真・恋姫無双 刀香譚 〜双天王記〜 拠点・華雄、魏延を鍛えんとし、魏延、〇〇を授かるのこと。
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 「おりゃあー!!」

 

 「まだまだ!踏み込みが甘いと言っている!!」

 

 成都城内の練武場にて、魏延は華雄からの激しい特訓を受けていた。

 

 その内容は、体術や武術はもちろんのことだが、精神修養もそこに含まれていた。

 

 「よーし!今日の武術訓練はここまで!大分良くなってきたぞ、焔耶」

 

 「は、はい!ありがとうございます!」

 

 片ひざを突き、肩で息をしながら、華雄に対して素直に礼をする魏延。

 

 「さて、昼飯を済ませたら今度はいつものところに行くぞ」

 

 「う。……あの、蒼華さま。本当にあれが、精神修養になるんでしょうか?」

 

 おずおずと、華雄に問いかける魏延。

 

 「なんだ、まだ信じられないのか?」

 

 「……はい」

 

 「気持ちは分からんでもないがな。だが、今のお前の短気具合を治すには、”あれ”が最も効果的なんだ。……昔、私がやったようにな」

 

 くすり、と。すでに普段着としても定着した巫女服姿で、魏延に微笑む華雄。

 

 「蒼華さまも、”あれ”をされたんですか?」

 

 「ああ。まあ、”あれ”の発案は一刀なんだがな。最初に聞いたときには、何の冗談かとおもったが、やって良かったと、今は本気で思ってるぞ」

 

 それは幽州で公孫賛の手伝いをしていたころ。一人暴走してみなに迷惑をかけたあの後、当時、琢県の県令をしていた一刀から、精神面の修行になるとして、華雄はある方法を提示された。

 

 その方法とは、

 

 

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 「いらっしゃいませー!」

 

 成都の街中にある一軒の飯店。その店内で、黒地に黄色い縁取りを施した、体の線がはっきりと出る服、――いわゆるチャイナ服を身に纏い、(ひきつった)笑顔で客を出迎える魏延の姿があった。

 

 「こら焔耶!もっと心の底からの笑顔を作らないか!」

 

 「で、ですが、蒼華さま」

 

 「口応え無用!ほら!お客さんが待ってるぞ!早く注文を取ってこないか!」

 

 「は、はい!!」

 

 魏延と同じチャイナ服(こちらは蒼地に紅い縁取り)姿の華雄が、いまだ自身の置かれた状況に納得の出来ていない魏延を、叱咤する。

 

 そう。華雄が一刀から教わった精神面の修行方法。それは、飯店などの人が多いところで、少々色っぽい格好をすることだった。

 

 どれだけ周囲から奇異の目で見られようと、恥ずかしかろうと、それを我慢することで、少々のことには動じない心を鍛え上げる。

 

 一刀の論理はそういうことであった。もっとも、ただ自分が目の保養をしたいだけと思って教えたのだろうと、後から話を聞いた劉備と関羽に、恒例の”お仕置き”を受けていたが。

 

 それはともかく、そのころの自分と魏延の姿が重なった華雄は、本人的には効果のあった(と、思っている)この方法を、魏延にもやらせたのである。

 

 「三番卓、ラーメン二丁です!」

 

 「はいよ!」

 

 そんなこんなで、チャイナ姿にて店内を駆け回る魏延。そのスリットから時折、彼女の白い脚がチラリと見える。

 

 そこに、店内中の男たちの視線が釘付けとなる。さもありなん。魏延ほどの(黙っていれば)美少女の脚が、汗をかいていることも相まって、えもいえぬ色気を醸し出しているのである。

 

 (これで萌えなきゃ、男じゃない!!)

 

 そんな叫びが聞こえてきそうな店内。

 

 (うう。恥ずかしい……)

 

 その視線に顔を真っ赤にしつつも、笑顔で仕事をこなし続ける魏延。

 

 「焔耶!五番卓、新規様三名だ!」

 

 「は、はい!」

 

 華雄の指示を受け、壁際にある卓へと駆け寄る魏延。そこに居たのは、

 

 「か、一刀さま!」

 

 「やあ、焔耶。頑張ってるね」

 

 「ふ〜ん。焔耶にしては良く似合ってるわね」

 

 「いいな〜。あたしも着てみたいなー」

 

 一刀と孟達、徐庶の三人だった。

 

 「確かに由の言うとおりだね。良く似合ってるよ焔耶。うん、とっても可愛い」

 

 「そ、そんな、可愛いだなんて……!!あの、その」

 

 一刀にほめられ、しどろもどろになる魏延。

 

 「……ちょっと焔耶。注文していいの?」

 

 「え?あ、ああ、すまない。あいや、すみませんでした。……ご注文は?」

 

 「あたし、から揚げ定食!」

 

 「私はチャーハン」

 

 「俺はラーメンと餃子で」

 

