蒼天に翻りし『誠』の旗の下に 真恋姫†無双 歳三演戯 |
蒼天に翻りし誠の旗の下に・・・恋姫†無双 歳三演戯
序章 蝦夷地にて・・・
「少々肌寒いな・・・」
一本木関門に陣取った歳三がそう呟いた・・・
「土方隊長、外套をお召下さい・・・」
従者である純朴そうな若い侍が羅紗地の外套を差し出す。
「北郷君、我々は市中で勇敢に戦っている仲間を救出する為に出陣しているのだよ。」
諭す様に穏やかな笑みを北郷と言う侍に向けたままに彼が差し出した外套を
歳三は馬上の手綱を持った手を放し制する。
「それに・・・・・」そう言い掛けたまま薄く笑みを湛えた歳三が馬の轡をとる青年に向かって
何かを話しかけようとしたその時に前方から激しい銃声と荒々しく逃げて来る兵士達の怒声が聞え出し
それ以降の会話を打ち切らざるを得なかった・・・・・・
「どうやら来たようだね・・・・・」今迄の優しく笑みを湛えていた顔が瞬時の内に修羅の如きに変わり
「北郷君!!第一銃隊に伝令!!友軍が我が陣に逃げ込む迄の時間を稼ぎつつ敵ダンブクロ達に一斉掃射!!とな。
その後北郷君は第一銃隊の指揮を取りつつ負傷者の手当てを!!」手早く歳三は指示を出す。
「了解しました!!しかし私が隊長の元から離れる事は・・・・」困惑した顔付きで北郷が躊躇していると
「構わぬから行け!!」普段の歳三からは思いもつかぬ程の怒気を含んだ声が降って来た。
「ハ、ハイッ!!それでは行ってきますっ・・・・」初めて聞く歳三の怒声に驚いた北郷が後も見づに伝令に奔る。
その姿を見送りつつ今一度修羅の顔から慈母を湛えた様な顔付きに返った歳三が
「そう・・・・将来ある若い君迄私の様な死に取り付かれた者の供をする事もないさ・・・・」走っていく若者に向い、そう言葉をかけた・・・・
「さてそろそろ行くか・・」官軍と自らをそう呼ぶ者達がしきりにこちらに射撃を行ってくる中で歳三は
市中からの敗走者達が粗方自陣に収容されたのを確認すると自らの後方に控えていた抜刀隊の猛者達に号令を掛ける。
それは今迄の様に穏やかな話し方では無く多摩で育った少年時代に『バラガキ』と呼ばれていた頃の口調で吼える。
「オメエ達!!シャグマのダンブクロ達に好き勝手やらせるのは腹立つよなぁ!!俺ぁ今から奴等を叩っ切りに行くからよぉ、
生きるのに厭きた奴は付いて来いやぁ!!」言うが早いか愛馬の腹を蹴り猛然と敵に向かって突進する。
「うぉぉぉぉぉっ!!」怒号の様な掛け声と共に歳三の後から死地に向かい抜刀隊も駆ける。
「ハッハッハァ!オラオラァ!どうしたぁ!!新撰組副長 土方歳三罷り通るぞぉっ!!」馬上から愛刀を振るい一人二人と
切り伏せていく。しかし初めこそは驚愕し混乱に陥った官軍も相手が馬上の抜刀者と見るや銃隊が歳三目掛けて一斉掃射を
開始する。
「グッ!!」歳三の右脇腹に激痛が奔り持っていた刀を落としそうになるが
「ダラァッ!! こんな中途半端な処で落ちるものかよっ!!なぁ近藤さん!!それに総司!!」今は亡き盟友達に届けとばかりに声を張り上げる。
「後少し後少しで奴等のドテッ腹に喰い付いてやれんだよっ!!うらぁっっっ!!」薄れ逝く意識の中で歳三は叫ぶ!!
己の生涯の炎をここで燃やし付くす為に、そして己の生きた証をこの地に刻み込む為に歳三は叫ぶ!!
「視えたっ!!」視界にシャグマを付けた敵の司令官を捉えた時、歳三は馬上か転がり落ちるよう飛び降りて敵に向かって自由が利かぬ脚で斬りかかる
「せぇぇぇぇぇぃっ!!」恐怖に引き攣った敵の顔を薄れ逝く意識の中で鮮明に確認したその時・・・・・・
ズキュゥゥゥン!!銃弾が歳三の最後迄残っていた意識をも刈り取っていったのだった
説明 | ||
初投稿になりますが、この作品自体はもう何年も前に手慰みに(笑)書いたものですが要は土方歳三を恋姫の世界に飛ばしてしまおうと思って書きなおしたものです。 何故土方なのか・・・?好きだからですがなにか(苦笑) |
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