真・恋姫無双another 風ストーリー その17 |
こうして袁術軍の一員となった私達ですが、何かを忘れているような気がしました。
そんなのは気のせいだと自分に言い聞かせたのですが、それは間違いだったようです。
「美羽さん、ごきげんよう」
「れ……麗羽姉さま!!」
そう、袁紹さんです。
最初の挨拶の時からなぜかこの場所に居なかったので、私もその存在を忘れていました。
袁紹さんは、袁術さんに簡単な挨拶をした後玉座の間に入ってきました。
その後ろにはいつも通り、顔良さんと文醜さんを従わせています。
「ここが、これから私が住む城ですわね。なかなか立派ですわ」
玉座の間を見渡しながら袁紹さんが言いました。
ひょっとすると、ここに着いてからずっと城内を散策していたのでしょうか。
「七乃〜。なぜ麗羽姉さまがここにおるのじゃ?」
「麗羽さまは、ここにいる北郷さん達に負けたんですよ」
「なんと!! 麗羽姉さまは負けたのか!!」
負けたという言葉が印象的だったのでしょう。
それまで小声で張勲さんと話をしていた袁術さんの言葉が不意に大きくなりました。
そんな袁術さんの言葉に反応して袁紹さんが大声で言いました。
「美羽さん!!」
「ひゃああっ!」
袁紹さんの言葉に驚く袁術さん。
そして、怯えたような表情をしながら張勲さんにしがみついています。
「私は負けたわけではありませんわ!!」
「……え?」
「負けてあげたのですわ!!」
袁紹さんがそう話した瞬間、周りの皆さんは一気に疲れが出たようです。
そう、それは私も例外ではありません。
「おぉ、麗羽姉さまは負けたわけではないんじゃな」
「もちろんですわ!! 名門袁家の当主たるこの私が、こんな田舎臭い娘共に負けるはずありませんわ!!」
田舎臭いという言葉を聞いた瞬間、周りから殺気のようなものが生まれました。
それをいち早く検知したのか、袁紹さんの後ろで顔良さんが必死に頭を下げて謝っています。
その行為が実ったのか、件の殺気は収まりました。
「そうじゃろ。妾は麗羽姉さまが負けるはず無いと分かっていたのじゃ!! 七乃、嘘を言ってはいけないぞ!!」
「そ……そうですね、お嬢さま」
袁術さんの言葉に、さすがの張勲さんも困ったような表情をしながら答えています。
袁術さんの態度に納得したのか、袁紹さんは本題に入りました。
「それで、美羽さん。私は何をすればいいのかしら?」
袁紹さんの問いかけに袁術さんの動きが止まりました。
「麗羽姉さまにしてもらうこと……。七乃、何かあるかの?」
困った袁術さんは、張勲さんに丸投げです。
張勲さんは何やら考えた後言いました。
「……そうですね。麗羽さまにはこのお城の警備をお願いします」
この言葉に袁紹さんが素直に頷くはずがありません。
「ちょっと!! なぜこの私がこのお城を警備などという事をしなければならないの!!」
袁紹さんの言葉を予想していたのか、張勲さんはあっさりと答えました。
「自らの城を守る。これほど大事な事はありません。……それにその自分の城すら守れなかった方はどなたでしたっけ?」
張勲さんはあくまでやんわりと袁紹さんを追い詰めます。
この言葉に袁紹さんは頷くほかありませんでした。
「そ……そう言う事なら仕方ありませんわ。それで、私はどこを守ればいいんですの?」
「そうですね……。まずは、今麗羽さま達に使ってもらっている部屋を守って下さい。あそこは実は大事な部屋なのです」
張勲さんのこの言葉に袁術さんが首を傾げます。
「七乃〜、あそこは何の部屋じゃったかのぉ?」
張勲さんの意図が分からない袁術さんらしい質問です。
袁術さんの言葉に、張勲さんはちょっと焦りながら答えました。
「い……いやだなぁ、お嬢さま。あの部屋には大事な物をしまっておいたじゃないですか」
「そうじゃったかのぉ」
張勲さんの言葉にあくまで白を切る袁術さん。
このやり取りを見てさすがの袁紹さんも気付くはずです。
「もう、なんでもいいですわ!! 今使っている部屋を守ればいいのでしょう? 猪々子、斗詩、行きますわよ!!」
私は唖然としてしまいました。
袁術さんと張勲さんのやり取りを聞いていれば、袁紹さんのお部屋に重要性は無いと気付くはずです。
袁紹さんは、気付かなかったフリをしたとも思えません。
「申し訳ありません、麗羽さま。顔良ちゃんと文醜ちゃんにはやってもらうことがあるんです」
「あら、そうですの? では私だけで守ればいいのですね。お安いご用ですわ!!」
張勲さんに顔良さんと文醜さんを足止めされた袁紹さんは、それでも何事もなかったかのように高笑いをしながら玉座の間を出て行きました。
袁紹さんが出ていった後には、先ほどよりも増して疲れた雰囲気がその場を覆っていました。
ただ一人、袁術さんを除いてですが……。
第17話をお届けしました。
ですが、風ストーリーといいながら結局は美羽達と麗羽のやり取りのみです。
前話のコメントで指摘されて忘れていた麗羽をどうするか。
その部分だけに絞ってお届けしました。
今風に言えば、自宅警備員ですね。
下手な事をすれば、色々と問題を起こしそうなのでこんな感じで落ち着きました。
短めに書いて短いスパンで出していくと言っておきながら結局はこんなにかかってしまいました。
しかも、話自体短過ぎな上にあんまりいらんだろうという内容。
もう、自分でもどういう方向に進んでいるのかよく分かりません(;^_^A アセアセ…
他の方の作品とか見ていると自分の文才の無さを痛感してしまいますね。
それでも、何とか終わらせるべく頑張って書いていくつもりです。
ただ、改めて考えてみると風視点というのは結構きついしばりですね。
一刀だとある程度自由に動かせますが、風だとなかなか……。
お得意の寝たふりや宝ャもなかなか登場させられません。
とまあ、色々愚痴ってますが、書き始めた以上投げ捨てるつもりはないです。
次こそは、孫策軍との絡みを書ければいいかなと思っています。
次のアップも未定ですが、気長に待っていて下さると助かります。
今回もご覧いただきありがとうございました。
説明 | ||
真・恋姫無双の二次小説になります。 風の視点で進んでいきますが、今回は語り以外出番がありません。 前話で忘れている事を指摘された麗羽さま中心でお送りします。 しかも、今回もかなり短めです(;^_^A アセアセ… 自分でももう少し頑張ればと思えるほどですが、良かったらご覧下さい。 感想などお待ちしております。 |
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コメント | ||
流石の七乃も麗羽は多少なりとももてあましますな^^; (深緑) これは・・・口の上手い七乃さんを誉めるべきなのか、寛大(あるいは空気を感じない?)麗羽様が偉いのかwwwまあ周囲の方々には休息でも取ってもらい疲れと頭痛を癒して下さいとしかw(村主7) 美羽と七乃を一刀がどう、ちょうきょゲホッゲホッ 失礼、どう改心させてゆくのか楽しみです(うたまる) 麗羽様にもきっと起死回生の見せ場がきっとある・・・・・・ハズ。あの強運が活かされるシーンが。(shirou) |
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