シークエンス 〜Allo Ability Slayer〜 第1話
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「お呼びでしょうか?」

 

跪いている男が顔を上げその上に居る者を見る。

 

「…現状報告をしろ」

 

玉座に座った男が言葉を発する。

 

 

「及ばずながら私から」

 

 

王の横に控えていた男が影から現れる。

 

「まず勢力比でございますが10を全てとするならば我々ギュルッペン帝国が4.5。間に挟まるザンティーン共和国が2。そしてあちらのヤーデ王国が3。残りはどこにも属さずといったところです。

現在我らの領地はザンティーン、ヤーデを取り囲むように領土を広げ、帝都ギュルッペンより南南東のティアマト高原にて会戦中でございます」

 

 

「ふむ。いけそうか?」

 

「ヤーデの抵抗も激しく一筋縄にいきませぬといったところです。ザンティーンとも隣接していますが、今だ中立を決め込んでいる様子。勝てはせぬとも負けはしません」

 

 

「報告ご苦労。…で、お前はここでなにをしているのだ?」

 

改めて跪いた男に問いかける。

 

「お前達がここに居る意味、わかっておろうな?拾い、面倒を見てやっているのだからそれなりの報いを持って余に貢献せよ。お前達の能力を評価して連れてきてやったのだぞ?」

 

「まぁ研究の材料としては申し分ないのですが…それだけでは宝の持ち腐れでしょう?恩に報いるため文字通り粉骨砕身して励むべきではないのですか?それとも、そんなもの知ったところか……といったところなのですかねぇ?」

 

脇に居た男も嫌味を含ませた言葉を投げかける。

 

「は。数々の叱責痛み入ります。我らが王の言葉、もちろん重々承知しております。しかし何事も準備というものが必要でして。必ずや良い結果をもたらしますゆえ今しばらくお待ちください」

 

男は丁寧に謝罪の言葉を述べ頭(こうべ)を垂れる。

 

「ふん、口ではなんとでも言えるがな。……さっさとその準備とやらに戻るが良い。だが、余にも我慢の限界というものあるのを忘れるなよ?」

 

「はっ。失礼します」

 

男が出ていったのを確認すると王は横の者に言った。

 

「例の研究はどうなのだ?余に力が必要なのは確かだ。がしかし、飼い犬に手を噛まれるような愚の骨頂、余が犯すなどたまったものではない」

 

「一応……成功はしています。しかし…」

 

 

 

その後も二言三言言葉を交わす。

 

「ふむ、そうか… よい、下がれ」

 

王は傍にいた男を下がらせる。

 

「…自分の利益しか考えぬ下らんザンディーンも、全てにおいてぬるいヤーデも。全て、そう全て余が手に入れるのだ。そのほうが良いに決まっている…」

 

そう一人呟くと彼も自分の部屋に戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

二人を後にして男は玉座の間から出た。

 

コツコツと歩く音が辺りに響く。

 

「下らん、下らんなギュルッペン王」

 

「……リーガル様、ご報告が」

 

リーガルと呼ばれた男の傍らに女が音もなく出現した。

 

「聞こう」

 

「は、「救世主」についてのことです。リーガル様が思っておられたとおりのようでございます。

そして先ほどここから東の方角トッドの村の近くで力の歪みを捉えました。恐らく…現れるかと」

 

「意外と早かったな。まぁいい、アングリフを向かわせろ。ただし、殺さないようにとな」

 

「は、では今すぐ」

 

そういうと女は来た時と同様消えた。

 

「ふ、ふふ、ここから始まるのだ。全てがな」

 

男は口を少し歪ませるとこれからが楽しみでしょうがないといったように笑っていた。

 

 

 

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「ん、どしたの?おにぃ〜ちゃんっ!! はやくしよっ?」

 

俺こと厨川 要(くりやがわ かなめ) は今、非常に困っている。

 

なぜならば…

 

「わたしおかあさんやくでぇ〜、おにぃちゃんはねぇ……」

 

いい歳になっておままごとなんて出来るかよ!!

