真恋姫無双〜風の行くまま雲は流れて〜第50話
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はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどきな作品です。

 

原作重視、歴史改編反対な方

 

ご注意下さい。

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進む進む

 

何かと聞かれても答えようのない物が

 

進む進む

 

地鳴りをあげ

 

進む進む

 

進路上の全てを飲み込み

 

進む進む

 

ひたすらに

 

ただ真直ぐに

 

もはや止められる者は

 

もはや止められる物は

 

何一つとして存在しない

 

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「くそっ!火矢を射かけろ!」

「無理だ!鉄で覆われているんだぞ!」

 

放たれた矢はいずれも鉄の車体に阻まれ

 

「射線に出るな!蜂の巣にされるぞ!」

 

前に出れば蜂の巣どころではない

人であったことを疑われるほどの肉塊にその身を変え

 

「柵が破られたぞ!」

「阿呆が!あんなものが何の役に立つ!?」

 

積み上げた防波堤も柵もまるで紙でできているかのように拉げ、踏み潰される

 

「屋根に登れ!そこから馬を狙うんだよ!!」

 

連弩の射線から逃れる位置に立とうものなら

 

「…っ!?」

 

何が起きたか認識も出来ぬままに、眉間に矢を立てられその場に崩れる

 

「ち…張?…将軍!?」

 

巨大馬車の上に立ち

 

腰まで伸びた髪が風に靡かせ

 

朝露に反射する日の光を浴びながら弓を引き絞る姿は

 

どこまでも幻想的で

 

目を奪われるとは正しくこのことだろう

 

瞬く間に周りの兵達が倒れていく

 

皆例外なく矢を突き立てられ

 

仰向けに倒れた

 

その瞳から生の輝きが失われていく中

 

(ああ…馬鹿だなぁ)

 

眼に映るは朝日の色を映した空

 

(あの人がいて敵う訳がないのに)

 

どこまでも透通った空

 

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「さあて…いよいよ最終関門ですよ!」

 

許攸の声に比呂はようやく見えてきた門の姿に息を呑んだ

 

外敵からの侵入を今日この日まで拒み続けてきた街の門が視線の先に聳え立つ

 

(あれは容易ではないぞ)

 

城の改築と共に悠の案で度重なる補強を施され、さらに吊り橋式で構えられた門は鉄の格子が幾重にも中に組まれており、その強度はどの城に構えられたものよりも硬く重い

「門の破壊」など到底出来る訳もない…が

 

「豪天砲…発射用意」

 

自身の車体よりもさらに巨大な門を前にしても胡蝶蘭はスピードを緩めることはなく

 

その手綱を握る月の声が車内に伝声管を通じて響いた

 

「合点でさぁ!」

 

返す声と共にガリガリと歯車が軋む音が響き

 

「ごうてん…!?」

 

胡蝶蘭の全長のそれと同じ砲身が迫出した

 

規格外な砲身の長さと巨大さに怯む間もなく

 

「発射っ!!」

 

豪天砲が撃ち出された衝撃に胡蝶蘭の車体が一瞬浮く

ゴオオと唸りを上げて飛んでいく砲弾

 

そして

 

ドガアアアアアアン

 

「…嘘だろ?」

 

爆風と轟音と共に門が拉げ、傾斜していく

 

「突貫しますっ!…はいぃっ!」

 

乾いた鞭の音と共にさらに加速する胡蝶蘭、門の周りで構えていた兵達は我先にと逃げまどい

 

「将軍!中へ!」

 

許攸の声に比呂が天井の物見台から車内へと飛び込んだと同時にズンと轟が響き胡蝶蘭が揺れた

 

「…無茶苦茶な」

 

再び顔を出せば胡蝶蘭に続いて董卓騎馬隊が雄叫びをあげながら門の残骸を飛び越えてついてくる

 

「いやあああっほおおおお!」

「董卓様万歳!」

「さすがは董卓様だ!」

 

未だ土煙が上がる後方を見て、豪天砲の威力も然ることながら車体事の突撃を敢行する月に舌を巻く比呂だった

 

月…恐ろしい子

 

