真・恋姫無双 刀香譚 〜双天王記〜 拠点・一刀、修行するのこと |
「たりゃーっ!」
どがっ!
「はぐっ!」
張飛の繰り出した棍をまともに腹にうけ、その場に倒れこむ一刀。
「にゃ!お義兄ちゃん、大丈夫なのか!?」
「だ、大丈夫。さ、続けるぞ、鈴々」
見るからつらそうな表情をしたまま、棍を杖代わりにして立ちあがる一刀。
「……やはり無茶が過ぎませんか、義兄上。われわれ三人を相手に、そのような状態で修練など」
そんな一刀の様子を見て、不安げな顔で言う関羽。
「……愛紗が心配してくれるのは嬉しいけどね。基礎から鍛えなおすには、この方法が一番効率がいいんだ」
玉のような汗をかきながらも、笑顔で関羽に答える一刀。
「……でも、二百斤は重過ぎると思う」
「それでもだよ、恋。それに、いずれは倍くらいまで、重りを増やしたいしね」
実は、今一刀が着ている稽古着には、一つ十斤(約2`)の重りが、全部で二十個、主に腕と脚の部分に縫い付けられていた。
一刀はそんな状態で、関羽、張飛、呂布の三人を相手に、限りなく実戦に近い稽古をしていたのである。
「……そこまでしなければ、勝てない相手というのですか、あの項羽は」
「……正直、これでも足りるか判らないってところかな?」
「そんな……」
そう。一刀がそこまで無茶な修行をしている理由。それは、あの項羽と名乗った女性の力量に、少しでも近づくためだった。
「さ、続きといこうか、三人とも。遠慮なんていらないから、どんどん来てくれ!」
再び棍を構える一刀。
「……じゃあ、思いっきりいくのだ」
「……では、参ります!」
「……いく」
「来い!」
「いててててっ!と、桃香!もちょっと優しく!」
「自業自得でしょ?本当に無茶ばっかりして」
その日の夜。
一刀は自室で、昼間の怪我の手当てを、劉備から受けていた。
「修行の役には立てないから、これくらいはさせて」
と。半ば強引に劉備に押し切られ、不承不承、従っている一刀だった。
「……基礎から体力をつけないと、”あれ”は使いこなせないからな」
「その前に体を壊したら意味ないでしょ?全くもう!」
ぱちん!
「いてっ!」
「はい、これで終わり。……当分続けるんでしょ?止めても聞かないだろうけど」
治療の最後に、一刀の背中を叩き、半ば呆れながら言う劉備。
「ああ。大丈夫。政務の方もちゃんとやるし、桃香に負担はかけないからさ」
(……そんなこと心配してるんじゃないのに)
「この朴念仁(ぼそ)」
「ん?何か言った?」
「なーんにも!それじゃ、私はもう部屋に戻るね。……ゆっくり寝ててよ?」
そう言って立ち上がる劉備。
「桃香」
「?何?」
劉備を呼び止める一刀。
「……ありがとな」
「どーいたしまして。じゃね、お兄ちゃん。おやすみ」
「ああ。おやすみ」
ぱたん、と。扉を閉めて劉備が部屋を出る。
「……は〜、やばかった。何とか堪えられた。……桃香って、いい香りするんだよな。……いつからだったかな。桃香を妹として見なくなったのって」
寝台にうつぶせになり、枕に顔をうずめてつぶやく一刀。
「……頭じゃ判ってるさ。俺と桃香は兄妹だってことは。でも、でも」
ほわん、と。頭の中に劉備の姿(主に胸)を思い浮かべる一刀。
「……大きくなったよな〜。うん。それに、あのフトモモ。真っ白で、ほんのり紅く染まって、すごく色っぽいんだよな〜。……何より、かわいいよ、な。やっぱり。うん」
そんなことをつぶやきながら、果てしなく鼻の下を伸ばす一刀。
「……あの時はわれながら、、よく理性を保てたもんだ」
あの時、というのは、いつぞやかの洞窟でのことである。
「あの時は本気でやばかったもんな〜。素っ裸の桃香に抱きつかれて、もう、心の臓がばくばくいってたもんな〜」
ごろん、と。仰向けになる一刀。
「……あの時桃香が言ってたよな。何で兄妹なんだろうって。……本当にそうだよな。兄妹じゃなかったら今頃は……」
にへ。と、思わずだらしない顔になる一刀。
「……はぁ。も、やめやめ。考えたってどうにもなりゃしないっての」
(そうさ。どうにもならないんんだ。どうにも)
そのまま眠りにつく、一刀であった。
それから一月ほど経った、ある日の練武場。
「ふぅ。……まずは、内気」
すぅ〜、と。息を深く吸い込み、自身の体内に気を巡らせる一刀。
「……それから、外気と、自然の気と、同調する」
ざわざわと。周囲の大気がざわつき始める。
「……そして、”合気(ごうき)”……!!」
その瞬間、
どうっっっ!!
