真・恋姫†無双〜江東の白虎〜第壱章 第17節〜一刀、苦渋の選択〜 |
この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てに
いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。
その点を踏まえて、お読みください。
凪、真桜、沙和が呉の国を旅立った後日、10日後に劉表を攻める事が確定した事を美蓮から告げられた。
その10日の間一刀は、何かに取り付かれたように、自分の部屋で何かの書を認めていた。
しかも、その書を認めている間は凱でさえ部屋に入れないという徹底振りだった。
そうして10日が経ち、終に劉表の元に遠征する日を明日に控えたその夜一刀は、凱を呼び出した。
そこで、一刀は凱に居残り組み(蓮華、小蓮、思春、瑞穂)と共に城の守りを頼んだ。
勿論渋る凱だが、一刀のたのみだから何かあるのだろうと思った。
「分かった。 何かあったときには、俺が彼女達を護ろう」
「ああ、お前は俺達の帰る家を護ってくれ。
それとさ、できれば俺達が出た後で、俺の寝台の下の掃除しといてくれねえ?」
「おいおい、俺はお前の侍女じゃないんだぞ?」
流石にそのことには、眉を顰める
「頼むよ。 夕陽達には見せられない内容の本なんだよ」
「は? ……ああ、なるほど」
だが話しの内容を聞いて逆に、ニヤリと笑ってしまった。
「流石に、人が沢山居る状態で運べ無いからな」
「そう言う事。 アレだったら、好きなの1つ持って行って良いぜ?」
「考えとくよ」
そう言って凱は、一刀の部屋を後にした。
「(すまん凱、悪いが、お前には"アレ"を見つけてもらうぜ……)」
だが、凱は気付かなかった、後ろで一刀が悲痛な表情を浮かべている事を。
一刀が凱に頼み事をした数日後、一刀は国を出た。
そして、劉表の軍を眼前に控えた孫呉の軍は、重鎮達が今軍議を執り行っていた。
だが、そんな中
「……」
「―――だから、今回の様な場合は……一刀君?」
「…………」
一刀だけは、何処か上の空と言った感じだった。
「一刀。 一刀っ……すぅ〜……一刀っ!!」
「っ!? な、なんだ、母さん?」
流石に様子がおかしいと思った美蓮が声を掛けるも、大声で怒鳴らなければ反応すらしなかった。
普段の一刀の様子を見ていれば、流石に様子が可笑しいと新参の紗那にすら分かった。
「なに? じゃ無いわよ。 如何したの? 貴方、様子が変よ?」
「あ、ああ、ごめん」
初陣のときにすら見せなかった一刀の、不安を抱えたような顔に美蓮、祭、結羽は眉を顰めた。
「一刀様、何やらお疲れのようだし、今宵は天幕に戻られてはどうだろうか?
(このような御姿、儂は一度としてみた事が無い)」
「私もそのほうが良いと思うわ。 (明らかに、様子がおかしい。 如何したのかしら?)」
「ええ。 一刀、今日は天幕に戻って少し休みなさい。 策は後日口頭で伝えるから。」
「分かった、ごめん」
初めて見せる彼のこんな姿に、心配になり、大人三人組は一刀を天幕に戻す事にした。
周りも心配する物は要るが、文句を言う者は居ない。
皆に見送られて一刀は自分にあてられた天幕に戻って行く。
だが、此処で一刀の様子を聞かなかった事を後悔する事になるのだった。
〜凱side〜
所変わって此処は、一刀達が劉表軍と鉢合わせる1日前の呉。
時間が経ってそう言えばと、凱は親友から部屋の掃除を頼まれていたのを思い出した。
彼には、専属の侍女が居るのにも拘らずこうして自分に頼む、それは何故か?
答えは簡単、艶本の処理だ。
前に一度だけ、一刀が要らなくなった艶本を本屋に売りに行こうと部屋を出たとき、
雪蓮に抱えていた艶本の山を見つけられて城中に言いふらされてしまい、(一刀が)大惨事に見舞われた。
そこで一刀は凱であれば、上に医学書を乗っけて下は風呂敷に包んでしまえば、ばれないのではないか?
と思い、試したところ、見ごと成功。
それからと言うもの、好意を沢山向けられている一刀に変わって凱が処理するが、
珍薬やその必要となる珍素材の確保を一刀が取ってくる事で契約した。
凱にしてみれば、一人寂しい身の上かなり助かっていた。
さて、売りに行くにしても、一度部屋に持ち帰り吟味して売る物、貰う物を分けないといけない。
そして、今回も何を頼んでやろうかと凱は物思いに耽っていたのがいけなかった。
ゴンッ!!
