少女探偵レモンと謎の機械乙女 |
「あら?」
ある日の夕暮れ、わたしは道に迷ったことに気づき、わたしはつぶやきました。金の髪が揺れます。
サラタウンに引っ越してきてから、数週間が過ぎたときのことです。わたしは孤独なんて気にせずに、好きなことを考えて、好きなことをしている毎日でした。
東に五百歩歩けば、学校。
西に二百歩行けば、駅があります。(でもここはどこかしら?)
場所を失うことがわたしは好きです。でもそれは長続きしません。(ああここはこの通りだわ)
わたしは駅前に続く小さなお店が密集した通りをまた歩き出しました、
と、ふと、そこでキトンのシルクハットを被った長い黒髪の少女を見かけました。
歩き方が奇妙です。
ゆっくりと等身代のコンパスのように、右手を動かしながら、まっすぐな方角で、
足を均等に動かしながら、ぎくしゃくと歩いていきます。
まるで何か人間ではないかのような……そんな機械的な動きです。
わたしには妄想癖があります。例えば、目の前のぎくしゃくとした彼女は機械人形であり、
南蛮のからくりによって動いているのだ、と。
そのときは、まだわたしはわたしの妄想をほほえましく思いました。
もっとも興味深い動き方ですから、わたしは彼女を観察することにしました。
すると彼女の右手には動かなくなった時計が握られているのが分かりました。彼女の細い指が、
長針を動かしていくのが分かります。(長針の動きにつれて短針が時計回りで、少しずつ動いているはずです。)
「これは事件ですわね……」
わたしはわたしの妄想で、興奮して、その機械乙女を見つめました。あの時計は、人形に生命を吹き込んでいる装置でしょう。
あるいはあの人形は時計に生命を吹き込むためにそうやって動ているのかもしれません。
歩き方が均一なのは、壊れた時計によって支配されているからでしょう。
わたしは駅前まで歩く彼女を見送りました。わたしは彼女に声をかけてみたいと思いましたが、
駅前広場の五時の鐘の音とともに彼女はぎくしゃくとした動きをやめると、普通の人間に戻ったのです!
わたしはまた興奮しました。しかしすぐに駅前の人ごみで、彼女を見失ったことに気づいてしまいました。
がっかりしたわたしは思いました。
「この町には探偵がいるという噂ですけれど……聞いてみるしかありません」
わたしは、翌日、探偵の事務所を訪れることにしました。
翌日、ビルの四階にある小さな事務所を訪ねてみると……。
目の前に機械人形の乙女、黒髪のキトンのシルクハットの少女がいるではありませんか!
この町の秘密は機械人形によって支配されているのです><!
「あの……なにか勘違いされてません?」
とそこまで説明を聞いて、少女探偵のレモンは目の前のきらきらした蒼い瞳の、金の髪の少女に困ったように
告げた。
「いいえ間違いありません! あなたは時計で動いていたではありませんか?」「わたしが想像するに、あの時計は壊れていて、あなたは壊れた時計を支配し、動かしている町の機械人形でしょう。ここで、町の秘密を知りたいのはなぜ?」
「たしかに、あの時計は壊れていて、時計じゃないけれど、正しく針を動かしていけば、ストップウォッチのように使えます」とレモンは実際にその時計で実演してみせる。変哲の無いガラスケースの外れた懐中時計だ。
「ではあなたはなにをしてらしたのですか?」
と金の髪の少女がいう。
「探偵術の第一歩である「歩測」です」とレモン。
「ほそく?」
「均一な距離で歩いてその歩数の合計で距離を測量することです」
ああ、と金の髪の少女が笑った。納得したようだ。
のどかな夏の午後、レモンはつぶやいた。やれやれサラタウンにまた新しい、とても変わったお嬢さんがやってきたのですわね、と。
説明 | ||
ある日、わたしは引っ越してきた町の中で、奇妙な動きを する機械乙女の姿を見たのです。その手には壊れた時計が握られていました。わたしは彼女の正体を知るために……。 |
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