真・恋姫無双紅竜王伝赤壁合戦編L〜戦乱の終結(上)〜 |
宮殿の廊下をバタバタと数人の少年少女が走っていく。至高の場所たる宮殿の廊下を足音高く子供たちが走るなど言語道断―――なのだが、彼らたちは例え誰かに見つかっても軽い叱責程度で済まされてしまうほどの身分の子供たちなのだった。
彼らが目指したのは宮殿でも奥まった一室。最初に辿り着いた少年が扉を叩き、入室の許可を求めた。
「はい、どうぞ」
『御祖母様、こんにちは!』
彼らの祖母が入室を許可すると、元気よく挨拶をしながら部屋に入っていく。部屋の主たる彼らの祖母は窓際の椅子に腰かけ、なにやら筆を手に書物を書いているようだった。
「はい、こんにちは」
子供達の祖母は筆を置くと、用件を心得たとばかりに本棚から一冊の本を取り出し、それを持って孫たちが座っている椅子の近くに腰を下ろした。
「お祖母様、昨日のお話の続きをしてください!」
「そうね・・・昨日は華琳さんが呉の追撃から逃げ切った所だったかしら?じゃあ、御祖父様が建業城を攻め落としたところからお話を始めましょう―――」
彼女は本を開き、しおりを挿んでいた頁を開いて語りだした―――
織田軍、襲来―――
関平(愛紗)率いる織田軍が呉の領内に侵入したとの報に接した建業城留守居の孫尚香は、即座に迎撃を決める。
「織田軍の数はシャオたちとそう変わらないし、決戦を控えたお姉ちゃんに知らせる必要もないよ」
確かに織田軍の数は少なかったし、孫尚香は決戦を控えた姉達の手を些細なことでも煩わせたくなかった。
―――ただし、彼女は姉二人と違って大将としての合戦の経験はあまりにも少なく、彼女を補佐する軍師が皆出払っていた。そこが呉の致命的なミスであった。
愛紗率いる織田軍の役目は孫尚香率いる呉軍を建業城からなるだけ引き離し、城下に潜入した仲間たちが目的を達する時間を稼ぐ事にあった。
「よし、少しずつ後退せよ!獲物を巣穴から引き離すのだ!」
軍を指揮する様は、名も陣営も主も変われどさすがは歴戦の名将関羽といったところだった。弱った軍を演じ、孫尚香率いる呉軍を巧みに引き付ける。
「申し上げます!潜入部隊の作戦開始時刻になりました!」
「わかった。我が軍は合肥城に後退する!」
―――賽は投げられた。さぁ、どうなる?
建業城内壁が爆音とともに崩れ、異常に気が付いた兵士たちが轟音のもとに殺到し―――
吹き飛ばされた。土煙が晴れた時、壁に空いた穴の前には銀髪の少女が立っていた。
「魏軍の将・楽文謙!建業城攻略の先手を仕る!」
少女―――凪が高らかに宣言し、新たに殺到した兵士の群れに突入する!そして再び起こる爆音。兵士たちが宙に舞う。
凪が暴れている間に霞・真桜・舞人に率いられた呉の反乱兵たちが乱入し、各場所の制圧に向かう。
「霞は兵舎、真桜は宮殿、俺は御殿の制圧に向かう!」
「応っ、まかせときっ!」
「姐さん、頼みますで〜」
舞人が指示を出し、それぞれが城内の制圧に向かう。主力の部隊が抜け、留守部隊も出陣し、深夜ゆえ油断していた兵士たちはひとたまりもなかった。
兵舎にいた兵やふだん孫家の皆が寝起きしている御殿、政務が行われている宮殿にいた者たちは成す術もなく捕虜となり、夜が明けた頃には宮殿各所に翻っていた『呉』の旗は降ろされて新たに『魏』の旗と舞人の旗である『揚羽蝶』が翻っていた―――
説明 | ||
赤壁合戦編13話です。 思えばこの作品も、投稿し始めて1年を過ぎてしまっていたんですね・・・はっきり言ってここまで続くとは思っていませんでした(笑) でも、この物語ももうおしまいに近づきました。 |
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コメント | ||
総力戦を行っている傍らに之だけの人材を廻せる織田軍が凄いと言う事か^^;(深緑) 紫電さんへ:ご指摘ありがとうございました。訂正いたしました。(三好八人衆) 執筆お疲れ様です。流石は舞人如何戦やらせてもいけるオールラウンダーですな。そして、舞人の紋が揚羽蝶と言うことに吃驚です。何時の間に・・・忘れてるだけか?「織田」舞人と言うくらいなので木瓜じゃ・・・ 次作期待(クォーツ) |
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