水面
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 今日のデートの行き先は光にお任せだ。光が言うには、

「高校の頃、行こう行こうと思ってて、行きそびれちゃったところ」

 らしい。

「やっほー!」

 そんなことを考えていたら光の登場だ。

「ゴメンね。待たせちゃった?」

「いや、いま来たところだけど、光、なんかちょっといつもより荷物多くないか?」

 いつもの小さいカバンの他に、何かバスケットみたいなのがあるぞ。

「えへへ、ひみつ」

 うーん、気になる……バスケットに入れてくるもの、と言ったら……

「弁当?」

 俺が言うと、光はちょっとがっかりしたように苦笑いした。

「ああもう。せっかくお楽しみにしとこうって思ってたのに〜」

 あ。当てちゃった。

「そんなこと言ったって。光、分かり易すぎるよ」

「そうかもしれないけどさあ。言わないのが優しさでしょ」

 何だかこのまま論争すると、光にやりこめられそうな気がする。俺は話題を微調整した。

「しかし弁当かぁ。何だか遠足みたいだな」

 すると、光は一瞬目を見開いてから笑った。

「うん。まさに遠足だよ」

「まさに? どういうこと?」

 光はさっきのセリフを繰り返した。

「えへへ、ひみつ」

 うーん。今度はすぐには分からない。光は得意げにバス停の方を指差した。

「さ、行こ。バスならすぐだよ」

 

 光の言うままにバスに乗り、いくつか停留所を過ぎてから降りた。しかし、ここは……

「光、確か高校のとき行きそびれたところって言ったよな?」

 光は元気よくうなずく。

「うん!」

「動物園なら何度も来た、と思うんだけど……」

 俺と光の目の前にはシマウマやライオンを模した、動物園の入場ゲートがそびえ立っている。高校の頃、狭い囲いの中の象に光が同情したり、俺が光を見つめていたシロクマをライバル視したりした、おなじみのスポットだ。

「うん。でも、今日のお目当ては違うところ」

 光は言って小首を傾げた。

「忘れちゃった? 遠足だよ」

「遠足?」

 そんなこと言ってもなあ……なんだっけな?

「もう」

 俺の頼りない表情と記憶に呆れたのか、光は肩をすくめて、歩き出した。動物園とは違う方向だ。

「行こう。歩きながら思い出させてあげるから」

「思い出せなかったら?」

 光は振り返ってにっと笑った。

「お弁当、あげない!」

 

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「それじゃあ、これから三時まで自由時間でーす。でもあんまり遠くまで行ってはいけませーん」

 引率の教師がそう言うと、子供たちはわっと散った。追いかけっこを始めたり、花を摘み始めたり。中にはせっかくの遠足だと言うのに、昨日のアニメの話に夢中のグループもいる。

