狸寝入り
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 人間、驚くと何も声が出なくなるんだな。

 え? 何に驚いているのかって? それは――

 

「すぅ……すぅ……」

 桐乃が、俺のベッドで寝てるんだよ。

 あの、桐乃がだぞ。あの桐乃が俺のベッドで寝ている。

 普段何かと俺に対してキモイ、キモイばっかり言っている桐乃が、俺のベッドで寝ている。

 なんというか、驚きを通り越して怖いくらいだ。

 しかも、いい具合に布団がはだけて、更には服も少し捲れている。

 こんな光景、エロゲ―とかなら当たり前の光景なんだろうけど、これは現実だ。

 この現実に対して俺は一体、どういう行動をすればいいんだ?

 

 @桐乃を起こさないように部屋から出ていく。

 A何事も無いようにスル―する。

 B桐乃が寝ている事をいいことに、下着や身体を観察する。

 

 どれが……って、待て待て、三番はさすがにマズイだろ。

 もし途中で桐乃が起きてしまったら、マジで洒落にならない事になる。

 本気で警察沙汰になってしまう。それだけは回避しなければならない。

 つーわけだから、選択肢は二つしかないわけで……

 

『もう、どうでもいいから襲ってしまおうぜ』

 いやいや、さすがに妹を襲うのは……

『何硬い事言ってるんだよ。大丈夫だって、桐乃もそれを望んでるって』

 アイツに限ってそれはないだろ。

『はぁ……何を言ってるんだか。わざわざお前のベッドで寝てるんだぞ? それで誘ってないとか

あり得ないだろ』

 た、確かに……

『だろ? だからさっさと襲ってやれよ』

「…………」 

 くっ! なんという悪魔の囁きなんだ。

 マジで襲ってもいいかと思ってしまうじゃないか。

 だが、気を付けるんだ京介。

 このまま流れに身を任せると確実に後悔をする事になるぞ。

 だからとりあえず落ち着くんだ。

 

 ・・・・・・・・・・・・・

 

 オーケー。だいぶ落ち着いてきた。

 まずは冷静に考えよう。

 理由は分からんが、何故か桐乃が俺のベッドで寝ている。

 そこで俺の取る行動だが――

 やはり一番無難なのは、静かに部屋から立ち去る事だよな。

 色々と勿体ないような気もするが、それが一番正しい行動だよな?

 よし。ここは大人しく立ち去ろう。

 じゃあな桐乃。いい夢見ろよ。

 颯爽と立ち去る俺。紳士過ぎて、涙が出そうだよ。

 

 

「…………意気地なし。チキン野郎。少しは女心を理解しろっての。何のためにあんたのベッドで

寝てると思ってるのよ…………ばか」

 

説明
京介視点の最後に軽く桐乃がデレる話です(たぶん……)
桐乃……桐乃は嫌いじゃないよ。ただ、難しいんだ。
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コメント
その逆の行動を取って欲しかったのか。よし、俺が今から逝くよ(VVV計画の被験者)
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 桐乃 高坂京介 

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