 

こんなことに至った経緯をを説明すると…話は遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

去年の春。俺は大学に通うため上京してきた。

 

最初の1年間は環境が変わり慣れるのに時間がかかった。

 

バイトを始めたり新しい友達を作ったりなんだりと忙しかった。

 

そんなこんなで1年は簡単に過ぎていった。

 

実に平凡である。そして今年の夏。やはり暑い。

 

温暖化せいなのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

 

実のところどちらでもいい。ただ今問題なのは俺が暑いということだ。

 

帰ったら扇風機はあるがクーラーはない。今日はバイトもない。

 

クーラーが欲しいところではあったが、ないものねだりをしてもしょうがない。

 

あるもので我慢しなければ。

 

大学の帰り道、そんなことをぼんやりと考えながら歩いていた。

 

自分の家(アパート)の扉の前まで着くと見慣れぬ少女がなぜかうずくまっていた。

 

おいおいどうしたってんだよ…

 

面倒なことに巻き込まれるのはまっぴらごめんだったが、

 

とりあえず俺は話しかけることにした。

 

「どうしたんだ?具合でも悪いのか?」

 

少女が顔を上げて俺のほうを見る。

 

「ううんちがうの。……あのね…おねがいがあるの。きいてくれる?」

 

嫌な予感がしないでもない。でもそんなつぶらな目をされたら………

 

俺は話だけでも聞くことにした。断っておくが断じてロリコンではない。

 

「あぁいいよ。俺に出来る範囲でならだけどさ」

 

「ホントに!? いいの!? うわぁーい!!! やったぁ!!!」

 

飛び上がって喜びを身体で表現する。子供は無邪気だなぁ。

 

「嬉しいのはわかったからとりあえず俺の家に入ってくれ。ここじゃ他の人の目が激しく気になるから。な?」

 

ここのアパートの人達に変な噂でも立てられたらたまったもんじゃない。

 

中に入り、俺は荷物を置き、少女を座らせる。

 

「喉渇いてないか?うちにはお茶しかないけどそれでいいなら」

「うんちょうだい〜。えへへ、おにぃちゃんやさしいねっ」

 

笑顔がなかなかに愛らしいじゃないか。

 

俺は至ってノーマルだがそっちの人達の気持ちが少しわかった…かも。

 

お茶を二人分持っていき、少女の対面に座る。

 

「はい、お茶だよ。で、どうしたんだ?俺の家の前にいるなんてもしかして親戚かなにかかな?」

 

あいにく親戚の方達との面識なんてまったくないからわからないが、俺の家の前に居た以上、それなりの関係があるのではと思ったのだ。

 

「ちがうよぉ。んと、おにぃちゃんとちゃんとおはなしするのはこれがはじめてかな。

 わたしはおにぃちゃんのことしってたけどね。それでね、じつはおねがいがあってきたの」

 

俺はこの子を知らないがこの子は俺を知っていたと。

 

 

何処で?

 

 

当然の疑問が浮かんだがひとまずおいておく。この子のお願いとやらを聞かなければ。

 

「えっとね〜私とおままごとして欲しいんだぁ〜」

 

「え?」

 

「だぁかぁらぁおままごとだってばー」

 

頬に空気を入れてプクっと膨らませ少し怒りながら言う。

 

「いやだって俺もうおままごとは卒業したっていうか」

 

「いいからやるのぉ!!!」

 

「マジかよ…」

 

これが俺の平凡から外れる第一歩。

 

でも誰だってこの後の展開は予想出来ないだろうと思う。

 

そして話は冒頭に戻る。

 

 

 

 

 

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「む。ちゃんときいてたのぉ?はいやくはだいじなんだよ?」

 

なんかちょこちょこ子供には似つかわしくない言葉を使うな。

 

それはどうでもいいが。

 

「確認したいんだが、まさか君は俺とおままごとをやるために会いに来たのか?」

 

「うんっ!!そうだよ〜とっっっってもだいじなことなんだよ〜」

 

だったら別の奴とやればいいだろうが。なんでわざわざ俺なんだよ。

 

「なぁ別に俺じゃなくてお母さんとかお父さんとか別のお友達とやればよかったんじゃないのか?」

 

「だぁ〜めっ!!おにぃちゃんじゃなきゃだめなの!!」

 

要さんご指名ですか。そうですか。

 

なんで俺限定指名なのかさっぱり訳がわからん。

 

もしかしてこの子…俺がおままごと検定準一級もってるのを見抜いた!?

