真・恋姫†無双〜江東の白虎〜第弐章 13節〜キオクの少女、キオクの少年〜 |
この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に
いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。
更に、オリキャラが出ます。
その点を踏まえて、お読みください。
黄巾党本陣戦闘が終了したその後、一刀達は兵達の怪我や疲れを居さす為、
一度此処にとどまり、次の日の明朝に建業に向かって出発するとの事だった。
なお、張角たちは一刀が三人そろって油を身体にかけて、火の中に飛び込んだと報告した。
火計を用いたため、敵本陣からは、多数の焼死体が上がっており、
どれが張角たちなのか分からなかった。
一刀と凪、戦場で保護された天和、地和、人和、そして華琳以外は――。
保護された彼女達は、そのまま華琳のもとに行く事が決まったようだ。
そして、その日の夜。
一刀は、雪蓮たちが何時ものようになって襲われる前に、
酒とつまみを持って、そそくさと陣から近くの林に逃げた。
だがその際、丁度天幕から出て来たある人物に目撃されていた。
〜SIDE曹操〜
「……眠れないわね」
曹操は、自分の天幕で横になっていたが、一向に眠気がこない。
戦の後で、興奮状態なのか分からないが仕方なしに、
外の空気でも吸おうと天幕を出ると、白い服を着た人影が見えた。
「……」
其れは、一刀だった。
「? こんな夜に何処に行くのかしら?」
なにもせぬまま居ても面白くないので、華琳は退屈しのぎに、一刀の後をつけた。
暫く行くと、林が有り、一刀がその中に入っていく。
華琳も、見失わぬようについて行く。
暫くすると、月が良く見える少し開けた場所に出た。
「うん、良い眺めだな」
一刀は持っていた酒とつまみを出している。
どうやら、月見酒を楽しむことにする様だ。
そして、つまみと酒と地面に置くと、"此方"を振り返りこう言った。
「そんな所に居ないで、一緒にどうだ?」
ガサガサッ!
「……気付いていたの?」
華琳は、バレテいるのなら何時まで居ても仕方ないと思い、茂みから出てた。
「ああ。 ま、そんな事はいいから、ほい」
そう言って、一刀は杯を渡し、酒を注ぐ。
この酒は、一刀が江東を出る前に作りかけだった日本酒を、
酒屋のオヤジと頭を捻らせて、やっと一刀の中で及第点を出せた日本酒だ。
「……ありがとう。 頂くわ、こくっ……あら、美味しい」
清んだ喉越しに、老酒等とはまた違った味わいで、己が飲んだ事の無い酒に華琳は目を輝かせた。
「お褒めに預かり、光栄だ。 そいつは俺と酒屋のオヤジが試行錯誤を重ね、やっとの事で作ったんだ」
「そうなの?」
まずは、飲んでいる酒の事から始まった小さな酒宴。
しばらく談笑していると、不意に華琳がこう言った。
「あ、そう言えば、私ね、小さい頃母の知り合いの人に会いに行った事があったの」
「うん」
何気なく話し始めた昔話に耳を傾けながら、一刀は酒を口に含む。
「それで、その帰りによった"森の中で、賊に襲われた"事があったのよ」
「!? ゲッホ! ゲッホ!!」
その一言は、一刀を動揺させるのには充分だった。
余りにも動揺して、一刀は飲みかけの酒が気管に入って、物凄く噎せ返ってしまった。
その様子を見て、してやったりといった感じに、ニヤリと華琳は笑った。
「ふふ……覚えていたんでしょう? "一刀"?」
「ゲホッ……ふぅ……不意打ちは、無いと思うぜ、"華琳"?」
ニヤリと笑った少女と、噎せて息も切れ切れの一刀は、お互いに相手の真名を躊躇無く口にする。
「何時、俺が覚えていると気付いた?」
「簡単、最初に会ったときに貴方が私を見て、とても懐かしそうな表情をしていたからよ。
それに、貴方が自己紹介をするとき、あの場には私を含め四人居たのに、
"お二人は初めてだな"と言ったでしょう?
