極楽幻想郷(妖) その1
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「あ……おい、霊夢。みかんが切れたぞ」

 

「えー、魔理沙取ってきてよ」

 

「何で私がこのクソ寒い中、わざわざ他人の家のみかんを持って来なきゃならないんだ……くれるならともかく」

 

「一個だけなら」

 

雪はまだ降り止まず、そろそろ春が訪れても良い季節の筈の幻想郷。

 

未だ冬が終わる気配がしない中、博麗神社の炬燵で霊夢と魔理沙は炬燵の使徒と化していた。

 

「うー……寒っ。まだこっちは寒いなー……」

 

「あら来てたの。寒い中大変ね」

 

「来て早々『炬燵から一歩も出たくないから雪掻きお願いね』とか言った鬼畜巫女は何処のどいつだ」

 

「そんな巫女が居るのね。いやねー外の世界って」

 

防寒具を着込んで震えながら部屋に入って来た横島に霊夢は炬燵から顔を出して答えた。

 

あったかいお茶の一つもサービスが無いんかい、と溜め息を吐きながらいそいそと横島は炬燵へと潜り込んだ。

 

「それにしても外の世界の暖房具って素敵ねぇ。こんなにも楽だと外にも出たくなくなるわー」

 

「……太るぞ?」

 

「大丈夫よ。太れる程食べ物置いてないから……って何を言わせるのよ」

 

自爆したのはそっちやないかー!? と弁明するが霊夢の拳が横島の顔へ減り込んだ。

 

「おーい、みかん取って来た……何やってんだ?」

 

「この状況を見て分かる奴は多分居ないと思う」

 

そしてみかんを取って来た魔理沙が見た光景は、顔が陥没して仰向けに倒れている横島と不機嫌に不貞寝をする霊夢の姿だった。

 

 

――閑話休題。

 

 

「……何で俺はこの雪の中を人里まで買い物に来てるんだ……?」

 

籠を背負いながら横島は人里の入り口でそんな事を呟いていた。

 

あの後機嫌が直らない霊夢から人里まで買い物して来いと籠だけ渡されて神社を蹴り出され、今に至る。

 

ちなみに買い物の内容はお肉に野菜に豆腐……とどうやら今夜は鍋料理のようだ。

 

「俺も鍋食いたいなー……」

 

相変わらず給料が上がらない横島はここで鍋を食べて栄養を付けたいところである。……まぁ確実に無理な気もするが。

 

トホホ、と溜め息を吐いて空を見上げる。

 

案の定曇天の空で雪が所により降り続ける中、見覚えがある人物の姿を見かけた。

 

「……あれ? 紅魔館のメイドさん?」

 

以前お邪魔した紅魔館の(美人な)メイドさん――「十六夜咲夜」が空を飛んでいたのを発見した横島は悔しさに歯を噛みしめた。

 

「くっ……あんなに高いとナンパのしようが無いやないか……!

 

一体あんなに急いで何処に行くつもりなんや……?」

 

もうメイドさんが空を飛ぶ事自体驚きなのだが、横島としてはどうやってナンパをするかしか悩みがなかった。

 

咲夜の舞空術を目で追いつつ、その時横島の目は捉えた。

 

「……!!」

 

クワッと目を見開き、横島の横を通り過ぎようとした住民がビクッと震え上がっても気にしない。

 

横島の視線はある一点……咲夜のミニスカの絶対領域に注がれていた。

 

「見えん……だと……!? 面白い……意地でも見に行ってやらぁっ!!

 

待ってろ、俺の絶対領域―――――っ!!」

 

鼻息を荒くし、横島の周囲だけ雪が融けながら咲夜を追って走り出した。

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極 楽 幻 想 郷(妖)

妖々夢編 その1

 

 

 

「……うん、見失った!」

 

咲夜の後を追って走り出してみたのは良いものの、相手は空を飛んでいるので手掛かりなんて雪が降り積もった地面に何も無かった。

 

一面の銀世界に一人取り残された横島は身体を身震いさせた。

 

「さ、寒い……! 絶対領域は惜しいが、このままここに居ては凍って死んでしまう……!」

 

いくら防寒対策はしていても寒いものは寒い。

 

元来た道を引き返そうと後ろを振り向くも雪の積もった地面の足跡は近くのを残してすっかり雪で消えていた。

 

「こ……これは本気で遭難してしまうかもしれん……!」

 

絶対領域を覗きに行って遭難して死んだとなれば、原作のワンダーホーゲル部員よりも悲惨で死んでも死にきれん!

