣に攻撃を掛けるか」

 

そう、曹操は元から袁紹を狙っていたのだ。

そして袁紹の徐州侵略を利用し、敵勢力の一部を劉備かその同盟を組んでいる俺達に擦り付けるため、あえて自軍最強の手札である夏候姉妹をこちらに向けてきたのだ。

実際袁紹軍の二枚看板は愛紗と交戦中だ。

 

だとすると主だった将を連れずに袁紹の所に居る袁術に向かった雪蓮が危ない!!

 

 

シュン!

 

場から離れようとする俺に足止めを狙った一矢が足下に刺さった。

 

「行かせぬよ北郷、そのための『炎の牢』なのだから」

 

「悪いがここを通してもらう!」

 

「だったら早く私を倒す事だな」

 

こうなれば矢の一本受けてでも縮地で接近戦に持ち込もうと思ったそのとき、乱入者が現れた。

 

 

 

「うりゃーーー!!」

 

「はああーーー!!」

 

霞と夏候惇だ、しかし夏候惇は左目から血を流している。

 

 

「姉者!!?」

 

あの冷静な秋蘭が明らかに動揺しているのが目に見えた。

そしてさらに向こうから愛紗がこちらに向かって来ていた。

 

「一刀様!!」

 

「愛紗! 怪我は無いか?」

 

「はい、それよりこれはどうしたのです?」

 

「わからん、霞達が乱入してきたからね」

 

説明を聞くと愛紗は戦いの中で逃げ出した文醜達を追うとしたら北門が閉まり行き成り火の手が上がったのでこちらに来たとの事。

霞は夏候惇との一騎打ちの途中にどこからか飛んできた矢が夏候惇に当たりそれでも戦いを止めないでいるといつの間にかここに来たらしい。

 

状況が分かったところで夏候姉妹を2人に任し、俺は雪蓮の元に急ぐのだった。

 

 

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この後雪蓮とはすぐに合流できた。

 

雪蓮曰く。

 

袁家の軍と戦っている途中で曹操に本拠地を襲われた袁紹が袁術を無視して?に帰り。

孤立していた袁術を見つけたものの余りの見苦しさに止めは刺さずに二度と顔を見せない、二度と呉の土地を踏まない事を条件に逃がしてやったそうだ。

 

 

その後は下?に戻り愛紗、霞と合流して建業へと戻る事となった。

あれから夏候姉妹は戦線を離脱したらしく霞は不満げな顔をしていた。

 

 

そして建業に戻る途中、曹操と袁紹の決着が着いたとの報告が入った。

結果は曹操が勝ち、彼女は今回の戦いで河北四州と徐州を手に入れ大陸の約1/4を手中に収めた。

 

 

俺達孫呉はそれほど領土は手に入らなかったものの遂に袁術からの独立を果たし、いよいよ天下への歩を進めようとする。

 

 

そしてこの時、誰も予想だにしていなかった出会いが建業で起こるのだった。

 

 

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コメント
両袁家はやはりこうなりましたか。さて次回はどうなることやら?(深緑)
降将の行く末だけみると、蜀ルートですね。自軍に利益もたらせないで、蜀の将を二倍にするなんて、何考えているかわからない人達のルートですね。(翠湖)
しかし、降将の行き先考えると、とても呉ルートに見えないし、ジグンに有利にこれだけしなくちぇ(翠湖)
ようは華琳は火事場泥棒をしたってことですよね?(poyy)
今までの流れでへっぽこと思いきやそこは曹孟徳だったとw蜂蜜・バスガイドはスルーですか・・ まあ、仕方ないですねwさて誰に出会ったのか、次回も楽しみに待ってます(村主7)
さて、誰に会うのか楽しみにしています(tomato)
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