真・恋姫†無双 記憶の旅 2 |
貂蝉が本当に必要なもの以外は持たないほうがいいと言っていたので数着の替えの服と水筒などの命に関わるものだけを用意した。
次は武器だな。
俺はひたすら強さを求めていたから必ず必要になるだろう。
部屋には木刀があるが木刀だけでは旅の相棒には不十分だな。
爺ちゃんには悪いが道場の日本刀を持って行こう。
道場の扉をこっそり開けると昇りかけた日に照らされた一振りの日本刀が飾られていた。
そういえば今まで一度も触らせてもらったことなかったな。
日本刀に持とうとすると
「こんな時間に何をやっとる?」
しまった・・・・見つかってしまった。
どうしよう、なんて言い訳しようか。
「ふん、いいわ。 持ってゆけ」
「え!?」
「何を驚いておる。持ってゆけと言ったのじゃ」
「でもなんで・・・・・」
「老いぼれは覚悟を決めた目に弱いんじゃよ。・・・ようやっと自分の行き先がわかったみたいじゃな」
「・・・・・うん」
「ならさっさと行け! 儂の気が変わらんうちにな」
「ありがとう! 爺ちゃん!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・・まったく夜明け頃なのに声音を弱めんから老いぼれの耳にもよう響いとったわい。
正直馬鹿げた話ではあったがまああの馬鹿孫が後悔せんならそれでよいか。
プルルルルル、プルルルルルル・・・・・・・ガチャッ
「なんやカズピー・・・・・こんな時間に電話なんて」
及川の寝ぼけた声が聞こえる。
「いやー、なんか及川の声が急に聞きたくなってさ・・・・・・」
「なんやそれ、ハッ!?もしかして俺のケツを狙っとるんか!?」
「アホか!俺はノーマルだ!」
「冗談やって。 で、本当にどうしたん?」
「・・・・・いや、もういいや。お前の声聞いてたら元気出てきた」
「ふふん、当たり前やろ。 女を口説き落とすこの美声にかかればカズピーの一人や二人ちチョチョイのチョイや!」
「はは、そうだな。 じゃあもう切るな」
「おう、またなーカズピー」
「・・・・・・・・・ありがとうな、及川」
ブチッ、ツーツー・・・・・・・・
「もう次はないんだけどな・・・・・・。別れもロクに言えない悪友でゴメンな」
及川には感謝しきれない。
神隠しにあった時も一番に心配してくれた。
剣術と勉強ばかりで俺からどんどん人が離れていった時もいつも隣にいてくれた。
悪乗りが過ぎるのが玉にキズだけど、本当にいい奴だったよ。
「そうだ、もう一つ持って行く物があるな」
引き出しの中のアルバムを捲っていくと・・・・・・・あった。
卒業式の写真だ。
制服姿の及川と俺が写っている写真。
俺は一年近く行方不明だったのが原因で及川より一年遅くの卒業だったけど及川が卒業式の時に
わざわざ聖フランチェスカの制服を着て来てくれたんだよな。
涙が流しそうになるが流さない。まだ俺は何もやっちゃいないんだ。
しばらく部屋で待っていると貂蝉が戻ってきた。
「準備が出来たみたいね」
「ああ」
「じゃあ行く前に私からも贈り物があるわ」
そう言って出されたのは聖フランチェスカの制服だった。
「これはご主人様の象徴なの。この服無しにご主人様は語れないわ。全てが終わった後に袖を通して頂戴」
「これ、どうしたんだ?」
「それは漢女のヒ・ミ・ツ・よ♪」
だからクネクネするな。気持ち悪い。
「じゃあ行くわよ、ご主人様」
「そういえばさ、何で俺ご主人様って呼ばれてるんだ?」
そう言うと貂蝉は何処か遠い場所を見つめて
「それも漢女の秘密よ。 とってもとっても大事なメモリアルなのよ」
その横顔を見ているとこれ以上追求してはいけないと思った。
「さあ湿っぽい話はこれでお終いよ!これからご主人様にはたくさんの困難があるかもしれない。
だけどその先にはご主人様にとって一番の幸福が待っているんだからねぃ!」
その言葉と同時にあたりが白く輝き始めた。
さあ、再び外史の扉は開かれる・・・・・・。
だけど今度は筋書きは無しよ!
説明 | ||
真・恋姫†無双 記憶の旅 その2です 今回もまだ導入編になります。 |
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コメント | ||
爺ちゃんや及川、こちらの世界にもかけがえのない人はいる。喩え一欠けらでも忘れずに心に秘めておくことがこれからの支えや力となるんでしょうね。(深緑) 及川に対しての認識が変わった;;(りゅうじ) これは期待せざるおえない(BX2) さぁこっからは外史の世界、どんな物語になるか楽しみです。(中原) 期待大です!更新がんばってください(イタズラ小僧) |
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