 

文珠で『暖』でも取ろうかなと本気で考え始めた所で空から声が掛った。

 

「あれ? アンタ何やってんの?」

 

「……お前は……! えーと……ナインなんたらセラフだっけ?」

 

「誰それ? あたいはチルノだけど」

 

「……おー、そうだった、チルノだ、チルノ」

 

手を叩いてチルノの名前を呼ぶ辺り、どうやら忘れていたらしい。

 

「で、アンタはここで何をしてるの?」

 

「遭難してるんだよ」

 

「へーそーなんだ」

 

意図して言った訳では無いと思うのだが、流石にこの寒い中でクソ寒いギャグにつっこむのも疲れたと言うか瀕死状態の横島であった。

 

 

「ふ、振っておいてなんだが……頼むからそのギャグは止めてくれ……死ぬ」

 

「そう言えば大ちゃんからも冬に言っちゃ駄目だからねって釘を刺されたんだっけ」

 

ガタガタ震えながら懇願するとチルノは思い出したかのように手を叩いた。

 

どうやら以前にも詰まらない洒落を言って怒られた事があるらしい。

 

「と、とりあえず……人里までの道知らないか? もしくは雪を凌げそうな小屋とか」

 

「うーん……あたいは知らない。でもレティなら何か知っているかも」

 

「……レティ?」

 

期待半分でチルノに聞いてみるが返ってきた答えにやっぱりと思いつつも、聞き覚えの無い単語……恐らく人名(いや妖名?)だろう。

 

「誰だそのレティって?」

 

「あたいの友達!」

 

「……美人か?」

 

「うん」

 

「よし、是非とも紹介してくれ!」

 

すぐさま土下座……辺り一面雪だらけのため深く頭を下げただけ……を行う。

 

プライドとかそんなので煩悩が膨れるか! と言わんばかりに拳を握って主張する横島だがチルノには意味が通じていない。

 

まぁ一応案内してもらえる事にはなったのだが。

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「……見事に戦闘中だな……」

 

「うー……覚えてなさいよあのメイドー」

 

ボロボロになって涙目のチルノの頭を撫でながら横島は上空を見上げる。

 

そこには先程見失った咲夜とチルノがレティと呼ぶ妖怪「レティ・ホワイトロック」が弾幕ごっこを繰り広げていた。

 

チルノがボロボロになったのは……まぁ何時ものようにチルノが挑んで撃退されただけである。

 

「取りあえず流れ弾に気を付けてここから離れるぞ」

 

「何で?」

 

「何でって……近くに居たら流れ弾が当たる→エキストラ爆発→吹っ飛ぶなのは当たり前だろ?」

 

こそこそとこの場を離れようとする横島に対して、チルノは首を振る。

 

「あたいは残るよ……」

 

「おい止めとけって。絶対流れ弾飛んでくるから」

 

「それでも……! 友達を見捨てて逃げるなんてできないもん!」

 

拳を握って弾幕ごっこを見るチルノの姿に横島はうっと呻く。

 

急にチルノが輝いて見えて横島はそっと目を反らした。

 

「けど、大分押されてるぜ?」

 

「それでも……! それでもレティなら残機を一機減らすくらい!!」

 

「あ、終わったな」

 

「レティィィィィィィィィッ!!」

 

呆気なく、残機を減らすこと無く咲夜に撃沈され、レティは雪の積もった大地に落ちて行った。

 

「しっかりして、レティ!」

 

「ち……チルノ……やっぱり、1ボスは5ボスから自機になった相手に敵わなかった……わ」

 

「レティィィィィィィィィィィィィィィィッ!!」

 

「……私、先に進んでも良いわよね?」

 

「……どーぞどーぞ」

 

 

ボロボロのレティの肩を抱いて涙を滝のように流すチルノ達を尻目に咲夜がボソッと呟くと横島は先を促すように両手を動かした。

 

流石にこの空気でナンパをすることは出来ないと悟ったようだ。

 

「……さて、収拾つくのか、この状況……」

 

未だレティを抱いて涙を流すチルノに視線を向けて額を抑える。

 

当初の予定では美人に会いたいあとついで(?)に寒いから人里までの道を教えてもらう筈だったのだが。

 

「どーしてこーなった……」

 

とりあえず横島はチルノが落ち着くのを待つことにした。

 

 

 

つづく

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あ と が き

 

妖々夢編始めました。

相変わらずサブタイが思いつきません。

妖々夢はEasyでも虹川三姉妹で全滅しちゃうんですよねー。アハハ……ハァ。

早いペースで投稿できれば良いなぁ……。

 

PS.ペンドラーとゴルーグは格好良いなぁ……。

ポケモン育成に力注いで全然ストーリーが全く進まないや。

今回の虫ポケモンのデザインで虫パ作ろうかと思っちゃいまして。

そう言えばこの前ニコニコ見てたらちょうど『深紅』が流れ始めた時にキバゴが孵化したからソイツのNNはクリムゾン。

説明
ポケモンWプレイ中。
ストーリークリアしないでポケモン育成中。
しばらくプラズマ団のプの字も見たくない!

10/20追記
ストーリー本編はクリアしてポケモン育成中。
Wi-fi対戦したいなぁ……でもできない(泣)
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コメント
ポケモンか...。レッドとグリーンが懐かしいなぁ。(ヤマト)
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