春蘭……夏侯惇には貴方は会ったことがあるから彼女を省くとしても、あと三人。
数が合わないわ」
ただ一目見ただけで、ただ一度聞いただけで、人の感情を表情から、言葉から読み取る彼女の感性と、
些細な事で其処まで考える事の出来るに聡明な頭脳に、一刀は感服した。
「全く、感服したぜ。 そういえば御袋さん、華南さんは元気か?」
「……正直、元気とは言い難いわ、最近は咳が酷くて血痰や酷い時は血を吐く事もあるから、心配ね」
旧友との再会に、華琳はその胸の内をぽろっと零してしまったが、
何故か気にならならずどちらかと言うと、相談で来ていくらか心の錘が下せたような気がした。
だが一方の一刀は、その症状を聞いてある一つの病を思い浮かべた。
「……ちょっと聞くけど、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、
微熱がずっと続いていたり、就寝中に大量の汗をかくとか言う症状を訴えていないか?」
「な!? なんで、知っているの!?」
まるで側でずっと見ていたかの様に、母の症状を言い当てる一刀に、華琳の顔は驚きに染まった。
そして一刀は、その華琳の表情を見て確信を得た。
肺結核だと――。
「そうか……なら俺の親友の医師、華陀をそちらに向かわせよう。
あいつは、病人をほっておける様な薄情者じゃ無いし、俺も恩人が病で苦しんでいるなんて、心苦しい」
「……他の医師達は、母様の症状を見て手を上げたのよ?」
悲痛な表情を浮かべて、華琳は顔を伏せる。
そんな華琳の肩を一刀は、安心させるように優しく手を乗せる。
「心配するな、あいつは不治の病にかかった人を二人も救っている。
治療方法はちとあれだが、俺が十分に信を置けるやつだ。
大丈夫、俺を信じてくれ……!」
華琳は、一刀の瞳に強い意志を感じた。
だから、華琳は一刀が親友を信頼しているその意志を信じようと思った。
「……ありがとう、一刀。 わかったわ、貴方の親友を信じる意志を信じる事としましょう」
そう言って、華琳は綺麗な笑みを浮かべた。
一刀も、華琳の笑顔をみて笑みを浮かべた。
「それそれ、可愛い女の子には笑顔が似合うぜ」
そう言って、一刀はまだ開けていない徳利を華琳に渡す。
「持ってけ、華南さんが治ったら一緒に飲んでやって」
「一刀……心遣い感謝するわ。 母様も喜ぶわ」
華琳はそう言って、一刀の手からそれを受け取った。
徳利を手に取った華琳は、そう言えばと聞きたい事があったのを思い出した。
「気になっていたけど、貴方は戦の時何故、あんな獣の様な雄叫びを上げるの?」
「……あれは、ある種の儀式の様なもんだ」
華琳の言葉に一刀はそう返す。
華琳はどう言う事かと気になり、一刀の言葉を待った。
「……俺は弱いからな、"人"のままで、"人"を殺せない。
だから命を奪う時は、俺も"獣"になるんだ。
そして、戦の終わりと共に"人"に還り、殺した者たちの魂を背負う。
出来るだけ"人"が"人"を殺さなくても良い、出来るだけ"戦場"に出なくても良い世界にしたい、と願ってな」
「……そう」
この言葉を聞いて、華琳は、一刀に覇者の才を見た。
覇道を歩むと決めた自身でさえ、人を殺めるのは気分が悪いし、
初めて戦場に出た時は、もう二度と行きたくないと思った。
それを知っているからこそ、華琳は一刀の言葉に、特に"魂を背負う"という言葉に、共感が持てた。
自身の進むと決めた覇道も、人の死無くして語れない。
ならばどうするのか、逃げるのも、見て見ぬふりをするのも、
部下達に押し付けるのも、それは覇者のすることではない。
ならば答えは一つ、人の死を己に背負うしかないのだ。
そして、背負った死と共に己の道を突き進むしかないのだ。
「ふぁ……」
と、そこで華琳が小さく欠伸をする。
空を見ると、月がかなり傾いていた。
月の傾きを見ると、だいたい一刻ほどは経っていた。
「華琳、夜更かしは、お肌の敵だぜ。 美人なんだから、そろそろ寝な」
「あら、口説いているのかしら?」
