無防備に晒して
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 いつものように先輩のベッドで横になりながら作業をする。

 無防備な姿を晒しながら作業を――

「……」

「…………」

「……」

「………………」

 

 先ほどからずっと感じている視線。

 まるで、舐めまわすような視線で私を見ているのを先輩は自覚しているのかしら?

「……先輩」

「な、なんだ? 黒猫」

「先輩の視線が気になって、作業に集中出来ないのだけれど」

「な、ナンノコトダ?」

 この人は……私が気付いていないとでも思っていたのかしら?

 だとしたら、物凄く愚かな事だわ。

「先輩は私の身体に興味があるのかしら?」

「何を言って――い、いや、興味が無いとは言えないが……」

「そう」

 一応私に性的興味は持っているみたいね。

「俺が言いたいのは、男の前でそんなに無防備な姿を見せるのはよくないというか……」

「大丈夫よ。こんな姿を見せるのは、先輩の前でだけだから」

 そう。他の人間の前でこんな事は出来ない。

 先輩の前だからこそ見せる姿。

「それは、つまり俺を異性として見ていないという事か?」

「違うわよ」

 先輩を異性として見ているからこそ、無防備な姿を晒すの。

 無防備な姿を晒して、先輩を誘惑しているのよ。

 たいした魅力の無い、私の精一杯の努力だから。

 

「先輩の事はちゃんと異性として見ているわ」

「そ、そうか……」

「あら? もしかして照れているのかしら?」

「だ、誰が照れて――」

「くすっ。そういう事にしておくわ」

「いや、マジで照れてないからな!」

 はいはい。そうね。照れていないわね。

「くっ! なんかムカつくな」

「怒るなんてみっともないわよ」

「納得いかねぇー」

 先輩が悪いのよ。

 私をこんな気持ちにさせておいて、先輩からは何もしないなんて。

 せっかく隙を作ってあげているのに、ただ見るだけなんて。

 臆病にも程があるわ。

 

「……臆病者」

「え……?」

「なんでも無いわ」

「……そうか」 

 

 …………ばか。

 

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黒猫です。にゃ〜♪
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 高坂京介 

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