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「山岳に入る前に胡蝶蘭は捨てていきます…何分この車体では山越えは不可能なので」

 

許攸の説明に二人が頷く、胡蝶蘭の手綱は既に別の者に預けていた

元が馬車を改造した物だけあり、胡蝶蘭の後部には人が並んで座れるだけのスペースがあり、二人は毛布に包まり身を寄せていた

 

「昼前には馬に乗り換えます、それまで暫しお休みを」

 

そう言って扉が閉められた後、比呂はゆっくりと月を抱きしめ深く息を吐いた

 

「無茶な真似を」

「でもっ!?」

 

反論しかける彼女の両手を自身の両手で包み静かに擦る

今し方まで手綱を握っていた彼女の手は熱が籠り…そして震えていた

 

「俺は貴女にこんな事をさせる為に一緒に戻ってきたわけではない」

 

掌を甲を

 

静かに優しく擦りながら語りかける…と同時に

比呂に抱き留められながら月は比呂の声が、手が震えていくのを感じていた

 

「…部下を討つ為に戻って来たわけでもない」

「…比呂さん」

 

(また守れなかった)

 

否、それどころか自らの手に掛けてしまった

 

守ろうとしたきたものなのに

 

大切なものなのに

 

涙は見せない

 

嗚咽も漏らさない

 

だというのに

 

彼は泣いていた

 

ゴトゴトと揺れる馬車の車輪の音だけが響く

 

自身の弱さにまたしても心を閉ざしかけたその時

 

俯く比呂の頬に月の手が添えられた

 

「逃げちゃ駄目です」

 

顔をあげれば彼女と視線が重なる

 

淡い紫色の宝石のような眼が

 

静かに微笑んだ彼女の瞳が

 

比呂を見据えていた

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何故だろう

 

彼女が横にいるだけで

 

彼女の鼓動を聞くだけで

 

彼女の体温を感じるだけで

 

心が休まる気がするのは

 

「強く…強くなってください」

 

何故だろう

 

「強くなって…貴方が大切なものを守れるほどに」

 

彼女の声を聞くだけで

 

「それまで…私が貴方を守りますから」

 

胸が熱くなり

 

震えが止まるのは

 

比呂を真正面から見据える彼女の瞳が段々と近づき

 

「だから…」

 

比呂は眼を閉じた

 

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あとがき

 

ここまでお読みいただき有難う御座います

 

「ヘビーなサーフボードだぜぃ!YAAAAA!」

 

てなわけで官渡へ向けて出発!

 

胡蝶蘭?もちろん乗り捨てますよ、あんなチートガン〇ムはwww

 

豪天砲!?と驚かれた皆様…私じゃないです、天のエライ人からの御指示に御座います

 

まあ、後で桔梗と対峙した時にびっくりするわけですな「ちょwww人がwww豪天砲てwww」

…いつになるやら

 

さて次回は桂花が奪われたヒロインの座を奪還すべく奮起!

…するといいねぇ

 

それでは次回の講釈で

 

 

 

説明
第50話です

…50?

50話だとおおお!?
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コメント
深緑様、コメント頂き有り難う御座います。まったくだらしない主人公とヒロインですな(ねこじゃらし)
月がもうヒロインで主人公でハッピーエンド的なような・・・あれ?影の消えかかっている辛うじて主役な彼と猫耳ツン子様は?w(深緑)
thule様、コメント頂き有り難う御座います。ラジャー(`∇´ゞ(ねこじゃらし)
Night様、コメント頂き有り難う御座います。というかもう既に…ゲフンゲフン(ねこじゃらし)
行進をお疲れ様です。進めススメ〜♪ものども〜♪邪魔な敵を 蹴散らせ〜♪ (  ̄^ ̄)ゞラジャ (thule)
更新お疲れ様です。月がか弱い女の子から、イイ女に見事なジョブチェンジをされたようで。このままヒロインにジョブチェンジをするのが見えるようです・・・(Night)
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恋姫†無双 真・恋姫†無双 恋姫無双 桂花  二次創作  比呂 風の行くまま雲は流れて 

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