真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第1話「脱走」
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真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第1話「脱走」

 

 

 

少年「――――――ん」

 

どこからともなく聞こえてくる雀の鳴き声。

 

少年「んんっ」

 

少年(喉が乾いたな。それに凄く体が重い……)

 

少年(…………。)

 

“ガバッ”

 

少年は寝ていた布団より身体を起こした。

 

少年「痛っっ…」

 

起きると同時に身体に痛みが走る。身体をよく見ると上半身は裸。正確には包帯が巻かれていたが、着ていたはずの制服はなくなっていた。

 

少年「…包帯? …怪我?…………」

 

少年は混乱していたが、傷の痛みのせいか徐々に頭の中は冷静さを取り戻していった。

 

少年「…ここは? ……何処なんだろう?」

 

辺りを見回し確認する。

 

少年(変な色のベッドに、壁の色。窓が1つか)

 

少年「本当にここは何処なんだ?」

 

“ガチャ”

 

その時、扉が開き誰かが部屋に入ってきた。

 

黄蓋「おっ?目が覚めたか、孺子。気分はどうだ?怪我の具合はどうだ?」

 

入ってきたのは、銀髪の妙齢の女性。何か僕に話しかけてきたが、話を理解するより先に身体は反応していた。

 

黄蓋「おい、孺子! 何処に行く!」

 

少年の行動を見て妙齢の女性が叫ぶ。

 

少年は窓から外に飛び出た。外には見張りであろう男が二人いた。

 

黄蓋「何をしている。捕まえんか!」

 

最初は急に飛び出してきた少年を見て驚いていた見張りの男たちも、黄蓋の声によって少年を捕まえようとしてきた。

 

少年(遅い。これぐらいの動きなら)

 

見張りの男たちは少年を捕まえようと向かってくるが、少年は男たちの動きの“流れ”を読み、それをかわしていく。

 

黄蓋「ええい、何をしておる!」

 

見かねた黄蓋が窓から外に出てきた。

 

少年(やばいな。あの人、この人たちなんか問題にならないくらい強いや)

 

瞬時に黄蓋と見張りの男たちの戦闘力の違いを見抜いた少年は1つの覚悟を決めた。

 

少年(これをやると、後がつらいけど今はそんな場合じゃないか)

 

黄蓋「孺子、いい加減大人しくせい」

 

少年は黄蓋に背を向けて腰を落とし前傾姿勢になる。

 

黄蓋「逃がしはせん!」

 

黄蓋が少年を捕まえようと手を伸ばす。

 

その瞬間―――――

 

少年「“疾風”」

 

黄蓋「なっっ!?」

 

少年は目に止まらぬ速さで疾走していく。

 

その予想だにしていなかった少年の速さに、黄蓋は呆気にとられてしまい、ただ呆然と見送ってしまった。

 

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孫堅「で、見事に逃げられたと………」

 

不機嫌そうに孫堅は黄蓋に言う。

 

黄蓋「面目次第もない」

 

孫策「ホント、祭が逃げられるなんてらしくないわね」

 

孫策も孫呉の宿将である黄蓋が油断していたとはいえ、少年を取り逃がしたことに驚いていた。

 

黄蓋「本当に申し訳ない」

 

孫策「母様、どうするの? もちろん探して捕まえるんでしょう?」

 

孫堅「当然。赤い光と共に現れ、丸三日も眠っていたのに、起きてすぐ祭から逃げおおせるだけの力をもつ孺子。ますます手放したくなくなったわ」

 

予想以上の少年の行動に嬉しくなり、先ほどまでの不機嫌な顔は消えて楽しそうに答える。

 

孫策「じゃあ、私も探すわね」

 

周瑜「ダメよ、雪蓮」

 

孫策「えー、何でダメなのよ。冥琳のケチ―。早くしないと本当に逃げられちゃうわよ」

 

孫堅「うむ。まだ遠くまで行っていないだろうからな。私も探そう」

 

周瑜「えっ、文台様まで探すなどいけません。あの男が刺客でない保証はないのですよ」

 

孫堅「大丈夫さ冥琳。それに欲しい物は自分で見つけないとな」

 

あの少年が刺客や間者の類ではないと、孫堅の勘がいっていた。

 

孫策「はい♪ 冥琳も母様が言い出したら聞かないことなんて知っているでしょ。あきらめなさい」

 

周瑜「はぁー。お前と一緒だな。仕方がない私も同行するからな、雪蓮」

 

孫策「心強いわね♪」

 