「くっ!」
「にゃっ!」
「……っ!」
一刀の体から、凄まじい気の奔流が起こる。
近くにいた関羽、張飛、呂布の三人が、思わず吹き飛ばされそうになり、必死に堪える。
「……これ、あの時と一緒」
「これが、義兄上のいう『合気法』……!!」
「た、立ってるのがやっとなのだ……!!」
「……ふぅ」
一刀が集中を止め、気の奔流が収まる。
その瞬間、関羽たちはその場にへたり込む。
「……大丈夫かい?三人とも」
「は、はい。何とか」
「鈴々もへーきなのだ。……はにゃ」
座り込んだまま答える関羽と、立ち上がろうとしてふらつく張飛。
「……でも、今のはまだ、あいつほどじゃなかった」
「なんだと?」
呂布の言葉に驚く関羽。
「……ああ。多分、まだあいつの半分くらいだと思う。それに、”昇化”するまで時間がかかり過ぎてる。……当分、実戦で使うのは無理だな」
そう言って座り込む一刀。
「はい、お兄ちゃん。お水」
「ありがと。んっ、んっ……はぁ」
劉備から渡された水筒の水を、一気にのどへと注ぎ込む一刀。
「それにしても合気法(ごうきほう)ですか。すごいものですね」
「正式には、”合気昇化の法”って言うんだけどね。師匠からはやり方だけ教わってたんだけど、かなり負担がかかるから、相当に体を鍛えないと、体のほうが壊れてしまうんだ。これを平気で使っていた師匠は、やっぱり化け物だったんだなって、つくづく思うよ」
そんなことを言いながら、何か懐かしそうな表情になる一刀。
と、そこへ。
「主様、こちらでしたか」
竹簡の束を抱えた馬良が、一刀達のところにやってきた。
「舞さん。どうしたんですか?」
「財政の書類でお聞きしたいことがあるんですが、よろしいでしょうか?」
座り込んでいる一刀の手前で、立ち止まる馬良。
「……」
「あの、主様?」
(きれいな脚だな〜。こう、スラッとしていて、色白で。桃香や愛紗とは、また違った色気が……)
「……義兄上。どこを見ておいでか?」
「へ?」
「……鼻の下、すんごい伸びてるよ?」
「……一刀、目がやらしい」
「にゃはは。やっぱりお義兄ちゃんは、助平なのだ」
「あ、いや、これは、その」
桃香たちににらまれ、しどろもどろの一刀」
「御噂どおり、主様は仕方のない方ですね。……ところで私、今日は何も”穿いておりません”のよ?」
「ホントデスカ?!」
思わず身を乗り出す一刀。
「……ホントニ、ショウゴリモナグー!!」
「ア・ニ・ヴ・エー!!」
「アッーーーーーーーーーー!!」
……今日も荊州は平和でした(マル)
さて、前回に続いてあとがきのコーナーです。
「久々の拠点イベントね。はーい、みんなのアイドル、由ちゃんでーす」
「誰がアイドルよ、だれが。輝里ですよー。忘れないでくださいねー」
さて、今回は一刀の修行編、って感じですが、いかがだったでしょうか?