昔はよくおままごとプリンスと呼ばれていたなぁ。実際はそんなこと、あるはずもないが。

 

どうしようか…おままごとなんてホント小さいときにやったぐらいだ。

 

「い〜い?じゅんびはできたー?」

 

「ちょっ、ちょっと待って」

 

「な〜に?ゆうじゅうふだんなおとこはきらわれるんだよ〜?」

 

むっ、色々言葉を知ってるな。俺は少し考え、

 

 

「よし、じゃあこれをやったら君は帰るんだな?」

 

「うん!!かえるよ〜」

 

ここは一時の恥だ。我慢だ。我慢しろ俺。

 

一回だけやって後はすぐにでも帰ってもらおう。

 

「一回だけだからね?」

 

「うんっ!!いっかいでいいよぉー」

 

「よし…やろうか」

 

「わ〜い!!じゃぁさっきはなしたとおりね」

 

そう少女が言い、咳払いをした。

 

瞬間、場の空気がガラッと変わる。

 

この空間が今居た世界と切り離されたようなそんな感じ。

 

俺はそんな意味のわからない感覚に囚われた。

 

「えっとね。じつをいうとね、わたしのこたちがね、いまいろんなとこでけんかしてるの。

それでね、かなめにはみんなをなかなおりさせてほしいの。おねがい…できるかな?」

 

…想像してたのと違うな。なんか普通にお願いされてしまった。

 

もっとこう、

 

 

「おかえりなさいあなた。ばんごはんにする?それともおふろにする?」

 

「晩御飯を頼むよ」

 

「わかったわ。すわってまっててね」

 

とか言って砂場でやってたら泥団子を出される感じのを想像してた。

 

変なおままごとだし、激しく唐突すぎる。

 

ま、どうせ子供が考えたことだし、深く考えたら負けか。

 

だがこの子の雰囲気が変わったように感じられるのは気のせいだろうか。

 

自分はお母さんって言ってたっけ?俺の配役はなんだっけか…

 

「え?えーと、ここは、はいでいいのか?わかった、必ず仲直りさせるよ」

 

「ありがとうかなめ。ではめをつぶってください」

 

これもこの子なりの演出なのかな?

 

そう思った俺は言われたとおりに目を瞑る。

 

するとあの子が俺の前に来たのを感じる。

 

「少しの間だけ眠っていてくれ。目が覚めたらあちらに居るからな」

 

「なに?」

 

と、俺は急激に意識が失われてゆく。何をしたんだこの……子………!!

 

 

 

 

 

「ふむ」

 

彼の意識が完全になくなったのを確認すると私は手続き(プロセス)を行う。

 

「…契約に了承を得た……直ちに此の者を我が世界に導かん……いざ開かん扉よ…彼方に……今!!」

 

床に五つの陣を浮かび上がらせ少女は言葉を紡ぐ。

 

彼を送ったの確認して自分も準備をする。

 

「こんなことに巻き込んですまないが……頼むぞ要」

 

そして私もこの世界を後にした。

 

 

 

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「………ん……と……ここは?……」

 

 

ゆっくりと目を開けるとそこには見慣れぬ土地が広がっていた。

 

ここは……どこだ?思い当たる場所を考えてみる。

 

……ダメだ。俺の記憶にどこも該当する場所がみつからない。

 

待て、そもそも俺はどこから来たんだっけ。

 

「…………………」

 

 

わからない、前後の記憶がないみたいだ。

 

しばしの間俺は考えてみることにした。

 

 

 

 

数分間考えてみたが、俺が思い出せるのは自分の名前と日常的かつ一般的な知識。

 

そのほかのことはいまいちはっきりしない。

 

例えるなら目の悪い人がメガネを外したときに遠くのものを見ようとするみたいな感じだ。

 

ぼやーっとした輪郭だけわかるがそれが何であるかわからない。

 

ただここではないどこかから来たというのはわかる。本能的に感じ取っているのである。

 

お前は成すべきことをする為に来たんだと。

 

状況を確認するため辺りを見回してみると平野だった。岩が平野のいたるところで突出しておりあまり

見晴らしのいいものではなかった。

 

前方に森が見え、遠くには険しい山脈が見える。

 

どこかに落ち着ける場所はないかと思い目を凝らしていると突如上から耳障りな鳴き声が聞こえた。

 

「なんだ……?」

 

空を見上げると二羽の鳥が俺の真上を旋回しつつ飛んでいた。

 

さらに最悪なことに大きさが異常なのである。

 

人間の5倍ほどの大きさがあり、特筆すべきなのが足である。

 

どういう進化の過程を辿ったのかわからないが六本あるのだ。

 