 光も弾かれたように、おなじみの相手のところに駆けた。

「いっしょにあそぼー!」

「うん、いいよー」

 暢気な少年は答えると、びし、と雑木林の一点を指した。

「あっちをたんけんしよう!」

「うん!」

 光はどの場所へ行くと言われてもそう答えるつもりだったから、大きく返事した。

「よーし、たんけんたいしゅっぱーつ!」

「しゅっぱーつ!」

 構成員二名の探検隊は雑木林に入った。葉が生い茂り、昼だと言うのに薄暗い林の中で、光の元気は少し減退する。

「なんか、くらいね……」

「ちぇ。光ちゃんはよわむしだなー」

「う〜。よわむしじゃないもん」

 と言いつつ光がちょっと足を速めたとき、かさかさと葉を揺らす音が聞こえた。

「!」

「!」

 光は思わずもう一人の隊員にくっついたが、どうも相手も虚勢を張っていたらしく、足ががくがく震えていた。

「な、なんだろう……」

 二人の視界の隅を小さい影が横切った。

「あれ……りす、かな?」

「え! りす、見たい!」

 光は先ほどまでの恐怖を忘れ去り、リスらしき影を追った。

「まってよ、光ちゃーん」

 珍しく光が先を行き、相棒が後を追う展開となった。

 林は思いのほか小さく、二人はすぐに開けた場所に出る。

「りすちゃーん!」

 光は大声で呼んだが、小さい影は跡形もなくいなくなっていた。

「にげちゃったね」

 追いついてきた声が光に告げる。

「えーっ。りすちゃーん」

 光は未練たっぷりにもう一度呼んだが、やはりもう、気配もない。

「あーあ」

 光はがっかりして座り込んだが、相棒は新しい興味の対象を発見した。

「光ちゃん!」

「なあに?」

 光がそちらを向くと。

「わあ!」

 澄んだ水を湛えた湖が広がっていた。まるで絵本の1ページのような風景に光は目を輝かせた。

「すごーい! おさかな、いるかなあ?」

「はんぎょじんがいるかもしれないぞ!」

 二人は湖に近づいた。二つの顔が映った湖面を、銀色の小さな魚が横切っていく。

「おさかな、いた!」

「はんぎょじんはどこだ!」

 絶景スポットだというのに、二人の他は誰もいなかった。二人は同級生たちの歓声を遠くに聞きながら、魚の行方を追ったり、なぜ半魚人が姿を見せないかを論じ合ったりした。

「三時でーす! 戻ってきてくださーい!」

 という声が聞こえたとき、光は湖面に映る二つの顔が飽き足らなさに歪むのを見た。それを相棒が言葉にする。

「またこようよ。こんどは、はんぎょじんをつかまえるんだ!」

 光は力強く、

「うん!」

 と答えた。

 

