幻想?無双 第6章 絆(前編) |
桃香たちを逃がした雪蓮たちは内政に精を出していた。
墾田の未開拓による慢性な兵糧不足、治安の悪さなど…挙げたらきりがないくらいする事があった。
その為冥琳たち文官はてんてこ舞いになっていた。
その日も冥琳たちは書簡とにらめっこしていた。
「はぁ〜、袁術たちはよくこんな状態で国を支えてたな…」
「そ〜ですね〜。ある意味凄いです〜」
「ま〜民たちに重税を課せ金だけは貯め込んでいたからな。その金でどうにかしてたんだろう」
「…冥琳さん、これどうしますか?」
レイもまた文官として同席していた。
武官の能力程ではないが、文官としての能力も多少あった為レイには簡単な案件を任せる事が多々あった。
レイに手伝ってもらわなければいけないほど袁術の内政があまりにもひどかったのだ。
「レ〜イ〜」
突如扉が開いた。
「どうしたんだ…雪蓮」
「ちょっと遊びに行かない〜」
「あの…雪蓮さん…今仕事中…」
「そんなの冥琳たちに任しといてさ〜」
「何を言っている!雪蓮!」
「と言う事でレイ借りるわね〜」
雪蓮はそう言うとレイを引っ張りだした。
「全く…………でも…いいか、穏!すまんがちょっと席をはずすから頼んだぞ」
最近レイは休暇を一度もとっていなかった。
レイ自身は何かしていた方が気が紛れる為積極的に雑務をこなしていた。
極力思春の事を考えない様にしていた。
冥琳は何度かレイに休暇を取るように言ってみたがレイは大丈夫と言って一切取らなかった。
表情は特に変わったとこはなかったが冥琳は心配していた。
雪蓮もレイの事が心配だったため強引だか街に連れ出したのだ。
街に着いたレイと雪蓮。
雪蓮はレイに話しかけようとしたが躊躇ってしまった。
レイの表情が曇ったからだ。
レイは雪蓮の視線に気付きすぐいつもの表情に戻ったが雪蓮はその表情が痛々しく見えてしまった。
雪蓮は街の散策を急遽中止し山の中にある小川にレイと一緒に移動した。
雪蓮はレイに話ながらある石の周りを掃除し始めた。
「これ…何かわかる?」
「石…ですよね…」
「そうなんだけどね…これ…母さんの墓なんだよね…」
「え!…ごめんなさい」
「謝らなくていいよ…普通は気付かないしね…」
「どんなお母さんだったんですか?」
「凄い人だったわ…自分の代で江東を平定し…江東の虎って言われてた位だからね」
「そうだったんですか…」
その後少し話しながら墓の掃除をし綺麗になった。
「これでよし……」
「そうですね」
雪蓮は綺麗になった墓の前に立ち祈りを捧げた。
「母さん…あなたが平定した江東の地をようやく取り戻す事が出来ました………仲間が笑って暮らせる世界を作る為…今からの戦いを見守ってください」
「……………」
「さてと…レイ話があるの」
祈り終わった雪蓮はレイの顔を見た。
「なんですか?」
「思春の事よ」
その言葉を聞いたレイは雪蓮に背を向けけようとした。
すると雪蓮を狙って矢が放たれたのが見えた。
レイは雪蓮を守る為、オデッサがしたように雪蓮をかばった。
そして放たれた矢は刺さった。
しかし刺さった相手はレイではなく思春だった。
思春side
私は街にいた。
本当は部屋で一人でいたかった
髪も纏める気はなかった…人と関わるつもりがなかったから
でも冥琳様が部屋に来て強引に追い出された
そして夜まで帰ってくるなと言われた
仕方がないので私は街を歩いていた
一人になれる場所を探して…
レイと雪蓮様が歩いているのが見えた
とても楽しそうに歩いてた
つらかった…
私にはともに歩く資格がないから
自然とレイたちの後をつけていた
本当はいけないことなのに……
レイたちは文台様のお墓に来ていた
仲良さげに掃除をしていた…
それを見てるとさびしい気持ちになった
それから目を背けたら何者かがいた
いやな予感がした………そして的中した
私はレイを守りたいと思い動いていた
そして私に矢が刺さった
よかった……レイが無事で……
これで罪滅ぼしが出来たかな……
「………………ごめ……ん…」
レイside
俺に刺さったと思った
しかし刺されていなかった
目の前に思春がいた…
矢が放たれた場所に向かおうとしたが雪蓮さんに止められた
ここにいて思春を見ろと言われた
倒れている思春を抱きかかえた
思春は俺の目を見て言った
「………………ごめ……ん…」
それを言うと思春の目が閉じた
謝るのは俺のほうだ…
思春は何も悪くない
俺があんな態度を取らなかったらよかっただけの話だ
俺は無意識に涙を流していた
思春の体温が低くなっていくのに気付いた
俺は慌てて左手をかざした
「御願い…死ぬな……水の紋章よ…主より命じる…優しきしずく……」
傷は癒えていったが思春は目を覚まさない…
「ねえ思春!起きてよ…謝るのは俺のほうだから…もうあんな態度取らないから…何でも聞くから…だから起きてよ!…思春!」
俺は何度も思春の体を揺すった。
泣き声になっててもそんなの気にしなかった
思春が起きてくれたらそれでよかった
しかしいくら呼びかけても思春は目を覚ましてくれなかった
雪蓮は弓を放った暗殺者をしとめてレイの入る墓に戻った。
そして目にした光景にびっくりした。
レイが涙を流し思春を抱きしめていた。
「思春!…ねえ思春!…ねえ思春!!」
「レイ」
「起きてよ…し…しゅん…」
「レイ!」
レイは雪蓮の言葉で戻ってきた事に気付いた。
「しぇれ…ん……ししゅんが……ししゅんが!」
「レイ…落ち着いて」
「俺のせいで…思春が……俺が悪いんだ」
雪蓮はレイを落ち着かせる為声言葉をかけ続けたが駄目だった。
その時、蓮華は雪蓮を報告する事があり墓に来た。
「姉様!大変です…ってどうしたんですかこれは!」
「それは後で説明するわ…それで」
「は!曹操軍が国境を越え攻めてきています!」
「なるほど……と言う事は……」
雪蓮は今さっきの事を思い出した。
暗殺者の鎧を見たとき曹魏の物だったので、少し違和感があったのだ。
最初は他国が姑息な手を使っているものだと思った。
しかし自国に曹操軍がいるとなると話は変わる…。
暗殺は曹操の命と雪蓮は考えたのだ。
「蓮華はすぐに軍議を開けるようレイと一緒にすぐ城に戻りなさい」
「姉様は…」
「すぐに行くわ…」
そう言うと雪蓮は暗殺者の所に、蓮華はレイを連れ城に戻った。
その間レイは思春を抱きしめずっと謝り続けた。
その頃曹操は空を眺めていた。
「孫策軍の展開が遅いわね…天も無粋なまねをするわ…早く英雄同士の対決がしたいのに……楽しみにしているわよ孫策」
つづく
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とりあえず長くなりそうなので分けました。 あらすじは…今回は秘密です。 なぜか今無性にラブラブな物が書きたい…。 |
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