そのどれもがしなやかで強靭であり、一度捕らえた獲物は離さないだろう。

 

「普通に考えて…マズイんじゃないのっ!?」

 

瞬間俺は走り出した。

 

あんな生物を見たのは初めての気がするがそんなくだらない考えは頭の隅に追いやった。

 

おそらくあいつらは俺に狙いを定めている。つまりは俺はあいつらの獲物ってわけだ。

 

こんなよくわからない場所でよくわからない生物に食べられてたまるか。

 

俺は森に向けて走った。

 

捕食者たちは俺の動きに当然のごとく気付き大空から地上の俺に向けて急降下してくる。

 

目にも留まらぬ速さで俺をその前足で掴もうとしたが間一髪俺は横っ飛びに飛んでよけた。

 

その通り過ぎた衝撃で俺はさらに吹き飛ばされた。

 

「もう……なんだってんだよ!!」

 

小さな石や岩にぶつかり擦れるわ全身は痛いわでボロボロだが、そんなのは気にならない。すぐに体勢を立て直し必死で走る。

 

襲い掛かってきた一羽はまた上空に戻り、絶えずもう一羽とともに頭上を旋回する。

 

「くっ……はぁ…はぁ……」

 

体力…持つかなぁ…

 

それでも俺は逃げることをやめなかった。

 

 

森に入ればなんとかなる。

 

 

実際のところ、やつらは森に入ってきても襲い掛かってくるのかもしれなかったが

 

今の俺にはそんな不確かな可能性に賭けることしかできない。

 

「ガァァァァァァァァァァ!!!」

 

鳴き声を上げ、またもや襲い掛かろうとする。

 

 

 

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二撃目、今度は二羽が連続で向かってくるのが見えた。

 

俺はこのあたりで一番大きな岩の陰に隠れてやり過ごそうとする。

 

二羽は岩をものともせずそのまま突っ込んできた。

 

「流石にこの岩の後ろなら…」

 

甘かった。俺の持っている、とは言っても穴だらけの薄っぺらい常識だが、そんなモノサシじゃ計りきれなかった。

 

確かに激突はしたのだ。現に俺が隠れた岩は抉れている。

 

ただ、あの鳥と岩がぶつかってこうなったわけではない。

 

驚くべきことにやつらは岩を つらぬいて いったのだ。

 

そう。あの鳥の真の武器は速さでも足の数でもない。

 

二つの前足についている、 ツメ にあったのだ。

 

それは人でも物でも動物でもどんなものでも平等に無慈悲に穿つ "貫き刺す爪"(シュピッツナーゲル)

 

あれの前ではどんな鎧も建物も先ほどの岩と同じ運命をたどることになるだろう。

 

「だからって……諦める選択はないだろっ!!!」

 

抵抗する技も武器も何一つない俺には逃げるという選択肢しかない。

 

痛む身体に鞭を打ち俺は再び走り出す。

 

何事もなかったかのように鳥たちは定位置に戻っていたが鳴き声がさきほどより煩い。

 

今までは一度も外した事のない腕利きのハンター達だったのだろう。

 

一度ならず二度までも捕らえられず、ハンター達も苛立っているに違いない。

 

俺はそんなやつらをよそにとうとう森の手前までたどり着いた。

 

「あとっ……もうひとふんばりっ…だ!!」

 

だが、空から飛来してきた何かが突き刺さり行く手を遮る。

 

 

これは……羽…か?

 

 

全体が硬質化しており、触れたら切れそうなほど鋭さを持っているそれは、柄のない刀身を思わせる。

 

これが刺さっただけでも死ねるんじゃないかと嫌な想像が脳裏をふとよぎったが、振り払い相手の方を

見据える。

 

そこにはこの羽を放ったであろう鳥が一羽だけいた。

 

もう一羽は、と思ったときには既に遅かった。

 

獲物を見据え、狙いは過たず急降下する。

 

三度目の正直というやつか、ハンターのプライドか、どちらにしろ"貫き刺す爪"は俺を捉えた。

 

俺には避ける術などないし、反撃することも不可能。死は必定である。

 

回避できぬ死に俺はとうとう諦めた。

 

 

 

 

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その刹那。そう、まさに俺の身体が穿たれる刹那の瞬間。襲い掛かってきた大空の王は俺の目の前で、その巨体を大地に沈められていた。

 

「俺生きてる…」

 

何が起こったのかわからないが俺は生きていた。

 

