それがあなたの望むことならば~雛から凰まで~二十歩半
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一成「何でそんなこと言っちゃったの?」

 

奏「キャハ?」

 

用意された奏の部屋に、一成と奏は一緒にいた。

 

一成「仕えるって…嫌いなんでしょ?曹操さんのこと」

 

奏「…キャハー、でもそうしないと一成ちゃんの条件が飲まれなかったから」

 

一成「だからって、奏お姉ちゃんがそこまでする必要は…」

 

奏「キャハー、どうかな」

 

一成「奏お姉ちゃん?」

 

奏「奏はもういいよ。一成ちゃんたちをここで見れただけで満足したから」

 

一成「……私たちと、一緒に行きたくないの?」

 

奏「……そんなはずないじゃない…」

 

奏は一成の頬をやさしく擦った。

 

奏「でも、奏が一緒にいると、一成ちゃんと泡ちゃん、きっと不幸になるから…それに、奏がいると水鏡先生と孔明ちゃんにも会いにいけないでしょ?」

 

一成「…奏お姉ちゃん、結局行くつもりなかったんだ」

 

奏「……」

 

奏の顔から微笑みは消えない。

 

その微笑の中に眠っている苦しさと寂しさを考えると、心の底から痛みを感じてしまう一成ちゃんであった。

 

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雛里side

 

 

午後頃、城から私たちを連れてくるために来た兵士たちを、誤解して鈴々ちゃんが役5名ぐらい倒してから、私たちはようやく城に着くことができました。

 

「は、入っても、大丈夫かな」

 

桃香さんが不安そうに言いました。

 

私も不安です。もし一成ちゃんに何かあったら……

 

「くんくん…こっちなのだ!」

 

へっ?鈴々ちゃん、どこに行くの?

 

「えっ、鈴々ちゃん?」

 

「こっちから愛紗の匂いがするのだー!!」

 

そう言って鈴々ちゃんは走っていきました。

 

「雛里ちゃん、行こう」

 

「は、はい」

 

あわわー、こんなに勝手に動いちゃってもいいのかな。

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

「愛紗ー!」

 

「! 鈴々!」

 

鈴々が向かった先には、本当に愛紗さんが居ました。

 

「桃香さまと雛里も」

 

「無事だったのね、愛紗ちゃん」

 

「あ、はい。ご心配をさせて申し訳ありません」

 

「あの……奏ちゃんと一成ちゃんはどこに…」

 

本当に申し訳ないですけど、私は二人の方がもっと心配で……

 

 

 

 

 

「雛里お姉ちゃん!!」

 

!!

 

「一成ちゃん!」

 

あっちから一成ちゃんが走ってきていました。

 

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「黄巾党の本陣討伐に私たちも?」

 

「うん、そういうことになったよ……愛紗さんを助けるためにはそれしかなかった」

 

「……」

 

「ごめん、勝手に決めちゃって……」

 

一成ちゃんが申し訳なさそうに頭を下げましたが、

 

「大丈夫だよ。影子ちゃん」

 

「そうなのだ。愛紗も助けるし、悪いやつらもやっつけられるし、一石二鳥なのだ」

 

確かに、この取引きに私たちとって悪いものはありません。

 

寧ろ、ここで功をあげることができたら、私たちの評判もあがるはずです。

 

奏ちゃん、最初からこうしようとしていたんだね。

 

「?そういえば、奏ちゃんは?」

 

「あ、奏お姉ちゃんは…」

 

 

 

 

一成ちゃんが奏ちゃんのことを言おうとしたら、兵士さん一人が来ました。

 

「一成さま、曹操さまのお呼びであります」

 

「あ」

 

え?何で曹操さんが……あっ!

 

「一成ちゃん、もしかして…ばれちゃったの?」

 

一成ちゃんが例の天の御使いだったこと…

 

「まだ解らないよ。だけど、きっと大丈夫だよ」

 

「何で解るの?」

 

「…なんかね、先曹操さんの前に立ったら、ちょっと怖かったけど……

 

違う気分もした」

 

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「私は一人だけを呼んだはずだけど?」

 

「うぅっ……」

 

心配で無理やり付いてきちゃいましたけど、

 

曹操さん、怖いです。前で立っているだけでも精一杯で…

 

「すみません」

 

「まぁ、いいわ。その子が鳳士元なのかしら」

 

「は、はひっ!」

 

舌噛んじゃいました!

 

「雛里お姉ちゃん、そんなに怯えることないって…」

 

「お姉ちゃん?あなたの方が姉なの?」

 

「はい?は、はい……」

 

それ言われたら辛いんですけど。

 

「まぁ、よしとしましょう。か、ここに呼んだのは確認したいことがあったからよ」

 

「あ、はい」

 

「…元直と知り合いということと言い、鳳士元とあなたの服をいい、あなたたちはかつて水鏡のところの生徒だと見たわ」

 

「…はい、その通りです」

 

「なら、七年前荊州であった天の御使いの騒ぎの元は…あなたなのね?」

 

「……」

 

流石曹操さん、迷いもなく突っ込んできました。

 

ここまできたら、もう隠す術もありません。

 

というか、一成ちゃんは今までこの服なんでしょうか。

 

あれだけ危ないから服変えた方がいいと言ったけど、「私のアイデンティティーが篭ってるから嫌」とか言って絶対ダメだというから…

 

この服でお揃い水鏡女学院の制服っぽいの着ていたら、知っている人はほぼ確実に解るでしょう?

