コードギアス 反逆の狂奏愛歌〜覚醒の白い咎人〜 |
神聖ブリタニア帝国が日本進行の際、本土着上陸作戦行動において実践初投入をされた全高約6メートル程の人型自在戦闘装甲騎…通称|KnightMareFrame《ナイトメアフレーム》(略称:KMF)により、日本の陸上戦力はほぼ無力に等しくKMFの性能を威力を見せ付けられることとなった。
KMFを動かすエンジン…ユグドラシルドライブで生み出された電気エネルギーを無駄なく機体の各部所へ伝達させるために必要な鉱石、それがサクラダイトと呼ばれる超伝導レアメタルでありブリタニアが日本に宣戦布告した理由でもあった。市場供給量の70%がエリア11から算出されているとあれば、どの国も目をつけるものである。
ユグドラシルドライブの中は特殊な液体と、中心部にサクラダイトで作られたキューブ状の物体…超伝導電磁石が核となっていて、エナジーフィラーと呼ばれるエネルギーパック…ようはユグドラシルドライブをまわすための電池によってユグドラシルドライブは回転し発生した電気力を、機体に使われたサクラダイトを利用して超伝導させ動かしている。
しかしそれはあくまで現在主力とされているKMFの話である。今エリア11にはそれを凌駕する程のKMFがトレーラーに積まれて運ばれていた事など誰も知る由もなかった。ブリタニア帝国第2皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアの肝いりの直轄研究機関「特別派遣嚮導技術部」、通称特派がここに来ている事など軍ですら少し前に知らされたばかりであった。
特派のトレーラーの付近には治療用のトレーラーが数台配備されている。その中の一台のベットの上に上半身に包帯を巻かれた一人の少年が横になっていた。その少年の様子を伺うように白衣に似た服を着てメガネを掛けた薄い紫色の髪の男性と、キャメルカラーを基調とした特派の制服を着た紺色の髪の女性がベットの脇に立っていた。
無事に目的の人物、シーツーと再会を果たしたミレイとナナリーは来るまでハイウェイを移動していた。運転席に座っているメイドの篠崎咲世子は、ただ黙々と車を走らせる。後ろから聞こえる会話には無反応、まさに理想的な仕える側の人間となりきっていた。
「これからどうするんだ?」
一切の表情を変えずただ淡々と話すシーツーは、ミレイへ返答を伺う。そのシーツーとは対照的ににやりとともとれる笑みを浮かべたまま右手の人差し指を下唇へあてる。
「ん〜そうねぇ♪」
何を企んでいるのか、それともただ純粋に楽しんでいるのか声を弾ませる。それでも目の奥に強さを秘めており、シーツーは昔と変わっていない少女に少しだけ…口の端を上げた。
「ミレイさん、やはりクロヴィスお兄様が仰っていた『シンジュクゲットーを壊滅せよ』との命令が、気になります」
ナナリーは少しだけ表情を落とし車内の窓からゲットー方面を伺う。所々から煙があがり、次々に新しい爆発や煙が立ち昇る。ナナリーはどんな状況に置かれても、他者を思いやる強さがあると感じたミレイはそっと頭を自分の胸に抱き寄せた。
「咲世子さん、Uターンお願いできる?」
「かしこまりました」
いささかミレイの急な頼みではあるが、咲世子はただ一言答えるとブレーキ、クラッチ、ハンドル、ギア、アクセルと流れるような動作で車体を反転させると、先ほど来た道を走り始める。
「相変わらず強引ねぇ♪シーツーも一緒にやる?」
「いや遠慮しておく」
「ならミレイさんと二人で行くので、シーツーさんと咲世子さんはお留守番ですね」
「ああ、いい子で待っててやるから、早く終わらせて来い」
「ええ、わかったわ。帰ったらピザでも食べましょう♪」
「お、ミレイ。お前の事愛しているぞ」
「はいはい、まぁた都合のいい事を言うんだから」
しばらく来た道を戻っていると、ブリタニア軍のKMFの姿がチラチラ見え始める。その後数体確認した所でミレイは咲世子に合図をだして、車を停止させた。先ほどと同じようにブリタニア軍のアーマーに着替え、目元まで隠れるヘルメットと目元から下を全て覆うマスクを装着した。ここまで装備すると、すでにミレイやナナリーの面影はなく完全にブリタニア軍人に成り済ましていた。
「ではナナリー、いざ突撃〜♪」
「はい♪」
車を降りた二人は、目視できる中で一番近いKMFへと走り出した。ハイウェイの上から瓦礫となった廃墟ビルを経由して降りていく。肉体的にきつい部分では小型のクライミングツールを取り出し、自動巻き取り付きフックガンを使ってほぼ無駄の無い動きで目標へと接近する。
ある程度接近をした所で、物影から姿を見せてKMFへ近づく。存在に気づいたKMFは向きを変えてKMF用のアサルトライフルの銃口を物影から現れた影に向けた。
「貴様…そこで何をしている?」
外部スピーカーから聞こえる男性の声。威嚇の意味もこめて声色が強い。
