鬼姫武者 第7話 |
鬼姫武者 第7話
「愛紗、こっち!」
阿希が愛紗を連れてきた。その愛紗とは過去の愛紗であった。
つまりは阿希はまだ過去に居るのだ。
阿希が過去の愛紗を連れてきたのは倒れた一刀の所に案内するためであった。
一刀は運よく木がクッションになってくれたおかげで重傷は免れたのだ。
(普通なら、死んでるだろ)
一刀がそう思うのも無理はない。
「愛紗、ここは?」
「長安だ。この世界のな」
一刀が愛紗の後ろを向くとそこには張遼がいた。
「お前は!」
「心配するな、一刀。霞(しあ)は味方だ」
「霞?」
「ウチの真名や」
「そうか」
「ウチの主君の董卓が幻魔に利用されとるんのは知ってるやろ?」
「ああ」
「その主君の手前、幻魔に味方せざるを得んかったんや。ほんでも、奴らのやり方にはもう我慢が出来へんのや。
頼む、あんたらの仲間にしてくれ。この通り…」
「何か事情があると思ったが、そう言うことか。だったら歓迎するぞ。張遼」
「霞でええで」
「じゃあ、よろしくな霞」
「おう♪」
「でも寒いね」
実は周りは雪が降っていた。虎牢関の戦いの季節的には問題はないのだが……。
「ここまで寒いのはおかしいな」
「これも幻魔の仕業だね」
「そうだな。グズグズしている暇はない。言い伝えでこの辺りに『鬼軍珠』があると聞いた。その『鬼軍珠』には鬼の軍兵が封じ込められている。
それを探し出せれば必ずあの城は落とせる」
「なぁに、そんな珠の一つや二つ、すぐに見つけだしてやるわ」
「いや、霞は城に戻った方がいい。中から手引きしてくれる奴がいると有り難いからな」
「そうか……。ウチも一緒に暴れたかったんやけど、仕方あらへんな」
「それじゃあ、探しに行こう」
「ウチは城で待ってるで」
霞は安土城へと戻った。
「私達も行くぞ」
「ああ」
「確か、『鬼屋敷』とか聞いたな」
一刀達も『鬼軍珠』があるとされる鬼屋敷へと向かった。
「なんか現代風な屋敷だな」
「鬼一族が作ったものだからな。時代の先取りも可能なのだろう」
「とりあえず入ってみるか」
一刀と阿希が先に屋敷に入った、その瞬間、突然柵格子が降りて来て、一刀と愛紗を分断させた。
「大丈夫か、一刀、阿希」
「うん」
一刀が柵格子に触れてみる。
「くそ…こいつは簡単に開きそうにないな」
「仕方ない、二手に分かれよう。私は屋敷の外を探してみる。一刀は中を調べてくれ」
「分かった、後で会おう」
一刀と愛紗は分かれて探すことになり、一刀は屋敷の中へと入っていった。
鬼屋敷には様々な仕掛けがあった。それはもし鬼の力を持つ者が入って来た時ように『鬼軍珠』を持つにふさわしいかと見るためのいわば試練のようなものであった。
一刀は仕掛けを解いて行ったり、部屋の番人の化物などを倒していき、屋敷の奥へと入っていった。
そこにはシーサーのような生き物の石像の口に何かが加えられていた。
一刀はその石像に近づくとその石像の口に光が集まり、その光は何かと合わさり、球となって一刀の手元にやって来た。
「一刀」
そこに外にいた愛紗がやって来た。
「愛紗、よく来れたな」
「外でなんとかここに通じる道を見つけてな」
「そうか。ところでこれが鬼軍珠か?」
「ああ、そうだ。これで準備は整った。長安の城に突っ込むぞ!」
二人は長安の城の前まで来た。
すると二人を歓迎するかのように下等幻魔達が二人に向かって走り出した。
「手荒い歓迎は御免だ。愛紗」
「ああ」
愛紗が自分の右手にある鬼の籠手に鬼軍珠をはめ込む。
すると鬼軍珠から大量の光が流星群のように降り注ぎ、その光が地面に到達すると光は鬼の兵士へと姿を変えた。
「すごーーい」
「私はここでこいつらを操っておく。お前は行け!」
「おう!」
一刀は敵のど真ん中を走り出す!
一刀の道は鬼の兵士達が開けてくれている。
「どりゃあああああああああ!!」
一刀も武器を振るって敵陣を突破していく!
そして長安の城に潜入した!