一刀の言葉に、華琳は挑発的な笑みを浮かべてそう返す。
「口説く心算なら、もっと雰囲気を作るさ」
一刀もそれに、社交的礼儀とばかりにそう返す。
その反応が予想外だったのか、少し面食らったような表情をしたあと、華琳は小さく笑ってこう言った。
「言うじゃない。 そうね、いい感じに眠気がきたことだし、戻って寝ることにするわ」
「なら送ろう。 俺もそろそろ戻ろうと思っていたしな」
そう言って、一刀は華琳をつれて陣まで戻る事にした。
「一刀君? こんな夜遅くまで、何処に行ってたのかしら?」
「説明してもらおうか?」
「あ、あはは……」
華琳を彼女の陣まで送った後、一刀は凱の天幕によって事情を反した後、
自分の天幕に戻ったのだが、其処は虎穴だった。
不機嫌そうな結羽と冥琳が、自身の天幕の寝床に座っていた。
話を聞くと、案の定戦のあとで興奮状態に成った美蓮と雪蓮に、
一刀の代わりに冥琳たちが襲われそうになったが、
凱から貰っていた睡眠薬を酒に入れて飲ませ、二人を眠らせ、今までずっと待っていたのだそうだ。
二人とも整った顔立ちで、綺麗な笑み浮かべていたため、尚更恐怖を煽った。
「(落ち着け俺、俺は何もやましい事はしてないんだから。)月見酒をしてただけさ」
此処でどもっては、怪しく思われてしまうので、一刀は平静を保ってそう言った。
だが頭の回るこの二人には、特に注意しなければ成らなかった。
「ほう……では何故私達を、誘わなかった?」
「其処まで量が無かったし、俺はただ眠気が来るまでの暇つぶしに、酒を飲んだんだぜ?」
綺麗な表情のまま冥琳は一刀にそういう。
一刀も、不審に思われないように言うが、結羽が決定的な一言を言う。
「じゃあ、なんで曹操ちゃんの陣まで行ってたのかしら?」
「!」
そう言った結羽の表情を見ると、全部知ってるんだぞと言う眼差しをしていた。
客観的に見れば、一刀は浮気がばれた亭主のような表情をしていた
「……と、とりあえず、俺は酒を飲んでいただけで、何もしてないぞ!?」
だが、その一言がいけなかった。
「一刀の……」
「浮気者ぉ!」
笑顔だった二人は、表情を一変させ、鋭い視線を一刀に向けて、襲いかかった。
「ちょ、まっ! ああぁーーー!!」
〜翌朝〜
「……」
「……何が有ったの?」
「大丈夫ですか、お兄様?」
一刀達は、陣を引き払う前に華琳に別れの挨拶をする為に、一刀、冥琳、蓮華が選ばれた。
美蓮と雪蓮は、睡眠薬のせいで眠りっぱなしの為、代わりに蓮華が選ばれた。
「き、気にスンナ、何も無いカラ」
「ええ、彼は大丈夫ですから、気にしないでください」
だが、挨拶に来た一刀はゲッソリとやつれ、隣に居た冥琳は機嫌が良さそうな表情でそう言った。
その様子は、華琳と蓮華が心配してしまうほどだ。
だが、華琳は冥琳の顔が妙に艶々していたのを見て、何があったのか悟ったようだ。
ニヤリと笑みを浮かべ、遊んでやろうと思った。
華琳は、スッと彼の前に出て、彼の顔を両手で優しくつかむ。
ふらふらな今の一刀では、彼女の行動を阻止する事が出来無かったことを悔やんだ。
「ん……」
「……へ?」
『なぁっ!?』
なんと、そのまま華琳は一刀の頬に接吻をした。
暫く呆けていたが、彼を取り巻く女性陣達が、みるみるドス黒い雰囲気を醸し出す。
一刀は、その空気から醸し出される恐怖に身を震わせ、凱に助けてと視線を送った。
「あ〜、死んだな……一刀」
だが、それも虚しく、凱は、そんな一刀の様子を憐みをこめた視線を送って言葉を零した。
「フフ、ではまた会いましょうね、"一刀"」
そして、華琳は踵を返して去っていった。
一刀は、後ろから送られる瘴気に怖くて振り向く事が出来ず、
華琳の元に向かおうとしている凱に、そっとだが切実な声をかけた。
「……凱、出来れば俺が死なないうちに帰ってきて?」
「……善処しよう。 死ぬなよ、一刀」
一刀の切実な言葉を受け止め、そう言って凱はこの後起こる騒乱を回避するため、
早々に華琳達の方に逃げた。
ミシミシッ!