「本体から極秘命令です。通信傍受を防ぐため、口頭伝達せよとのご命令です」
「そうか」
プシューという音と共にコックピットが後ろへスライドし、コックピット背部のドアが開かれた。すぐ様ヘルメット内左目に赤い不死鳥のマークが浮かび上がる。赤い粒子を放出しはじけると同時に、瞬間にコックピット外上部へその姿を現す。搭乗者《デヴァイサー》がその姿に気づき、顔を上に向けたと同時に彼の者の意識は永久に寸断された。
コックピットに座り稼働状況を確認する。モニターとセンサー共に良好状態で、各部位の反応も良好を確認すると、IFF(Identification Friend or Foe)から発せられる暗号化された識別信号を頼りに周囲の状況を確認する。1グループ3体のKMFで隊をなし、今回の作戦指揮を取っているクロヴィスの命令やその配下のバトレー将軍が指示を行っている。その指示に従い、各隊は移動を行うもことごとく反応がLOSTしていく。異常な程作戦指揮が裏目裏目となっていた。
状況を確認していると1体のKMFが近づいてきた。先ほど奪取したこの紫色を基調とし各部所に黒色パーツも使われている。
「ミレイさん、もうそろそろで私達だけになりそうですよ」
「みたいねぇ……じゃ、IFFカットして接近してみよう」
コックピット内のスイッチを操作し、識別信号の発信を中断する。隣にいるナナリーの機体のマークが消えた事をモニタ上で確認する。
「ナナリー、あたしのも消えた?」
「はい、ちゃんと消えてます」
「よし、では移動開始〜」
ミレイとナナリーは同時にフットペダルをベタ踏みする。ユグドラシルドライブはそれに反応するように、高速で回転を始める。生み出されたエネルギーが各部を通って脚部へ伝達される。基本足側面についているランドスピナーと呼ばれる、地上高速移動用ホイールは既に展開されホイールは地面に接地していた。サクラダイトを各部に使用していることで電気抵抗による影響を受けず、無駄なく脚部のホイールへと送り込まれる。ホイールが急速回転始めると同時にミレイとナナリーの乗っているKMFは急加速しながら地面を駆け出した。
ランドスピナーの回転速度は速く壁走りや、建物の間もよじ登ることが可能なほど万能に優れている。
「やっぱり、グラスゴーよりサザーランドは反応がいいわね」
ブリタニア帝国が作り出したKMFは、すでに何世代も作られており日本占領時に始めて実戦投入されたのは、第4世代のKMFのグラスゴーである。ほぼ基本構造はこの時には完成されていたが、武装に関してはそこまで優れているわけではなかった。しかしこの時にはすでに汎用性も高く、移動・牽引、攻撃等多用途で使えるワイヤー式アンカー「スラッシュハーケン」はすでに実装・実用化されていた。
基本色は茶色で、暴徒鎮圧用の警察仕様としてナイトポリスと呼ばれるパトカー色のカスタム機も存在している。
そしてこのグラスゴーを元に改良を加えられ生み出されたのが、第5世代KMFサザーランドとなる。近接戦闘用のランスやその他内臓武装に加え、補助武器等が装備されより実戦向きになっている。もちろん機体性能は、グラスゴーと比べたら格段に性能がアップしている。またサザーランドがグラスゴーより優れている点として、その場で機体の向きを変えることのできる超信地旋回が可能ということが一番大きい。これにより周囲状況に敏感に反応できるようになったことが大きい利点である。
今ミレイとナナリーが乗っているのがこのサザーランドであり、現ブリタニア軍の主力KMFである。
「そうですね。でも私はアッシュフォード家とラクシャータさんが極秘に開発した機体に、早く乗りたいです」
「うふふ。白百合と黒百合ねぇ……。基本の開発構造が違うから、お披露目時期いつにするか難しいのよねぇ」
二人が移動しながら呑気な会話を楽しんでいると、爆音と同時に砂煙が上がった。
「ミレイ様」
無線に介入するナナリー以外の声。それはアッシュフォード家メイドの咲世子の声であった。
「どうしたの?」
「はい。傍受した無線の情報です。先ほどの爆音で出撃したKMFがほぼ壊滅しました」
「あらぁ、ずいぶん派手にやられちゃったのね」
「もう1つ得た情報によりますと、特別派遣嚮導技術部のランスロットというKMFが出撃したようです」
「ふうん?」
ミレイのその声を聞いたナナリーと咲世子は、次にミレイが話す言葉をなんとなく理解した。
「ナナリー、行って見ましょ♪」
予想が当たった二人であったが、出かかった言葉を無理やり喉の奥へと押し込みナナリーは返事を、咲世子はあえて何も返答をしなかった。
「はい、というかあそこにいるのがそうではないでしょうか?」
コックピットのモニタに映し出されたのは、後ろ向きに走りながらアサルトライフルを乱射するサザーランドと、それを追いかけるように乱射を避けながら距離を詰める白い機体。サザーランドのそれと違い、圧倒的な機動力は目に見えておりあっという間にサザーランドの猛攻を掻い潜る。