 

「あの、曹操さん」

 

「あの時、あなたを捕まえに行った人があったわ。その人は、私の父親だった」

 

「「!!」」

 

「あの時父親が言ってたわ「南に面白い男があるからお前の遊び相手にしようと思う」とか……空の手で戻ってきた時は少しがっかりだったけどね」

 

「あの、じゃあ、曹操さんの父上は最初から私を殺すつもりは…」

 

「殺す?何故そんなことをしなければならないのかしら」

 

「だって、天の御使いですよ?朝廷にとって、天を名乗る者は逆賊に等しいものでは……」

 

「こんな時だからね。朝廷の奴らにそんなこと言われたって、素直に殺しにいくわけないでしょう。私が父親だったとしても、自分の養子にさせて天下を目指すようにさせるわ」

 

「あ……」

 

じゃあ、最初から一成ちゃんと私が逃げる理由なんて、いなかったんだ……

 

「その後、天の御使いは処刑した、と朝廷に報告して話は終わった。……けど、まさかその本人がこうしてまた私の前に現れるとはね」

 

「……」

 

「期待しているわ。あなたの力、七年の時間。あなたが何をしていたか見せて頂戴」

 

 

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私たちは、曹操さんの部屋から出されて、元いた場所に戻りました。

 

「曹操さん、一体どうするつもりかな」

 

「どうするかって、どういうこと?」

 

「私と一成ちゃんのことが解ったのに、何もしないでそのままほおって置くなんて。朝廷に出すとか、それとも自分の下いれるとか、この乱世の君主ならそんな風にするはずなのに」

 

「きっと曹操さんは、自分の手で天下を取ろうとしているんだよ。天の御使いなんて要らない、と思ってるんだ」

 

「え?」

 

どうしてそんなにきっぱりと言えるの?

 

「なんとなく……そんな考え方の人だろうなって思った……私が知ってた人と似てる」

 

「一成ちゃんが知ってる人?」

 

一成ちゃんがこの世界で知っている人の中で、私が知らない人はないはずなのに…じゃあ

 

「キャハー、一成ちゃーん、泡ちゃーん」

 

「奏ちゃん!」

 

「奏お姉ちゃん!!」

 

戻ってみたら、桃香さんたちの中に奏ちゃんがいました。

 

「大体のことが決められたよ。明日、曹操さんと一緒に出陣しまーす!」

 

「あわわ?明日?」

 

「早くない?」

 

「キャハー、何いってるのー。元なら今すぐ出発したいほどだよー」

 

あれ?でも何で奏ちゃんが…

 

「奏ちゃん、今までどこに居たの?」

 

「キャハ?奏は猫ちゃんと今回の戦いの戦略を話していたよ?」

 

「え?何で奏ちゃんが……」

 

「…一成ちゃん、泡ちゃんにいってないの?」

 

「言おうとしたのに、曹操さんに呼ばれちゃって…」

 

「ふーん」

 

何?何なの?

 

「奏ちゃん、曹操さんと何があったの?」

 

「……泡ちゃん、奏、泡ちゃんたちと一緒に行けないよ」

 

「…え?」

 

「ここに残って、曹操さんの軍師になるの」

 

「……な、何で?」

 

「キャハー」

 

「何でそんなこというの…一緒に行くんじゃなかったの?一緒に朱里ちゃんのところに行くんでしょ?」

 

「……」

 

奏ちゃんは笑うだけで、何も言いません。

 

「……最初から私たちと一緒に行く気、なかったの?」

 

「……そんなはずないじゃない」

 

「じゃあ、どうして…」

 

「…ごめんね、泡ちゃん…一成ちゃんも…」

 

それだけ言って、奏ちゃんは後ろを向いてしまいました。

 

「奏ちゃん!」

 

「雛里お姉ちゃん、そっとしてあげて」

 

「でも…」

 

「…今の奏お姉ちゃんの決心を揺らすことは私たちにはできない…」

 

「……」

 

朱里ちゃん、朱里ちゃんは知ってるの?

 

奏ちゃんに一体何があったのか。

 

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次の日、私たちは曹操さんの軍勢と一緒に出陣することになりました。

 

 

 

 

説明
他の作品の浮かびで色々と大変なことになってしまい、ここまで遅れてあげた挙句に、ちゃんとした一話にもできないものをあげてしまい、申し訳ないと思いつつも、難しい場面をなんとかごまかして一息ついている自分の姿がいました。
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真・恋姫無双 恋姫 雛里 一成  華琳 韓国人 

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