 「はい。から揚げ定食とチャーハン、ラーメンに餃子ですね?少々お待ちください」

 

 聞き取った注文を手の中の紙にさらさらと書き、深々とお辞儀をして厨房へと向かう魏延。

 

 その後ろ姿(主にお尻の部分)を見ながら、なぜかうんうんと頷く一刀。

 

 「……一刀さま?鼻の下が思いっきり伸びてますよ?」

 

 「カズくんの助平」

 

 「あ、いや、その」

 

 孟達と徐庶から白い目を向けられ、縮こまる一刀であった。

 

 

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 そしてその翌日、今度は別の店で。

 

 「お帰りなさいませ〜、ご主人様!」

 

 メイド姿で、深々とお辞儀をする魏延の姿がそこにあった(なぜそんな服があるのかは、深く突っ込まないように)。

 

 「か、可愛い……」

 

 昨日と同じく、その店にやって来ていた一刀が、果てしなくだらしない顔でつぶやく。

 

 「……おい、一刀。私もここに居るんだけどな?」

 

 「あ、いや、蒼華だってもちろん可愛いよ!うん、すっごく綺麗だ」

 

 「そ、そうか?あはは、なんだか照れるな」

 

 魏延と同じメイド姿の華雄が、だらしない顔で魏延を見る一刀を睨むが、その一言ですぐに顔を真っ赤にしてモジモジとする。

 

 (こ、ここはこの世の桃源郷や〜!!)

 

 …………お見せできないのが本当に残念です。

 

 

 朝は武術の訓練、昼からは、街中での精神修養。

 

 そんな、修行(?)の日々が、何日か続いたある日の夜。

 

 「そ、蒼華さま。本当にやるんですか?」

 

 「当たり前だ。これが最後の修行だと思え。これを乗り越えずして、免許皆伝は無いぞ?」

 

 「……これも、一刀さまの発案ですか?」

 

 「そんなわけ無いだろ?これは私独自のものだ。女なら、これ以上の精神修養は無い。ほら、覚悟を決めろ」

 

 「は、はい」

 

 二人が立っているのは風呂場の前。そして中には、ある人物が入っていた。

 

 がらがらがら、と。

 

 風呂場の扉を開け放ち、中へと入っていく二人。すると、

 

 「うわわわわっ!!ふ、二人とも何してんだよ!?ここ、風呂だぞ?!そ、それもそんな格好で!!」

 

 中でゆったりと湯に浸かっていた一刀は、突然の闖入者に驚き、慌てて湯船の中でその闖入者、華雄と魏延に背を向けた。

 

 「なにって。背中を流しに来たに決まってるだろ?」

 

 「えと、その、ど、どうかご遠慮なさらないでください!」

 

 白と紺、それぞれの色のスクール水着(胸に名前の刺繍入り)を来た華雄と魏延が、一刀を湯船から引っ張り出そうと、ザバザバとそのそばへ近づく。

 

 「ちょ、ちょい待った!気持ちは嬉しいけど、こんなところをもし、桃香や愛紗に見られでもしたら……!!」

 

 「大丈夫さ。あの二人なら、もう休んでる」

 

 「は、はい。就寝は確認しております」

 

 「そ、そう?なら、まあ、お言葉に甘え」

 

 そこまで言って、ピシッ、と固まる一刀。

 

 「?どうした一刀?」

 

 「一刀さま?」

 

 「あ、あ、あ」

 

 『??』

 

 どんどん青ざめていく一刀の視線を追い、くる〜り、と。後ろを振り向く華雄と魏延。そこには、

 

 

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 「誰に何を見られたら困るのかな?」

 

 「きちんと説明をしていただきたいですね、義兄上」

 

 『!!!!!!!!!』

 

 ずごごごご、と。

 

 そんな効果音が聞こえてきそうな表情で、仁王立ちの劉備と関羽が、いつの間にやらそこに居た。

 

 「ふ、ふたりとも、寝ていたんじゃなかったのか?」

 

 「……お風呂場に忘れ物をしたのを思い出してね、取りに来たの」

 

 「……私はまだ寝ていないぞ?これから部屋に戻るつもりだったのだが」

 

 『…………』

 

 だらだらと。蛇に睨まれた蛙のごとく、いやな汗をかき始める一刀、華雄、魏延の三人。

 

 「で、私たちに内緒で何をしようとしていたのかな?蒼華サン、焔耶チャン?」

 

 「……義兄ウエも、随分、オタノシソウデスネ?」

 

 「と、桃香さま、これはその、ですね」

 

 「そ、そう。焔耶の修行のためなんだ!な?!一刀!!」

 

 「い?!お、俺は何もして」

 

 『……フ〜ン。修行、デスカ』

 

 「そ、そうなんだ!だから、ここはひとつ穏便に」

 

 『……スマストオモウ?』

 

 にっこり。

 

 『あ……(オワタ……)』

 

 