「あの白いのがランスロット?なのでしょうか」
「わからないけど、楽しめそうじゃない♪」
二人は2機が通り過ぎた道を追いかける為に後を追った。少し走ると白い機体が立ち止まっていた。機体の近くには機体から逃げるように走る女性の姿が見えた。
「ナァナリー」
ミレイが妙に艶(いろ)っぽくそして甘えた声を発する時は、決まって楽しいモノや事を見つけたときや思いついたときで、今回は前者の見つけた時とナナリーは感じた。だがそんなナナリーもミレイに影響されたのか、顔には出さないが内心ではミレイと同じような高揚感が胸に押し寄せているのを感じていた。
「いきますよ♪ミレイお姉様」
二人のサザーランドのアサルトライフルが火を吹く。白いKMFランスロットはその攻撃を予想していたかのように両腕から発せられた緑色の何かを動部から頭部に掛けて重なるように展開する。
白いKMFは従来のKMFより、ユグドラシルドライブの核コアルミナスや、機体各所に使われているサクラダイトの比率が高くそれによって高出力のエネルギーが生み出され、それを利用しエネルギーを場に固定することで、物理的名攻撃を防ぐシールド(ブレイズルミナス)が展開される。展開されると同時に緑色を帯びるようになる。
「うわ!効いてないの!?」
アサルトライフルから射出された弾を、ブレイズルミナスがはじき周囲に反射するためランスロットを砂煙が覆う。砂煙から飛び出してきたランスロットを見て、ミレイは無意識に口走っていた。急いでランドスピナーを後回転させ機体を後走させる。腕に付けられたすら強化されたスラッシュハーケンを、拳1つ分伸ばされたランスロットの腕が横切った。まるでナイフの様な使い方をしているが、あのまま動かなければ確実に切り刻まれただろうと、ミレイとナナリーは感じていた。
「ナナリー」
その呼びかけと同時に、ナナリーがランスロットの死角へと動きアサルトライフルの銃口を向けた。一瞬の注意がナナリーへ向いた瞬間…
「あっまーい」
両手を交差させたままミレイのサザーランドがランスロットへ突っ込んだ。が、少しよろけはしたものすぐに立て直すと逆にミレイのサザーランドをはじき返した。それと入れ違うように、腕に装着されている武装のスタントンファを展開したナナリーが乗るサザーランドは、ランスロットへ振り下ろすも先ほどと同じように伸ばされ刃とかしたスラッシュハーケンのアンカー部分で、見事に両断される。
ミレイとナナリーの攻撃はすべてはじかれてしまい致命的なダメージを与えられない。またランスロットの方も明らかなスペック差があるサザーランド、2体以上先ほど相手にした時はほぼ瞬殺と言っていい程の早さで倒したが、今回の2体は攻撃は当たるものの全て防がれており2体が互いをかばう様にすかさず攻撃を行うため、確実な損害を与えられずにいた。
お互いが似たような状況の中、ついにランスロットの攻撃がミレイのサザーランドの左足を砕いた。それは一瞬の事、KMFが脅威のパワーウェイトレシオの為まるで人間のように身軽な動きと、腕に付いたスラッシュハーケンの射出力を利用し空中へ飛び上がり、空中で体を回転させた勢いを利用しかかとを落とす。ミレイは回避行動を行うも、ふいに発生した脚部の動作停止により左足を砕かれていた。すぐ様脱出レバーを起動しコックピットが機体から射出される。
「ミレイさん!!」
ナナリーの不安視する声にミレイは「大丈夫」と答え、その声を聞いたナナリーは安堵の色を浮かべた。
「サザーランドが操作反応速度についてこれなくなったみたい。ナナリー恐らく脚部への負荷がでかいから、そろそろ…」
「わかりました」
と、言うと同時に今まで動いていたランドスピナーが強制的に停止してしまった。モニターには赤く故障の文字が表示されていた。ミレイの言葉通りになった状況に、ナナリーもコックピットの脱出レバーを作動させサザーランド本体よりコックピットごと射出した。
少しだけその場に留まっていたランスロットは、すぐ様旋回し走り去って行った。
「おーいナナリー、大丈夫?」
射出されたナナリーのコックピットの所へやってきたミレイは、ゆっくりとコックピットのドアを開け中の様子を伺う。「はい」と声が聞こえ、それを発した人物がゆっくりと姿を現した。ミレイは手を差し出し、ナナリーはその手に自分の手をのせてコックピットから地面に降り立った。
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アニメ第2話を元にしたIF小説です。 目と足の不自由から克服したナナリーと、ルルーシュを想うミレイの話です。 |
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