孫堅「よし、話がまとまったようだな。雪蓮は冥琳と、祭は私と一緒にあの孺子を探すぞ」

 

孫堅(ふふっ逃がさないからな♪)

 

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少年「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

少年は蔵の中に身を隠して体力が回復するのを待っていた。

 

少年(やっぱり、今の身体で“疾風”は無理があったかな。)

 

“疾風”脳内のリミッターを外して、一時的だが爆発的な加速と走力を手に入れることができる奥義。

 

しかし身体への負担は大きく、体力もかなり消耗してしまう。

 

少年(けど、さっきの女の人と闘うよりはいいかな。まともに闘っていたら絶対に勝てそうもないもんな)

 

体力の回復を待ちながら、先ほどのことを思い出していた。

 

その時、蔵の扉が開かれた。少年はすぐに物影に隠れた。

 

気配から人数は二人。声から女性であることに気づく。

 

周瑜「本当にここにいるのか雪蓮?」

 

孫策「そっ。私の勘がここだって言っているわ」

 

自信満々に周瑜に答える。

 

少年(たいした勘だね。はぁー)

 

内心ため息をつく。

 

孫策「居るんでしょ。早く出てきなさい!」

 

蔵の奥に向かって叫ぶ。

 

少年(どうする? このままじっとしているか。いや、それじゃダメだろうな)

 

隠れていても、入ってきた孫策にすぐ見つかってしまうだろうと悟った。

 

体力も少しは回復したこともあり、強行突破することを決めた。

 

少年(……仕方がない行くか!)

 

少年はそう決心すると、先ほど蔵の中で見つけた自分の身長ぐらいの長さがある木製の棒を持って、孫策と周瑜の前に出た。

 

孫策「あー、やっぱりここにいた。あまり世話を焼かすんじゃないわよ」

 

待ちくたびれたかのように少年に言う。

 

少年(この人、さっきの人と同じくらいか、それより強いな。何でこんな強い人がゴロゴロいるんだよ)

 

そう思いながら木製の棒を構える少年。

 

孫策「ふーん。抵抗する気なんだ。これはお仕置きが必要かもね♪」

 

微笑を浮べながら孫策も剣を抜き構える。

 

孫策「ほら、来なさい。来ないならこっちから行くわよ」

 

孫策は少年にいきなり斬り込んでいった。

 

 

 

つづく

 

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〜あとがき〜

 

呂です。如何でしたか?第1話をお送りしました。いきなりですが主人公は逃げました。次回は雪蓮との対決です。

 

名前すらまだ出てきていないのに……。

 

真・恋姫†無双〜赤龍伝〜に出てくるオリジナルキャラクターの紹介

 

オリジナルキャラクター@「?」

 

姓 :不明

名 :不明

字 :なし

真名:なし

武器:不明

 

本編主人公の少年。

この外史では、“北郷一刀”が主人公ではありません。

血まみれだった理由などは後々語る予定。

古武術を学んでおり、今回はその内の奥義の一つ“疾風”を使用。

“疾風”脳内のリミッターを外して、一時的だが爆発的な加速と走力を手に入れることができる奥義。

しかし、身体への負担は大きく、体力もかなり消耗してしまう。

 

能力値:統率?・武力?・知力?・政治?・魅力?

 

 

 

オリジナルキャラクターA『孫堅』

 

姓 :孫

名 :堅

字 :文台

真名:火蓮(かれん)

武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。

 

孫策(雪蓮)たちの母親。

身長173a。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。

血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。

この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。

 

能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5

説明
真・恋姫†無双の二次創作の小説です。一部加筆修正しました。
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コメント
いきなり逃げ出すとは珍しいパターンですな。しかし、孫堅にそれにしても孫策にしてもどんだけ良い勘してるんだか^^;(深緑)
お〜戦闘パート突入!実力はどんなモンだwwww(スターダスト)
コメントありがとうございます。(ryo)
短い。地の文が少ない。疾風の身体の負担が負担(笑)にしかなってない。終わりがブツ切り、と少々文章力に難があるようですが面白そうです。期待します。(PON)
もう少し地の文があると、孫堅の容姿なんかがわかっておもしろいと思います。次回が楽しみです。(マスター)
3p 誤字 孫策「そっ。私の感がここだって言っているわ」 「勘」ですね。(なっとぅ)
少年はどれぐらい強いのでしょうか。楽しみです!!・・・自分的には桁外れに強いほうがいいです。(Alice )
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真・恋姫無双 恋姫  孫堅 孫策 黄蓋 赤龍 

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