「どう? 思い出した?」

 動物園からかなり外れ、人通りも舗装もなくなった道を歩きながら光がそう言った。俺はうなずいた。

「どうやら弁当にはありつけそうだよ。懐かしいなあ」

 光は俺をじいっと見つめる。

「な、何だよ」

「ホントに思い出したの?」

 う。

「ほ、ほらあれだろ。二回目の探検は俺のリサーチ不足で迷って」

 光は今度は満面の笑みで応えてくれた。

「そうそう! ひどかったよねえ」

「……その節はすみませんでした」

 実際、華澄さんが探しに来てくれなかったらどうなっていたことか。

「えへへ。許してあげる。実はね、私は三回目の探検やったんだ」

 え。

「そうなのか?」

「うん。もう一人の隊員は君じゃなくてね……」

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「……なるほど。ここは光の思い出の場所というわけね」

「うん」

 光の懐かしげな微笑みに応えるように、風は穏やかに小山を吹き抜けていた。しかし、話相手の顔は穏やかとは言えない。

「でもねえ……中学の二年にもなって、こんな近場の山に遠足だなんて。古都旧跡を巡るとか、あるんじゃないかしら」

 日本文化を愛する親友の文句を、光は笑って受け止める。

「もう、琴子ったら。秋の遠足は毎年近場って決まってるみたいだよ」

「それにしても……あら、どうしたの、光」

 琴子が続けようとした文句を、光は急に立ち上がることで阻止した。

「ね、琴子。ちょっと付き合って。探検しよう」

 琴子は小さくため息をついてうなずいた。

「仕方ないわね。でも、思い切り走ったりするのはやめなさいよ。疲れてしまう」

「うん。のんびり行こう」

 のんびりと、二人は件の雑木林に入った。

「木漏れ日がきれいね」

 目の上に手をかざして琴子が言うと、光はうなずいた。

「うん。でも、子供のときは林に入ると急に暗くなったから、ちょっと怖かったんだ。だけど……」

「……もう一人がいたから心強かった、なんて言うんでしょう」

 図星を突かれ、光は赤面する。

「も、もう、琴子!」

「はいはい……全く」

 それから光は、リス?を追って林を出た行程を再現してみせた。

「……でも、もう見えなくなってたんだ」

 光の言葉に琴子は周りを見てうなずく。

「開けているけれど、小さい動物ならまぎれてしまうわね」

「うん。で、がっかりしてたら……」

 光は反対方向にくるりと回転した。

「こっちに……あれ?」

 続けようとした光から、笑顔と言葉が消えた。

「どうしたの、光?」

 光の見た方向を振り向いた琴子は首を傾げた。

「小さな池ね。それに、あまり水も良くないようね」

 琴子の言うように水の濁った池が侘しげに湿地の中にあった。

「こんなのじゃなかったのに……もっと大きくてね、水もすっごくきれいで……」

 光は琴子との約束を破り、池に駆け寄った。

「おっかしいなあ……」

「場所は確かにここだったの?」

 ゆっくりと追いついてきた琴子が尋ねると、光はうなずいた。

「あっちに生えてるあの樹、確かにあったもん」

「……じゃあ、水量が減ってしまったのかしらね。このあたりも開発されているでしょうから、色々と影響があるのかもしれないわ」

 光はじっと湖面を見つめた。どうにか顔は映るが、魚は見当たらない。

「……うん」

 光は池から離れかけた。そのとき、ぱちゃ、と小さい音がした。

「あれ?」

 光は視線を戻した。水草の下を魚らしき影が横切っていくのが見えた。

「……よかった」

 光はかすかに笑った。

「光、行きましょう」

「うん」

 いつのまにかずいぶん先に行っていた琴子に追いつくべく、光は少し足を速めた。

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「でも、本当に『よかった』のか、って後で悩んじゃったんだ」

 両脇に草の茂った道を歩きながら、光はそう引っくり返した。俺は頭がこんがらがった。

「あの湖にまだ魚がいたんだろ? 良かったじゃん。何を悩む必要があるの」

「……うん」

 光はちょっと考えて、整理するように区切って言葉にした。

「だってさ、もし湖が、開発とかで小さくなっちゃって、お魚も住めなくなったんだったらさ。もちろん、とっても残念だけど、思い出の中の湖は大きくてきれいなままじゃない?」

 俺も考えて言葉を受け取る。

「そうだな。俺たちの見た頃の湖は大きくてきれいだったけど、その後小さくなって水も濁ってしまった。魚ももういない。でも俺たちの心の中の美しい湖は決して色あせない……なんてな」

 ウケを狙ったはずなのに、光はくすりともせずにうなずいた。ああ、スベっちゃった。

「でも……小さい池にお魚がちゃんと住んでたってことは。実はもともとあの湖は大きくもきれいでもなくって、単に私たちが子供だったからそんな風に見えただけかも」

 俺は首を傾げて情報を処理した。

「ええと、それはつまり、全然あの湖というか池は変わってなくて。もともと小さくてしょぼかったのを、俺たちが美化してたってこと?」

 光は重々しくうなずいた。

「うん」

「そんなことないんじゃないか? 大きさはともかく、水質はさ」

「でも、濁った池にもお魚はいたんだよ?」

「い、いや、意外と魚もタフでさ……」

 う、何だか光の重たい表情を見てたら、自信がなくなってきた……

「でね……湖だけじゃなくて、思い出をみんな美化してるんじゃないかって気分になってきちゃって」

「思い出を、みんな?」

「うん」

 光は俺をじっと見つめた。

「君とのこと……」

 と、光の顔に差した重い陰が一瞬で消え、ぱっと笑顔が弾けた。

「でも、君とまた会ったら、それが間違いだって分かった。だって、全然変わってないんだもん。昔のまんま、思い出のまんまでさ」

 光は視線で俺を指した。むう。嬉しいのは分かるけど……

「光、またそれかよー。お約束だなあ」

「えへへ。だって本当のことだもん。あ、こっちこっち」

 光が俺の手を引っ張った。な、何だか照れるな。ごまかそう。

「ま、まあ、美化してたにしても、元が俺じゃあ、対して美しくもならないだろ」

「えーっ。またそんなこと言ってー」

「いやいや。間違っても、あのほら誰だっけ、『沈没船恋物語』の主演の俳優。あんな美形に修正はできないだろ」

 光はじっと俺を見てから、爆笑した。

「アハハハ! そうだね。君は絶対あんな風にはならないね。うん、ならないならない」

 う。自分で言ったものの、こうまで断言されるとなあ……

「光〜。もうちょっと何かこう、ソフトな言い方ない?」

「アハハハ、絶対美形俳優にはならないよー」

 ……何だか光、妙に嬉しそうだな。

「おい、光〜」

「……ならないから、いいんだよ?」

 え?