そこには霞が幻魔と戦っていた。
「霞!」
「おお、一刀。もう来たんか、さすがや」
「少し手間取ったけどな。そっちは?」
「ああ、雑魚に手間取ったけど、城内の幻魔はあらかた片づけておいたで。ところで愛紗は?」
「鬼の軍兵を操っている」
「そうか…」
霞は少し残念そうな顔をする。
「なら、城内が手薄な今を逃す手はないな」
「張遼殿」
上から声が聞こえてくる。そこには李信がいた。
「皇帝様のお側を騒がせるつもりか?」
「その通りや。始皇帝の首、この偃月刀に吊るしてやる!」
「ふん、威勢だけはいい。やれるものならやってごらんなさい」
李信はいずこかへと去った。
「待ちや! 一刀、先に始皇帝の所に行っといてくれ。そこの昇降機を使えばすぐや」
「ああ。しかし、幻魔のせいなのか? この近代的な城の内装は……」
あまりに昔の中国とは言い難い城の内装に一刀は驚いている。
一刀は霞の言う通り、昇降機を使って始皇帝のいるとされる部屋へと向かう。
部屋の前にはマーセラス極が居たが、成長した一刀の敵ではなかった。
「悪いが同じ相手には負けられないんだよ。パターンも同じだしな」
一刀が部屋に入る。
そこにはあの性悪女がいた。
「ほっほっほっほっ。勝手にこんな所まで入ってきおって」
「また手前か」
「下がれ下郎! わらわを誰だと思っている」
「幻魔で性悪なおばさんだな」
「おばさんだと!? ほざきおって! 幻魔王、いや幻魔皇帝エイ趙様の妻にして幻魔の女王になる身ぞよ。
たかが鬼の一族如きはわらわの前にひざまづけ!」
「寝言は寝て言え! おばさん化物!」
「な!? またしてもおばさんだと! 許さん、許さんぞ……。このベガドンナを二度も愚弄するなど許さん!
貴様、わらわに勝てると思ってるのか?」
「思ってなきゃ口に出来ないぜ。おばさん」
「八つ裂きにしてやるわ!」
ベガドンナはアクロバティックな動きで一刀を翻弄し、一刀の体を少しずつだが切り裂いていく。
「ちっ、なかなか早いじゃないか」
「わらわをあれほど愚弄したのだ。すぐには殺さん」
(そいつは命取りになるぜ)
一刀の心の中にはまだどこかしらの余裕を感じていた。
「くらいな!」
ベガドンナは口から瘴気の球を出す。
「うりゃあ!」
一刀は武器でその球をベガドンナに向かって弾き返す!
「うっ!」
ベガドンナはそう来るとは思わず、自分の放った瘴気で動きが取れなくなる。
「遊び過ぎたのが命取りだったな。悪いが俺はじわじわとかはしない。
一気に決めてやる!」
一刀は炎蛇剣でベガドンナを縛り、雷閃槍でベガドンナの腕と腹部を思いっきり切り裂いた!
「……おのれ!」
雷閃槍の攻撃で、炎蛇剣が体から離れ、ベガドンナは一刀から離れる。
ベガドンナは致命傷をくらったため、倒れ、部屋にある椅子に向かってはいずる。
「エイ趙様、せめて、あなたの腕の中で…」
ベガドンナは力尽きた。
「どこのナルシストの最期だ」
一刀はそう言いながら魂を封印した。
すると天井から階段が現れた。
「?」
一刀は階段を上ってみる。
そして階段を上がってみるとそこにはなんと、血まみれの霞が倒れていた。
「霞!」
一刀が駆け寄る。
「霞! しっかりしろ!」
「霞!」
そこに外に居た愛紗もやって来た。
「一体どうしたんだ」
「李信の…罠にはまってもうてな……ウチとしたことが遅れを取った…」
「霞!」
「一刀、愛紗…。始皇帝はここにはおらん。洛陽に移動しとる」
「何!?」
「うっ……幻魔を……始皇帝を倒して……」
霞は意識を失う。
「霞!」
「……まだ脈はある。すぐに私の仲間に連絡を入れれば助かるかもしれん」
「仲間?」
「ああ。別行動をしていたのだが、この近くに居たはずだ」
「そうか……」
一刀は立ち上がる。
「始皇帝め! 阿希、朋絵の所に行ってくれ。俺は最後の戦いに挑むってな!」
「いよいよ決戦だね。頑張っておくれよ」
阿希は現代に飛んだ。
おまけ
作者「鬼姫無双第7話だ」
一刀「どうしたんだ。2話連続で投稿するとは聞いてないぞ」
作者「いやぁ〜、一応最終回まで書いたから、早く連載物を投稿して楽になりたいな〜って思ったから投稿した。そして明日も2話連続で投稿だ。そして明日の夕方から夜には最終回だ」
一刀「二ヶ月も連載休んでようやく最終回か。この鬼姫無双と言い、ディケイド×三国志といい…」
作者「まあな。とりあえず1周年ネタのものはまだだが、1周年記念最後の陣として新しい連載物は書き始めてるけどな」
一刀「でも投稿しないんだよな」
作者「ああ、今はその下準備だ。その小説は予告の時に俺が書いた下手くそな絵を見せる」
一刀「絵を見せる? どうしてだ?」
作者「ちょっとした俺オリジナルのものがあるからそれを見てもらわないとそれがどんなものか分からないだろ。とは言っても他作品の影響は全く受けてないわけではないが、基本的には俺オリジナルだ」
一刀「一体どんな絵なんだ?」
作者「それは予告が出来てからのお楽しみに。それでは!」
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この作品はクロスオーバー作品の関係上、恋姫キャラの性格や立ち位置や生き様などが変わっています。 それが嫌な方をご閲覧をご遠慮願います。 |
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1686 | 1609 | 8 |
コメント | ||
この調子でいくと最強の武器である毘沙門剣と鬼無双を手に入れそうな流れですね。(スターダスト) 月は相変わらず捕われのお姫様だな。だがランサー曰く「捕われの姫を助けるのは英雄の仕事、」的です。ランサーはこの作品には関係ないけど、(アーマイル) |
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