そして、それと同時に一刀は両肩をあり得ない程の力で掴まれた。
ウチでは、比較的大人しい部類の二人な筈なのに、と思いながら、ゆっくりと振り向いた。
「……一刀、アレは何だ? そして、いつ曹操殿と真名を交換したのだ?」
其処には先ほどとは打って変わって、昨夜よりも凄く美しい表情で鋭い視線をした冥琳が居た。
だが、それだけならまだ良かった。
「おニイさマ、せツめいしてクレますよネ?」
其処にはドス黒いオーラを身に纏い、暗い光をその瞳に宿した蓮華が綺麗に微笑んで居た。
その威圧感は、普段の温厚で柔和な蓮華とは比較にならず、本気の美蓮の威圧感に匹敵していた。
「あ、あははは……はぁ」
そして、この事が原因で暫く一刀は、好意を寄せられている女性陣から責め立てられる事となり、
暫くほぼ毎日、蒼麒麟をほぼ毎日摂取しなければいけず、凱が帰って来た時は本当に干からびる寸前だった。
説明 | ||
ちわっす! タンデムです! 今回は、華琳と一刀のお話がメインとなります。 時期は黄巾戦のすぐ後ですが……ねww やっぱり華琳様は最後にやってくださいましたww その御蔭で久しく見てなかった病華様が、ご降臨ww 果たして、どんな事をやってくれたのか? それは、本編でどうぞ! |
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コメント | ||
華琳絶好調ですね〜呉の面々は今回怖くてとても近寄れないな^^;(深緑) サイトの方の展開よりこっちの方が好きだぜ。病華コエエw(RevolutionT1115) 待ってましたーーーーーーーーっ!!!><面白いしサイトとはまた別の展開…ああもぉ待ち遠しいなっ!更新頑張ってくださいね〜^^……一刀君を婿に下さいorz====ズザー(龍生) サイトとは違う展開だね。病華登場の状況もレベルアップしたようでww(Orcinus orca) 華琳に酒を持たせたってことは・・・・・・また若返るのかww やはり種馬でも毎日はキツイんですねw凱には誰か女の子付かないんですかねぇ?(韻) 最強でも魔王には勝てない…(イタズラ小僧) あれ?彼って最強なんじゃなかったのか?やはり強いのはダーク嫁ーズなのか・・・(btbam) サイトとは違う展開、これはこれで良い!!(シン) ちっ。ヒカラビチマエバヨカッタノニ。・・・こほん。次も楽しみにしておりますねww(狭乃 狼) 一番最後に「ほぼ毎日」を繰り返したのは、大事なことだからですか?しかし一刀、さすがの種馬力w(FALANDIA) はりまえさん まあそうなるんだろうな。反董卓あたりで再会するんじゃね?(根黒宅) ………ご愁傷様(>人<;)…………いや、当たり前かww でもサイトとは違ってきましたね、楽しみです(JIN) 5Pのところで酒渡したから、今後の予想は華陀、魏に向かう→華南治療のため叫ぶ→周りびっくり何事→悪病退治完了→やった!→祝いに酒飲ます→なんと若返り→周りさらにびっくり→華南若かりし頃の青春を満喫→白虎に惚れる。な構図ができるな(黄昏☆ハリマエ) |
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