「光、今、何か言った?」

「う、ううん。ほ、ほら、見てここ」

 光が手を上に向けてぐるっと回した。俺はそれに合わせてあたりを見渡す。

「……ここ、あれか。あの林」

「うん」

 なるほど。中学時代の水無月さんが言ったらしいけど、確かに木漏れ日がきれいだ。

「どうしてこんな癒し系の場所が怖かったんだろうな、光は」

 俺が言うと、光は即座に反応した。

「『光は』?」

 不満そうな顔でこちらを指さす。

「光は」

「『光は』?」

 光の指は微動だにしない。俺は根負けして、頭から言い直した。

「どうしてこんな癒し系の場所が怖かったんだろうな、俺たちは」

 光はうんうんっ、と満足げにうなずいて笑った。

「君の脚が、がくがく震えてたの憶えてるよ!」

「あれはだなあ、変な物音がしたから……」

 余りにも絶妙すぎるタイミングだった。かさかさ、と葉の揺れる音が俺たちの耳に届いた。

「!」

「もしかして!」

 光は周りを見渡す。俺も見渡して……

「あ」

 何か小さい影が木の間を走ってるような。

「あっちだ!」

 俺の視線を追った光はロケットのような加速で飛び出した。

「って、おい、光!」

 俺も後を追った。……小さい頃との違いは、脚の鍛え方の差だ。

 俺が林の外にやっとの思いで出ると、光は苦笑いで待っていた。

「残念。また逃げられちゃった」

 俺は膝に手を当て、地面に向かって言葉を荒く吐いた。

「はあ、はあ、そうか、ぜえ、ぜえ。はあ、はあ……」

 俺の無様な姿を見て、光は笑いから苦みを消して爆発させた。

「アハハハ、もう。運動不足なんじゃない?」

 笑いながら光は俺の背中をぽんぽんと叩く。うう。

「はあ、はあ、面目ない……」

 ん? 背中のぽんぽん、が止まったぞ。

「ぜえ、ぜえ、ど、どうした、はあ、はあ、ひ、光?」

「……あれ」

 俺は顔を上げ、光の見ている方向を見た。

「あ」

 大きな湖、だった。水も記憶にある通り、きらきらしている。

「行ってみよう!」

 光に引っ張られ、俺も湖の近くに寄った。

「うーん」

 光は腕組みしてうなっている。俺は湖面に顔を映してみた。

「おっかしいなあ……中学のときは確かにちっちゃくなってて……」

 隣に光の顔が映った。うーむ。光が嘘をつくとも思えないけどなあ。

「水も……あっ」

 小さな銀色の魚が何匹も連なって、水草の方に泳いでいった。はっきり見える。

「……」

「ほ、ホントだよ?」

 光が慌てたように言う。ちょっと意地悪を言うのも捨てがたいけど……やめとこう。

「分かってるって。光はそんな嘘つかないもんな」

「あ、ありがとう……えへ」

 湖面の光の像が照れ笑いを浮かべる。

「でも、そうすると何で俺たちが子供の頃みたいになったんだろう?」

「うーん……」

 湖面の光が眉をちょっとしかめてから、頬を染めた。

「君と一緒に見に来たからかな……」

「お、おいおい、光」

 恥ずかしいやら何やら。俺は湖の中から、本物の光の方に視線を移した。うん、やっぱり、本物の方が可愛いな……じゃ、ない。その向こうに見える看板は何だ?

