大好きだから… 〜They who are awkward〜 第4話
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それから数日が経ち、学校でのこと。

 

あ、ちなみに買い物に行った次の日から美樹はいつもより元気というか変だった。

 

俺を見ようとしないし、喋ると噛むし、すぐ顔が赤くなるし、

 

恭一となんかやっても殴られるの俺だけになってたし。

 

「あの時のあいつなんだったんだ?」

 

「さぁ?でも俺は殴られなかったから平和だったな」

 

「なんで俺だけ殴られてたんだろうな……」

 

謎である。今は普通に戻ったけどな。

 

 

 

 

「お、そういえば聞いてくれよ悠樹、将来俺の子供につける名前考えたんだ」

 

「どんなのつけたの?」

 

 

 

「男だったら夏意希'ないき' かなー」

 

 

 

「……………え?」

 

「いやだから夏意希だよ。ギリシャ神話の勝利の女神から取ったんだよ」

 

「女の子だったら?」

 

 

 

「礼渡美'れとび'」

 

 

 

「……………………………………………………」

 

「英語でLet it be!ってあるだろ?あれから取ったんだよ」

 

「………なぁそれなんていうか知ってる?」

 

俺は恭一に尋ねた。

 

「どゆこと?」

 

「そういう名前のことだよ!!!!! それDQNネームって言うんだよ?

 

子供の将来がかわいそうじゃないのかよっ!?」

 

「ぷっ!!!おいおい今は違う呼び方なんだぜ悠樹?」

 

「え、今は違うの?」

 

 

「今はなぁキラキラネームって言うんだよ遅れてるぜぇ悠樹は」

 

 

正直そんな呼び方激しくどうでもいい。付けられた子供が絶対親を恨むと思うんだが。

 

「ま、こんなふざけた名前つける気ないけど」

 

「ねぇのかよっ!!!!!」

 

「だってありえねぇだろ? 例えば"光宙"でなんて読むか知ってるか?」

 

「こうちゅう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぴかちゅうだそうだ」

 

 

 

 

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付けた親どうかしてるとしか思えない………………………

 

次の授業は実習室で行うので移動している最中。

 

恭一とくだらない話をしつつ歩いていた。

 

ふと、窓越しに屋上を見ると澪先輩の姿が見えた気がした。

 

「おい、どうした悠樹?」

俺の脳内で過去の出来事がフラッシュバックする

 

 

 

 

 

 

―――――もう限界なんだ  心の中が隙間だらけで風が吹くたびに凍え死んでしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸騒ぎが―――――――――した。

 

 

 

「ごめん恭一、気分が悪くなったから保健室って先生に伝えておいて」

 

俺は急いで屋上に向かった。

 

「おいおい。病人はそんな勢いで走らないけどなー」

 

恭一はカラカラと笑っていた。

 

「まぁそう伝えておくわ」

 

俺は心の中で恭一に感謝しつつ走り続け、勢い良く屋上に躍り出る。

 

「澪先輩っ!!!」

 

あたりを見回すが…………いない?

 

気のせいだったのだろうか。

 

まさか、と思い急いで端の方まで行き下を覗く。

 

 

 

 

 

 

 

何も       なかった。

 

 

 

 

 

 

俺は安堵のため息をつき、見間違いだったと判断した。

 

教室に向かおうと屋上を出ようとする。

 

それにしても………

 

 

 

 

「よかった…」

 

 

 

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「何がだ?」

 

「!! 澪先輩っ!」

 

ドアノブに手をかけたところで上から声が聞こえてきた。

 

「もう授業中だぞ?こんなところで何をしてるんだ?」

 

「……その言葉そっくり返しますよ澪先輩」

 

「いや、なに私のクラスは自習だからな。だから別にいいんだ。

それよりも大きな声を出すのも疲れるからこっちにきてくれないか?」

 

先輩は給水塔の上に座っていたのである。

 

うん、そこは盲点だった。

 

俺はハシゴを登り澪先輩の隣に座る。

 

「隣失礼しますよ」

 

「座ってから言うのは遅いんじゃないのか?」

 

澪先輩がニヤニヤしながら言う。

 

「まぁそこは勘弁してくださいよ。ここ高いからちょっと怖いんですよ」

 

立ったままだと気のせいだが地面に引っ張られる感じがして、落ちるイメージしか沸かない。

 

「さっき反論し損ねましたけど自習だからってここにいていいわけじゃないんですからね」

 

「ちぇっ、悠樹はケチだなぁ。少しぐらい良いじゃないか……」

 

澪先輩が頬を膨らまして拗ねる。

 

「だったら悠樹はいいのか?」

 

「まぁ俺は保健室にいることになってますね」

 

「ふふふ、悠樹もここにいたら駄目なんだぞ」

 

「まぁお互い様ってとこですかね」

 

「悠樹と一緒なら悪くはないな」

 

「澪先輩がそう言ってくれるなんて光栄ですよ」

 

 

 

 

お互い沈黙する。

 

心地のいい間だった。そこに夏の爽やかな風が二人の間を通り過ぎる。

 

 

 

 

 

「ねぇ澪先輩」

 

「ん?」

 

俺はあの時と同じくもう一度言う。

 

 

 

 

 

「死んだらダメです。死んだら……」

「悠樹」

 

 

 

澪先輩が俺の言葉をさえぎり言葉を紡ぐ。

 

「今は、今はな………うん。これでもなかなかに満足しているんだ。

 それに感謝もしている。……ありがとう悠樹」

 

澪先輩が自分で自分の気持ちを確かめながら俺を見つめてくる。

 

 

「あぁやっぱりそうなんだろう。悠樹、私はきっと――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後。

 

何故か急に疲れを覚え、俺はさっさと家に帰る。

 

着いたとたん強烈な眠気に襲われ俺は抗えず眠りの淵に沈む。

 

 

 

俺は夢を見た。

 

 

説明
「あぁやっぱりそうなんだろう。悠樹、私はきっと――――――――――」

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