「修行はいいけど、カズくんのあれ、何?ちょっと引くじゃない」
そう?健康な男子なんてあんなモンデスヨ?一刀はよく抑えてるほうです。
「そーねー。好きな人のこと考えて、いろいろ妄想するのは仕方ないか」
そういうことです。
で、次の拠点なんですが、いくつかネタは出来てはいるんですが、投稿する順番で悩んでます。
なので、ご意見をお聞かせ願えたらと思います。
1、美羽と七乃ネタ。
2、ハム姉妹。
3、命と雛里。
さーて、どれがいいですかね?
あ、あくまでも順番だけですので、この三つはすべて書きますので。
・・・・・・全部同時、ってのだけは勘弁してください。
諸事情により、無理なもので^^。
ではそういうことで。
「コメントおまちしてま〜す」
「支援も気が向いたらしてやってくださいね〜」
ではまた次回まで、
『再見〜』
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刀香譚の拠点、荊州編のその一です。 まずは一刀の様子から見てみましょう。 多分、あいも変わらずだと思いますが^^。 ではでは。 追記。 アンケートの受付は終了しました。 皆様ありがとうございました。 |
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コメント | ||
一刀にしたらよく我慢してる所なんだろうが・・・タイミングが悪いですな^^;・・・何時決壊して種馬モードになるんだろ?w(深緑) 舞さんエロイなー(VVV計画の被験者) 天覧の傍観者さま、種馬モードの発動はいつに?!(狭乃 狼) よーぜふさま、あなたも脚フェチですか?同士ですねー^^。(狭乃 狼) ワカンタンカさま、ありがとうございました。(狭乃 狼) 東方武神さま、ありがとうございます。お楽しみに。(狭乃 狼) 2828さま、報告どうもです。直します。てか、新たな選択肢を増やさないww(狭乃 狼) 更新お疲れ様です。一刀の『種馬力』は今後に期待をしつつ、私は2→3→1の順でお願いします。www(天覧の傍観者) 舞さん・・・ハァハァ・・・w まぁ一刀は死なない程度にお灸すえられとくとして、もう自制利かなくってもいいんでね?w 3でー!(よーぜふ) 3でお願いします(ワカンタンカ) 更新お疲れです。アンケートは1かな?次回も楽しみにしています。(東方武神) 5p一刀立ち→一刀達 アンケ・・・・4 戻った華琳達はなにをしているかを・・・(マテ(2828) hokuhinさま、確かに防御力はアップするでしょーねww一刀「その前に死ぬわい!」・・・ごもっとも^^。(狭乃 狼) 一刀君、無理に修行しなくても、二人の嫉妬で(防御力は)強くなるじゃw アンケは1でお願いします。(hokuhin) akiecoさま、舞さんの脚は三国一ぃぃぃぃぃっっっ!!な、イメージですwww(狭乃 狼) poyyさま、無理でしょう(きっぱり)ww(狭乃 狼) 砂のお城さま、いよいよ一刀の自制も利かなくなってきたのか?ww均、茉里ちゃんですか。それもありかー。うー。またネタが増えた・・・。どーしよかなー。(狭乃 狼) 二人の王を魅了する足… アンケは3で(akieco) 一刀少しは自重しろよ…。アンケは1で。(poyy) 紫電さま、スルーですか。そーですかww1の場合、オリキャラ絡めるかでちょっとなやんでたり^^。(狭乃 狼) はりまえさま、さっそくありがとうございます。一刀の修行時代ですか。本編終わってからの外伝かな?(狭乃 狼) 成長記録がみたいので1で。いつか修行時代がみたいですね。(黄昏☆ハリマエ) |
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