「光、あそこに何か看板が立ってるよ」

「え? ホントだ」

 俺たちはその、二十メートルくらい先にある、小さな銀色の看板のところに行ってみた。

「ええっと、『ここは環境復元・保全モデル地域です。ゴミ・廃水などの除去、また開発計画の見直しなどを通して、三十年前の水準を取り戻すことを目標にしています。ご理解とご協力をお願いいたします。 ひびきの市』だって」

 光が読み上げた内容を聞いて俺はうなずいた。

「なるほど、そういうわけか。で、とりあえず俺たちが子供の頃の水準ぐらいには戻ったのかな」

「うん。すてきな計画だね!」

 光は笑顔だ。よし、茶化そう。

「そうだな。別に俺と来なくても湖は戻ってたわけだし」

 光は一転、不満そうな表情になった。

「もう、なんでそういうこと言うのかな?」

「いや、光があんまりメルヘンチックなこと言うからさ。つい」

 光は首を横に振った。

「君がもし、ひびきのに帰ってこなかったら、私、ここに来てないもん。来なかったら、戻った湖のこともこの計画のことも分からないから、湖が元に戻ってないのと同じだよ」

 ぼ、暴論だ。

「む、無茶苦茶言うなよ」

「無茶苦茶じゃないもん」

 うわ、デジャヴだ! あのふくれっ面。

「光、今、子供の頃そっくりだったぞ」

 光はぽっと頬を染めた。

「う、うん。自分でもそんな気がしたんだ……」

 光の視線がくるくるとさまよう。俺は笑ってしまった。

「ははは。湖と一緒に光もあの頃に戻ったんじゃないか?」

 さまよっていた視線が俺のところでぴたっと止まった。

「えへへ……うん。これは、間違いなく君と一緒に来たからだよ!」

「だな」

 俺と光はまた湖に近づき、湖面に姿を映してみた。

「……映画なんかだとさ、ここで水面が揺れて、湖に映った二人が子供の姿に戻ったりするよね」

 光が楽しげに言う。俺はうなずいた。

「色々あって、感動のラストシーン、ってとこで出てきそうだ」

「アハハ、そうだね。水、揺れないかなあ」

 光の瞳があまりにきらきらと輝いているので、俺は何だか期待に応えたくなった。近くの小石を拾う。

「揺らしてみよう」

 俺は軽く小石を湖に投げ込んだ。波紋が水面に広がる……

「アハハ、もう……」

 笑う光と隣の俺の像は乱れたが、当然だけど、子供の頃には戻らない。

「ううむ、感動のラストシーンならず……か……って……」

 乱れた水面の光が、俺の頬にそっと唇を寄せていた。熱い、吐息。

 波紋が妙にゆっくりと解け、静かな湖が戻る。それに合わせて、光も元の立ち位置に戻っていた。

「……光」

 俺が呆然としながらつぶやくと、光は頬を赤くしたままそっぽを向いた。

「……な、なったかなあ? 感動のラストシーン?」

 俺は光の唇が触れた辺りに手を当てて答えた。

「なってないな」

「えーっ……」

 光はぐりっとこっちを向いた。その不満げな顔を見て、俺は笑う。

「感動はしたけど、まだ光との映画、続けたいから。『ラストシーン』じゃない」

 光は一瞬きょとんとしてから、笑顔に戻った。

「も、もう……じゃあ、パート2を作ろうよ」

「うーん。でも、続篇って、失敗が多いからなあ……」

 俺が斜に構えると、光は強引にそれを真っ直ぐにした。

「平気だよ。君となら私、続篇も傑作に出来るよ。パート10でも100でも」

「お正月の定番になるんだな」

 俺が言うと光はぷっと吹き出してから、首を横に振った。

「ずっとずっと、毎日毎日の定番になるんだよ」

 本物と同時に、楽しそうにくるっと回った湖面の光を、魚の群れが揺らしていく。

 ……今度は俺が「感動のラストシーン」を演出してみようかな?

 

説明
2007年の光ちゃん誕生日記念でサイトに載せた作品。
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