「どうなったんだ…?」

 

まだ息があるらしく鳥は首をもたげ、敵の位置を確認する。

 

「グ………ガァァァ……ァァァァ」

 

「まさか魔物も"異能"(イレーション)を持つようになるとはな。最近は物騒になったな。この辺りだけっていうのもおかしな話だが…」

 

女の子だった。歳は俺と近い気がする。身長はその歳の平均よりやや小さめか。

 

鳥はその大きな翼を羽ばたかせ女の子を吹き飛ばすと同時に自分の体勢を立て直そうとした。

 

「く……厄介な」

 

まんまと空へ逃げられてしまい、女の子は舌打ちをする。

 

「いいか、危ないからそこを動くな。奴らの狙いは私に移った。下手に動いて狙われるようなバカな真似はやめたほうがいい」

 

「わかった。でもキミは大丈夫なのか?」

 

そんなことを聞くのは見当違いなのかもしれないが…でも女の子だし。

 

「私なら平気だ。もともとあれを狙ってきたのだからな。あなたには不幸だったのかもしれないが私にとってみれば早く見つけられた。感謝する」

 

「それは…どういたしまして…なのか?」

 

俺は彼女をしげしげと眺める。

 

なによりも印象的なのはその手に持った、彼女の背丈に合わない長さ3m程の大きな剣だった。

 

軽々とそれを振るい扱う様は、まったく重さを感じさせない。

 

「グッググ…ガ、グガァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

復讐に燃えた鳥は、奴は女の子に向かって急降下を始める。

 

彼女がいかに凄くても、ダウンさせることが出来たとしてもあの鳥には敵わないだろう。

 

なぜならばあの爪は言葉に違わず"貫き刺す"だろう。どんなものでも例外はない。

 

その"異能"が持つ力は呪われた力とも世界から恩恵を受けた力でもあるという。

 

腕っぷしが強いだけのしかも人間などに"異能"の法則を変えられるはずもない。

 

 

 

だが、だが仮にもしも彼女もまた"異能"を持っていたとしたら?

 

 

 

もし持っていたとするならば……

 

 

 

 

本気の奴は、俺には視認出来ないスピードで急降下する。そして、"貫き刺す爪"が彼女に牙を剥く。

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

だが少しも意に介さず彼女は言った。

 

「私はそれを待っていたんだ。私の"異能"(ちから)が最大限に発揮出来るからな。

さっきは仕留め損なって悪いな。今度は一撃で……楽にしてやる」

 

 

 

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「もう一匹は逃げたか。まぁいい。おい、立てるか」

 

彼女はそういうと俺の手を取り、立つのを手伝ってくれた。

 

手を握ったとき不謹慎にも手が柔らかいなと思ってしまった。

 

あんなにも大きな剣を振るってさらにはあの大きな鳥も倒すなんて。

 

「名前、名前はなんというんだ?」

 

「俺は厨川 要。キミは?」

 

「私はイーリス。イーリス・エンデルングだ」

 

「危ないところをありがとう、えっと…イーリス」

 

「気にしないでくれカナメ。私も色々と助かったんだ」

 

助けてくれたことにお礼を述べ、話をするとどうやら近くに村があるらしい。

 

ひとまずその村に向かうことにした。

 

これから先どうなるかわからないがとりあえず今は命があることを素直に喜びたい。

 

そして…………早く手当てをしたい。

 

今さらのように思い出したが身体中痛かったのを忘れていた。申し訳ないと思いつつ、

 

イーリスに肩を借りて村に向かう俺だった……なんてかっこ悪い………

 

 

 

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** あとがき ***

 

どうも、作者です。

これが2作目ですね。初めての人は付き合っていただきありがとうございます。

俺はお前知ってるぜという人はすいません。

なにがすいませんって、まだ1作目出来てないのに2作目書くとかふざけんなカスが。ってことです。

でも安心してください。とりあえずこっちは1作目が出来るまで不定期更新とさせていただきます。

だったら終わってからだせって?

いや、すいません自分を抑えられませんでした。すいません。

ともあれ、私の小説に付き合っていただきありがとうございます。

もし興味をもった方は1作目のほうに目を通していただけるとお互い幸せになれるんじゃないかと。

ではこのへんで。

説明
*注意*
厨二表現に嫌悪感または、稚拙な文章なんて読んでられねーよ!!! という方は大変お手数ですが戻るをお願いします。

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