初めまして!みちる(2003/10/02初出) |
私が幼い頃のことでした
私は父と母と幸せに暮らしておりました
今は廃線となってしまったものの、かつてはにぎわいを見せていた駅で駅長を勤めていた父
料理が上手でよくハンバーグを作ってくれた母
星が大好きでそれを掴もうと必死に父の肩車の上から手を伸ばしていた私
そして…
もう一人家族が増えるはずでした
私に妹が出来るはずでした
母のお腹にいた赤ん坊は女の子でした
その女の子の名前は“みちる”に決まりました
私が母のお腹に耳をそばだてるとみちるの鼓動が聞こえてきました
私がみちるに話しかけると母のお腹の中から反応してくれました
早く…
早くみちるが生まれて来て欲しい…
私達はみちるの誕生を心待ちにしていました
でも…
母が突然倒れ、そしてみちるが産声を上げることはありませんでした
両親はそれがもとで離婚しました
そして母は流産のショックから“美凪”を忘れてしまい…
私は生まれてくるはずだった“みちる”として生きていかねばなりませんでした
そんなある日廃線となってしまった、父がかつて駅長を勤めていた駅舎で一人の女の子と出会いました
その女の子の名は“みちる”
私に初めて“美凪”という居場所が出来ました
私はみちるにしゃぼん玉を教えました
みちるは必死にしゃぼん玉を飛ばそうと頑張っていました
私はみちるの為にお弁当を作ってあげました
みちるは私が作ったハンバーグを美味しそうに食べてくれました
私はお昼寝するみちるの為に膝枕をしてあげました
みちるは気持ち良さそうに寝息を立てて眠ってくれました
そしてこの街にやってきた国崎往人さんも加わり、3人一緒の楽しい毎日が始まりました
でも母の病気が治ったとたん、母は私のことを覚えていませんでした
“みちる”として生きてきた私の居場所すらありませんでした
私は辛く悲しい想いでいっぱいでした
でも、国崎さんが後押ししてくれたおかげで母は再び“美凪”を思い出してくれました
こうして再び3人一緒の毎日が始まり、それは永遠に続くと思われました
でもみちるは空に帰らねばならなかったのです
本来、みちるは私の妹になるはずだった少女…
でも産声を上げることなく、この世を去ってしまった…
そして母は“美凪”を忘れ、私は“美凪”という居場所が失われ…
そんな私の為にみちるは来てくれた…
みちるは私の支えになってくれた…
私と国崎さんは急いで学校の屋上に向かいました
みちるはフェンスの向こう側で一人たたずんでいました
夕日を背にしたみちるの表情は…
どこか儚げで…
どこか寂しげで…
でも…
どこか温かでした…
私は夢から覚めてしまうことを恐れていました
それがみちるに無理をさせていました
でも…
もう私は大丈夫…
さようなら…
みちる…
私はあなたを…
あなたと過ごした日々を…
あなたと国崎さんと過ごした日々を…
決して…
決して忘れない…
それから月日が経ち、離婚した父から連絡がありました
再婚した女性との間に生まれた女の子と会って欲しいと…
その女の子の名は…
“みちる”
私達は早速みちるに会いに行きました
また…
3人で過ごした楽しい日々が始まる…
ありがとう…
みちる…
そして…
「初めまして!みちる」
説明 | ||
7年前に書いたAIR美凪のSS(というより、詩?)です。 | ||
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