『うわぁっ!!』
曲がり角から出てきた瑞穂と正面衝突してしまい、凱が持っていた風呂敷を落としてしまい一部が外に出てしまった。
「いててて……大丈夫でって!?」
「あたたた……すまん瑞穂大丈夫か? 瑞穂? あ……」
尻餅をついた凱は目の前で同じく尻餅をつく瑞穂に視線を向けるが顔を紅くして自分と瑞穂の間。
其処には、
『御義母さんと一緒〜御義母さんをお嫁さんにして〜』
『少女達の自慰情〜私達をお兄ちゃんの物にして〜』
『アブナイ男の娘〜御姉ちゃん、僕治まらないよ〜』
が、表向きに落ちていた。
「あ、あはははは。」
「……」
是には流石に凱も、乾いた笑しか出てこない。
余り長居していると、他の人たちが来てしまう恐れがあるので本を風呂敷に仕舞おうと
『御義母さんと一緒〜御義母さんをお嫁さんにして〜』の表紙だけを掴んで手繰り寄せようとした瞬間。
ベリベリ!
「へ?」
その掴んだ表紙だけが、本から剥がれてしまった。
よく見ると、裏にあまく何かで貼り付けたような痕跡があった。
それを可笑しいと思って、凱は本を手に取り表紙を開く。
其処には、信じがたい事が書いてあった。
天の定め 白き虎を貫き 虎の郷(くに)は地に伏せる
白き虎 頭を垂れて 力尽きん
されど 瞳に誇りを宿し ひとひら咲かす
親しき友よ 愛しき者達よ
後に続く者達よ 白き虎 遺せる物はただ朧のみ
この身 朽ちとも 我が望み 散らぬ
白き虎 黄泉の畔(ほとり)歩き
皆 未来行きて 喜び謳え
我望みの為 散らぬ
皆嘆く事無く 前を向け
我が行くは 浅き夢見し 永き眠りの旅
最早眠る 我が命 永久に呉の浅き夢見し
去らば 愛しき皆よ 我が鋼友よ
又会わん 我が鋼友よ 愛しき皆よ
「……………!?」
瑞穂に比べて学の無い凱で会っても、字面を見ただけで驚くべき意味の詩が書いてあった。
しかも見慣れた、少し癖ある友の字で。
「瑞穂! おい! 呆けて無いで、起きろ!」
「ふぇ?」
何を妄想しまくっていたのだろうか、顔はさっきよりもさらに紅くなっていた。
だが、呼び戻されたとき凱のまるで火急の事態でもあるかのような真剣な顔と、
その後に言った言葉に頭が切り替えられる。
「是を見てくれ」
「ふぇ!? え、ででも」
「早くしてくれ!!」
ふにゃふにゃになっている瑞穂にイライラしながら、凱は読んだ書物の頁を瑞穂に見せる。
「……………なっ!?」
頁を見た瑞穂は、紅かった顔も驚きの表情に染まり、
そしてその所に書いてあった詩の意味を理解してさらに驚く。
「是をお前はどう思う?」
「……凱さん! 今有る中で一番早い馬に乗って、一刀様たちを追いかけてください!
皆さんの事は何とかしますから!」
しばし考えた後、瑞穂は凱にそう言って、凱の持っていた風呂敷と其処に落ちていた書物を拾い集める。
「分かった、頼んだぞ」
「はい」
程無くして、凱は一刀が意図的に残した馬で呉の国を出る。
そして、凱のその背を見送る瑞穂は、己の役を果たすべく城に居る重鎮を集めるのだった。
説明 | ||
ちわっす。 タンデムです! 前回、変化を見せてしまったこの物語。 果たして、一刀はどんな選択をしたのだろうか? 謎の女性の正体は一体? 多くの謎を残すばかりとなってしまいましたね。 そして、その選択を行う一刀に一同は……。 ではどうぞ。 |
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コメント | ||
決意を秘めて唯一人立ち向かう・・・けれど、それは果たして皆の幸せとなりうるのか?一刀早まるなよ・・・。(深緑) 一刀!?(readman ) 2p 誤字 何かに取り付かれたように→憑かれたように でしょうか。(なっとぅ) |
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