蒼天に翻りし『誠』の旗の下に   真恋姫†無双  歳三演戯 
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蒼天に翻りし【誠】の旗の下に・・・・

 

序幕第四章   新たなる【誠】の道へ・・・

 

 

『しかし現在の貴方はその【正史】の輪廻の呪縛から解き放たれています。というより私の一存で貴方を強制的に【人】という理から外させていただきました・・・』

【神】と名乗る男は今迄とは違い諭すような声音ではなく凛としたある種の意思を感じさせる声音で歳三に告げた・・・・・

だが、半ば放心状態の歳三には全てが虚しくうわの空に言葉が流れていくだけ・・・・

『【人】という輪廻から離れた貴方は【正史】【外史】に関わらず何者からもの干渉を一切受けません。つまり現在そこに存在する筈であるのに全く存在しない者となり

当事者達に認識はされども外部からの影響は全く無い・・・つまり誰かが創った筋書き通りには動かなくて良い・・・と言うよりも、そもそも貴方に対する筋書きなど

始めから存在しない立場となるのです。そして貴方は・・・「だから?」』男の言葉を遮るように今迄一言も発さなかった歳三が口を開く。

「だからどうだってんだ!!人を傀儡のように扱っておきながら死んじまったら別の場所で、今度は好き勝手に出来るから生きろってか・・・随分ご大層なもんじゃぁねぇかよ!!」

一気に吐き捨てるように声を荒げた歳三に先程迄の虚ろな表情は無く、その視線は京の都で【鬼】と言われていた頃の殺気が籠った視線であり、

その形相は己の人生を軽々しく扱う様な筋書きを仕向けた何者かを今にも誅せんばかりの憤怒の形相である。

『貴方の怒りは至極尤もだとは思いますが、ならば再び【人の理】の輪に戻り滅亡を繰り返しますか?どれだけ屈強に抗おうとも【理】を貴方自身が覆す事は不可能と心得てください。』

「ぐっ!!」【神】たるものが創り出せし【摂理】を【神】たるものが己の傀儡として作りだした【人】などでは破壊する事など出来ぬと言われ、またもや言葉に詰まる歳三。

そして【神】を名乗る男は今迄とはうって変わった様に懇願するような声音で歳三の心の奥底に語り掛けてくる。

『土方歳三殿、貴方が共に歩みし同朋達と誓い合った【誠】は今も貴方の清心の奥底に熱く渦巻いているのではありませぬか?志半ばで散っていった多くの同朋達が成し遂げられなかった

夢を今貴方がここで輪廻の輪より離れる事で貴方自身が【誠】を貫くことこそが同朋達の想いや願いを成就するのではありませぬか?』

「俺の【誠】・・・・・・」歳三の脳裏に浮かぶダンダラ模様に【誠】一字の旗・・・武州日野においても京の都でも彼の蝦夷地にあった時でもいつも歳三はその旗と共にあった。

新撰組の隊旗を作るにあたり数多の意見が隊士より出たのだが、普段はあまり口を出さない歳三が頑として【誠】一字を主張したのも己が心にいつもこの文字が在ったからである。

「俺達の【誠】・・・・・」出来上がった隊旗の下でそれぞれに誓い合った同朋達との理想・・・・

「近藤さん・・・総司・・・・源さん・・・皆・・・・」それでもまだ自分自身を納得させるには至らず思考は堂々巡りをする。

「俺は・・俺だけやり直す様な卑怯モンになっちまってもいいのか・・・・」やっとの思いで言葉を紡いだ時に

『何言ってんだ歳!!今迄俺を立ててくれる為に散々我慢してきたんだろう!!今度こそ想うとおりに飛んでみろよっ!!』

『こんなに弱気になってる土方さんなんて珍しいモン見ちゃったなぁ、でもここで何も決断出来ない土方さんってある意味卑怯モンですよ。ハハハ・・・』

またもや懐かしい声が歳三に降りかかる・・・・それ以外にも散って逝った多くの者の声が何処からか自分の背を押してくれるように聞こえた様な気がした・・・・

歳三は瞑目し思考する・・・それは深く悠久の時の様でもあり刹那の一瞬のようでもあったが再度目を開いた時には今迄とは全く違う一人の男がそこにいた。

『どうやら、お考えは決まったようですね・・・』

「ああ、色々見苦しい処見せちまったみてぇだ・・・・」

『いえいえ、この様な状況下の中であれだけの取り乱しで済むとは流石土方歳三殿という処でしょうか・・・・』

「世辞はいい・・・取敢えず色々詳しく説明を頼んで良いのか?」

『分かりました・・・では貴方の現在の状況から御説明しましょうか・・・・』

「その前に聞いておきたいんだが、いったいテメエは誰なんだ?本当に総司なのか?いや北郷でもあったんだっけか?」歳三はこの光の彼方から話しかけて来る者に

先程から一番確認したかった事を訊ねた。

『私は残念ながら沖田総司君でもなく北郷一刀君でもありません。私はこの【正史】における管理者であり正式な名はありません。私はこの管理者の権限により沖田君や北郷君の

意識を借りて貴方の生き様を見ていただけなんです。』歳三は還って来た答えに少し落胆を感じつつも言葉を還す。

「へぇ便利なモンなんだなぁ・・・んっ、って事は俺にだって、その意識を借りてって事が出来たんじゃぁねえのか??」不意に脳裏に浮かんだ新たな疑問をその者に投げ掛ける・・・

『私がこの【正史】における貴方に興を魅かれたのは正にそこなのです・・・貴方はこの【正史】の住人で在るにも関わらず管理者である私の権限が全く効かなかった唯一の存在です。

管理者の権限が効かないという事は取りも直さず貴方はこの【正史】の人間では無い筈なのですが、どうもそういう存在でもなく貴方はこの【正史】の住人で間違いは無い様なのです。』

「先刻から【正史】とか【外史】とかって出て来んだが、いったいそりゃぁ何だ??」

『では少し長くなりますが今の貴方の状況等の話にも繋がる事ですので一つ一つ御説明していきましょうか・・・・・』

【管理者】はそう言って歳三が驚嘆する内容を話し出した・・・・・

 

 

 

 

 

説明
無事に見習い卒業させていただきました。っつうか連作投下させていただいただけですが・・・ハハ
今回も女性陣が誰一人として出てきませんねぇ困ったものです。いっそ書きなおしちまいますかね・・
とりあえずお目汚しになるかもしれませんがお付き合いの程を宜しくおねがいいたします。
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真恋姫 土方歳三 

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