真・恋姫†無双 たった一つの望み プロローグ
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物心ついた時には施設にいた

眩しい光に照らされて、白衣を着せられて様々な実験に協力する

協力といえば聞こえは良いが、実際は強制に他ならない

彼らから感じるのは好奇と畏怖、時折羨むような蔑むような視線も混じる

 

つまるところ、あの頃のオレは実験材料以外のなにものでもなかったのだ・・・

 

運動筋力、知能指数、神経反応速度測定不能

あらゆる面で規格外、どれだけ調べても底はみえず測定範囲を超える能力を示す『人形』

望まれず授かったその力は、研究者にとっては最高の材料だったことだろう

人も建物も何もかも、薄紙のように粉砕できるその力

機械の動きは単純で、人の動きは遅く、何もかもが脆いと感じる

体はあまりにも頑丈で、傷をつけるのすら難しく、その傷ですらあっという間に治癒してしまう

 

施設はどこかの国の研究施設だった

様々な才能あふれる子供たちを集めて研究する超法規的な施設

そんな中でもオレは特殊過ぎた

集められた中でも"落ちこぼれ組"がわずかに憧れて近づく程度で、残りは激しい敵意の視線を向けてくる

憧憬も憎悪も欲しくなかった、その源である力は疎ましいものでしかない

 

いつしか自分の体が嫌いになっていったオレは、この力を利用しようとするあらゆる研究に進んで協力した

けれど、一切は無駄に終わった・・・

細胞を移植してもクローンを作り出しても、それは普通の人間とかわりなく、オレだけにそれが現れる

 

――なぜ?

――どうして?

 

そんな疑問に答えてくれる者は現れない・・・

 

自問自答してもわからない・・・・・

 

誰一人として、自分の見る世界を知ることはできない!

 

何一つ、思いを共有することはできない!!

 

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それから何年か経って・・・

 

今は特殊部隊に所属している

 

あれからしばらく経って研究所が出した結論は、現在での解析は不可能

現時点での最高峰の技術力をもってしても解明できない力

その有効活用方法は、力を持ったオレ自身を武器として使うという単純な結論だったらしい

 

処遇が決まってからは早かった

若い兵隊に混じって他者から力を隠すように訓練を受けさせられた

力を隠すのには苦労した、下手をすれば機材を壊すし、人が相手なら大怪我を追う

なにより、力がバレれば碌な事にならないのは今までの経験からも明らかだった

隠す手段として有効だったのが合気道で、これの達人だという事にして過ごした

実際は合気道なんて基礎の部分を訓練でやっただけだが

人の動きがスローに見えるオレにとって相手の動きと力の流れを利用する事はそんなに難しくなかった

 

訓練が終わってから配属されたのは存在しないことになっている特殊部隊

特殊部隊の任務の多くは国にとって公にしたくない事の処理

早い話が汚い仕事の実行部隊に他ならない

集められた人員もワケありか、オレみたいな"特殊な事情"を抱える奴ら

 

「今日の任務はテロリストの基地を極秘裏に処理する事だ」

「いつもと変わらず殲滅・・・で良いんですか?」

 

部隊長の説明を聞き流しながら、すっかり癖になってしまった装備の確認をする

 

「おい、北郷聞いているのか?」

 

さすがに聞き流しているのがわかったのか、隊長から軽く警告をもらう

 

「聞いてますよ、隊長

 ようするに目についた者全て殺せばいいんでしょ?」

 

どうせやる事が変わらないのだから説明なんて聞くだけ無駄だ

最初のうちはこんなことはしたくないと、あまり積極的に動かなかった

だけど結局は一人殺し、二人殺し・・・と回数を重ねていけば命の重さなんて感じなくなった

人は平等ではない、それを知ったのも随分昔の事だ・・・

 

「お前に何かあるとは思っていない、なにせ人間じゃないんだからな

 だが他の隊員はそうはいかない、だからこその作戦の説明だ

 お前も私の部隊に所属している以上は指示を聞いてもらう」

 

ズキリと胸が痛んだ気がした、未だに慣れていないのかと心のどこかで笑い声がする

まだ人の気分でいたのかと、まだ諦めていなかったのかと・・・

自分だけ白く目立つ特注の隊員服、人間ではなく死とは程遠いオレを囮として使うための特別措置

 

「ッ・・・了解しました」

 

なんでもないフリをしてぶっきらぼうに返す

 

――どこに行ってもそうだった

――研究所で人形(ヒトガタ)と言われたように

――誰からもヒトだと見ては貰えない

――"オマエ"は"ヒト"じゃない

 

ならばオレは・・・いったい何だというんだッッ!!!

 

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山の中で雨に打たれながら思う

やった事はいつもと変わらない

山間部に作られたテロリストの基地を襲い、中にいた人を全員殺した

言葉にすればたったそれだけのこと

だが、人を殺すという事は本来とても重く、裁かれるべき罪とされていること

 

なのに、どうしてこんなに軽く感じているのか・・・

 

人は脆く、小さく、儚い・・・

 

ヒトじゃない自分にとっては・・・―――

 

――今日も人の命を奪った

――明日もきっと人の命を奪うだろう

――その先もきっと"いつも通り"・・・

 

「ァァあぁぁアぁぁあぁぁァァァああアああアアああアあアアアアアあああアッッッ」

 

左手で目の前にあった車を感情のまま殴りつける、それだけで頑丈なはずの車は粉砕される

全身を包む白い服には傷一つなく、人を殺したのに返り血もない

何人殺したのかも覚えていないが、それでも数十人は殺したはずだ

右手の持ったナイフだけが紅く染まり、雨に流され紅い雫が落ちていく

 

握り締めた右手に感覚はなく、目の前が真っ白になったような感覚に身を委ねながら思った

 

どうしたらオレは人になれる・・・

なにをすれば人と認められる・・・

 

オレは、オレは人になりたいッ!!!

 

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それだけが・・・オレのたった一つの望み

 

 

 

説明
真・恋姫†無双の二次創作をなんとなく書きたくなったので投稿してみました
続きを書くかは不明です
単純に北郷一刀がこんな境遇だったらどうなるのかなーと思って書いてみました
小説を書くこと自体初ですし見れたものじゃないような気も・・・
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コメント
かなり歪んでしまっているようですが・・・さて?(深緑)
こいつに勝てる奴いるのか?(zendoukou)
一刀、仲間居なくても三国統一出来るんじゃね?(中原)
初めからステータスがリミットブレイクしてますね…。恋とどっちが強いかな。(FALANDIA)
タグ
真・恋姫†無双 北郷一刀 

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