 その夜。

 

 城内に突然響いた悲鳴は、とてもこの世のものとは思えなかった、と。人々は口をそろえて言ったと言う。

 

 ちなみに、その翌日朝議に出てきた一刀は、相当なやつれ方だったという。

 

 合掌(チーン)。

 

 

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 <あとがき>

 

 「さて、みなさん。今回の拠点はいかがだったでしょうか?」

 

 「今回のは完全に作者の趣味やな。チャイナ服にメイドさん、とどめはスク水」

 

 「まにあっくだね〜。さすが変態」

 

 「ほんまほんま」

 

 「・・・え?その作者ですか?・・・由さん、御存知ですか?」

 

 「さあ?どっかの海の底で、お魚と戯れてんのとちゃう?」

 

 

 「さて、次回の拠点ですが」

 

 「あ、まだ拠点なんや。え〜と、桔梗&朔耶、もしくは翠・蒲公英のどちらか、か」

 

 「とりあえず、拠点はその二つまでのようね」

 

 「それが終わったら、いよいよ最終決戦に向かうことになるんやね」

 

 「そのようね。・・・あら?」

 

 「ん?なに?」

 

 「あ、いえ。作者が何か・・・・・・。え?!」

 

 「ど、どったん?!」

 

 「由さん、この本・・・・・・」

 

 「こ、これって、もしかして、学園さ」

 

 「ストーップ!!・・・これが本当なら、はやく作者を引き上げないと」

 

 「せやな。・・・ほな皆さん、また次回にて、お会いしまひょ」

 

 「コメント等、たくさんお待ちしてますね」

 

 

 『それでは、再見〜!』

 

 

説明
はい、ようやくの投稿です。

刀香譚、最終拠点シリーズの第三弾です。

今回はタイトルどおり、蒼華と焔耶のお話です。

それでは、

輝里「作者、ちょっと話があるんですが?」

由「ちょお〜っと、向こうに逝こうか?」

え、なに?ちょっと、二人とも目が怖いって!待って、引っ張らないで!!

輝里「では、作者は連れて逝きますね?」

由「皆さんはお話のほうをどうぞ〜」

そ、それではまた後ほ、むぐっ!

輝里・由「いーからとっとと来なさい!」
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コメント
嫉妬した二人の瘴気をまともに浴びせられたらそりゃ鍛えられるはな(マテ 蒼華と焔耶の着せ替え、大変堪能できました!w(深緑)
焔耶かわいいな(VVV計画の被験者)
東方武神さま、一刀もそれがわかっているから、抵抗しないんですよ♪(狭乃 狼)
U_1さま、多分無いでしょうww(狭乃 狼)
よーぜふさま、輝里と由はこの外史ではあくまでその他大勢。だから最後までニヤニヤは無いです。蒼華と焔耶の絵、私に画才があればお見せできるんですがorz(狭乃 狼)
hokuhinさま、良くぞお分かりでww(狭乃 狼)
嫉妬も所謂一つの愛情表現。やはりこの二人は一刀のことをとても大切にしていますね♪羨ましい・・・(東方武神)
彼に、太陽がキチンと見える日は来るのでしょうか?(U_1)
輝里と由さん・・・どんまいw はやくふたりでにやにやみてみたいなぁ・・・しばらくはこのままっぽいですがw そして結局こうなるんですねwおもしろいですが行き過ぎは大変ですね・・・べ、べつに焔耶さんと蒼華さんみれて嫉妬なんてしてませんからね!?(よーぜふ)
なるほど、最後に桃香と愛紗の負の気を浴びて精神と防御力を鍛えたのかw(hokuhin)
KU−さま、自分も正直、それが不安で最後まで(一刀の種馬化)を悩みました。ですが、少なくとも一刀の方から積極的にいったのは、桃香と愛紗だけです。後は襲われてるだけですwそれと、女性に弱いフェミニストなのは、それこそ一刀の最大の特徴だと、自分は思っております。あくまで、私自身の考えですけど。(狭乃 狼)
砂のお城さま、無理でしょうね^^。(狭乃 狼)
桃香と愛紗は一線を越えてから遠慮が無いな。拠点シリーズだから仕方がないかも知れませんが、このオチで締められるとこの作品の良さがなくなってしまうように感じます。一刀がこの時代の人という魅力が結局種馬扱いや女に弱いフェミニストって感じで興醒め感があります。個人的意見ですが。(KU−)
ZEROさま、徹底的に絞られても、再びすぐに復活します。何故って?種馬だからです^^。(狭乃 狼)
二人のお仕置きに遠慮がなくなって、やつれるとは種馬も大変ですね。(ZERO&ファルサ)
紫電さま、トントンしましょーか?あと、次回ではなくて、次々回で最後ですので。あ、最後のですか?あれはまあ、その、TINAMIのコンテストのことです。いつ書くかは未定ですが^^。(狭乃 狼)
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