真・恋姫†無双 たった一つの望み 第一話
[全5ページ]
-1ページ-

「ここは・・・どこだ?」

 

昂る感情を無理矢理落ち着けて目を開いてみれば、さっきと変わらない雨の中・・・のはずだった

 

パッと見る分には男の状態に変化はない、変化があったのは周りの状況

森の中なのは変わりないが、感情のままに殴り飛ばしたはずの車はが見当たらず

どんよりとした分厚い雲の下で雨に打たれていたはずなのに地面が濡れていない

空を見上げれば綺麗に晴れた青空が広がっている

 

「時間的には夜だったのに青空だって?」

 

なにがどうなっているのかわからない、ただ自分が不可思議な状況にあることだけは確か

 

「まずは持っているものの確認をしなきゃ状況への対処もできないか」

 

軍で叩きこまれた緊急時の対処法を頼りにしていることに、少し嫌なものを感じつつもその手つきは慣れたもの

 

「持っている物は水筒、携帯用のシャベル、ロープと携帯用食料にナイフ・・・これだけ?」

 

確認してみるとおかしいなことがいくつかあった、まず腰につけてた無線機がない

他にもサーモセンサーや小型の医療マシンにGPSなど持っていたはずの物がなくなっている

 

「共通点だけで考えれば・・・機械系がなくなってるのか?

 それに、あれだけ雨に晒されてたはずなのにまったく濡れてないな・・・」

 

よくみれば服も濡れている様子がない

だとすると、濡れた物が乾くくらい長い時間ここで気を失っていたか

それとも誰かになにかされたのか・・・

 

どちらにしてもおかしいことに変わりはない

もしそんな長時間気を失っていたとするなら、そもそも気が付いた時に直立していられるはずがない

気が付いた時にしっかりと立っていたことから、この可能性はないと判断できる

 

じゃあ、誰かになにかされた?

 

「ありえないな、誰かがなにかをしたとしてもオレが気付かない筈がない」

 

いくら感情が昂っていたとはいえ、誰かが近付けば必ず気付く

誰よりも自分を知っているだけにこれだけは確信できる

 

つまりは・・・

 

「現状じゃなにもわからない、ってことか」

 

わかっていることはここがさっきまでいた場所ではないこと、それに自分が五体満足でいることくらい

 

「なら、やることは決まったな

 とりあえずここがどこか、手掛かりくらい見つけないと」

 

そうして、とりあえずはここから動くことにした

 

-2ページ-

しばらく森の中を歩き回って、小川を見つけた

水筒の中身も入れ替えたかったところであるし、これ幸いとばかりに補給をする

川は最近の地球環境を考えれば珍しく、透き通っていて綺麗だった

よくよく見れば川魚も何匹か見かけるくらいであるし、開発の進んでいない地域なのだろう

 

「ブリーフィングで聞いた限りでは田舎ではあるけど、山から少し離れれば人は居るって話だったんだけどな」

 

だとするとかなり離れた土地になるんだろうか?

一体どうしたらそんな距離をオレが気付かずに移動できるのかすごく疑問ではあるけど

実際問題として今この状況にあることだけは確かなんだから受け入れるしかない

 

「腹も減ったし、丁度いいな」

 

補給と休息はできる時に余裕を持って行うべきという、前に習った知識を基にして

少し休むことにした男は、落ちていた木の棒をナイフで尖らせて魚を採って食事にした

サバイバル訓練を何度もやってきた経験もあるから、少なくとも飢え死にする事はないだろう

夜になれば野営することになるだろうが、風さえ凌げればどこだっていい

 

「随分山を下ってきたはずだけど、人里の気配がまったくないな

 このまま川を下って行けば、どこか人の居る所に出るとは思うんだけど・・・」

 

食後にちょっとした休憩をとりつつ考えを纏めていく

生きていく分には問題ない、幸いにして自然が豊富という事はそれだけ食べる物もあるということだし

気になるのは野生動物だけど、それだってオレからすれば現状ではご馳走だ

結論としては人との接触を考えるべきか・・・、と考えていると

 

「・・・人がこっちに向かってきている?」

 

ふと気配が近付いてくるを感じ、そちらを探ってみるとどうやら人らしい

動物と違って人は独特の気配を持っているので間違えということはないはずである

タイミングが良過ぎるのが気になるものの、人を探すことを目的としていたことに間違いはない

草が擦れる音が近くなり、見えてきた人影に声をかけようか迷っていると

 

「誰かそこに居るのか?

 怪我をしているようなら俺に任せてくれ!」

 

勢いよく飛び出してきた人影は大きな声でそう言った

 

-3ページ-

突然大きな声とともに勢いよく飛び出してきたその男は

赤い髪を短く揃え胸に大きく十字の入った服を着たなんとも表現しにくい格好をしていた

ずっと閉鎖的な境遇にいたためにファッションについて詳しくはないが

少なくとも今まで見たことのないファッションである事は間違いない

男はしきりに怪我や病気がないか聞いてきたが問題ないということを伝え

お互い初対面なのだからと自己紹介をすることになった

 

「俺は華佗、この大陸を医者として病魔と闘いながら旅している

 五斗米道(ゴットヴェイドー)の継承者だ!」

「オレは北郷一刀、ちょっと道に迷ってしまって人里を目指してた」

 

我ながら微妙な自己紹介だとは思うけど事実だし、特殊部隊のことや出自は言えないから仕方がない

それにしても名前が華佗で五斗米道だって?若干発音が横文字みたいだったけど・・・

昔研究施設に居た頃は唯一の娯楽が本、三国志はその中でも好きな本の一つだった

華佗と言えばその三国志に出てきた医者だ、考えられるのは何かのイベントの演者だとか?

