蒼天に翻りし『誠』の旗の下に   真恋姫†無双   歳三演戯
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蒼天に翻りし誠の旗の下に・・・

 

序幕第三章  愚かなり・・・・輪廻の呪縛に

 

何もない空間に一人の男の嗚咽が響く・・・

 

【神】と名乗る者は嗚咽を漏らす男の一生を鑑みる・・・・

 

男は己が信じ、求め、追いかけてきた何かの為にいつも意地を貫いてきた。

何の為に?初めはただただ侍になりたかった・・・武州多摩の片田舎で百姓家の冷や飯喰らいで終わりたくはなかった・・・

侍になる為に様々な剣術道場に足を運んだ。そこで終生の友であり義兄弟の契りを結ぶ程の男達にも逢うことが出来た・・・

朋友の道場に転がり込み、その道場仲間達と共に京に上り【夢】の一歩を踏み出した・・・・

しかしその頃から男は様々な葛藤や矛盾を己の内に抱えだした・・・目まぐるしく変わっていく己達の環境、そして友たちとの考えの相違・・・

ある時は斬りたくもない者を斬り、長年同志として戦ってきた者もこの手で処分を下した。

その頃から男は殆ど己の顔に表情を出さなくなった・・・【鬼】と呼ばれ蛇蝎の如く嫌われていくようにもなった・・・

しかし男はそれを決して悔いたりはしなかった・・・いつしか男達の描いてきた【夢】も絶頂期を過ぎやがて敗走に敗走を重ねるようになり

そこで男は大切な自分の半身を失った・・・・・様々な戦を経て蝦夷地に辿り着いた時には全てを達観したように穏やかな心根になっていた・・・・

男は思う・・・男は考える・・・そして男は見つけようとする・・・・【自分の命が散華する場所】を・・・・・

 

 

「馬鹿にすんじゃぁねぇぇぇよ・・・・・・・」絞り出すようなか細い声で歳三が呟く・・・

 

『私は貴方を貶めようとしている訳ではないのです。私はこの【正史】での貴方の生き様を貴方の傍でずっと見てきました。』

ゆっくりと一言一言諭すように【神】と名乗る者は歳三に話しかける・・・・だが歳三は応えない・・・

『時に苛烈とも云える様な貴方の生き様は、その誇り高く揺ぎ無い心から出ずる物でありそれは称賛に値するものだと私は思います。と同時に貴方の本質であるのに隠さなければいけなかった慈悲の心根もまた然り。』虚ろになった歳三に猶も声は降り注ぐ・・・と、その時

「俺の傍でいただと??いったいテメエは誰なんだ??」力無き声で光射す方に向かい歳三は問いかける・・・

『やだなぁ・・ずっぅと一緒に居たのに私の声に聞き覚えはないんですかぁ土方さんは・・』急に今迄の声も語り口も違う波動が歳三の脳内に響くその声は懐かしく

そして温かく歳三の心に響く・・・

「総司!!お前総司なのか??」歳三は信じられないという表情で光射す方に目を凝らす・・・だがすぐに顔を背け吐き出すように言った

「馬鹿なっ!!総司は江戸で死んだんだっ!!蝦夷地での俺を知る筈がねえじゃねえか!!」

『蝦夷地に着いてからは私がずっと土方隊長のお側にいたでしょう。酷いなぁ最後の最後で私を一緒に連れて行ってくださらないなんて。』

「ほ、北郷・・・北郷一刀・・・・君なのか・・・」

彼は歳三が蝦夷地に着いてからの副官であった決して有能という訳ではなかったが誠実であり多忙な歳三の手足となり時には酒の相手にもなった青年であった。そして歳三最後の地では態と死地から逃した侍でもあった。

『この【正史】にも数多の英雄や英傑がいました貴方のよく知る松平容保公や貴方の同志の近藤勇殿もその中の一人に数えられますね。しかし貴方程強く自分を律し目的遂行の為に自らの命を問わず行動しつつも大局観を持ち得た人は他に類をみない・・・』

「ならばっ!!何故俺は負けたっ!!仮に俺がテメエが言うほどの男なら何故俺はこんな情けねえ姿でここにいるんでい!!」

『それは貴方のいるこの【正史】が貴方の死を前提として構築されている世界だからですよ。』

「死ぬ事が前提・・・・創られた世界・・また訳分かんねえ事言いやがって・・・いってえ何様のつもりなんだその【正史】ってのはよぉ。」

『【正史】とは分り易く言えば貴方の世界での芝居だと思ってください・・貴方はその芝居の役者であり演目は新撰組を結成し時代の風雲児となりやがて没落し滅んで行く・・・という芝居を貴方は演じていたんです。』

「なっ・・・・・なんだとっ」

この【神】と名乗る男が言うには自分は土方歳三という役者であり己が意思で行ってきたと思われる全ての事は与り知らぬ誰かが創った筋書き通りに流されてきたらしい事を知り歳三は己の今迄の生き方そのものを全て否定された様な衝撃を受け絶句する。

『しかし現在の貴方はその【正史】の輪廻の呪縛から解き放たれています。というより私の一存で貴方を強制的に【人】という理から外させていただきました・・・』

【神】と名乗る男は今迄とは違い諭すような声音ではなく凛としたある種の意思を感じさせる声音で歳三に告げた・・・・・

説明
ありゃりゃ2作目の投稿時に作品タイトルが変になってるよぉ(泣)
ド初心者の間違いだと思ってここは一つスルーって事で・・
と、言うわけで3作目です自分でも改めて読むと読みにくいもんだなぁ・・マジ落ち込むなぁ・・

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真恋姫 土方歳三 

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