見回り
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 ――学園祭――

 生徒達が各々色んな出し物を企画し、準備、出店するお祭り。

 ある程度の秩序や常識は守られてはいるが、

 逸脱した行為をとる生徒は多少なりと出てくるものだ。

 だからそれを見回り、監督する人間が必要なのである。

 それは準備の段階だけではなく、もちろん学園祭当日も同じである。

 ……同じなんだけど――

 

「いや〜どこのお店も美味しい物を出してるね〜♪」

「少しは真面目に働けよ!」

 学園祭の見回りをしないといけないのに、さっきから食べ物を食べてばかりだ。

「いいじゃない。せっかくの学園祭なんだし」

「よくねぇよ! てか、その学園祭で余計な事が起きないように見回るのが、俺達の仕事だろうが」

 お祭り気分でテンションのあがったバカを取り締まるのが俺達の仕事なのである。

「仕事、仕事って……せっかく可愛い女の子と一緒に居るっていうのに、仕事をする事しか……んぐ、

興味が……ごく、ないのかしらね」

「食う事にしか興味のなさげなお前には言われたくはないな」

 さっきから、どれだけの量を口にしてると思ってるんだ?

 食べている量が尋常ではないくらいにおかしいぞ。

 軽く奴の体積を越えているような気がする。

 その食べた物は一体何処に収まっているんだろうな?

「あのね。私にだって食べる事以外に興味はあるわよ?」

「何で疑問系なんだよ」

「食べ物が美味しいからじゃない?」

 だから聞かれても分からねぇよ。

「そ、それに、食べ物を食べるついでにお店の状況をチェックしてるんだから、仕事はちゃんとこなして

るのよ。うん、間違いなくこなしてるわ」

 自分に言い聞かせるように言うんじゃねぇよ。

 

「あっ。ねぇ、あそこのお店の食べ物、美味しいそうじゃない?」

「そうだな。美味しそうだな」

 学園祭の定番なのかは分からないが、よくある店の一つで焼きそばを作っているようだ。

「だよね! すっごく美味しそうだよね!」

「…………もしかして、俺に奢れと言いたいのか?」

「う……っ。だ、だって……もうお金が……」

「マジかよ……」

 どんだけ食べ物に金を使ってるんだよ。

 いくら持ってきたかは知らないが、そんなにすぐになくなるものなのか?

 いや、あの食べっぷりを考えれば妥当なんだろうな。

「た、食べたいな……」

 あ〜もうっ! そんな顔で俺を見るな!

「分かったよ。奢ってやるから、そんな顔をするな!」

「ほ、ほんと!?」

「ああ。その代わりちゃんと見回りしろよ」

「うん! ありがと♪」

 

 はぁ……どんだけ俺はアイツに甘いんだろうね。

 まぁ、これでちゃんと働いてくれればいいんだけど……

 

「すみませーん。メニューの端から端まで、全部くださーい♪」

「…………」

 無理だ。コイツ絶対に働く気がねぇ。

 つーか、俺の財布の中の金がヤバイ。

 一瞬にしてアイツに食い破られてしまう。

 それだけは阻止しなくては。

 

「えへへっ♪ 学園祭は楽しいね♪」

「……は」 

 もう今日は諦めるしかないな。

 明日からバイトを探そう。

 

 ……別に悔しくなんかないならな。

 

説明
参加してみました学園祭。
でもリアルの方では実は参加した記憶がない。
ああ、悲しいな。
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