 

「性が北、名が郷、字が一刀でいいのか?」

「いや、性が北郷、名が一刀で字ってのはないよ

 それより、華佗っていうのは偽名かなにかなのか?

 三国志が大好きでなりきっているとか・・・」

「字がない?二字性というのも珍しいな

 それに三国志というのも聞いた事がないぞ?」

 

男二人で頭の上にいくつもクエスチョンマークを浮かべ

お互いの疑問について話を続けた結果いくつかのことがわかった

 

 @現在の位置は荊州の夷陵から少し北の山

 A国は漢で霊帝が今の皇帝

 B華佗は間違いなく華佗で字は元化

 

――結論・・・オレはどこか違う世界に転移したらしい

 

「つまり北郷はこことは別の世界からきたらしいと、そういうことなのか?」

「オレもよくわからないが事実だけを述べるならそうなると思う・・・」

 

正直言って自分でもバカらしいと思う

いきなり他の世界に飛んだらしくて、それが三国志の世界だって?

信じられるわけがない、オレが華佗の立場なら頭がおかしくなった奴の妄言だと思うだろう

だけど事実として自分はここに存在しているわけで・・・

 

「なるほど、噂になっていた天の御使いというのは北郷のことだったのか?」

 

けれど、返ってきたのは想像とは違う言葉

 

「天の御使い?」

「天の御使いというのは最近旅をしていて聞いた噂でな・・・」

 

詳しく聞けば、管輅という占い師が流した預言らしく

『天より来たる流星が大陸を穿つ時、天の御使いが舞い降りる』

噂だけに尾鰭がついて聞くごとに変化はあるが、統合してハッキリしている部分はこれらしい

 

「よくわからないがその噂がこの国の人に広まってるとして、どうしてオレがその天の御使いなんだ?」

 

預言を聞いただけじゃオレとの関連性はないようだが・・・

 

「それは流星が落ちるのを、ついさっき俺がこの目で見たからだ」

 

その華佗の言葉で連想したのは、あの時感じていた感覚

 

――握り締めた右手に感覚はなく、目の前が真っ白になったような感覚に身を委ねながら思った

 

まさかそんなことは、と思うが否定する材料もない

そんな事がありえるわけがないと思っても、実際に状況で判断すればその流星に乗ってきたとして

 

ならば、自分は天の御使いだと・・・――

 

-4ページ-

 

ここでもオレは"特別"な存在だというのか・・・――

 

-5ページ-

あとがき

 

どうも、へたれキノコです

 

小説って書いてみると自分の表現力の乏しさに凹みますね

勢いだけで書いて投稿してしまったものだから続きなんて考えてませんでしたよ

それにしても以外とみてくれる人居るんだなぁというのが率直な感想

忙しい時期だし更新は遅いと思いますがコソコソ投稿し続けたいと思います

 

さて、コメントについて答えられるものはみようと思います

第一話投稿時のコメントは3つ、そのほとんどが一刀君の強さについてのものでした

 

Q1.こいつに勝てる奴いるのか?

A1.勝敗条件によりますが負ける事はほとんどないでしょう

 

これについてはそもそもスペックが違うことと、治癒能力が理由になります

多人数で囲めば傷を与えたりする事は可能なので攻撃が効かないわけではないです

ただし、治癒能力があるので千日手に陥ります

囲んでる方のスタミナが切れたら終わりでしょうね

勝つ方法としては勝利条件の設定でしょうか?

なにをもって勝ちとするか、この部分をうまく使えばなにかしらできそうですよね

いくら強くても一刀君は一人、という部分がポイントになるかと思います

 

 

Q2.仲間居なくても三国統一出来るんじゃね?

A2.できるんじゃないかな、但し維持が無理でしょう

 

力で無理矢理纏める事はできるでしょうが、あの広い大陸を統治するには仲間が必要です

そもそもこの一刀は三国統治を目指すのでしょうか?

 

 

Q3.恋とどっちが強いかな

A3.スペックだけでみれば一刀君の方が強い

 

だけど戦い方にもよりそうですね、正面から行ったら以外と均衡しそう

一刀君は持って生まれた力任せに今までやってきただけなので・・・

呂布と戦うことになるとして、それまでに一刀君がどうなっているかにもよると思います

 

 

以上でコメントへの回答は終了です

 

それではまた次回の更新で!

説明
まさか続きを書くとは思ってなかった
相変わらず描写がうまくいかず、勉強した方がいいのかな〜
書き出した以上は完結を目指したいです
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2676 2265 22
コメント
いきなり華佗との出会いですね。今の一刀ならどこかの勢力より華佗と旅でもしたほうが色々知る意味でも良いでしょうね。(深緑)
とりあえず華陀と一緒に旅をするのかな? (質問に答えてくれてありがとうございます。)(中原)
世界を跨いでも『人とは違う存在』である宿命からは逃れられない。劣等感というより、もはや諦観な感じですね・・・。(FALANDIA)
此処でも「特別」だが、意味合いが違うな。(zendoukou)
自分に対しての劣等感の一刀君今物語スタート・・・・ってかんじかな。(黄昏☆ハリマエ)
タグ
真・恋姫†無双 北郷一刀 

へたれキノコさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com